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改善提案のネタの集め方|事務/工場/営業/品質・書き方や事例

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改善提案とは?

日本が誇る大企業であるトヨタ自動車の「トヨタ生産方式」が、生産力の向上を目的として生み出され成功したことは有名です。その成功によって、改善提案はわが国の多くの企業で導入されるとともに、海外においても「Kaizen」と表現されて広がりを見せています。まずは、改善提案とはどういうものなのかを見ていきましょう。

改善提案の内容は?

改善提案の内容は、生産設備の改良や、制作など業務効率の向上、作業安全性の確保など生産に係る範囲全てにわたっています。特徴として、改善提案は上からの命令で実行するのではなく、現場の人間が自らアイデアを出して変えていくことにあります。

改善は一度行えば終わりではなく、改善を繰り返していく持続性・継続性が重視されています。日本の製造業が国外へ進出した際に、日本から派遣されたトレーナーが現地従業員に指導したり、マサチューセッツ工科大学における日本の製造業の強さの研究などを通じて、国外にも広がりました。

改善提案の目的は?

では、改善提案はどのような目的で実施されるのでしょうか。先述したように、改善提案の大きな特徴は、「上からの命令で実行するのではなく、現場の人間が自らアイデアを出して変えていくこと」にあります。

改善提案の究極の目的は、言うまでもなく「自分の会社の計測的な繁栄」ということです。しかしながら、改善提案の特徴から推して考えると、第一義的には、「現場で働く人間の作業がより安全に、効率的に行うことができるようにすること」にあって、引いては、それが会社全体の利益に繋がるという発想に基づくものと言えます。

このように、当初は現場重視、現場目線で始まった改善提案ですが、時間の経過とともに、その姿が変容しているのではないでしょうか。

改善提案制度が形骸化している!

官公庁も含めて、多くの企業や組織で改善提案制度が設けられています。うまく機能している組織もあるでしょうが、多くの組織が低調傾向にあります。制度があるから運用しなければならないと、義務感で実施している組織も多いでしょう。その原因はどこにあるのでしょうか。

改善提案しても実行されない!

多くの組織で取り入れられている改善提案制度ですが、改善提案の応募件数が低調であるところが大半です。その一番大きな原因は、せっかく改善提案が出されても、様々な理由から実行されないというところにあります。

意欲に満ちている新人の頃は、改善提案の募集があると一所懸命に考え、応募する傾向にあります。しかし、できない理由を並び立てられて、結局実行されないという経験をしてしまうと、次から応募しようという気になるはずがありません。最悪の場合、会社へのロイヤリティが、著しく低下することにも繋がりかねません。

上からの命令になっている!

改善提案とは、そもそも「現場目線」から始まった制度でした。ところが、年月の経過とともに、下からの改善提案に対するニーズがさほど高くなくても、上からの命令で形式を整えることが目的になってしまっているケースが少なくありません。

改善提案が出てきたとしても、あらかじめ、上役受けしそうな内容の改善提案が多く、表彰はされるものの、現場での実行はされないという本末転倒の現象が生じています。そのことを敏感に感じている人は、決して改善提案など出そうとはしないでしょう。

改善提案制度を機能させるためには?

それでは、低調傾向にある提案改善制度を機能させるためにはどうすればよいのでしょうか。

テーマを絞りこむ!

「何でもいいから、ともかく改善提案を提出せよ」というような上意下達式の運用では、良い改善提案は期待できません。構成員の意識や気持ちを集中させるために、組織のビジョンやミッションなどに基づいたテーマの方向付けと絞り込みが必要です。

そして、改善提案の評価基準や審査のプロセスを明確にするとともに可視化して、構成員が改善提案を出そうというインセンティブを高めるよう工夫する必要があります。

他部署への提案は工夫を!

改善提案が行き詰る大きな原因の一つが、他部署への提案の取り扱いです。大きな組織になればなるほど、セクショナリズムが発生しやすくなります。どの部署も、他の部署からの改善提案を快く感じません。「事情も分からない者が、内の仕事に口を出すな」という気持ちが生じるからです。

とはいえ、組織全体からすれば、できるだけこのようなセクショナリズムは無くしたいと考えています。そこで必要となるのは、「他部署への提案はサポート提案に限定する」という工夫です。サポート提案とは、「○○部署に対してこのようなサポートができます」という改善提案です。

このサポート提案を行う前提には、「うちの部署はこんなことに困っている、課題がある」という情報を組織内で共有している必要があります。サポート提案がうまく機能すれば、組織内のコミュニケーションの円滑化という二次的な効果も生まれるでしょう。

身近な改善提案を実行し、成果をみえる化する!

改善提案制度に対する構成員のモチベーションは、実行されることで最大化されます。そこで必要となるのは、ともかく、一番身近な自部門の改善提案を実行することです。

自部門の仕事の改善を推進するポイントが二つあります。一つは「テーマを限定せず、気付いたことは何でもOK」にすることです。大きな改善よりも小さな改善の方が実行しやすく、実行されることでモチベーションが高まるという好循環ももたらします。

二つ目は、「改善提案の効果を組織全体に知らせること」です。一つの部門での成功事例は他の部門にも刺激を与え、組織全体に改善のインセンティブが広がることに繋がります。組織として大きな財産になるでしょう。

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改善提案のネタの集め方は?

