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「手許」の読み方・手許の現金の使い方・元手との違い|資金

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手許の現金の増やし方

会社を経営している人、自営業の人は「手許」というと「手許現金」をイメージされるでしょう。商売をしていると、当然売上を伸ばすことをまず考えなければなりません。しかし、そこだけに目を向けているわけにはいかないのが経営者という立場にある人たちです。

とにかく売上額を伸ばそうなど、売上にだけ目がいきがちですが、経営者は、「利益率」をきちんと考えなければいけません。しかし、どんどん売り上げが伸びている中では、「利益率なんて眼中にない」となりがちです。

消費者は安価でより高品質のものを求めます。一昔前なら、薄利多売という言葉のような商売が成り立っていました。少しでも安くすれば大量に売れていきました。でも、残念なことに、安くすればいくらでも売れるという時代はもう終わっています。それではどうすれば良いのでしょうか。

資金とは

ある活動目的を支えるためのお金を資金といいます。新しく事業を始めたり、会社を経営するために使われるお金のことです。「自己資金」「運転資金」「事業資金」「創業資金」などは目にしたことがあるのではないでしょうか。

「最近、業績がよくないから赤字を補てんするための運転資金が欲しい」「ここさえ乗り切ればお金が入ってくる見込みがある」という場面では、まず自己資金を使うことを考えるでしょう。それが足りなければ銀行などから融資を受けることになります。

しかし、運転資金を簡単に貸してくれる銀行はなかなかありません。貸し倒れをおそれ、貸し渋り状態にあるからです。銀行へ融資をお願いすると、まずは自己資金の額、担保の評価額を確認されます。それがクリアできたら、返済計画です。二重にも三重にも高いハードルをクリアしなければ融資を受けることができません。

手許の現金を増やすには

そこで、経営が苦しくなる前に、会社の資金を増やすこと、特に手許の現金を増やすことを考えなければなりません。手許に現金があれば、安心材料にもなります。

手許の現金を増やすにはお金のまわりが良い経営をする必要があります。そのためにはいくつか方法があります。売り上げを伸ばすこと、無駄な支出をなくし支出を減らすこと、受け取りと支払いのタイミングを考えることなどです。

ですが、何もせずに売上を伸ばすことはできません。仕入れのためのお金や新聞広告・ネット広告などの広告費などが先に必要になるからです。いくら売り上げを伸ばしても、利益が変わらないようでは手許の現金は増えません。

では手許の現金を増やすにはどのようにすればよいかというと、値引きをしないことです。値引きをすると、それは売上額の減少、言い換えれば支出の増大となります。

高い値段で売ることのリスク

値引きをしないということは、高い値段で売るということではないかと感じる人もいらっしゃるでしょう。少しでも安くしなければ売れないのではないかと考えがちですが、実はそうでもありません。

安かろう悪かろうよりも、少々高くても品質が高いものを選ぶ消費者が増えてきています。「高い代わりにこれだけのサービスがあります」とか、「この部分にこだわりました」という明確なセールスポイントがあれば、高い値段でも顧客は満足してくれます。

顧客満足度をあげること、顧客に会社のファンになってもらうことが、利益率をあげ、ひいては手許の現金を増やす大きなポイントとなります。売上の額だけでなく、利益率を冷静な目でみてください。そうすれば手許の現金が増え、従業員への給料もあがり、良いサイクルがうまれていきます。

「手許」の読み方

ここまででたくさん「手許」という言葉がでてきましたが、正しく読めていますか。「しゅきょ」ではありません。もちろん「てきょ」でもありません。

「手」の読み方は、音読みが「シュ、ズ」、訓読みが「て、た」です。「許」の読み方は、音読みが「キョ、コ」、訓読みが「ゆる(す)、ばか(り)、もと」です。

手の読み方が全部で4パターン、許の読み方が全部で5パターンあります。考えられる読み方の組み合わせは20パターンです。これを勘で当てるのはなかなか難しいでしょう。それではそろそろ正解発表にいきます。正解は「てもと」です。手も許もどちらも訓読みで読みます。

手許と元手の違い

それでは次に、誤認されやすい手許と元手について確認していきましょう。それぞれの意味をきちんとおさえておきたいところです。

手許とはこんな意味

それでは手許の意味についてみていきましょう。手許には①手の下、手の届くあたり②手で持つ部分、③手の動き、④生計をたてるためのお金や暮らし向き、⑤箸、⑥腕前や技量、⑦手許金の略という7つの意味があります。

いくつかの例文をあげていきます。①の意味では「手許にない」「手許に置く」、③の意味では「手許が狂った」、④の意味では「手許が苦しい」などがあります。「手許が狂った」は「狙いがはずれた」という意味です。

弓道をしていて、的と全然違う方向に矢が飛んで行った場合などに使います。「手許が苦しい」は「生活が苦しい」という意味です。生活が苦しいという直接的な表現よりも、手許が苦しいといったほうが少しぼやかした表現となります。

