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「来ますか」の敬語表現
その敬語の中で特に間違いが多いといわれているのが「来る」という動詞の敬語です。上司や目上の人に「今日来るのか」という質問をしたいときどのような使い方をすれば良いのでしょうか。一番スタンダードな「来ますか」という敬語を考えていきましょう。
「来ますか」の敬語での使い方
敬語の種類
「尊敬語」は相手を高めることで敬意を表す表現、「謙譲語」は自分を下げることで相手を高めて敬意を表す表現です。
また「丁寧語」は直接的な敬意ではなく、丁寧な言い方にすることで敬意を表す敬語です。
意味 | 例 | |
---|---|---|
尊敬語 | 目上の人を持ち上げる | いらっしゃる、来られる |
謙譲語 | 自分のことをへりくだる | 参る |
丁寧語 | 物事を丁寧に伝える | 来ます |
尊敬語
たとえば「来ますか」の尊敬語は、「いらっしゃいますか」「おいでになりますか」「来られますか」があります。「いらっしゃいますか」がもっとも強い敬意を示しており、「来られますか」になるにつれてカジュアルな敬語になります。
種類 | 例 | |
---|---|---|
特別な言葉 | いらっしゃる、召し上がる | 最も強い敬語の形 |
「お~になる」型 | おいでになる、お食べになる | 強い敬語の形 |
「~れる」「~られる」型 | 来られる、食べられる | 軽い敬語の形 |
謙譲語
動作をする人よりも、動作を受ける相手の立場が上である場合に用います。謙譲語は自分がへりくだる敬語表現で、自分を下げることで相手を立てたいときに使う敬語です。つまり、動作をする人、主語は自分であることが多いです。
種類 | 例 | |
---|---|---|
特別な言葉 | うかがう、お目にかかる | 最も強い敬語の形 |
「お~する」「ご~する」型 | お聞きする、お会いする | 特別な言葉よりは軽い敬語の形 |
丁寧語
相手に対して敬意を払うという点では上記の尊敬語や謙譲語と共通していますが、丁寧な言葉遣いをしたいときに使う改まった敬語です。「です」「ます」「ございます」を付けて使います。
「来ますか」という表現は特にこの丁寧語に当たり、「来るか」という言葉を丁寧にした表現です。
つまり、「来ますか」という表現は丁寧に表現されてはいるものの相手に対しての敬意を直接的に表現しているわけではないので、「来ますか」と聞かれると軽薄な印象をもってしまう人がいるのも事実です。
種類 | 例 | |
---|---|---|
「~です」 | そうです、こちらです | 主に名詞などにつけて丁寧さを加える |
「~ます」 | 来ます、食べます | 主に動詞などにつけて丁寧さを加える |
「~ございます」 | こちらでございます | 「~です」より丁寧な言い方 |
使い方
先ほども申し上げたように、敬語の中で「丁寧語」は丁寧に物事を表すことで相手に敬意を伝えるものですから、「尊敬語」「謙譲語」と違って直接的な敬意を表す言葉ではありません。
そのため、丁寧語だけでは強い敬意を示しているとはいえないため、親しい上司や同僚などに対しての私語など気軽な敬語として主に用いることができ、社外の人や部長・役員といった目上の人に対してはあまり用いないのが普通です。
≪例≫
・田中さん、今日の飲み会には来ますか?
≪NG例≫
・〇〇部長、明日の会議には来ますか?
「来ますか」は改まった場や、目上の上司には適さない敬語です。
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メールでの使い方
≪例≫
・昨日発注した備品はいつ来ますか。
・山田さん、会議に来ますか。
≪NG例≫
・〇〇社長、青山公園にて開催するイベントには来ますか。
「来ますか」は社外の人に使うのには適さない言葉です。
「来ますか」を敬語表現するときの例文
いつ来ますか
【相手が社外の人、または上司の場合】
・いついらっしゃいますか
・いつ来られますか
「いらっしゃる」より弱い敬語です。
【相手が親しい人の場合】
・いつ来ますか
このように使い分けが必要です。
来るか来ないかを聞く場合
【相手が社外の人、または上司の場合】
・このイベントには、いらっしゃいますか
・〇〇の会議には、来られますか
やはりここでも「いらっしゃる」より弱い敬語です。
また、「来ますか」ではなく、「出席しますか」「参加しますか」という聞き方もできます。
・〇〇にはご出席されますか?
・△△のイベントには参加されますか?
【相手が親しい人の場合】
・飲み会には来ますか
・イベントには参加しますか
・会議に出席しますか
何度も同じ敬語を使ってしまうと、相手に幼稚な印象を与えてしまうので、特にメールなどの文面を使うときには注意して言葉を選びましょう。
その場にいない相手に対しても敬語を使う
たとえば、社内の人と社外の人のアポイントについて話すときには「〇〇さん、××社の田中様は14:00にいらっしゃいますか」などとその場にいない相手に対しても適切な敬語を使う場面があります。
この時に「田中様は14:00に来ますか」という言い方をしてしまうと、その場にいなくても失礼にあたり、部長や周りの社員に「適切な敬語が使えない」という印象を与えてしまう可能性があります。
その場にいる相手ではなくても、目上の人であれば適切な敬語を使うということを念頭に置いて、言葉を選ぶと印象が良くなります。
「来ますか」の別の敬語表現例
いらっしゃいますか
また、持ち上げるべき相手が二人いる場合や、手紙の文言に他の人物が出てきてしまう場合などは、位の高い人の方に「いらっしゃる」低い人の方に「おいでになる」「来られる」を使うと、敬語に対して意識が高いと感じてもらえるでしょう。
ここで社外の方、取引先の方に「来ますか」という言葉を使ってしまうと、とても軽薄な印象を与えてしまいますので注意してください。
おいでになりますか
「いらっしゃる」という言葉を使うほどの場面でもないときや、プライベートにおいて年上の方やご年配の方と話すときなどに使うとより効果的です。
プライベートなシーンにおいて「来ますか」と言ってしまいがちですが、その言葉を「おいでになりますか」に置き換えるだけでぐっと上品な言葉遣いになります。
丁寧語の「来ますか」
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・プライベートでの付き合いはあまりない同僚に対して
「今度の日曜日の懇親会に来ますか?」
・仲の良い親戚などの親しい目上の人に対して
「今度〇〇さんの家でやるホームパーティーには来ますか?」
また、「来ますか」の言い方を変えるだけで柔らかな言い方になることも多いです。たとえば、「ホームパーティーには来ますか?」を「ホームパーティーに来ませんか?」に直すだけで積極的に誘っている様子が見えます。
「来ますか」も丁寧な表現ですが、より柔らかな言い方を、その場面に合わせて使えるとより親密になれるでしょう。
その場にあった言葉を使いましょう
敬意を表現したい相手がどのくらい目上なのか、内容がどれほど公式なのか、その強さによって「来ますか」「来られますか」「おいでになりますか」「いらっしゃいますか」と使い分けてみましょう。
一番大事なのは、敬語を使おうとする姿勢です。完璧な敬語でなくとも敬意を表したいということが相手に伝わるように積極的に敬語を使っていくことが大切です。