[allpage_toc]
「参る」とは
この記事では、「参る」を用いた「参ります」という言葉の意味と使い方を例文とともにご紹介していきます。また、似た意味をもつ「伺います」との違いについても説明します。
「参入る(まゐいる)」が転じて誕生した言葉
古語は、現代語よりも身分による言葉遣いがはっきりと分かれていて、使われている言葉だけで上下関係がわかるようになっています。「参る」はそのころの言葉遣いを引き継いだ単語であると言えるでしょう。
「参る」には色々な意味がある
現代語の「参る」も、古語の「参入る」の意味を引き継いでいるので、「目上の人のところに向かう」という意味の謙譲語として使うことが最も多いでしょう。そのほかの意味についても後述します。
「参ります」の使い方
実際に使用する上ではこのように、「参ります」の敬語の種類についても知っておく必要があります。
「参ります」の主な意味の使い方
先に述べたように、幅広い意味を持つ言葉であるからこそ、この用法ではどの意味を表しているのかしっかりと理解しておく必要があります。使用頻度の高い言葉ほど、誤用してしまったときの恥ずかしさは大きくなります。ここで確認しておきましょう。
1.「行く」の謙譲語あるいは丁寧語
例えば、面接や取引でこちらから先方に出向くことを伝えるときに「〇月〇日の×時に参ります」などというように使うことができるでしょう。自分だけでなく、自分の会社の身内や、家族の行動にも使うことができます。
2.「来る」の謙譲語あるいは丁寧語
外部の人からの電話などで、不在にしている人に対する問い合わせを受けたときには「○○は×時頃に戻って参りますので折り返しご連絡差し上げます。」などのように使うことができるでしょう。
3.「降参」の意を相手に表明する
「参ります」は「ます」がついていて丁寧語の表現になっていますが、単に「参った」と言っても「降参だ」「負けた」という意味を表すことができます。
4.「困惑」の気持ちを表す
「旅先で自動車が故障して参ってしまった」「手続きが煩雑でちっとも進まず参っている」というように使うことができるでしょう。
[no_toc]
5.「肉体や精神が弱る」の意味
「今年の酷暑には参ってしまった」という場合、「夏が暑すぎて体調を崩してしまった」という意味を表しています。「ストレスで参ってしまう」という場合は、「ストレスで精神的に弱ってしまう」という意味です。
「参ります」の例文
ビジネスシーンでは、人や物の行き来が毎日のように起こります。従って、この「移動」に対して用いることのできる「参ります」という表現は、当然頻繁に用いられることになります。ここで使い方をマスターしてしまいましょう。
「すぐにそちらへ参ります」
ここでの「参ります」は1つ目でご紹介した「行きます」という意味で使われています。ビジネスシーンでは、自分が駆けつけることが求められるシーンがよくあります。そんなときにこの例文を用いましょう。
「お迎えの車が参りました」
ここでの「参ります」は、2つ目でご紹介した「来ます」という意味で使われています。「行く」と「来る」の2つの意味は、ビジネスシーンで使われる「参ります」のほとんどを占めていると考えても良いでしょう。
「夏の暑さには本当に参ります」
この用法での「参ります」は、4つ目でご紹介した「困惑する」と、5つ目でご紹介した「肉体や精神が弱る」という意味のどちらでも受け取ることができます。暑さに困るのと、暑さで気持ちがマイナスの方向に動くというのは、本質的には同じなのでどちらでとっても良いでしょう。
「残業続きで参っています」
ここでの「参ります」は、5つ目でご紹介した「肉体や精神が弱る」という意味で用いられています。ただ、肉体的な疲れよりも精神的な疲労の方を表すことの方が多いでしょう。
「頑張って参ります」
決戦の場に行って、良い結果を残して「帰って来る」というニュアンスをもつ表現であることから、ここでの「参ります」は2つ目でご紹介した「来る」の謙譲語としての用法であると言えるでしょう。
「取り組んで参ります」
これから取り組んで「行きます」というニュアンスを持つ表現であり、ここでの「参ります」は1つ目の「行く」の謙譲語としての使い方であると言えるでしょう。
「参ります」を使用する際の注意点
「参ります」は、誰でも知っているような基本的な敬語表現です。したがって、この使い方を間違えてしまうと、「教養のない人」と思われてしまう可能性があります。このようなことで評価を落とさないよう、正しく用いましょう。
自分よりも目上の相手に用いる
自分の同僚や部下には「参ります」を使うことはありません。使ってはいけないというルールはありませんが、相手には違和感を感じさせてしまうでしょう。
[no_toc]
相手のことを表す時には使用しない
相手が自分よりも地位が低い場合でも、相手に謙譲語を使ってはいけません。これはビジネスシーンだけでなく、日本人としてのマナーです。
公用文には使用しない
文章ではあまり用いられません。ただし、メールは話し言葉と文語体の中間のような位置にあり、「参ります」もよく用いられます。
今日から使える敬語表現を覚えましょう
敬語は実践のための言葉ですので、机に向かってじっくり勉強する必要はありません。よく使うような言葉から使いなれていくことが一番です。こちらのハンドブックには、読んですぐ使えるような表現が詰まっているのでです。
「参ります」と「伺います」の違い
これら2つの表現は、意味は似ていますが敬語としての機能が少し異なっています。それでは、「参ります」と「伺います」の違いをお伝えします。
「参ります」=「行く先」に敬意を示す
「参ります」は「行く・来る」を意味する謙譲語です。「参ります」における「行く」や「来る」はその言葉のとおりの意味であり、誰かが足を運んでいる様子を表しています。
「伺います」=「聞き手」に敬意を示す
この違いはそれほど気にすることはないでしょう。聞き手と訪問先は一緒である場合が多いので、結果的には「参ります」と同じ対象に敬意を示すことになることが多いですが、厳密には上記のような違いがあります。
「参ります」の意味を理解して正しく使おう
ビジネスシーンでは言葉遣いがしっかりしていることは、意外なほどその人のステータスに関わってきます。周りからの信用を得るためにも正しい用法をするようにしましょう。
謙譲語を使いこなそう
謙譲語をしっかりと使いこなせるようになると、どんな相手にも自信をもって対応することができるようになります。言葉遣いは聞き手の感情に影響します。お互いに気持ちの良いコミュニケーションをするために、謙譲語をマスターしておきましょう。
[no_toc]