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「してもいいですか」の敬語表現
仕事をしているときや、誰かと共同で何かしなくてはいけないときなどに、「自分の判断でやって良いことなのか分からないこと」が出てくることはよくあります。そんなときには、誰かに「〜してもいいですか」と訊きたくなることでしょう。
しかし、この「してもいいですか」というフレーズは敬語の表現なのでしょうか。もしそうでないなら、どう尋ねるのが正しいのでしょう。この記事では「してもいいですか」の敬語での表現について詳しくご紹介していきます。
丁寧語では?
「してもいいですか」という表現は、一見すると敬語のようですが、実は敬語の表現としては不十分な表現です。「してもいいですか」は「してもいいか」を敬語にしようとした形ですが、「してもいいか」を敬語にする場合には、「してもいいか」の「か」の部分だけでなく、「いい」という部分も敬語にするべきでしょう。
ですので、敬語の一番基本的な形である、丁寧語での「してもいいか」の表現は、「してもよろしいですか」になります。ただし、この「してもよろしいですか」という表現でも十分使える表現ではありますが、「ですか」という表現が少しきつい印象を与える場合があります。
より柔らかな良い表現をしたい場合には、「してもよろしいでしょうか」を使うのが良いと言えるでしょう。
謙譲語では?
敬語の中でも謙譲語で「してもいいですか」とき訊きたい場合には、「させていただいてもよろしいでしょうか」という表現があります。「してもいいですか」の「しても」の部分を、「自分がする」と捉えるのではなく、「自分がやらせてもらう」と捉えることで、「させていただく」と表現している例です。
「してもいいですか」の敬語での使い方
それでは「してもいいですか」の敬語での使い方について、より詳しく見ていきましょう。
敬語の種類
「してもいいですか」の敬語の表現について見ていく前に、敬語の種類についておさらいしておきましょう。敬語の種類を抑えていると「してもいいですか」だけでなく、他の言葉の敬語表現について知りたくなったときにも役に立ちます。
丁寧語
丁寧語は「誰に対しても失礼なく使うことができる、単に丁寧な言葉遣い」のことです。敬語の基礎と呼べるでしょう。美化語(お茶の「お」やご馳走の「ご」など、言葉の前について、その言葉を丁寧にする言葉)や、「ですます調」などが丁寧語の例に挙げられます。
どこでも誰に対しても使える言葉なので、敬語の種類の中でも、非常に使う頻度の高い言葉遣いと言えるでしょう。
謙譲語
謙譲語は「自分や自分に関わる事や物、人、動作に対してあえてへりくだっていう言葉遣い」です。「へりくだる」とは「自分の立場を低く見せること」ですので、「自分の立場を低く見せることで、相手のいる立場を高く捉えている姿勢をとり、敬意を示す言葉遣い」と言い換えることができます。
「いただく」や「存ずる」といった言葉遣いが、謙譲語の例として挙げられます。自分の立場を低く見せる言葉遣いなので、目下の人や同じ立場の人には使いません。また目上の人に関わることに使ってしまうと、失礼にあたりますので注意が必要です。あくまで「自分のことを述べるときに使う言葉遣い」と覚えておきましょう。
尊敬語
尊敬語は「目上の人やその人に関わる事や物、人、動作について語るときに使う言葉遣い」のことです。ここでいう目上の人というのは、ビジネスシーンなら「お客様」や「上司」、「取引先の方」などがあたります。そのとき最も敬意を示したい相手に使う言葉遣いです。「お納めになる」や「お思いになる」などが尊敬語の例に挙げられます。
敬語での「してもいいですか」の基本的な使い方
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「してもいいですか」は「自分がその行為をすることが許されるか」と許可をとる言葉です。敬語の種類を見てみると、「自分のする行為」に対して使える言葉遣いは、丁寧語と謙譲語のみです。ですので、「してもいいですか」は丁寧語と謙譲語のどちらかで表現します。
また、「許可を取る言葉」なので、「これがしたいと思っているけれど、やっていいことかどうか分からない」というときや、「これをしたいけど、これに関わる人はこれをして問題がないか確認したい」というときに使います。
上記で紹介したように、「してもよろしいですか」や「させていただいてもよろしいでしょうか」のような形で使うことができますが、どちらも使うときに注意が必要です。次の項からそれぞれの注意点について見ていきましょう。
「してもよろしいですか」の注意点
「してもよろしいですか」という表現は、上記で説明したときにも少し触れた通り、「ですか」という表現が少しあたりのきつい表現に感じられる方もいます。したがって、お客様や取引先の方など、絶対に失礼がないようにしたい人に対しては、「してもよろしいですか」ではなく「してもよろしいでしょうか」と尋ねるのがベターです。
どう訊こうか悩んでしまう時には、「してもよろしいでしょうか」を使うのが無難であるといえます。
「させていただいてもよろしいでしょうか」の注意点
「させていただいてもよろしいでしょうか」という表現は、謙譲語でとても丁寧な表現ですが、多用しすぎるとかえって失礼な言葉遣いです。
