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「お金をもらう」の敬語表現は?
今回「お金をもらう」という言葉の敬語表現について説明していきます。
「もらう」とは?
もらう:他動詞
①他人の好意・親切による行為を受ける。
②他人の物事を引き受ける。
です。
②の意味で使われるのは、例えば「その喧嘩、俺がもらおう」といったときに使われます。ですので、「お金をもらう」の「もらう」は①の意味で使われています。
この「もらう」には物やお金の授受だけでなく、例えば「身柄をもらい受ける」「嫁をもらう」のように使われることもあり、この場合「頼んで引き受ける」というニュアンスを含みます。
また、動詞の連用形に助詞「て」+「もらう」で、「お前に行ってもらおう」「うんと勉強してもらおう」のように、相手の行為を依頼または期待して、それによって自分が利益を受ける意味で使われることがあります。
「お金をもらう」の敬語表現は?
「お金をもらう」を敬語にする場合、「お金」と「もらう」の両方、もしくはどちらか一方を敬語表現にします。両方にするか、いずれかにするかは、その時と場合によります。
敬語表現は大きく「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分類されます。ですのでまず、この3つの分類で、「お金をもらう」の敬語表現について説明します。
「お金をもらう」の尊敬語は?
まず、尊敬語とは相手の動作や持ち物など、相手に関わる物事について述べるときに使われます。つまり、主語は相手です。
例えば、「お客様がいらっしゃいます」という文は、主語がお客様、述語が「来る」の尊敬語である「いらっしゃる」という成り立ちです。
文章を尊敬語にする場合、「お~になる」「お~られる」や「お~くださる」とします。
「お金をもらう」は主体が自分ですので、そのままの意味で尊敬語にすることはできません。「お金をもらう」を相手主体にして言い換えると「お金を受け取る」になります。「お金を受け取る」を尊敬語にすると、「お金をお受け取りになる」「お金をお納めになる」となります。
例文:
「上司はお金をお受け取りになりました」
「○○部長はお金をお納めになりました」
「お金をもらう」の謙譲語は?
例えば「私が伺います」という文章であれば、主語は「私」になっており、「尋ねる」ことを謙譲語にした言い方が「伺う」ですので、この文章は謙譲表現になっています。
「お金をもらう」ことを謙譲語にするとどうなるでしょう。「もらう」の主体は自分ですので、「お金をもらう」は謙譲語にすることができます。「もらう」の謙譲表現は「頂く」「頂戴する」ですので、「お金を頂く」「お金を頂戴する」となります。
例文:
「私はお金をいただきました」
「私は○○部長よりお金を頂戴しました」
「お金をもらう」の丁寧語は?
ですので、「お金をもらう」を丁寧語にすると、「お金をもらいます」「お金をもらいました」となります。
例文:「私はお金をもらいます」「先日私はお金をもらいました」
「お金をもらう」の敬語での使い方は?
「お金をもらう」の敬語の種類は?
「お金をもらう」の尊敬語:「お金をお受け取りになる」「お金をお納めになる」
「お金をもらう」の謙譲語:「お金を頂く」「お金を頂戴する」
「お金をもらう」の丁寧語:「お金をもらいます」「お金をもらいました」
「お金をもらう」は3種類の敬語のいずれにも変換することができます。
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「お金をもらう」の敬語の使い方は?
会社内で自分がお金をもらった時は、「私はお金を頂きました」となります。
例えば、スーパーマーケットで買い物をしたとしましょう。レジにいってお会計をするとき、レジ係の人は「○○円頂戴いたします」ということがあります。
会社内で目上の人や上司が「お金をもらう」時はどうでしょう。「〇〇部長はお金をお受け取りになりました」という表現ができます。
最後に「お納めになる」という表現は、日常生活ではあまり使われませんが、「ささやかですが、お納めください」のように使うことがあります。
「お金をもらう」の敬語のメールでの使い方は?
「お金」を敬語にすると、「お心遣い」となります。これをメールでつかうと次のようになります。
例文:
「お心遣いをいただき、感謝いたします」
「お心遣いをいただき、ありがとうございます」
「お心遣いをいただき、恐縮です」
「お心遣いをいただきました」
「お心遣いを賜りありがとうございます」
このように、メールではお金をいただいたことに対するお礼である場合が多いでしょうから、「お心遣いいただき」のあとに、感謝の言葉が続きます。
最後の「賜る」は「たまわる」と読み、もらうの謙譲語となり、いただくよりさらに丁寧でかしこまった表現ですので、会話で使われるより、メールで使います。
「お金をもらう」を敬語表現するときの例文
「お金をもらう」の敬語表現を使った例文
例文:
(出産祝いのお礼文):「この度は、家内の出産につきまして、お心遣いをいただきまことにありがとうございます。出産も無事おわり、母体も子も健康そのものでございます。」
(引越しの歳の見舞金のお礼):「引越しの際には、お厚い心遣いをいただき感謝申し上げます。おかげさまで引越しも無事終わり、部屋の方も片付いてきたところです。」
(結婚祝いのお礼):「先日は、挙式、披露宴に足をお運びくださり、家族ともども大変嬉しく思っております。お心遣いまでいただき、本当にありがとうございます。」
このように、ご祝儀のお礼などには、「お心遣い」という敬語を使って表現するのが好ましいでしょう。
「お金をもらう」の別の敬語表現例
「ご厚志」の使い方は?
ビジネスシーンでは、「ご厚志」は親睦会や歓送迎会などで、主賓や上司が包むお金のことをいいます。主賓は会費をだしませんので、代わりに気持ちとしてお金を包むことがあります。また、上司が人より多くお金を包むこともあります。こういった気持ちに敬意を払い「ご厚志」と表現します。
なお、「ご厚志」を頂いた際には、ありがたく受け取り、「ご厚志」を頂いたことを会の参加者に報告するのがマナーです。
例文:「本日は○○部長よりご厚志をいただきましたので、ここにご報告させていただきます。」
「ご芳志」の使い方は?
例文:「本日は○○様よりご芳志を賜り、大変恐縮でございます。参加者一同、感謝申し上げます。」
「寸志」の使い方は?
先にも出てきたように、会社などの歓送迎会や親睦会などで、お金を包む時に使います。ただし、「寸志」は目上の人から目下の人に使われる言葉ですので、上司が会費を多く包むときに、のし袋などに「寸志」と書き、受け取った幹事はそのお金を「ご厚志/ご芳志」として受け取ります。
このとき、「寸志」は目上の人から目下の人に対して感謝や労いの気持ちをもって使われます。
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「お金をもらう」の敬語表現はどれがいい?
日常生活で「お金をもらう」ことがあった場合は、「もらう」を敬語表現にして、「お金を頂いた」とするのが、いいでしょう。また、ご祝儀などの特別な気持ちのこもったお金に関しては、「お金」も敬語に直して「お心遣い」と表現するのが好ましいでしょう。
会社内では、「お金」を敬語にすると、「ご厚志」「ご芳志」「寸志」と特別な言い方がありますので、それらを使いましょう。「お金をもらう」というのは、少々デリケートな部分がありますので、もらったらしっかりお礼を伝えることが大事です。敬語を上手に使うことができれば、お礼を言う時に迷うこともないので、確実に覚えていきましょう。