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「励行」の読み方は?
「励まし行く」と書く「励行」は、「れいこう」と読みます。「励」という漢字は、訓読みである「励ます(はげます)」や「励む(はげむ)」の形で使用されることが多いとされますが、「励行」のように「励」を「れい」と読むのは音読みになります。「行」も訓読みである「行く(いく・ゆく)」の形で使用されることが多いのですが、音読み「こう」もよく知られています。
「励」には、「力いっぱいつとめる」と「力づける」の2つの意味が存在しています。「励ます」のイメージから「力づける」の印象が強い傾向にありますが、「励行」の形で使用する際に用いられている意味は「力いっぱいつとめる」の方です。「行」の方は、「励行」の形で用いられる時、「行う(おこなう)」の意味を持ちます。
「励行」の意味と使い方!
「励行」の意味は、「規則や決めた事柄の通りに実行すること」です。「励」には「力いっぱいつとめる」の意味があり、「行」は「行う」のことでしたので、これらをつなげると「力いっぱいつとめる」になります。
そのことを踏まえると、「励行」という言葉が意味する「規則などの通りに実行」が表すことは、「規則や決めた事柄」を「力いっぱいつとめる」になります。要するに、「励行」=「規則や決めた事柄を力いっぱい実行する」ということです。「励行」は「厲行」とも書かれますが、「厲行」は一般的な漢字ではないため、一般的とされている漢字表記「励行」を用いましょう。
「励行」の類語・言い換え表現は?
「励行」の類語および言い換えとなる言葉には、「順奉・順法・順守」があります。それぞれの意味を見ておきましょう。
順奉
「順奉」の読み方は、「じゅんぽう」です。漢字は、「遵奉」とも書きます。どちらの漢字でも意味は「法律・主義・命令・教えなどに忠実に従い、それを守り通すこと」という意味を持ちます。「決めた事柄を貫く」という点で「励行」と似ていますが、「順奉(遵奉)」が表す「決めた事柄」は明確です。
「励行」の意味には「規則や決めた事柄など」とありましたが、「順奉(遵奉)」の意味には「法律・主義・命令・教えなどに」とありました。また、行い方にも違いがあります。「励行」は「(決めた事柄の)通りに実行」で、「順奉(遵奉)」は「忠実に従い守り通す」行い方を示しています。
「決めた事柄の通りに実行」なのか、「決めた事柄に忠実に従って守り通す」のか、という違いです。「順奉(遵奉)」の方が絶対的決まり事に対して使う印象があり、「上司の命令を順奉する」「師の教えを順奉する」「主義の思想を順奉する」などの使い方をします。
順法
「順法」は「遵法」とも書きます。読み方は「じゅんぽう」で、「順奉(遵奉)」と同音語になりますが、意味は少しだけ違います。「順法(遵法)」の意味は「法律に従い、それを守る」で、「順奉(遵奉)」の意味の中にも「法律」の言葉が存在していますが、「順奉(遵奉)」には「命令・教え」などを含まれるのに対して、「順法(遵法)」には「法律」の言葉しかありません。
つまり、「順法(遵法)」は「法律」に関して使う言葉です。「順法(遵法)」の漢字を見ると、「順ずる法」と書くため、法律に関する言葉であることが分かります。「順奉(遵奉)」も法律に関した使い方をすることができますが、「法律に従い、それを守る」を表す時に限り「順法(遵法)」を使うという使い分けをしても良いでしょう。
順守
「順守」は「じゅんしゅ」と読み、漢字は「遵守」や「循守」とも書きます。意味はら「規則や法律などに従い、それを守る」です。「順奉(遵奉)」と「順法(遵法)」と「順守(遵守)」は同義語ですが、使い分けはできます。
まず、「順法(遵法)」は「法律」に対する「従い守る」を表す時に使います。次に、「順守(遵守)」は、規則などの法律以外の「決められた事柄」に対する「従い守る」を表す時に使用します。そして、「順奉(遵奉)」は「主義・命令・教え」などの「その場における絶対的指示」に「忠実に従い守る」を表す時に使うと良いでしょう。
まとめると、「順法(遵法)」=「法律」、「順守(遵守)」=「規則」、「順奉(遵奉)」=「主義・命令・教え」といった感じです。「励行」との違いは、「順奉(遵奉)」の項目でお伝えした通り、「行い方」にあります。「励行」は「その通りに実行」で、「順守」は「それに従い守る」です。
「励行」と「敢行」の違いは?
「敢行」は「励行」と意味が似ていると思われやすいようですが、表していることには明確な違いがあります。
「敢行」の意味
「敢行」は、「かんこう」と読みます。意味は「悪条件を押し切って行う」であり、言い換えれば「無理を承知で思い切って行う」ことになります。「敢行」の意味は、「思い切って実行する」ことを表す「決行」や、「困難や反対を押し切って強い態度で実行する」ことを表す「断行」、「無理を押し切って強引に行う」意味を持つ「強行」と同義です。
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違いは?