それでは、改善提案のネタの集め方について職種別に見ていきましょう。

事務の改善提案は?

まず、事務部門の改善提案について見ていきましょう。

(1)業務の棚卸し:まずは自部署で行われている全業務を洗い出します。その後、「仕事の種類」「担当者」「発生頻度」「難易度」の視点で業務を整理します。

(2)改善する業務の優先順位付け:次に、全業務の中から何を優先して改善を行うか優先順位を付けます。優先順位は、「改善の難易度」と「改善の効果」の二つの軸で考えます。

「改善の難易度」とは、改善を行うために必要なお金、時間、手間です。それぞれが大きいほど難易度が高いということになります。また、「改善の効果」は、改善によって得られるお金、時間、手間の削減量です。

「改善実行の難易度が低く、効果が高い業務から改善を始める」のとき、最初に容易な業務改善がうまくいくと、その後の業務改善に弾みがつきます。逆に、難しいものから取り組んで成果が出なければ、構成員のモチベーションが低下します。

工場・製造業の改善提案は?

工場・製造業での改善提案のポイントを見ていきましょう。この部門は、比較的早くからQC活動が盛んにおこなわれており、業務改善も他の部門より進んでいると言えるでしょう。ただ、だからこそ、継続的な業務改善が行われないというリスクもあります。

そこで、改めて現在の業務を俯瞰してみることが必要です。その際の視点として、(1)その作業は本当に必要か(2)その作業は何のためにやるのか(3)もっと早く処理できないか(4)オートメーション化できないか(5)他の人でもできないかなどです。

そして、さらに具体的に(1)工程不良を減らす(2)出来高を上げる(3)生産システムを構築する(4)可視化する(5)整理整頓をする(6)経費節約をする、などの目標を持って改善提案のネタを探すことが必要です。

現場における改善に終わりはありません。一つの改善が実現しても、さらなる改善に向けて提案を繰り返すことが必要です。

営業の改善提案は?

営業部門において、改善の重要性を軽視されがちなのが「時間短縮」です。営業の仕事は、顧客先を回って受注を得ていくという作業を中心に、そのための資料や契約書を作成します。昼間は顧客回りで夕方以降に社内に戻って事務処理をするといったパターンでしょう。

また、活動が個人単位になるため、同じ営業部門でも情報の共有化が図られていないケースが多いです。そこで、改善のポイントとして、(1)仕事を整理する:営業スタッフの予定や業務にかかる時間、帰社時間と残業時間、顧客訪問の状況、などを共通フォーマットに入力する。

(2)仕事を見える化する:入力されたデータについて、組織内でオンライン化が進んでいる場合は、営業スタッフの情報を共有化する。

この作業を行うことで、スタッフによって、時間や受注量などが偏在していることが見えてきます。業務シェアの見直しや他部門への業務依頼などの改善が進むでしょう。

品質の改善提案は?

品質の改善提案には、定番の「QC七つ道具」を活用します。具体的には、問題の発見やその原因、対策後に問題が解消したのかを確認する作業を「グラフ」を用いて行います。
QC7つ道具 内容
パレート図 現象別に層別してデータを取ることにより、重要な不良や問題点を見つけ出すことができます。
特性要因図 原因と結果の関係を整理できます。「魚の骨」とも呼ばれています。
グラフ データの比較が目で見て分かりやすくなります。全体像が把握できます。
管理図 工程が安定しているか見ることができます。
チェックシート データの分類や項目別の分布、出現状況を把握できます。
ヒストグラム データのばらつきが可視化できます。
散布図 2つのデータ間の関係を見ることができます。
層別 データをグループ別に分けて問題点を把握する方法です。

改善提案の書き方や事例は?

それでは、改善提案の書き方や事例をお示ししましょう。

標語・スローガンは?

まず改善提案の標語やスローガンを見ていきましょう。全国通信用機器材工業協同組合が行っている改善提案標語入選作品から抜粋します。

・「破る知識 超える限界 新たな視点で 生まれる改善」・「改善は 素朴な疑問が出発点 ふとした気づきが大きな成果」・「意識が変われば 目線も変わる 皆で生み出す改善提案」・「3K「気づき」「考え」「行動する」の感性を高め日々改善」・「品質は企業の顔です心です 皆で築こう顧客の信頼」・「信頼を得るも無くすもその手から」

・「日頃の小さな気配り、大きな目標、目指そう品質クレームゼロへの挑戦」・「わが社では 一人ひとりが 品質保証の責任者」・「取り組もう CO2CO2(コツコツ)削減 温暖化」・「微力でも 無力ではない エコ努力」・「資源は有限、発想は無限、知恵を絞って省エネ対策」・「心を綺麗に空気をキレイに みんなが主役のエコ活動」

参考にしてください。

5Sは?

