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「お伝えする」の使い方と例文・敬語の種類・別の敬語表現

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敬語でよく使われる「お伝えする」の意味とは?

「伝える」という単語の元々の意味は、「(誰に)〜について知らせる」です。そして、「お伝えする」という言葉は、「伝える」の動詞の謙譲語です。

「謙譲語」は、自分が下にへりくだることで、相手を立てたい場合に使われる敬語で、謙遜の意を表しています。一方「尊敬語」は、謙譲語のように自分を下に置くことなく、高めるべき相手に使われる敬語で、その名前のとおり、相手を敬う気持ちを表しています。

以上のことから、「お伝えする」は、へりくだって伝聞があることを知らせたい場合に使われる謙遜した敬語表現です。

敬語の「お伝えする」の使い方は?

「〜をお伝えします」という敬語表現をよく耳にします。「社長にお伝えします」「鈴木様が来訪されたこと、お伝えしておきます」「〜の件についてお伝えしました」など、普段からさまざまなシーンで使われています。

この「お伝えする」は、伝え先を立てたい時に用いられます。もっと分かりやすく言うと、伝える相手が目上の人の場合に「お伝えする」と表現します。

この「お伝えする」の正しい使い方について詳しくご説明する前に、まずは敬語表現について簡単にご説明します。

敬語の種類は全部で4つに分類されます

敬語は大きく分けて、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類に分類されます。

前述しましたが、敬うべき相手・高めるべき相手に尊敬の意を表して表現するのが尊敬語で、自分を下に下げることによって相手を立てる敬語は謙譲語となります。そして、文の末尾に「です」や「ます」がついたものが丁寧語です。

尊敬語は主に目上の方に対して使われます。謙譲語は目上の人だけでなく、立てるべき相手じゃない場合にも使うことができます。

相手が立てるべき人でない場合、尊敬語だと不自然に感じますが、謙譲語を使って自分をへりくだる表現をすると、間接的に相手を立てることになり、不自然さが消えます。

そして謙譲語は、「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ」に分類されます。ですので、「尊敬語」「丁寧語」と合わせて、実質的に4つに分けられます。それでは、謙譲語ⅠとⅡについて以下でご説明しましょう。

謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの違いは?

謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱはどちらも自分がへりくだった敬語ではありますが、両者は性質が異なります。謙譲語Ⅰは行為や動作が「向かう先」を立てたい場合に、謙譲語Ⅱは自分や身内の話をする際や「聞き手(読み手)」を立てたい場合に使われます。

たとえば、「来週、お医者さまのところへ行きます」を謙譲語で表現したい場合、「お医者さまのところへ参ります」となります。これは「お医者さま」が敬うべき相手になるので、この場合の「参ります」は謙譲語Ⅰです。

一方、「息子が来ました」を謙譲語を使って敬語で表現したい場合、「息子が参りました」となり、この場合の「参りました」は謙譲語Ⅱとなります。前述したように、身内の話を敬語で表現するのは謙譲語Ⅱです。「息子」は身内の人間なので、この場合の「参ります」は謙譲語Ⅱとなります。

「お伝えする」の使い方のポイント

「お伝えする」と敬語で表現したい場合、ポイントは「(誰から)誰に伝えるのか」という点を意識すれば分かりやすいです。

「お伝えする」という敬語は、謙譲語Ⅰに分類されます。謙譲語Ⅰは「向かう先(=相手)」を立てたい場合に用いられ、分かりやすく言うと「目上の人」に向けて使われます。逆の言い方をすると、謙譲語Ⅰは目下の人や同等の人(=身内など)に対しては使いません。

たとえば「お客さまに変更点をお伝えする」「先生にお伝えする」が例文として挙げられますが、「お客さま」「先生」などの敬うべき相手、立てるべき相手がいる場合に、謙譲語Ⅰの「お伝えする」が使われます。

ですが、「息子にお伝えする」「家内にお伝えする」など、「息子」や「家内」は身内です。身内は目下(同等)扱いになります。このような場合には「お伝えする」ではなく「申し伝える」を用います。(詳しくは後述します)

社内ではどのように「お伝えする」を使う?

社内などのビジネスシーンではどうでしょうか。ポイントは「(誰からの話を)誰へ伝えるのか」「伝え先は身内(=自分側)か外か」です。誰を立てるべきなのかに注目すれば分かりやすいです。

伝える先が立てるべき相手、つまり目上の方なら「お伝えします」を、伝える先が目下もしくは同等なら「申し伝えます」という敬語を使います。

それでは、前述でも出てきた「申し伝える」について、以下で詳しくご説明します。

「お伝えする」の別の敬語表現「申し伝える」

「お伝えする」は「〜について知らせる」という意味の謙譲語になりますが、もうひとつの表現として「申し伝える」があります。

「お伝えする」は謙譲語Ⅰになるのに対し、「申し伝える」は謙譲語Ⅱに分類されます。これらの使い分けの簡単な覚え方として「伝え先が目上かどうか」で判断してください。

謙譲語Ⅰは、前述したように、目上の方に対して使われますので、伝え先が自分より目上の方(=立てるべき相手)なら「お伝えする」を用います。逆に、伝え先が目下の人もしくは同等の人ならば「申し伝える」を使います。

伝え先が目下の人なら「申し伝えます」!