「励行」の意味は「規則や決めた事柄の通りに実行すること」でしたので、「悪条件を押し切って行うこと」を意味する「敢行」とは表していることが似つかないことが分かります。「励行」も「敢行」も「決めた内容を曲げずに貫き行う」ことを意味する点では同じですが、その「行い方」に明らかな違いがあります。
「励行」は「規則などの決めた事柄」に対して反することなく、「決めた事柄の通り」に実行することを表します。一方の「敢行」は「悪条件を押し切る」ことをして、実行する様子を言います。大きな違いは、「決めた事柄に悪条件が存在するのか」です。
「悪条件が存在する」場合は「その悪条件を押し切る」意味を持つ「敢行」を使用し、「悪条件が存在しない」場合の「決めた事柄を実行する」に対しては「励行」を用います。たとえば、反対を受けながら実行する場合は「敢行」、毎日の習慣を決めて(反対のない中)実行する場合は「励行」です。
「励行」の対義語になるのは?
「励行」の意味は「規則や決めた事柄の通りに実行すること」でしたが、対義語になる言葉は何でしょうか。確認しておきましょう。
違反
「違反(いはん)」は、「ルール違反・規約違反・交通違反」などの形でよく見かけます。意味は「法規・契約・協定などに背く」で、「背く」は「反する」と同義です。「励行」は「規則や決めた事柄の通りに実行すること」なので、「決めた事柄の通りに実行しない」ことを表す「法規などに背く」を意味する「違反」は対義語になります。
違背
「違背(いはい)」の意味は「規則・命令などに背く」で、「違反」と同じ使い方をされることが多いです。「背く」は「反する」と同義なので、「違反」と「違背」が同じ扱いになることも分かります。意味から察するに、「違背」の方が「命令」などの「その場における絶対的なこと」に対して使用できる印象ですが、同じ扱いだと考えても特別な問題ありません。
不法
「不法(ふほう)」の意味は、2つあります。1つは「法に違反している」、もう1つは「道理や道義に背く」です。「励行」の対義語になる意味は前者の「法に違反している」で、これは「違反・違背」と同義と言えます。後者の意味は、言い換えると「無法・理不尽」になります。
非合法
「非合法(ひごうほう)」は、「法律で定められていることに違反する」という意味を持ちます。また、「法律で許される範囲を越えている」ことを表す時にも使用できます。「違反・違背・不法」と同義語になると言えますが、「非合法」は「法律に対して使う」ことが基本です。
怠惰
「怠惰(たいだ)」の意味は、「怠けてだらしない」です。「励行」は「規則や決めた事柄の通りに実行すること」を意味しますが、それは「怠けない・怠らない」ことにつながります。そのため、「怠けてだらしない」=「行おうとしない」の意味で「怠惰」を「励行」の対義語に挙げました。
怠慢
「怠慢(たいまん)」は、「当然するべきことをしない」の意味を持ちます。意味は「怠けておろそかにする」の表現で説明されることもあり、この意味は「怠惰」と似ていますが、「怠慢」には「当然するべきことを」という要素が含まれます。「怠惰」は「だらしのない怠け」の様子を表しており、「怠慢」は「するべきことをしない」様子を表しているということです。
「怠慢」は「怠慢な行政」や「職務怠慢」といった形で使用されるため、「規則や決めた事柄の通りに実行しない」理由が「怠け」である場合は、「怠惰」よりも「怠慢」の方が対義語に適していると言えます。
横着
「横着(おうちゃく)」の意味は、2つあります。1つは「するべきことを故意に怠ける」で、言い方を換えれば「できるだけ楽して済まそうとする」ことを言います。もう1つは「わがままで図々しい(ずるい)」なので、「励行」の対義語になるのは前者の意味です。
「怠惰・怠慢」と同様に「怠ける」の要素が含まれていますが、「横着」には「故意に」とあります。「怠慢」や「怠惰」も「怠ける」理由は私的なものになりますが、「横着」で表される「怠ける」の方が「わがまま」な印象です。
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懈怠
「懈怠(けたい)」は、「怠ける・怠る」を意味します。すなわち、「怠惰」と同義です。近世頃までは「けだい」と読まれていましたが、現代では「けたい」と読みます。仏教の言葉では「善行を修めることに対して積極的ではない心の状態(精進と対になる語)」を意味しますが、一般的には「怠惰」の意味で使います。
懶惰
「懶惰(らんだ)」は「嬾惰」とも書きますが、意味は「面倒くさがり・怠ける」です。「懈怠」と同様に「怠惰」と同様になる言葉ですが、一般的にはあまり見かけない語と言えます。
「励行」の例文!
「励行」を用いた例文をご紹介します。
手洗いうがい
「手洗いうがいを励行する」の形になりますが、この文が表していることは「手洗いうがいを実行する」です。「励行」=「〜の通りに実行」の意味でしたが、「手洗いうがいの通りに」だと意味がよく分からないため、「手洗いうがいをすると決めた。その通りに実行する」といった解釈をします。
早寝早起き
「早寝早起きを励行する」の形になります。「手洗いうがい」と同様の使い方であり、「早寝早起きをすると決めた。その通りに実行する」=「早寝早起きを実行する」ことを表した文です。
シートベルト着用
「シートベルト着用を励行する」の形になりますが、使い方こととしては「手洗いうがい」や「早寝早起き」と同様です。しかしながら、「シートベルト着用」は「法律(交通法)」で定められている決まりなので、この例文には「法律の要素」が含まれていると言えます。
「励行」を正しく使おう!
「励行(れいこう)」の意味は、「規則や決めた事柄の通りに実行すること」です。「手洗いうがい・早寝早起き」などのように、「それをすると決めたこと」の通りに実行することを表す時に使います。「悪条件を押し切って行う」意味を持つ「敢行」と似ているとされることもありますが、意味の通り、同じではありません。「励行」の意味を理解し、正しく使いましょう。