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「力を入れる」の敬語表現・使い方と例文・別の敬語表現例

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「力を入れる」を敬語で表現するには

「私は最近、英語の勉強に力を入れています」「A社は若者向けの新製品の開発に力を入れている」など、「力を入れる、力を入れている」という言葉は日常でもよく使われています。会話でも使われますし、ニュースサイトなどで文章の形で目にすることも多い言葉です。

敬語表現の駆使を求められるビジネスシーンでも、この言葉を使うべきシチュエーションはたくさんあることでしょう。しかしながら、「力を入れる」をどう変化させると適切な敬語表現になるのかを考える機会は少ないのではないでしょうか。

ここでは、どんな時にどんな種類の敬語を使うかを改めて確認しながら、「力を入れる」をどう敬語表現するか考えていきましょう。

相手を立てる「尊敬語」

会話の相手が誰であるのか、文の主語が誰であるのか、敬語を正しく使うためには文法はもとよりシチュエーションの把握が肝要です。ビジネスにおいて、目上の人やお客様を相手に話すときに敬語は必須ですが、主語(行動する人)が相手の場合は「尊敬語」を使います。

基本となる動詞に「お~なる」をつける形式、まったく別の言い方になる別語形式、動詞に「れる・られる」をつける形式があります。

「会う」は「お会いになる」、「言う」は「おっしゃる」、「満喫する」は「満喫される」といった具合に変化させることで、相手を立てる敬語表現になります。

自分がへりくだる「謙譲語」

逆に主語(行動する人)が自分の場合は、へりくだった表現をすることで相対的に相手に敬意を表すのが「謙譲語」です。自分だけでなく、自分の身内や持ち物について話すときも「謙譲語」を使います。

「誘う」は「お誘いする」、「言う」は「申し上げる」(別語表現)、そのほか「私ども」の「ども」や「愚息」「小宅」も謙譲語に入るとされています。

以上を踏まえて、「力を入れる」をどう敬語として表現できるか考えていきます。

「力を入れる」の敬語での使い方は?

まず、「力(チカラ)」とは、どんな意味の言葉でしょうか。たった一文字の「力」という言葉に以下のようにたくさんの意味がこめられているとは、あらためて言葉の深みを感じます。「お金の力で」「力が抜ける」「力のある選手」など、ふだん何気なく使っていても、「力」に含まれた意味合いは少しずつ違います。

「力を入れる」の意味は、「一生懸命になって努力する、骨を折る」という意味です。この場合の「力」は「努力・骨折り」の意味を持っているということがわかります。

1.人や動物にもともと備わっている、自ら動き、または他の物を動かす働き。体力。
2.物事をするときに助けとなるもの。助力。
3.ききめ。効果。効力。
4.学問・芸術などの能力。力量。実力。
5.影響力。権力。
6.腕力。暴力。
7.気力。迫力。
8.努力。骨折り。
9.資力。財力。
10.物体の静止あるいは運動している状態に変化を起こさせたり、物体に変形を生じさせたりする作用。

https://dictionary.goo.ne.jp/jn/141231/meaning/m0u/

敬語の種類によって「力を入れる」はどう変わる?

尊敬語と謙譲語について前述しましたが、「力を入れる」の尊敬語、謙譲語というのはそれぞれ存在するのでしょうか。「言う」が「おっしゃる」や「申し上げる」になるような別語は「力を入れる」にはありません。

力を入れている人が相手なら尊敬語、自分なら謙譲語を使って表現しますが、具体的な使い方を説明していきます。

「力を入れる」敬語としての使い方

尊敬語と謙譲語のほかにもうひとつ、敬語には「丁寧語」があります。主語が何かに関係なく、物事を丁寧にあるいは美化して表す言葉です。「です」「ます」「お茶」「お弁当」などのように用います。

「力を入れる」を会話や文章で使うとき、丁寧語として使うのはとても簡単です。「○○は○○に力を入れています」と、末尾を「ます」「います」とするだけで、聞き手に敬意を払った敬語として十分です。

尊敬語としての使い方

熱心に努力している相手の動作を「力を入れる」を使って表現するときは尊敬語として使う必要があります。別語表現はありませんので、「お~なる」「~れる・られる」を使ってみましょう。

