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「ぐらい」の敬語表現
ですのでまず敬語表現についての説明より先に「ぐらい」の語句の特徴などについて見ていきましょう。
さてこの「ぐらい」についての意味や性質ですが、日本語特有の性質を持っています。独特の特徴を持っているために、使いどころを誤ると誤解を招いたり、失礼にあたる恐れも出てきます。次項ではこの「ぐらい」の言葉の特徴と、この言葉を用いるメリットとデメリットについて説明します。
特徴
この特徴によりメリット、デメリットも分かれる面があるため、「ぐらい」の敬語表現を知識として知るよりも、この言葉を使っても良いかどうかの判断力も問われることになり、「ぐらい」という言葉そのものが使いどころの難しい言葉だと言えます。
次項では「ぐらい」の特徴と、メリット、デメリットについて掘り下げていきます。
メリット
このような表現に現れるあいまいな表現は、断定しないことで責任をグレーゾーンにし、場の責任感を全員で共有していこうとする一種のチームワークとして日本の製造業や中小企業で良い方向に機能していた背景があります。この考え方は組織内での横断的なコミュニケーションの一助となる面もあり、視点を変えれば曖昧さも組織や集団の強みにつながる面も再認識できます。
デメリット
また目上の人に対しての言葉としては失礼にあたり、たとえ敬語表現を用いても意味はありません。もちろんビジネス上の約束事でもふさわしくない言葉となります。
「ぐらい」の敬語での使い方
敬語の種類
本題の「ぐらい」の敬語表現の種類ですが、この言葉には上記で説明した敬語表現はありません。つまりどの種類の敬語の用法も使えないということです。では「ぐらい」は敬語で使用できないのかというと、厳密にはありませんが、敬語表現に近づけることは可能です。ここからは「ぐらい」の敬語としての使い方を基本的な使い方と、メールでの使い方について説明します。
使い方
多くの場合、「どれぐらい」といった意味合いでは「いかほど」と使われます。また他の敬語表現と組み合わせて使用することで、より敬語表現としても違和感のないものとなります。
ただし、ビジネス敬語として認知されていたとしても正式な文書や、形に残る契約書などには不向きです。あくまで会話時のコミュニケーションに使用することが「ぐらい」の語句の限界とも言えるので、状況に応じて使っていきましょう。
メールでの使い方
以上の点を踏まえての「ぐらい」の敬語としての使い方は、まずメールの送り先の立場を考慮した上で正しい敬語表現に則った文章を心がけます。そして「ぐらい」の箇所を「ほど」に変換しますが、この言葉自体あいまいな意味合いになってしまうので、仕事上でのメールでは「ぐらい」の頻度を下げた内容にしたほうが誤解も少なくなります。
「ぐらい」にはあいまいさと同時に微妙なニュアンスも含まれるため、メールの送り主と受信者の間で見解にあらかじめずれが生じるおそれがある場合には、「ぐらい」の語句をできるだけ使わないことも判断の一つです。
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「ぐらい」を敬語表現するときの例文
何時ごろ
例A「到着は何時頃になるでしょうか?」B「8時ぐらいになります。」
「ぐらい」の敬語表現はビジネス敬語では「ほど」になると説明しましたが、時間に関係する文脈では「ほど」は使わないで、そのまま「ぐらい」を使用します。
文書や文面の表現では文法的に違和感がありほとんど使用されませんが、口語でのコミュニケーションではAさんの質問内容の「何時ごろ」に「8時くらい」の部分が対応し、おおよその質問に対しておおよその内容で応対しているので、会話の内容としては成立しています。
何時に
例 A「到着は何時になるでしょうか?」B「8時ぐらいになります。」
上記の「何時頃に」も例文とほぼ同じで、意味は通りそうな印象も受けますが、Aさんが「何時に」と正確な時間を訪ねているのに対してBさんは「8時ぐらい」とややあいまいに答えている印象を受けます。
例文では時間に関する文章のみを用いているのであまり違和感はありませんが、試験開始時間や就業開始時間などの質問に対しては、あいまいな答えではかえって失礼にあたります。つまりこの例文は悪い例です。
二つの例文ともに厳密な意味での敬語表現としては、どちらも正しいとは言えませんが、前者は聞かれていることに対して不備なく答えているため、ビジネスマナーとしても及第点ですが、後者はやはり不親切もしくは不誠実な印象を与えかねません。正解がない場合、より適した回答を心がけましょう。
どの程度
例 A「水はどの程度用意しましょうか?」B「3リットルほどで十分です。」
ここでの「どの程度」は数量に関する事を指します。上記の例文ではAさんは「程度」という言葉で質問しています。この単語も「ぐらい」と同様にリットルやバケツ何杯分といった単位を限定せずに、Bさんの示す単位に委ねています。
これに対してBさんは「3リットルほど」と自分の判断でリットルの単位を用いて、さらに「ぐらい」の部分をビジネス敬語である「ほど」に変化させて答えています。
この例文の会話はあいまいさを含んだ質問に対して、あいまいさを持つ意味合いで回答しており、またビジネス敬語を活用した良い例と言えます。ただし、上記の例文では何に対して水が必要なのかが抜け落ちているので、実際に「ほど」を用いる際には状況から類推して回答することもおさえておきましょう。
「ぐらい」の別の敬語表現
敬語表現は正しい用法があれば、それを正解として覚えて使いこなせばよいのですが、正解がない場合は知識として覚えることができません。そのため「ぐらい」の敬語表現の知識はここまでとなりますが、「何時頃」と「何時位」、また「いかほど」と「どの程度」といった同じ意味でも実際に異なる意味があるのか考えてみましょう。参考としてご覧ください。
「何時頃」と「何時位」の違いって?
「どれくらい」と「どのくらい」の違いは?
ただ日常的に使用する上ではほとんど同じ言葉なので、どちらがよりふさわしい語句だと判断する場面はありません。