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「参ります」の意味と5つの用法・例文|「伺います」との違い

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「参る」とは

「後日参ります」「して参ります」など、丁寧な言葉遣いのときによく耳にする「参る」という言葉、これはいったい何なのでしょうか。中学校、高校の国語の古文を覚えている方は、昔の会話にもこの「参る」がよく出てきたことを思い出す方もいるでしょう。

この記事では、「参る」を用いた「参ります」という言葉の意味と使い方を例文とともにご紹介していきます。また、似た意味をもつ「伺います」との違いについても説明します。

「参入る(まゐいる)」が転じて誕生した言葉

「参る」は、古語で使われていた「参入る」が転じた言葉だと言われています。「参入る」は「 貴人の住居など高貴な場所に入ること」「目上の人のもとに行くこと」という意味があります。

古語は、現代語よりも身分による言葉遣いがはっきりと分かれていて、使われている言葉だけで上下関係がわかるようになっています。「参る」はそのころの言葉遣いを引き継いだ単語であると言えるでしょう。

「参る」には色々な意味がある

現代語にも残っている「参る」という言葉には、多くの意味があります。ただし、これらの意味に共通しているのは、「自分(または主語に相当する人物)が低い立場や不利な状況にある」というニュアンスを持つということです。

現代語の「参る」も、古語の「参入る」の意味を引き継いでいるので、「目上の人のところに向かう」という意味の謙譲語として使うことが最も多いでしょう。そのほかの意味についても後述します。

「参ります」の使い方

「参ります」は「行く」や「来る」の謙譲語である「参る」に、丁寧語表現である「ですます調」の「ます」が付いた言葉です。敬語の扱いとしては謙譲語に属するとされ、「誰かが来る」「自分または自分側の人が行く」「〜くる(迫ってくるなど)」「〜いく(生きていくなど)」といった表現の際に用いられます。

実際に使用する上ではこのように、「参ります」の敬語の種類についても知っておく必要があります。

「参ります」の主な意味の使い方

ここからは、「参ります」の使い方を意味ごとにご紹介していきます。「参ります」は、数ある敬語表現の中でも、最も使用頻度の高い言葉と言えるでしょう。

先に述べたように、幅広い意味を持つ言葉であるからこそ、この用法ではどの意味を表しているのかしっかりと理解しておく必要があります。使用頻度の高い言葉ほど、誤用してしまったときの恥ずかしさは大きくなります。ここで確認しておきましょう。

1.「行く」の謙譲語あるいは丁寧語

「参ります」の一番メジャーな使い方としては、「行く」という動詞の謙譲語、または丁寧語として用いることが多いでしょう。謙譲語は自分側を下にする表現なので、自分や自分側の人間が「行く」時に使用できます。

例えば、面接や取引でこちらから先方に出向くことを伝えるときに「〇月〇日の×時に参ります」などというように使うことができるでしょう。自分だけでなく、自分の会社の身内や、家族の行動にも使うことができます。

2.「来る」の謙譲語あるいは丁寧語

「参ります」は、「行く」という意味だけでなく、その反対の意味の「来る」という意味でも用いることができます。「帰って参ります」という時の「参ります」は、「来る」という意味で使われている例の1つです。

外部の人からの電話などで、不在にしている人に対する問い合わせを受けたときには「○○は×時頃に戻って参りますので折り返しご連絡差し上げます。」などのように使うことができるでしょう。

3.「降参」の意を相手に表明する

「参ります」は「降参します」という意味も表すことがあります。「負けました」という意味で「参りました」という表現をしているのを聞いたことがある人もいるでしょう。「降参」という意味での「参りました」は囲碁の対局で投降を表すときの決まり文句でもあります。

「参ります」は「ます」がついていて丁寧語の表現になっていますが、単に「参った」と言っても「降参だ」「負けた」という意味を表すことができます。

4.「困惑」の気持ちを表す

「参ります」は「困惑しています」「困っています」という気持ちを表すこともできます。この意味で使うときは「参ります」というように現在形で用いるよりは「参っています」「参ってしまいます」というように進行形や、状態を表すような活用形で用いる方が良いでしょう。

「旅先で自動車が故障して参ってしまった」「手続きが煩雑でちっとも進まず参っている」というように使うことができるでしょう。

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5.「肉体や精神が弱る」の意味

「参ります」には、「体調が悪くなる」「精神的に疲れる」という状態を表す意味も含まれています。「困惑する」という意味の「参ります」と同じような用法で使います。

「今年の酷暑には参ってしまった」という場合、「夏が暑すぎて体調を崩してしまった」という意味を表しています。「ストレスで参ってしまう」という場合は、「ストレスで精神的に弱ってしまう」という意味です。

「参ります」の例文

それでは、ここからはビジネスシーンでよく用いられる「参ります」の例文をご紹介していきます。これらの表現はそのまま使っても良いものばかりなので、ぜひ活用してみてください。