元手とは

手許と似たような言葉で元手というものがあります。「てもと」と「もとで」で、上と下を入れ替えただけではないかと思われる方もいるでしょう。元手とは、資金(事業を始めようとするときに必要な金銭)や資本(生活や利益を得るためのもととなるもの)という意味です。

おわかりのように、手許と元手では金銭的な意味では同じような使い方をする場合があります。しかし、例えば「商売は体が手許」とは言いません。「商売は体が元手」あるいは「商売は体が資本」といいます。元手は資本と同義語だと考えて良いでしょう。

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手許と雛形の違い

それでは次に手許と雛形の違いについてみていきます。雛形を手許と同じ意味で使っているケースも見受けられます。雛形とは何かをみていきましょう。

雛形とは

雛形とはフォーマットや①実際の型を模して小さく作ったもの(模型)、②物の形式や様式を示す見本(手本)、③モデルのことです。③は文豪の小説などで出てくることがありますが、日常ではあまり見かけない表現です。また、「繰り返し使用できるファイル」として使われることもあります。

このように、手許と雛形には、先ほどの元手のような共通する意味はありません。したがって、雛形を手許のように使っている場合は誤用と理解した方がいいでしょう。

簿記での手許の扱い

経営者や自営業であった場合、簿記がある程度できていたほうが良いケースが多いです。また経理部門で仕事をしていると、ほとんどの会社では簿記ができることが第1条件となっています。簿記では「手許商品」「手許現金」「手許材料」というワードを目にすることが多いです。それぞれについてみていきましょう。

手許商品と試用販売

手許商品とは売れずに在庫として残っている商品のことです。また、手許商品と関連している言葉に使用商品があります。試用販売には次のような手許処分区分法と対照勘定法の2つの考え方があります。

まず、試用販売とは、相手の会社に先に商品を送り、試しに使ってもらって、それから購入するかどうかを決めるという販売方法のことです。買い取りの意思を受けた時点で売上となります。このとき、試用品(試送品)の扱いをどのように処理するかについて、先ほどの2つの方法が使われます。

手許処分区分法では、売上はまだ発生していないものの、売れ残っている在庫とは違い相手に送られているので手許にないことから、手許商品とは区別するという方法です。それに対して、対照勘定法は、試用品と手許商品とは区別しないものの、相手に送ったという事実を忘れないように対照勘定を使って記帳しておく方法です。

手許現金とは

手許現金とは金融機関での預貯金や株券のような有価証券ではなく、いま手元にある硬貨や紙幣などの現金のことです。例えば、普通預金から手許現金として50,000円引き出した場合は、(借方)現金 50,000円、(貸方)普通預金 50,000円と帳簿に記入します。

手許材料とは

手許材料とは、保有している材料のことです。これは日商簿記などの商業簿記ではでてきません。建設業経理士など、建設に関わる簿記をするときに目にします。例えば手許材料を300,000円分使った場合には、(貸方)材料 300,000円と記帳します。

建設会社の倉庫にはセメントや建築材などがたくさんあるというケースがでてきます。そこでわざわざ他社の割高な材料を買う必要はないため、ストックしている材料を消費するということで、資産の消費にあたるため(貸方)に記帳します。

手許の類語

今度は手許の類語をみていきましょう。どのようなものがあり、どのような使い方をされるのかおさえていきます。

手許と手元

「てもと」と打つと「手許」「手元」がでてきます。先ほど、手許と元手は違うと言いましたが、手許と手元は基本的に同じ意味です。ただし、「生活が苦しい」という意味の「手許が苦しい」の場合は「手元が苦しい」とは言いません。その類語としては「貧乏」や「金欠病」などがあてはまります。

御がつくとどうなる

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手許や手元に御をつけた御手許や御手元という言葉をみたことがない人はいないでしょう。御手許と御手元では少しニュアンスが異なります。

御手許は手許を丁寧にした言葉です。「御手許の資料をご確認ください」「御手許金」などに使われています。では御手元はというと、同じ意味であることには変わりないのですが、私たちが普段、目にしている場面が違ってきます。

御手元は割りばしの箸袋に書いてあることが多いです。ひらがなで「おてもと」となっていたり、「お手元」となっていたりします。箸は指で使うものですから手元にあるものということでこう呼ばれるようになりました。御手元やお手元、おてもとは箸というイメージが強いので、御手許と書く方が無難です。

手許の使い分け方法

先ほど述べたように手許には主に7つの意味があります。ですが、ビジネス上では手元金を意味する場合がほとんどなので、「資金」あるいは「資本」と言い換えることも可能です。手元金は手持ち金ともいいます。

ビジネスから離れた日常生活の場面では、他の6つの意味で混在され使われています。ビジネス面か日常生活面かによって手許を使い分けていきましょう。

手許を正しく使えば評価はワンランクアップ

繰り返しになりますが、手許には7つの意味があります。きちんと理解できているか、正しい場面で正しい使い方ができているかをおさえておけば、周囲から一目置かれ、高評価を得られるでしょう。簿記でいう手許とは現在手元にある貨幣のことで預貯金や有価証券は含まれません。商売ではちょっとした勘違いが命取りになります。正しく使い分けましょう。
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