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たとえば、お客さまからあなたの部下へ伝言があったとしましょう。「この前契約した内容について確認したいので、担当の○○さんに伝えといてちょうだい」とお客さまから言われた場合、あなたがすべき返事は「はい、〇〇に申し伝えます」です。

これは伝え先が「〇〇さん(部下)」で、あなたと同じ会社の人間です。たとえ上司や社長など目上の人であっても、同じ会社の人間は「身内」と同じように扱います。伝え先が部下で「お客さま」より目下になるので、謙譲語Ⅱの「申し伝える」が正しい敬語です。

その他にも、社長から「〇〇くんて君の後輩だったよね。前回の企画を練り直すよう伝えといてくれないか」と言われた場合、「はい、〇〇に申し伝えます」が正しい謙譲語の使い方になります。これも同様に、伝え先が後輩の「〇〇くん」で「社長」よりも目下となるため、謙譲語Ⅱの「申し伝える」を用います。

シーン別「お伝えする」の例文

それでは実際によく使われている「お伝えする」について、ビジネスシーンでの例文をご紹介します。

ビジネスシーンにおいても使われ方は同じです。伝え先が「立てるべき相手、目上の人」なら「お伝えする」、伝え先が「目下もしくは同等、身内」なら「申し伝える」となります。

これらのポイントに注意して、以下の3つの例をご覧ください。

取引先から上司へ

取引先からあなたの上司へ、伝言を受けたとします。この場合は「はい、上司の○○に申し伝えます」が正しい敬語表現となります。

立てるべき相手について考えみたら分かりやすいです。この場合、伝え先である「上司」は「同等、身内」になりますので、謙譲語Ⅱの「申し伝える」を用います。

「上司」は目上の人ではありますが、同じ会社で働く仲間ですので「同等、身内」という扱いです。「お伝えします」は上述したように謙譲語Ⅰなので、「上司の○○にお伝えします」を取引先の前で使ってしまうと、「上司」を立ててる言い方になってしまい、間接的に「取引先」を下げてることになります。

以上のことから、このケースで立てないといけないのは「取引先」ですので、伝え先の「上司」を立てるのではなく、「取引先」を立てるために「申し伝えます」を用います。

先輩(平社員)から本社の部長へ

では、先輩から本社の部長への伝言があった場合は、どのような敬語を使ったらいいのでしょうか。「伝える先=部長」が一番目上の人(たてるべき相手)になるので、「お伝えする」が正しい敬語表現になります。

まずは、誰を立てるのかを考えてみましょう。「先輩」も「部長」もあなたより目上の人になりますが、「先輩」と「部長」を比べてみると「部長」のほうがより目上です。つまり、一番に立てなくてはならないのが「部長」です。

このケースで「部長へ申し伝えます」を使うと、「部長」より目下の「先輩」を立てることになり、間接的に部長を下げてしまう表現となってしまいます。「部長」を一番に高めたいので「お伝えします」を使いましょう。

自分の会社からお客様へ

最後に会社側からお客様へ伝聞がある場合です。

この場合も、誰を一番に立てるべきなのかについて考えてみますと、伝え先である「お客さま」を一番に立てなくてはなりません。伝える先を立てたい場合は「お伝えする」を用いますので、このケースも「お伝えする」が正解です。

「規約の変更内容をお客様へ申し伝えます」などと言ってしまうと、立てるべきお客さまを下げてる発言となってしまいますので、誰を一番に立てなくはいけないのか注意して下さい。

伝える先が誰なのかによってきちんと使い分けよう!

「お伝えする」は「伝える」の謙譲語です。

謙譲語とは、自分を下に置いて相手を間接的に立てる敬語です。謙譲語には「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ」に分類され、「お伝えする」は謙譲語Ⅰ、謙譲語Ⅱでは「申し伝える」と表現されます。

これらの使い分けは、伝え先が目上の人の場合は謙譲語Ⅰの「お伝えします」を、伝え先が目下(もしくは同等、身内)の人の場合には謙譲語Ⅱの「申し伝えます」を用います。なので、伝え先が目上なのか目下なのかに着目して、正しく使い分けるようにしましょう。

「お伝えします」はビジネスシーンでよく使われる敬語表現です。取引先の方や上司、お客さまなどが不快な思いをすることがないように、しっかりと使い分けするよう意識しましょう。

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