敬語「ご連絡」の使い方・「お知らせ」と「ご連絡」の違い
更新日:2024年08月16日
敬語としての「ご連絡」の使い方
みなさんもビジネスで取引先の担当者などと電話やメールでやり取りをする際に「ご連絡ありがとうございます」や「ご連絡させていただきます」などといった「ご連絡」というワードを使うことも少なくないかと思います。「連絡する」の敬語の形をとっていますが、実は日本語の敬語表現は間違って使われるケースも少なくありません。
そこでまず、「ご連絡させていただきます」や「ご連絡ありがとうございます」といった表現は果たして適した使い方であるのかどうかを見ていきましょう。
結論から言えば、尊敬語としても謙譲語として使う場合の方が正しいです。ただし、尊敬語として使う場合は「ご連絡お待ちしております」のように二重敬語になる場合もあるため、注意が必要です。
敬語としての「ご連絡」を使った例文はどんなもの?
ビジネスマンとして活躍するうえで必ずと言っていいほど使う「ご連絡」という敬語表現ですが、実にさまざまな表現があり、さまざまなシーンで使われます。
ここでは「ご連絡」という表現を用いた例文でよく使われるものをピックアップし、敬語表現としてどのような特徴があるかを見ていきましょう。
「ご連絡ありがとうございます」
多くの場合、この表現は相手の方から何らかの問い合わせや申し出、あるいは一度こちらから連絡したことへの返事を受け取った場合に返すときに使うものです。そして、この敬語表現を使う場合、その相手は顧客や取引先の目上の方であることが多いです。
「ご連絡ありがとうございます」という表現は敬語の中では謙譲語のカテゴリーに入るものです。一見すると「ご連絡」を使っているため尊敬語のようですが、自分がへりくだった表現を用いて相手を敬うようにしているためです。
「お電話ありがとうございました」
こちらも「ご連絡ありがとうございます」と同様に、相手に電話で連絡してもらったことに感謝の気持ちを伝えるための表現です。相手が電話をしてきているということで「お電話」という敬語の形をとっています。
もちろん、こちらの表現を伝える相手も顧客など目上の立場の人ということになります。このため、こちらも相手に敬意を示すために謙譲語という形で自分がへりくだった表現を用いています。
「ご連絡ありがとう」
こちらの表現は、例えば年配の方が年下の方から初めて連絡を受け取った際に返信の表題などに載せる文言、というように目上の立場の人から目下の立場の人に対してよく用いられるものです。
「ご連絡」という敬語表現を使うことで相手に一定の敬意を表しつつも、同時に自らの威厳も相手に示しておきたいという場合に役に立ちます。
しかし、最後に「ありがとう」と締めくくっている分、逆に目下の人から目上の立場の人に対して使用すると大変失礼に当たりますので、どちらかといえば目上の人から目下の人への一方通行な表現といえます。
「ご連絡いただく」
こちらの表現は、例えばスケジュール帳に連絡してもらう必要のある顧客や取引先の担当者のことを書いておくときなどに使われるもので、いわゆる書き言葉として使われることが多い敬語表現です。あるいは、上司などに「本日、○○様よりご連絡いただくことになっております」というように報告する際にも使われます。
このように、その場に目上の人がいない場合に使うことの多い表現です。その場にいないのであれば別にいちいち敬語で使う必要もないように見えますが、その場にいなくても敬語で表現することは周囲の人たちからの自らの信用を落とさないようにするための手段として重要なことなので忘れないようにしてください。
「ご連絡お待ちしております」
目上の相手に連絡したものの、うまくつながらなかったために留守番電話にメッセージとして残す場合や、返信してほしい際にメールの結びの一文として残しておく場合によく用いられる表現です。
「ご連絡」という相手に敬意を示す尊敬語と、「お待ちしております」という謙譲語の組み合わせで相手に謹んで連絡を乞う表現になっています。
ちなみに、似たような表現で「連絡お待ちしております」と使う方もいますが、こちらはNGです。なぜならば、「連絡」に「ご」とつけない分、相手に敬意を示していないためです。
むしろ、後半だけが「お待ちしております」という敬語表現(謙譲語)になっている分、見かけだけ敬意を示しているように見える、聞いた側は余計に不快な思いをすることもあるため注意すべきです。
「ご連絡お願いします」
文字通り、目下の立場の人が目上の立場の人に連絡をお願いする際に使われる表現です。先ほどの「ご連絡お待ちしております」に比べると、あまり相手にプレッシャーをかけずに済むという点と文字数が少なく簡便な点では使いやすい表現といえます。
ただし、この後に「よろしくお願いいたします」などのように「お願い」という表現を続けるとまわりくどく聞こえるため、そうなりそうな場合は「ご連絡お願いします」で締めくくるか、「よろしくお願いいたします」以外の別の表現(「お待ち申しております」など)を使うようにしましょう。
「待つ」などの場合
これはそのまま目上の人から目下の人に対して使う表現です。そして、ビジネス以外でも親から子へ、または友達から友達、先輩から後輩といったようにプライベートでも電話やメール、LINEなどSNSでよく使われます。
もちろん、プライベートな関係でも目下の人から目上の人に対して使うのは適切ではありませんが、お互いの関係によって使っても差し支えのない場合は使っても構いません。
初回公開日:2017年09月19日
記載されている内容は2017年09月19日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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