「力をお入れになる」「力を入れられる」という表現ができます。「力を入れている」の「いる」を変化させて「力を入れておられる」「力を入れていらっしゃる」も適切な言い方です。

「お~なる」をつけるとき、「お力をお入れになる」としてしまうと、間違いとは言い切れませんが少々くどいですし、動詞を尊敬語にできている上に「力」にまで「お」をつけるのは過剰ですので避けたほうがよいでしょう。

謙譲語としての使い方

自分が骨を折って努力していることを相手に伝えるときは謙譲語を使います。別語表現がありませんので「お~する」を使ってみたいところですが、「力をお入れする」では力を注ぐ先に敬意を払っているような印象になりしっくりきません。

ここは「力を入れている」と変化させて、「いる」を謙譲語「おる」に変化させて末尾を丁寧語にして、「力を入れております」としてみましょう。この表現なら自分の行動を下げて相手に敬意を払う謙譲語として適切です。

これから「力を入れていく」つもりなら「いく」を謙譲語にして「力を入れて参ります」、「力を入れてきた」過去についてなら「きた」を謙譲語にして「力を入れて参りました」とするとよいでしょう。

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メールで使うときに気をつけることは?

ビジネスシーンでは必須の敬語ですが、会話はもちろんメールなど文書で使う場合も適切な敬語がきちんと使えることが望ましいです。特にメールなど文章で伝える場合は、何度も読み返されることを想定してきちんとした敬語で綴りましょう。

「力を入れる」を敬語で文章にする場合、これまでみてきた尊敬語と謙譲語の使い分けがしっかりできていれば問題はないでしょう。ただし、書き言葉で間違いやすい「い抜け」言葉にならないよう気をつけたいところです。

「い抜け」とは、「食べてる」「生きてる」など、正しくは「食べている」「生きている」とすべき言葉から「い」が抜けてしまうことを言います。会話の中では違和感なく伝わりますが、幼稚な印象を与えかねませんので、ビジネスメールでは御法度と言えるでしょう。

「力を入れています」を「力を入れてます」にしてしまわないよう、気をつけましょう。

ビジネスシーンで「力を入れる」のはどんな時か?

「力を入れる」とは「一生懸命になって努力する、熱心に努力する、骨を折る」ことを意味しています。一人ひとりが一社員として業務に「力を入れる」姿は頼もしい限りです。敬語表現を意識しながら、具体的に考えてみましょう。

相手の会社が特に力を入れている業務や活動を話題にするときは、「近頃、御社が力を入れていらっしゃる環境対策が素晴らしいですね」「こちらの病院では、患者さんに寄り添った医療に力を入れられているのですね」のように使うとよいでしょう。尊敬語である「いらっしゃる」「されている」を組み合わせるのがポイントです。

自社が力を入れる事業について語りたいなら、「わが社ではより使いやすい商品の開発に力を入れております」など、謙譲語「おる」「おります」を組み合わせるとよいでしょう。

「力を入れる」を敬語表現した例

ビジネスシーンで「力を入れる」のがどんな時かを想像しながら、具体的な使用例を考えてみましょう。日常会話でもよく使われる表現ですが、「誰が」「何に」力を入れているのかを意識することで、適切な敬語表現が自然にできるようになります。

自分の頑張りを表現するときは

自分や自社が努力をしていることを相手に伝える場合の具体例を紹介します。

・私たちはより環境にやさしい製品の開発に力を入れております
・わが社では社員の英語教育に力を入れており、グローバル化時代にふさわしい人材育成に努めております
・楽しい時間を過ごしていただける空間づくりに力を入れて参ります

いずれも、自分の行動を一段下げて表現する謙譲語を用いています。そうすることで相手に対する敬意を表せます。「力を入れさせていただいております」という言い方を耳にすることもありますが、「~させていただく」には相手の承認をもらって行動する意味合いがあるので、自分の頑張りに相手の承認が不要な場合はあまり適切ではありません。