例えば、取引先の方がきたときに、わざわざ誰かに「お茶を出させていただいてもよろしいでしょうか」とは尋ねません。これは「招いた人にお茶をだす」という行為は、ほとんど当たり前の行為だからです。このように、「訊かなくても分かるようなこと」にまでいちいち、「させていただいてもよろしいでしょうか」を使うと、失礼にあたります。
ですので、「させていただいてもよろしいでしょうか」を使うときには、「訊かないと本当に分からないこと」に対して使うようにしましょう。会議の時間の変更がきくか上司に訊きたいときや、会社に関わる大事な決断をするときなど、ここぞというときに使うのが良いといえます。
メールでの使い方
「してもいいですか」という言葉は、誰かに「それをしていいかどうか」の許可をもらうときに使う言葉です。したがって、メールの中でも「こういう風に物事を進めていいかどうか訊きたい」というときに使える表現です。メールでも、丁寧語では「してもよろしいですか」、謙譲語では「させていただいてもよろしいでしょうか」と書き表しましょう。
また、「許可をもらう」表現なので、一つのメールの中あまり多くのことについて尋ねることは避けるべきです。「してもいいですか」を多用すると、「なにに対してのどうしたいのか」が分かりにくくなりますし、自分勝手な印象も受けます。ですので、「これについては、こうしたいから許可が欲しい」ということにのみ使うように心がけましょう。
ビジネスでの使い方
ビジネスで使う場合には、自分の一存で話を進めて良いか分からないときや、相手の協力が絶対に必要なときなどに使うと良いでしょう。また、ビジネスの場面では相手を敬う態度を示すことが重要なので、「してもよろしいですか」よりもより丁寧な「させていただいてもよろしいでしょうか」を使う方が良いと言えます。
「してもいいですか」を敬語表現するときの例文
実際に「してもいいですか」を敬語表現するときには、どのように使えばいいのでしょうか。この項では、「してもいいですか」の敬語表現を使ったいくつかの文章を紹介します。文章を読んで「してもいいですか」の敬語表現を使うコツを掴みましょう。
からしてもよろしいですか
「〜からやりたいけどいいですか」という意味の文章です。ただ「〜をしてもいいですか」と聞くだけではなく、「何からやるのがいいか」、その順番を尋ねている文章であるといえます。
してもよろしいでしょうか
「してもいいですか」を敬語の丁寧語に直した文章です。「でしょうか」という表現が、文章の印象を柔らかくしています。「してもいいですか」と訊きたいけれど、「してもよろしいですか」では少しきつい印象があるな、と思うときにはこちらを使うと良いでしょう。
させていただいてもよろしいですか
「してもいいですか」を謙譲語に直した文章です。「させていただく」という言葉が、「こちらが〜させてもらう」という意味なので、「自分がして当然なこと」や「そもそも自分がやるべきこと」などには使わないようにしましょう。
「してもいいですか」の別の敬語表現例
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「してもいいですか」を別の敬語表現に置き換えることはできるのでしょうか。この項では「してもいいですか」と同じような意味を持つ言い回しについてご紹介します。
しても問題ないでしょうか
「してもいいですか」という言葉は、「〜しても何か不都合はないですか」と言い換えることができます。ですので、「しても問題ないでしょうか」という言い回しも、「してもいいですか」と似たような言い回しであると言えます。この文章は、敬語の種類でいうと丁寧語の表現であるといえます。
他にも同じく敬語の丁寧語に当たる表現で「しても問題ないですか」といった表現や、敬語の謙譲語に置き換えて「させていただいても問題ないでしょうか」ということができます。
しても差し支えないでしょうか
「差し支え」というのは「不都合」や「支障」のことを指す言葉です。したがって、この文章は「〜しても支障をきたしませんか」と尋ねているといえます。こちらも「してもいいですか」と同じ意味を持つと言えるでしょう。この文章も敬語の謙譲語に当たる文章に置き換えて、「させていただいても差し支えないでしょうか」と表現することができます。
しても差し障りないでしょうか
「差し障り」も「差し支え」と同じような意味を持つ言葉で、「不都合」や「迷惑」を意味する言葉です。この文章も敬語の丁寧語に当たる文章といえます。「しても差し支えないでしょうか」や「しても問題ないでしょうか」と同じように、「してもいいですか」と似た意味を持つ表現だといえます。
上手に丁寧に許可が取れるようになろう!
いかがでしたでしょうか。「してもいいですか」の敬語表現について詳しくご紹介してきました。仕事をしていても、誰かと何かしているときでも、「自分だけではそれをしていいかわからない」ということは多々起きます。そんなときに、うまく物事を進めるためには、誰かに尋ねたり、誰かにそうできるように許可をもらうことが必要です。
許可を出してもらったり、良い返事をもらうためには、こちらの態度も非常に重要です。正しく丁寧な言葉遣いを使うことで、上手に自分の意図したことが叶うようにできると良いでしょう。