cms-import-tapbiz-wp

「便宜を図る」の意味と使い方|例文7つ・類語5つ|敬語表現

[allpage_toc]

「便宜を図る」の意味

「便宜を図る」とは、「その人にとって利益になるような特別な計らいを行う」という意味です。相手にとって、好都合となるように手を回したり手伝うことを指します。

「便宜を図る」という言葉は、ビジネスシーンはもちろん、政治家の汚職や不正などをニュースで報道する場合にもよく使われます。プライベートの場でも使われることがあります。

「便宜」とは

「便宜を図る」の「便宜」とは、「便利が良いこと、好都合なこと」「特別なはからい、そのときに適したやり方」「音信、便り」などの意味があります。

「便宜」は「図る」とセットで使われることが多く、あまり他の言葉と結びつくことがありません。「便宜を得る」とも言いますが、耳にすることは少ないでしょう。

「便宜上〇〇する」もよく使われる表現です。「その時の都合に寄り」という意味で使われます。

「便宜」の読み方

「便宜を図る」は、「べんぎをはかる」と読みます。「便宜」には「べんぎ」のほか、「びんぎ」とも読めますが、「便宜を図る」とした場合は必ず「べんぎをはかる」と読みます。

なお、「便宜」を「びんぎ」と読むのは、古文の場合がほとんどで、現代の日常の中では使われていません。

「便宜を図る」にネガティブな意味はない

「便宜を図る」という言い方は、政治家の汚職や、不正、贈収賄などのニュースの中でよく使われる言葉のため、ネガティブなイメージを感じ取ってしまう人も多いでしょう。

しかし、この言葉自体に悪い意味は含まれていません。「便宜を図る」の意味は、「相手にとって都合が良いことや特別なことを取り計らうこと」です。

「便宜を図ること」自体が悪いことや犯罪的なことではありません。

「便宜を図る」の使い方

ここでは、「便宜を図る」を実際の会話で使う際の例文をご紹介します。「便宜を図る」には、いくつかの慣用句ともいえる言い回しがあります。これらの言い回しを使う状況を覚え、会話の中に挟み込むことで、自在に「便宜を図る」を使いこなせるようになります。

なお、「便宜を図る」を使う際の注意事項も併せて確認し、間違ったり、失礼にあたったりする使い方はしないよう、心がけましょう。

「便宜を図る」の例文

まずは、「便宜を図る」に関連する7つの使用例をご紹介します。これら7つは、慣用句のように、このままの形で使いまわすことが可能な句です。

例文と一緒に、言い回しを覚えこみ、自分の言葉として使いこなせるようにしておきましょう。

例文1「便宜を図ることを条件に」

「便宜を図ることを条件に」は、相手に対して何か都合が良かったり、好ましかったりすることを与えることを受け、何かが実行されるときに使われる言い方です。

【例文】
・学長に対する便宜を図ることを条件に、入学試験の内申点を加点してもらうことになった
・A社に対する便宜を図ることを条件に、A社からの仕入れが1割値引きされることになった

例文2「便宜を図る見返りとして」

「便宜を図る見返りとして」は、「便宜を図ることを条件に」と意味が似ています。相手に対して何か都合が良かったり、好ましかったりすることを与えるのと引き換えに、見返りを受けるときに使います。

【例文】
・学長に対して便宜を図る見返りとして、内申点への加点が約束されている
・A社に対して便宜を図る見返りとして、A社所有の保養所へ招待された

例文3「便宜を図るよう協力する」

「便宜を図るよう協力する」は、単に便宜を図るだけでなく、「協力する」という意図をもって便宜を図る場合に使います。

他者が相手に対して便宜を図るよう、自分が協力するというときにも使えます。

【例文】
・第二次世界大戦中は、武器調達などの面で枢軸国に便宜を図るよう協力してきた
・協会が選手のために便宜を図るよう協力してきた

[no_toc]

例文4「何かと便宜を図ってきた」

「何かと便宜を図ってきた」は、便宜を図るよう努めてきたことを表現しています。

1回便宜を図ったことがあるというのではなく、便宜を図るという行為を継続しているという意味があります。

【例文】
・彼のためには何かと便宜を図ってきた
・長い間、会社として党のために便宜を図ってきた成果だ

例文5「わざわざ便宜を図っていただき」

「わざわざ便宜を図っていただき」は、便宜を図ってもらった際にお礼を述べるときなどに使います。

「いただき」という謙譲語の形態なので、「わざわざ便宜を図っていただき」は目上の人に対して使う言葉になります。

【例文】
・先日は、わざわざ便宜を図っていただき、ありがとうございました。
・あの件については、鈴木さんに便宜を図っていただいたので、上手く進めることができた。

例文6「便宜的な処置をとる」

「便宜的」には、「その場において都合が良いようとりあえずのものごとの処置をすること」という意味があります。

「便宜的な処置をとる」は、「便宜を図って処置する」と言い換えることもできます。

【例文】
・今回の件については、熟慮の結果、便宜的な処置をとることに決定した。
・便宜的な処置をとるよう指示された。

例文7「便宜上」

「便宜上」には、「その方が都合が良いということ」という意味があります。「便宜上、〇〇する」という形式で使われることが多く、「都合が良いように〇〇する」と言い換えることもできます。

