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今回はその中でも「与える」の敬語について正しい表現法を紹介します。記事を読むことで、「与える」の敬語について正しい知識が身に付くでしょう。
「与える」は「自分のものを相手に渡す」というのが一般的な意味ですが、とくに尊敬語と謙譲語で表現がガラッと変わるため、正しく使わないと相手に対して失礼な印象を与えてしまう可能性があります。
使用する場面にあった適切な言葉をしっかり選び、社会人として恥ずかしくない会話が出来るようにぜひ参考にしてください。
「与える」の敬語の意味
自分から見て立場が上の人でも下の人でも、相手に感謝する場合には敬語を用いて表現することは社会人として当たり前のマナーです。
伝えたい感謝の気持ちも、言葉遣いひとつで台無しになってしまう恐れがあります。使用方法を間違えないように注意しましょう。
「与える」の敬語の使い方・例文
与えるの尊敬語は「お与えになる」「与えられる」です。過去形で使用する場合は「お与えになった」「与えられた」が適切な表現となります。また、場面によっては「くださる」という丁寧語も、与えるの敬語表現として使用可能です。
与えるの敬語表現は目上の方が自分もしくは第三者に対して、何かを渡したり行動を起こした時に使用します。自分に対して、つまり謙譲語として上記のような表現を使うことはできないので注意しましょう。
プレゼンテーション・講演の場合
- 過去の開発実績がこのプロジェクトへの道を与えてくださりました
自分ではない誰かの実績や支援に感謝を込めて組み込むと、話し手側の印象もよくなります。こうした場では「与える」という言葉を積極的に使っていくと良いでしょう。
親しい人に物を渡された場合
- 出張のお土産をくださりました。
また、自分以外の第三者へ物を渡していた場合は「お与えになる」でも間違いはありませんが、この表現は人間対人間で使うと上限関係があまりに開いている印象を与えます。
- 部長が懇親会を開いてくださります。
広告文や説明書に用いる場合
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- 餌を与えられる際は、必ず手袋を着用ください
- 水は定期的にお与えになると成長が早まります
品物や植物、動物などを通して目上の方(お客様)に丁寧に伝えたい時には、「与えられる」「お与えになる」を使うと、失礼のない表現となります。
「与える」の敬語の注意点
ありがちなのは「二重敬語」と「ら抜き言葉」です。特に二重敬語は、より丁寧さを考えて使用する人が多いのですが、敬語プラス敬語となってとてもくどい表現となり逆に失礼となってしまう場合があります。
こうした注意点についてひとつずつ詳しくご紹介します。
二重敬語に注意する
- 「お~になる」+「れる/られる」
- 尊敬語+「させていただく」
例として尊敬語で「お与えになられました」は二重敬語になります。「お与えになる」と「られる」が該当するのでこの場合は「お与えになりました」が正しい使い方です。
また謙譲語の際に「差し上げさせていただく」も「差し上げる」と「いただく」の二重敬語になっています。この場合は「差し上げる」が正しい使い方です。
不用意に敬語を足しすぎて、二重敬語にならないよう注意しましょう。
ら抜き言葉に注意する
今やら抜き言葉の意味自体がわからず、一般的に使われがちですが、ビジネスシーンなどでは正しい表現を使うことが求められます。
「与える」の場合だと「与えれた」は「与えられた」が正しくなり、実際文面に表してみると「ら」が無いだけでだらしない印象になりますので注意しましょう。
「与える」の敬語の言い換え表現
普段からその場にふさわしい表現を使用できるように覚えておくと、いざというシーンで役に立ちます。ここでは「与える」の言い換え表現として使われる敬語の一例をご紹介します。
「贈呈する」「進呈する」
両者の意味は「人に物を差し上げる」という意味で違いはありませんが、贈呈は目上の人から目下の人、または同率の立場の相手に対して使われる場合が多くなっています。
・この功績を称え、花束を贈呈します。
例文としてはこのような使い方になります。
一方「進呈」は目下の人から目上の人に対して使われる場合が多い言葉です。
・ご来場者様には、粗品を進呈致します。
例文としてはこのような使い方になります。
同じ意味でも、言葉によって対する相手が変化するので使う場合は注意しましょう。
「献上する」「献呈する」
献上は自分よりも地位の高い相手に対して、ものを差し上げる際に使われます。高いといっても上司など身近なレベルではなく、天皇陛下や総理大臣など、はるかにかけ離れた相手を指します。
- こちらは天皇陛下に献上された品です。
一方献呈は、本や作曲などの作品を相手に与える時につかる謙譲語です。
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- この本は有名な作家が父に献呈したものだった。
献呈は話し言葉としてはあまり使われることはなく、説明などを表す時によく用いられます。
「与える」の敬語の尊敬表現
代表的な言葉が「くださる」「賜る」などですが、これらの言葉もその状況によって使い分けることが大切です。
では具体的にどういう場面でどういった使い方をされているのか、例文を交えてご紹介します。
目上の人からものを「いただく」
こうした場合は「くださる」や「いただく」といった言葉を用いると自然な表現になります。
- 社長から嬉しいお言葉をいただきました。
- 部長が出張のお土産を買ってきてくださるそうです。
与えられるも、もちろん間違いではありませんが人対人の時にはあまり適切とはいえません。
目上の人が動植物にものを「与えられる」
- 餌を与えられるさいは近づきすぎないようご注意ください
説明や注意喚起などに組み込まれると「与えられる」「お与えになる」も自然な敬語として使用することができます。
ビジネスレターやスピーチを「賜る」
- 今後ともご指導受け賜りますようお願い致します。
ただし、賜るは格式ばった表現のため、普段の仕事上などで上司に多用すると少々嫌味な印象も与えかねないので注意しましょう。
「与える」の敬語の謙譲表現
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- 先日旅行にいきましたので、こちら差し上げます
- 謝罪させて頂きたくメールを差し上げております
ただし、時に差し上げるは上から目線に取られる場合もあります。たとえば取引先などに「後ほどご連絡差し上げます」が「ご連絡を与えます」という意味ともイコールになるため、この場合は「ご連絡いたします」に言い換えたほうが適切と言えます。
「与える」の敬語の使い方を知ろう
尊敬語・丁寧語・謙譲語の違いをしっかりと理解し、それぞれに当てはまる「与える」の適切な言葉を使えると印象アップにも繋がります。
逆に間違えた使い方をしていると恥をかいてしまう恐れがあるため今一度、使用場面、使用する相手を考えた敬語の使い方を再確認しておきましょう。