「力を入れる」という表現には、一点に集中して本気を出して頑張るというニュアンスが含まれますので、何に力を入れるのか対象をはっきりさせて使うのが効果的です。

他人の努力を表現するときは

相手の行動や他社の活動を話題にしたり褒めたりする場合の具体例を紹介します。

・こちらのレストランでは、新鮮で安全な食材選びに力を入れられているのですね
・課長は最近、健康のために運動に力を入れていらっしゃると伺いました
・御社が力を入れられている自社製品のリサイクル活動にたいへん感銘を受けました

いずれも、尊敬語「~られる」「~いらっしゃる」を用いています。「お力をお入れになっていらっしゃる」など尊敬語の多用は避け、中心になる動詞だけを敬語にすることを意識すると、すっきりとした敬語表現になります。

「力を入れる」を別の言葉で言い換えると?

ここまで「力を入れる」という言葉を、できるだけそのまま敬語として使う方法を考えてきました。しかしながら他にも、「集中して熱心に努力する」ことを表現する言葉があります。語彙として蓄えておけば、さまざまなシーンで応用できますので、ぜひ覚えておきましょう。

「力を注ぐ」との違いはある?

「力を入れる」の類語に「力を注ぐ」という言葉があります。意味としての違いはほどんとなく、どちらも一生懸命になって努力することを表しています。ほとんどの場合、「力を入れる」を「力を注ぐ」に言い換えても問題はないでしょう。

・人材育成に力を入れています
・人材育成に力を注いでいます

どちらも人材育成という特定の事柄に重点を置いて取り組んでいることが伝わります。あえて言えば「注ぐ」という言葉は、継続的なたゆまぬ努力というニュアンスを含んでいるといえるでしょう。

また、「注力する」という使い方もできます。敬語としては「注力なさる」「注力しておる」「注力いたす」と変化させて使います。

努力を敬語にした言葉

「力を入れる」の「力」は「努力・骨折り」を意味していることを踏まえて考えてきましたが、「努力」のより丁寧な表現はたくさんあります。「力を入れる」という言葉をストレートに使わなくても、同じ意味合いのことを上司など目上の人に伝える場合にたいへん便利です。

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「尽力する」「尽力」

「尽力」は「力を尽くす」という意味です。この「力」も「努力・骨折り」の意味を含み、さらに広く「能力」のニュアンスも含みます。「力を入れる」が特定のことに集中して頑張ることを指す一方で、「力を尽くす」は特定のことに限らず目的に向かって全力で頑張っていくという姿勢を表すことができます。

力を入れる対象を目的語に据えて「○○に尽力する」とすれば、そこに全力を投入するというニュアンスになりますから「力を入れる」を言い換える表現として適しています。

・御社は○○に御尽力されていると存じ上げます
・さらなる支援に尽力して参ります

「精進する」「精進」

自分自身が「力を入れて」「全力で」「なにがなんでも」努力していく、という気合いを伝えるときに使える表現です。「精進」は仏道において修行に励むことを意味する言葉ですが、一般に「ひとつのことに精神を集中して励むこと」を表し、ビジネスでもよくつかわれます。

「力を入れる」も特定のことに集中して努力することを表しますので、言い換えが可能です。ただし、「精進する」のはあくまでも自分であり、目上の人を「精進させる」わけにはいきませんので、自分自身の努力を示す場合にのみ使いましょう。

・一日も早く戦力になれるよう精進して参ります
・研究者として精進し、製品開発の一助となれるよう努めて参ります

敬語は意識して使いましょう

「力を入れる」をビジネスシーンで敬語として使う場合について考えてきました。尊敬語、謙譲語、丁寧語の違いは知識として必須ですが、敬語は文法として理解しているだけでは使いこなせるようにはなりません。

「力を入れる」という言葉そのものを敬語にしようとするのではなく、使われるシチュエーションや会話する相手との上下関係に即して、動詞を敬語化するようにしてみましょう。状況を的確に把握できれば、尊敬語と謙譲語の使い分けは決して難しくはありません。判断に悩む場合は丁寧語にするだけでも大丈夫です。

相手を敬う思いがあって初めて敬語です。語彙力を身につけて感性を磨き、スマートな敬語でコミュニケーションを楽しめるよう、敬語を意識して使っていくことに力を入れていきましょう。

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