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「過分」とは
「過分なる」という表現は、聞き慣れない、もしくは聞いたことがない方も多いでしょう。読み方は「かぶん」と読みます。
「過分」とは、身に余るという言葉を、敬語として利用する場合に使う言葉です。ビジネスシーンで使いこなせると、上司や取引先から高評価を得られる可能性もあります。普段使わない言葉なので難易度も高いですが、正しい「過分」の知識を理解すると使いやすいでしょう。
「過分」の意味
「過分」は、「人や物が自分につりあわないほど優れている、優っている」「自身の身分を超す扱いを受けている」と自身を謙遜する意味で使います。過分の「過」は、「より勝る」「優れる」の意味、「分」は「人が持つ能力や身分」を表しています。
例えば「分をわきまえる」といった表現は、「自分の身分を理解し、行動や言動をする」と言う意味の言い回しです。
形容動詞「過分だ」の活用
形容動詞「過分だ」の活用は、形容動詞一般のそれと同様です。
すなわち「過分だろ(う)」(未然形)、「過分だっ(た)」「過分で」「過分に」(連用形)、「過分だ」(終止形)、「過分な」(連体形)、「過分なら」(仮定形)というふうに変化します。命令形はありません。
「過分な」と似た言葉
「過分」は自分の身分には十分過ぎる扱いに謙遜する、という意味で使われます。そのため「過分な」の類語は、今の自分には不釣り合いなほどに良い状態を表す「身に余る」「不相応だ」「僭越だ」の3つが挙げられます。それぞれの言葉の意味について、詳しく解説します。
「身に余る」
「身に余る」の意味は、とても良い待遇や相手の気持ちを自分には勿体ないとすることです。「身」というのは元は「身体」のことですが、この場合は「社会的な人の立場」のことを言います。物事が家柄や能力のことを言う場合には、「身に余る」と使います。ビジネスシーンでは新しい仕事に抜擢された時に、「身に余る大役」と言います。
「分不相応だ」
「過分」の類語の2つ目は「分不相応だ」と言う言葉です。読み方は、「ぶんふそうおう」です。
「分不相応」とは身分以上、必要以上に贅沢なことの意味です。「分不相応」の「分」とは「過分」と同じく能力や社会的地位といった身分、相応は釣り合う意味なので否定形で「不相応」を使います。
使用例は、「彼は無職なので、高価な時計は分不相応だ」のように使います。収入がないのに、高額なものを買うのは、贅沢だということです。
「僭越だ」
過分の類語の3つ目は、「僭越だ」と言う言葉です。読み方は「せんえつ」と読みます。
「僭越だ」の意味は、今の身分や立場を超えた状態のことを言います。
使い方は、「僭越ながら代表で、ご挨拶させていただきます」のように言います。自分が本来であれば代表を務める身分や立場ではないことを謙遜して言う言葉です。
「過分」の使用例
「過分」の意味は「身分や立場に不釣り合い」と言う意味でしたが、次はどのようなシチュエーションで、どのような表現が使えるかをさらに詳しく解説します。「過分」を使える場面を理解すると、自身でも言えるタイミングのイメージが掴めるでしょう。
「過分」はどのような場面で使用するか
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「過分」は相手にへりくだって使う謙譲語です。「過分」を使う時には、立場や歳が上の人に対して、「自分なんて」「私には不釣り合いです」と言いたい場面で使えます。「過分」を使うとより丁寧で、あらたまった言い方なので、特に年配の人や上司、取引先に使う言葉に適切だと言えます。
例文1 過分なお言葉痛み入ります
歳や立場が上の人から、自分や所属している会社について、お褒めや気遣いの言葉を受けた時には、「過分なお言葉痛み入ります」と言う表現を使います。自分や会社を心配されてただお礼を言うよりも、よりフォーマルな表現と言えます。
「痛み入る」は、相手に対して恐縮しつつも、褒められた自分が図々しく思うという意味があるので、「ありがとうございます」の遠回しの表現です。
例文2 過分なお心遣いに感謝いたします
目上の立場、取引先などからお土産など、品物をもらった時に、「過分なお心遣いに感謝します」と一言添えると、お礼の気持ちを伝えることができます
「心遣い」とは本来の意味は「気をつかうこと」ですが、この表現の場合は、「配慮」のことです。私のために配慮してくださりありがとうございます、と言った意味合いで使います。相手に配慮などと直接言うよりも、丁寧で相手を気遣った言い回しです。
