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「無辜」の読み方は?
むこ
「辜」は一見難しく、あまり見かけない漢字です。「辜」を「こ」と読むのは、音読みになります。訓読みでは「つみ」と読みますが、「無辜」の形になる時には「無」と同じ読みである音読みを用います。つまり、「無辜」の読み方は音読みです。
「無辜」の意味と使い方!
意味
「罪」というのは、その状況によって表すものが異なりますが、基本は「社会規範に反する行為」のことを指します。「道徳」や「法律」などに反した行為に対して、よく用いられます。他には、「良くない結果の責任・宗教上の教義に背く行為・無慈悲(残酷)なさま」の意味で「罪」の語を使います。
それら「罪」というものを「無い」としているため、「無辜」が基本として表すことは「社会規範に反する行為をしていない(者)」です。状況によっては、「宗教上の教義に背いていない(者)」などの意味にもなります。「罪」=「良くない結果の責任」とした場合は、「その責任をなすりつけられた人」が「無辜」の語で表される立場になります。
「無辜」の語源は?
「罪・はりつけ・背く」を示す「辜」と打ち消しの「無」
「辜」には、「罪(咎)」の意味の他に「はりつけ」や「背く」という意味もあります。「はりつけ」は古き時代に誕生した処刑法の1つで、日本ではキリスト教におけるイエス・キリストの絵画などで広く知られています。「背く」は「命令に従わない」などの意味もありますが、「決まりに違反する」といった「守るべきこととは反対のことをする」の意味もあります。
総じて、「辜」には悪い意味が存在しています。「辜」が意味する「罪(咎)」や「背く」こと、「はりつけ」にされるようなことが「無い」ことを表している言葉が「無辜」です。
「無辜」の類語・言い換え表現となるのは?
言い換えに用いることもできるため、使い分け方や、どんな時に言い換えとして使用できるのかを含めながら、「無辜」の類語をご紹介していきます。
無罪
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「無罪判決」や「無罪放免」、「無罪を勝ち取った」などの形で用いられます。法的な場で使う語として、対義語になるのは「有罪」です。「無辜」と「無罪」の違いは上記にある通り、「法的な場での使用可否」にあります。
どちらも日常会話やビジネスシーンでの会話の中で使用できる言葉ですが、「法的な場」において「罪が無い(罪が証明されない)」ことを表す時には、「無辜」ではなく「無罪」を使います。
無実
1つ目の意味と3つ目の意味は「真が無い」という点でよく似ていますが、「無辜」が持つ「罪が無い」の意味とは全く違います。「無辜」の類語になるのは、3つ目の意味「罪を犯していないのに罪が有るとされる」です。
単に「罪が無い」ことを意味する「無辜」よりも、「無いのに有る」とされている「無実」の意味の方が「罪を押し付けられている感」が強くあります。「無辜」は、誰かから咎められている・いないに関わらず「罪が無い」ことを表す時に使い、「無実」は誰かから咎められている場合に「罪が無い」ことを主張する時に使います。
潔白
「身の潔白を証明する」や「私は潔白だ」などの文で使用されるように、「後ろ暗いところ」=「罪」として、それが「無い」ことを表す時に使います。「心や行いが綺麗なこと」は、言い換えれば「心や行いに罪が無いこと」です。そのことから、「潔白」は「無辜」の類語に挙げられます。
「無辜」の用例をご紹介!
無辜の怪物
しかしながら、全ての怪物が人に害を加えるわけではありません。日本を含めた世界各国に存在する神話や言い伝えには数多くの怪物が登場しますが、その中には「人ではない怪物だが、人を助けたり、平和的な性格をしているもの」も存在します。そんな善ある怪物こそが、「無辜の怪物」です。
Fate/EXTRAやGOというゲームでは、無辜の怪物という名のスキルが登場します。このスキルは、「能力・姿が変貌する」特徴を持ちます。生前の行いから生まれたイメージにより、過去や在り方を捻じ曲げられた怪物の名前のことだそうです。取り外し不可なので、取り扱いには注意を要します。
無辜の民
現在における日本では、民を脅かすような大きな動きは起こっていませんが、国によっては「無辜の民」がひどく脅かされる社会を改善しようとしていない現実があったり、民全体に助けが及ばないこともあります。その場合、罪が有る無いに関わらず、民たちは罪のある人によって生活や命が脅かされるリスクが高くあります。
北海道の石狩市弁天町にある石狩浜には、「石狩 無辜の民」というブロンズ像があります。本郷新さんによる作品の1つで、1970年制作の「無辜の民連作15作品」の1つとされる「虜われた人」が原型だと言われています。上半身は布で巻かれており、片手と両足を辛うじて突き出して横たわった人物の造形で、その姿は何かを訴えるかのように見えます。
無辜の人々
無辜の祈り
また、「罪が無いのに困窮している者の祈り」の意味でも使えます。この場合は、「誰かから罪を問われているわけではなく、罪が無いのに生活環境・経済・人としての扱われ方に苦難がある者」ということです。このような人に対して「無辜の祈り」を使う際は、「無辜の祈り」=「罪の無い者が、苦難や困窮が改善するように神仏に祈っている」様子になります。
吹奏楽、コンクールなどで用いられる楽曲アルバムの1つに「無辜の祈り」があります。樽屋雅徳さんが東日本大震災の影響を受けて制作したもので、演奏人数目安35人の中編成の楽曲になります。
「無辜」は使える時に使ってみよう!
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類語になるのは「無罪・無実・潔白」で、全く同じ意味を持つのは「無罪」ですが、「無罪」は法的なシーンでも使用されることがあります。「潔白」は「心や行動に後ろ暗いことがない」の意味を持つため、「罪」だけでなく「ちょっとした悪いこと(誰かのお菓子を勝手に食べたなど)」にも使えます。
場合によっては類語を言い換えとして用いると良いのですが、類語たちは「無辜」と比較して、一般的によく使用されています。そのため、法的なシーン外では「無罪」を「無辜」の言葉で表すなど、使えそうな時が訪れた時には「無辜」を使ってみましょう。