5Sのうち、「整理」とは、必要なもの、必要でないものを分けて不要なものを捨てること、「整頓」とは、必要なものはすぐに取り出せるようにすることです。整理をするだけでも、必要でないモノの多さや同じモノがいくつもあることに気付き、無駄なモノを買っていたと反省することでしょう。

まずは自分のデスクの中を見てください。ボールペンや消しゴム、サインペンなどたくさんないでしょうか。その中から必要なものを出すだけでも時間がかかりそうです。製造現場では生産性の向上が必須ですが、同じ時間で何個多く生産できるかがポイントです。

事務系も同様で、短時間で効率的に作業ができるように、筆記用具は場所を決めておく、パソコンの中のフォルダーは誰が見ても分かりやすいように整理して共有化しておく、不要なファイルは削除する、これだけでも作業のスピードは格段に違い、作業効率の違いが実感できるでしょう。

経費削減は?

経費を削減するためには3つの視点があります。(1)今あるものを一度整理する:まず、組織にある資産や備品を整理することです。資産の棚卸しです。棚卸しを実施するためには全部門の協力が必要ですが、各部署が協力して組織を挙げて行うことが不可欠です。

その結果、「備品の重複の有無や経費削減効果」、「備品の種類と管理部署の一元化」、「全体で管理すべきもの」などが明らかにできます。

(2)管理部署を明確にする:ハサミやのりなどの備品は総務、システムのライセンスは情報システム部など、必要な資産・備品ごとに管理部署を明確にします。購入する際のチェックを厳格にすることで経費の削減に繋がります。

(3)ルールを決める:管理部署の備品の内容ごとにルールや方針を決めます。よく利用するもの、需要予測ができるものなら、発注回数を少なくし1回当たりの発注個数を多くすることで経費が削減できます。

清掃は?

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清掃とは、「職場をきれいな状態にして、いつでもすぐに仕事ができるようにすること」です。例えば、工場のラインで、始業前に清掃を行うことで、万一油漏れやさび、金属粉の飛散などが見つかれば、その設備に大きな故障が発現する前に手立てすることができます。

清掃は毎日コツコツと続けるところに意味があります。そこでポイントとしては、「1作業1片付け」で、時間をかけずにこまめに清掃をすることが挙げられます。

例えば、出張に行った後、カバンの中の書類や交換した名刺はすぐに出して整理することです。そうすれば、スムーズに報告書の作成に取り掛かれますし、名刺交換をした人に、すぐにメールや電話を入れることで好印象が持たれ、ビジネスチャンスが広がることにもなるでしょう。

発表資料は?

発表資料としてを使うケースが多い、パワーポイントを想定してお示ししましょう。まず、亜鉛隊の構成ですが、その際に「PREP法」を用いるのが有効でしょう。

「PREP法」とは、(P)OINT:結果、(R)EASON:理由、(E)XAMPLE:具体例、(P)OINT:結果の頭文字を取ったもので、文章の構成方法の一つですが、プレゼンにも活用できる手法です。

改善提案の場合の手順として、①「何を提案したいのか」を述べる、②「なぜ、その提案をするに至ったか、現状と課題」を述べる、③「改善の結果どのような状態が期待できるかを数値を入れて示す、④最後にもう一度結論を述べ、実行することで組織全体として非常に有益であることを重ねてアピールする、という組み立てをすればいいでしょう。

制限時間を守るのは必須事項です。1分間300字程度と想定して資料の分量を調整しましょう。

報告書は?

次に、報告書の書き方について見ていきましょう。文章の構成については、先にお示しした「PREP法」が有効です。ここでは、報告書に入れるべき必須事項についてお示しします。必要なな項目は次の通りです。

・現状、・問題点、・改善提案の趣旨、・改善提案の具体的内容、・必要となる経費や時間、・期待できる効果、・実施に当たっての問題点、・必要な添付資料

特に大事な点は、提案内容をできるだけ具体的に示すことです。その際には6W(Who誰が  Whom誰に Whenいつ Whereどこで What何を Whyなぜ)3H(HowどのようにHow manyどのくらいの数で How muchいくらか)を明確にしましょう。

改善提案が思いつかない時の対処法は?

改善提案の提出が求められているが思いつかないという悩みを持つ人も多いでしょう。その時の対処法を見ていきましょう。

具体的な対処方法は?

改善提案のコツとして次のような点が挙げられます。①改善を定義づける:例えば組織のミッションやビジョンから発想します。②身近なところから探す:毎日仕事をしていて、こんなやり方はどうかとか、机のレイアウトを変えればなど気付いてはいても無視している場合が少なくありません。まずは身の回りの小さな変化を起こしましょう。

③他部署や同業他社の事例をリサーチする:模倣は駄目だと思い込まずに、良い例はどんどん模倣しましょう。まったく同じやり方はNGです。自部署の組織風土などに合わせた仕様にリフォームしましょう。

改善提案を機能させて持続可能な組織経営を!

改善提案について、現状における制度の問題点も含めて、いかにすればよい改善提案を出すことができるのか考えてきました。改善提案は、第一義的には働く人のためにあるもので、その成果が組織全体の駅に繋がります。働きやすい職場環境を創るためにも、積極的に改善提案を活用しましょう。
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