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「してあげる」の敬語表現・使い方と例文・別の敬語表現

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「してあげる」の敬語表現

「してあげる」という言葉はそもそも「誰かが誰かに親切心から○○をしてあげる」という人の親切から出た行動を意味していましたが、日常会話で「○○してあげる」と言われれば現代においては、「上から目線」を思わせる不快な印象さえ持たれ兼ねない表現になっています。

これは言葉のニュアンスによって意味合いやイメージが移り変わるもので、特にビジネス用語において「してあげる」という表現はほとんどの場合において使われない言葉となります。

飽くまでも敬語表現として言葉を表現する際には「目上の人に対する敬語表現」や「自発的にへりくだった敬語表現」を使う必要があるため、この「してあげる」という上から目線を想定される言葉はタブーになります。

・させていただく
・差し上げる

この2つの表現は「してあげる」という言葉の敬語表現として認められ、ビジネス上でもプライベートのやり取りでも普通に使われています。

関西弁

関西弁で「してあげる」という言葉を言うときには、関西独特の言い方が見られ、関西人でなければわからない表現などもその内に多く散見されます。

・したる(してやる)
・したるわ(してやるわ)
・しとこか(しておこうか)
・やったろか(やってやろうか)
・行ったるわ(行ってあげるわ)
・あげとこか(あげておこうか)
・あげたろか(あげておこうか)

これらの言葉・表現が関西特有の表現に見られ、この関西弁というのは近畿地方各地をはじめ、西日本の広域に渡って浸透していることもあり、大阪や京都だけでなく、四国地方や九州地方まで分布している場合もあります。

謙譲語

謙譲語というのは「相手と自分の立場や関係性を問わず、話者が自発的にその姿勢や立場を低くして相手への敬意を示す敬語表現」を意味し、この敬語表現はビジネス上のやり取りだけでなく、プライベートでも多くの場面で使われる常用的な敬語表現として認められます。

・○○させていただく
・○○差し上げる
・○○を送らせていただく
・差し出がましいようですが
・お電話を差し上げる
・ご連絡を差し上げる
・お電話をさせていただく
・ご連絡をさせていただく

このように「御(お・ご)」という接頭辞を付けた上で、「○○させていただく」というように自発的にへりくだった表現をする場合に、話者から相手への謙譲語による敬語表現は認められます。

尊敬語

尊敬語というのは「目上の人や立場が上位にある人に対し、話者が一方的に敬意を示す敬語表現」を指し、この敬語表現はもっぱらビジネス上のやり取りで見られる、最も一般的な敬語表現として認められます。

・○○なさる
・○○される
・おられる

これらの相手を立てる表現にはじまり、相手の立場や言動のすべてを敬意をもって言う表現が主な尊敬語表現に認められ、これらは話者の言動への形容よりも、相手の言動に敬意を示す表現として認められます。

「○○してあげる」という表現は尊敬語表現として適当ではないため、「してあげる」という言葉をあえて別の言葉・表現に直す必要があります。このとき、尊敬語も謙譲語も似た表現となりますので、ビジネス上のやり取りにおいても尊敬語と謙譲語の区別はほとんどありません。「○○させていただきます」というへりくだった表現をするのが一般的です。

丁寧語

丁寧語というのは「不特定多数の人々に公示できる丁寧な言葉遣いによる敬語表現」を指し、主に「です・ます口調」で相手に伝えられる当たり障りのない敬語表現として認められています。丁寧語による敬語表現の場合は尊敬語や謙譲語とは違い、相手と話者との立場の高低や関係を比較的問わないでよいため、簡潔な「です・ます調」の敬語表現でかまいません。

・してあげます
・送らせてもらいます
・させていただきます
・してもいいですか
・してあげたいのですが
・ぜひさせてください
・ご都合はよろしいですか
・ご連絡させていただきます

このように、丁寧語の場合は尊敬語や謙譲語が複合されて表現する例も多くあり、特に話者と相手の関係性や立場の高低などを気にせず、不特定多数に受容される丁寧な表現で伝えられます。

土佐弁

土佐弁というのは現在の高知県で使われている方言を意味し、昔からその高知県(またはその周辺地域)で話されていたその地特有の表現の全般を指して言われます。この高知県で使われる土佐弁で「してあげる」という言葉を言うときは、「○○しちゃる(○○してあげる)」や「やっちゃりや(やしてあげて)」という言い方になります。

先述の「ご都合はよろしいですか」や「ぜひさせてください」という丁寧語表現でも見られますが、「してあげる」の敬語表現には「相手の都合を聞いたうえでしてあげる・させてもらう」という形容を持つ場合があります。