【例文】
・便宜上、この条件に基づき二つに分けて考える。
・便宜上、消費税は考慮せずに検討してみよう。

目上の人に使う際の注意点

「便宜を図る」という言葉は、政治家の汚職などのときによく使われることから、ネガティブなイメージを持っている人が多いので、注意して使う必要があります。

お礼などで「便宜を図っていただいて、有難うございます」と感謝を伝えようとしているにもかかわらず、相手の気持ちを害してしまう可能性もあります。

相手の人が言葉の意味を正しく理解しているという確証がない場合は、別の言葉に言い換えた方が無難です。

「便宜を図っていただいて有難うございます」

「便宜を図っていただいて、有難うございます」は、純粋に「便宜を図ってもらったこと」に対する感謝を伝えようとする言葉です。

しかし、相手が「便宜を図る」に対してネガティブなイメージを抱いている場合は、自分が悪いことに加担したかのような罪悪感を抱くことがあります。

後ろめたいことをやってやったような違和感

「便宜を図る」という言葉を誤解し、ネガティブなイメージを持っている人は、「便宜を図る」という行為を悪事だと認識しています。

「便宜を図る」を悪事だと誤解しているがゆえに、お礼を言われても、悪事に対してお礼を言われたような、妙な違和感を感じてしまいます。

「便宜を図る」の敬語表現

「便宜を図る」は、誤解して受け取られることがあるので、気を付けて使う必要があります。目上の人に使うときは、敬語表現にします。

「便宜を図る」を敬語表現にするには、まず「便宜」に接頭語の「ご」をつけて「ご便宜」にします。「図る」については、尊敬語の「お取り計らう」という表現に言い換えます。

その結果、尊敬語への言い換えは、「ご便宜お取り計らいくださりますよう」という、時代がかった言い回しになります。

「ご便宜お取り計らいくださいますよう」

「ご便宜お取り計らいくださいますよう」は、時代がかった言い回しになってしまい、あまり日常的に使うフレーズではありません。書面やスピーチの締めくくりなどでは、使われることもあります。

【例文】
・何卒、ご便宜お取り計らいくださいますようお願い申し上げます

自分の語彙力が心配な人におすすめ

他の人が当たり前のように使っているビジネスの言い回しが、自分はできていないのではないかと、不安に感じている人は、語彙力強化のビジネス本を手に取ってみましょう。

「できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方」では、大人だったら使えるべき、状況に応じたモノの言い方が紹介されています。

敬語が苦手だったり、言い換えが苦手な人は、本書から始めてみてはいかがでしょうか。

[no_toc]

「便宜を図る」の類語・言い換え表現

「便宜を図る」には、以下のような類語があります。「便宜を図る」を使っている状況に応じて、いずれかの類語で言い換えることができます。

・口利きする
・斡旋する
・仲介する
・特別な計らいをする
・特別扱いする

「口利きする」

「便宜を図る」を使っている場面が、何かの紹介を要する場合などは、「口利きする」という言葉で言い換えることができます。

「口利きする」には、「談判・相談などをまとめようと、あいだをとりもつこと」「仲介」「調停」「斡旋」といった意味があります。

【例文】
・請われれば口利きすることも可能だ
・叔母の口利きで就職先が決まった

「斡旋する」

「斡旋」は「口利き」の意味のひとつでもあり、「口利き」と同じように、何かの紹介を要する意味で使われている「便宜を図る」から言い換えることができます。

「斡旋」には、「交渉や商売などで、間にはいって、両方の者がうまくゆくように取りはからうこ」「物事を紹介し世話すること」といった意味があります。

【例文】
・請われれば斡旋することも可能だ
・叔母の斡旋で就職先が決まった

「仲介する」

「仲介」は「口利き」の意味のひとつでもあり、「口利き」と同じように、何かの紹介を要する意味で使われている「便宜を図る」から言い換えることができます。

「仲介」には、「両者の間にはいって、とりついだり、まとめたりすること」「なかだち」「斡旋」といった意味があります。

【例文】
・請われれば仲介することも可能だ
・叔母の仲介で就職先が決まった

「特別な計らいをする」

「便宜を図る」は、「特別な計らいをする」と言い換えることができます。「計らい」には、「判断」「取り扱い」「処置」という意味があります。

【例文】
・主催者の特別な計らいで、最前列の席が取れた
・社長の特別な計らいによって、左遷を免れた

「特別扱いする」

「便宜を図る」は、「特別扱いする」という言葉で言い換えることも可能です。「特別な計らい」の「計らい」にも「取り扱い」という意味があるので、使い方としては類似しています。

ただし、「図る」「計らい」に比べ「扱う」という直接的な表現になるので、「特別扱いする」と言い換えてしまうと、少し稚拙な文章になります。

【例文】
・主催者に特別扱いをしてもらい、最前列の席が取れた

「便宜を図る」の意味を理解して、正しく使おう

「便宜を図る」の意味や使い方は理解できたでしょうか。

「便宜を図る」のように、大人社会ではよく使われる言葉というのは、意味を聞くタイミングもなく、よく知らなくても放置してしまいがちです。

よく使われる言葉だからこそ、きちんと意味を理解し、適切な場面で使えるようにしておきましょう。

「取り計らう」の使い方を覚えよう

「便宜を図る」の敬語の中でも使われている、「取り計らう」という言葉の意味を、きちんと説明できるでしょうか。

「取り計らう」もビジネスの場などでは、よく使われる言葉です。意味や使い方を理解できていない人は、以下のリンク記事を参考に「取り計らう」についても確認しておきましょう。

「取り計らう」の敬語表現

[no_toc]

「お取り計らい」の使い方
モバイルバージョンを終了