例文3 過分な評価をいただき光栄です
上司や取引先、お客様から、自分や会社について良い評価、お褒めの言葉をもらった時に、「過大な評価をいただき光栄です」と言います。「過分なお言葉痛み入ります」でも同じシチュエーションで使えますが、こちらは後にポジティブな返答をする時に使えます。
例えば、上司から昇進の打診をされた時に使うと、昇進の話を受けるという意味合いも含ませることができます。その場合には、そのあとに「お受けします」と続けます。
例文4 過分な野望を抱く
「過分な野望を抱く」は過分を使うことで、身の丈以上の夢であることを強調した意味で使います。「野望を抱く」表現自体が、身分や能力に合っていない望みや夢を持つという意味になります。そのため、「過分な」をつけることで、さらに今の能力や欲が、さらに大それていることを表します。
例えば、入社したばかりの新入社員が、会社の社長になると考えることは、「過分な野望を抱いている」状態と周りから思われるでしょう。
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「過分」を使用するときのポイント
「過分」を使う時のポイントは、「過分」な状態はあくまで自分であることを意識することです。使い方を間違えると相手に悪い印象を与えたり、敬語が使えない人、と言う印象も抱かれません。
「過分」は普段日常会話で使うタイミングは、さほど多くないでしょう。しかしビジネスシーンでは、メールや手紙などで取引先、お客様、上司へ使うことができます。文面は何度も見返すことができるので、正しく使うことが重要です。
謙遜しつつ感謝を示す時に使う言葉
「過分」は謙遜語であり、自分に対して使うようにします。謙遜語は、相手を上にたて、自分の立場を下にする時に使う時に使う表現です。
相手からかけられた言葉、もらった品物に対して「自分なんてそのような言葉や品物をもらう立場ではないのに」という気持ちをフォーマルに言うための言葉です。その上で、相手からしてもらった行動に対して、「ありがとうございます」の気持ちをビジネスシーンで伝える表現になります。
分不相応であると非難する時にも使う
「過分」は分不相応であると非難する時にも使う言葉になります。引用内容を参考にしていくと、取引先関係者などに高価な頂き物をした際などに使用するケースがあると考えられます。
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身分や地位などを越えていることを意味する語。特に必要以上に贅沢なことについて言う表現。
「分相応」は能力や地位や身分などに相応しいことを指す表現で、「分不相応」は、それを否定した形の言い回し。
https://www.weblio.jp/content/%E5%88%86%E4%B8%8D%E7%9B%B8%E5%BF%9C
使う場面によっては誤解を生むことも
あくまで相手が自分にした行動、かけた言葉に対して「自分が身分不相応で、申し訳ない」状態を表したいので、相手の状態を表す言葉としては不適切です。
例えば、「○○(上司や目上の方)様は過分なお心をお持ちだ」のようには使えません。この表現の場合、「あなたの立場や能力に似合わない心を持っている」と言った意味になります。このような嫌味のようなことを言われて、気持ちの良い人はいませんので、注意が必要です。
「過分」をビジネスで使ってみよう
「過分」とは、相手にしてもらったことに謙遜しつつ、そのことに対する感謝を表したい時に使う言葉です。直接的な言葉で謙遜や感謝を伝えるよりも、より丁寧で正式な言い方になります。目上の人やお客様など立場を上にした方が、関係がスムーズになるシーンで利用できます。また自分の立場をあえて下げて、相手の行動に対してより感謝を伝えたい時も使うことができます。
ビジネスや挨拶で感謝の気持ちを伝える
「過分」を使った表現は、相手に対してより正式で、厳かな雰囲気になります。
そのため、ビジネスシーンの他、冠婚葬祭などにも使うことができます。自分の言葉が子どもっぽいと感じる人は、これからの表現を身につけることで、相手にも好印象を与えることができます。
「過分」の類義語である、僭越ながらの解説については、こちらの記事に詳しく書いていますので、語彙力を増やしたい方はこちらも参考にしてみてください。