土佐弁で言われる「やっちゃりや」や「しちゃる」という言葉を使う場合も、「してあげる」という旨を相手に諭しつつ自分の好意を伝えようとする、暗黙の姿勢がうかがえます。

ビジネス用語上の「してあげる」という表現はタブー

先述でもご紹介しましたが、「してあげる」という上から目線を想定させる表現は、一般的なビジネス上のやり取りでは厳禁となります。この「してあげる」という言葉には「○○をあげる」という上司から部下への姿勢や気持ちがまず見られ、部下が上司に、あるいは先方の会社などに伝える表現としては、甚だ礼儀を失した形容表現となってしまいます。

しかし上司から部下へ何らかの事情や要求を伝える際でも、「○○してあげる」という表現はまず使われず、その場合は「○○せよ」や「○○してください」といった命令形による情報交換がほとんどです。

つまり、「してあげる」という表現そのものが一般的なビジネス用語や敬語表現では使われず、どうしても「してあげる」という気持ちを敬語表現に置き換えたい場合は、まず「してあげる」という言葉そのものを別の言葉に置き換え、表現全体のバランスを図った上で敬語表現にします。

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「してあげる」の敬語での使い方

「○○してあげる」という言葉はそもそも敬語表現としては認められず、そのため「してあげる」という言葉をまず別の表現に置き換え、さらに表現全体を好ましい敬語表現として認められるよう配慮しなければなりません。

・させていただきます
・差し上げます
・○○させていただいてもよろしいですか
・○○させていただいて、ご都合はよろしいでしょうか

このように「させていただきます」や「○○させていただいてもよろしいですか」といった謙譲の姿勢をもった敬語表現として伝え、「してあげる・してあげたい」といった自分の要求を優先するのではなく、必ず相手の都合を先に聞いてから自分の行動を決める形になります。この「相手の都合を聞いたり状況に配慮する」という姿勢がすでに、敬語表現の土台を作り上げています。

敬語の種類

日本語の敬語表現には大きく分けて3種類あり、1つ目は尊敬語、2つ目は謙譲語、3つ目は丁寧語です。尊敬語は「目上の人や上司に対し、話者が一方的に敬意を示す敬語表現」を意味し、もっぱらビジネス用語として多く使われる敬語表現となります。

謙譲語は「相手と自分との立場や関係性を問わず、話者が自発的にへりくだって姿勢を低め、相手に対する敬意を示す敬語表現」を意味し、これはビジネス上のやり取りでもプライベートでも、実に多くの場面で使われる敬語表現となります。

丁寧語は「不特定多数に公示できる当たり障りのない敬語表現」を指し、主に「です・ます調」での丁寧な言葉遣いによる敬語表現を意味します。よくテレビのテロップやSNSなどでの宣伝広告などに見られる、誰に対しても印象のよい表現が認められます。

「してあげる」の敬語の使い方

先述でご紹介しましたように、「○○してあげる」と言う表現は本来敬語としては認められず、やや話者から相手への上から目線で物を言う失礼な言い方にも当てはまります。しかし話者の好意によって「○○してあげたい」という要求から相手への気持ちがそのまま伝えられる場合もあるため、一概に一般的に「使えない表現」ということではありません。

・差し上げる
・○○させていただきます
・○○させていただいてもよろしいでしょうか
・ご都合に合わせて○○させていただきます

このように、相手の都合を確認した上で「○○してあげる」という表現がされる必要があり、その場合は「してあげる」という言葉・表現でもそれほど悪い印象を与えないで済むでしょう。

メールでの「してあげる」の使い方

ビジネスメールなどで「○○してあげる」という言葉を伝える場合も、先述しました「してあげる」の敬語表現と同じく、相手の都合に配慮した上で、話者から相手への敬意を示す敬語表現に置き換えて伝える必要があります。

この場合も「○○させていただきます」や「○○させていただいてもよろしいでしょうか」などの、相手の都合に合わせた上での意志表現が不可欠となり、そうすることで相手への印象を損なわずに済むでしょう。

メールの場合は必ず文語表現となるため、きちんとした文法によって文章を構成し、誤字脱字や表記ミスなどのケアレスミスを何度も確認してなくしておくようにしましょう。

「してあげる」を敬語表現するときの例文

これまでの「してあげる」の敬語表現を踏まえ、「してあげる」という言葉を別の言葉や表現に置き換えて敬語表現とするスキルを身に付け、改めて「してあげる」という旨を伝える必要があります。

・案件につきまして○○差し上げます。
・先日お伺いしました件につきまして、ご連絡差し上げてもよろしいでしょうか。
・事業計画の改正につきまして新しいアイデアを提出させていただきます。
・ご連絡を明日中に差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
・今日中にお電話をさせていただきます。
・会場をご案内させていただきます。
・論文の内容につきまして、ご説明させていただきます。

このように「○○してあげる」という言葉をまず別の言葉や表現に置き換え、その上で表現全体を敬語表現として見合う形で相手に伝えます。

「してあげる」の別の敬語表現例

「してあげる」の敬語そのものが別の言葉や表現に置き換えられて示されるため、先述でご紹介しました「○○してあげる」の敬語表現すべてが「してあげる」の別の敬語表現になります。

・○○差し上げます
・させていただきます
・させていただいてもよろしいでしょうか
・ご紹介させていただきます
・ご配慮させていただきます

これらの言葉が「してあげる」という旨を伝える際の、一般的に認められる敬語表現となります。

「してあげる」と「して差し上げる」の敬語の違い

「して差し上げる」という表現は、「する」という言葉と「差し上げる」という言葉の複合語となるため、「する」という普通の動詞と「差し上げる」という敬語の2種類の働きが認められます。そのため「して差し上げる」という言葉を敬語表現だけにする際には、「○○差し上げる」や「○○を差し上げる」として、「差し上げる」という表現オンリーにします。

「してあげる」という言葉の働きは先述どおりに敬語表現として認められないため、これを敬語表現にする際には「してあげる」という意味合いを持つ別の言葉に置き換える必要があります。

「してあげる」と「させていただく」のニュアンス

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「してあげる」という言葉のニュアンスには先でご紹介しましたように「上から目線で他人のために何かする」という、やや相手よりも上位に立った姿勢が認められ、敬語表現の観点からみると少しぞんざいな表現が見受けられます。

この「目線」に配慮した上での敬語のニュアンスについて言えば、「させていただく」という表現には「自分の姿勢や立場を低めて相手のために何かをする」といった謙譲のニュアンスが認められるため、「してあげる」のニュアンスからすると逆の印象が認められます。

「してあげる」の英語表記と意味

「してあげる」という言葉を英語に直すと「I’ll do for you(してあげる)」、「I’ll do(したい、してあげる)」、「for you(あなたのために)」、「willing to do(喜んで○○する、してあげる)」、「would like to do(やりたい、してあげる、してあげたい)」、「give(差し上げる、してあげる)」などの言葉に置き換えられます。

「してあげる」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「してあげる」の英語表記を参考にして、「してあげる」という意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。

・We will contact you today.
「今日中にご連絡を差し上げます。」
・I’d like to call you, is it okay?
「お電話をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。」
・We will guide you through the venue.
「会場のご案内をさせていただきます。」

「してあげる」の英語表現と意味(2)

先述の「してあげる」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「してあげる」の例文をご紹介します。

・I would like to give you a brochure about the new project.
「新しい企画についてのパンフレットを、ぜひあなたに差し上げたいです。」
・I will present some reference books necessary for college entrance examination today.
「大学受験に必要な参考書のいくつかを、今日中に差し上げます。」
・I would like to give you the necessary construction for travel expenses.
「旅費に必要な工面を差し上げたいと存じます。」

「してあげる」の英語表現と意味(3)

先述の「してあげる」の具体的な英語表現に引き続き、次はいろいろな場面における「してあげる」の例文をご紹介します。

・In order to give a descriptive explanation, I prepared this document.
「わかりやすい説明を差し上げるために、こちらの資料をご用意しました。」
・Since there was new progress in this project, I got in touch with you.
「今度のプロジェクトにおいて新たな進展がございましたので、ご連絡を差し上げました。」
・We prepared practical tools on how to keep pets.
「ペットの飼い方について実用的な道具をご用意いたしました。」

「してあげる」の正しい敬語表現を習得しましょう

いかがでしたか。今回は「してあげる」の敬語表現・使い方と例文・別の敬語表現と題して、「してあげる」の正しい敬語表現と活用法、またさまざまな場面における「してあげる」の用例についてご紹介します。「してあげる」の方言もご紹介しました。

「してあげる」という言葉は、ビジネス用語でもプライベートでの連絡交換にしても、相手によっては「やや上から目線で何か言われた」というよくない印象を与えてしまう場合があります。

敬語表現としてはもちろん認められず、どうしても「してあげる」という旨を敬語に直す場合は、「してあげる」という言葉を別の言葉に置き換え、表現全体を敬語表現に見合う形にする必要があります。

言葉を覚える際には、その言葉を実際に使って覚えることが効果的で、そうすることによって実践的な敬語表現も習得することができるでしょう。

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