ビジネスシーンでは、人や物の行き来が毎日のように起こります。従って、この「移動」に対して用いることのできる「参ります」という表現は、当然頻繁に用いられることになります。ここで使い方をマスターしてしまいましょう。

「すぐにそちらへ参ります」

「すぐにそちらへ参ります」は、「すぐにそちらへ行きます」の謙譲語表現です。自分が処理している案件に関係することで、離れた場所で何かトラブルが起き、外部の人や目上の人から連絡を受けている状況を思い浮かべてください。

ここでの「参ります」は1つ目でご紹介した「行きます」という意味で使われています。ビジネスシーンでは、自分が駆けつけることが求められるシーンがよくあります。そんなときにこの例文を用いましょう。

「お迎えの車が参りました」

「お迎えの車が参りました」は、「お迎えの車が来ました」の謙譲語表現です。目上の人や、ゲストの方のために車を手配していて、その到着を伝えるときなどに使う表現でしょう。

ここでの「参ります」は、2つ目でご紹介した「来ます」という意味で使われています。「行く」と「来る」の2つの意味は、ビジネスシーンで使われる「参ります」のほとんどを占めていると考えても良いでしょう。

「夏の暑さには本当に参ります」

「夏の暑さには本当に参ります」は、「夏の暑さには本当に煩わされます」という意味です。ここでの「参ります」は謙譲語ではありません。

この用法での「参ります」は、4つ目でご紹介した「困惑する」と、5つ目でご紹介した「肉体や精神が弱る」という意味のどちらでも受け取ることができます。暑さに困るのと、暑さで気持ちがマイナスの方向に動くというのは、本質的には同じなのでどちらでとっても良いでしょう。

「残業続きで参っています」

「残業続きで参っています」は、「残業が続いて体調を崩しています」または、「残業が続いて精神が弱っています」という意味です。残業続きの状況は体力も消費しますし、精神的にも疲れてしまいます。

ここでの「参ります」は、5つ目でご紹介した「肉体や精神が弱る」という意味で用いられています。ただ、肉体的な疲れよりも精神的な疲労の方を表すことの方が多いでしょう。

「頑張って参ります」

「頑張って参ります」は「頑張ってきます」の謙譲語表現です。大会など、「本番」に出向く前に「精一杯努力する」「ベストを尽くす」ということを宣言する目的で言うことが多いでしょう。

決戦の場に行って、良い結果を残して「帰って来る」というニュアンスをもつ表現であることから、ここでの「参ります」は2つ目でご紹介した「来る」の謙譲語としての用法であると言えるでしょう。

「取り組んで参ります」

「取り組んで参ります」は「(これから)取り組んでいきます」という意味を表しています。会社の経営方針を公表する場面などで「このようにしていく」「これから頑張ります」ということを宣言するときに使うことが多いでしょう。

これから取り組んで「行きます」というニュアンスを持つ表現であり、ここでの「参ります」は1つ目の「行く」の謙譲語としての使い方であると言えるでしょう。

「参ります」を使用する際の注意点

「参ります」は、以上のように幅広い場面で用いることができる言葉ですが、使用する際には注意する点がいくつかあります。以下に注意点を述べていきます。

「参ります」は、誰でも知っているような基本的な敬語表現です。したがって、この使い方を間違えてしまうと、「教養のない人」と思われてしまう可能性があります。このようなことで評価を落とさないよう、正しく用いましょう。

自分よりも目上の相手に用いる

「○○して参ります」「こちらから参ります」などのように、「行く」「来る」の意味をもつ「参ります」は謙譲語なので、自分よりも目上の相手と話しているときに使います。会社の外部の人は基本的に目上として扱います。

自分の同僚や部下には「参ります」を使うことはありません。使ってはいけないというルールはありませんが、相手には違和感を感じさせてしまうでしょう。

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相手のことを表す時には使用しない

また、謙譲語である「参ります」は、相手の行動について言い表すときには使いません。謙譲語は「主語に当たる人物」をへりくだらせる機能を持つので、もし相手に使ってしまった場合、相手を見下していることになってしまいます。

相手が自分よりも地位が低い場合でも、相手に謙譲語を使ってはいけません。これはビジネスシーンだけでなく、日本人としてのマナーです。

公用文には使用しない

「参ります」を使う際にもう1つ気をつけておきたいことは、報告書などの公用文では用いらないということです。「参ります」は、丁寧な言葉ではありますが、口語として使われることが普通ですので正式な文章では用いられません。

文章ではあまり用いられません。ただし、メールは話し言葉と文語体の中間のような位置にあり、「参ります」もよく用いられます。

今日から使える敬語表現を覚えましょう

「参ります」のように、ビジネスシーンで頻繁に用いられる敬語表現はたくさんあります。公的な場所では、言葉遣いひとつで能力を打診されてしまうこともあります。誤用は絶対に避けたいところです。

敬語は実践のための言葉ですので、机に向かってじっくり勉強する必要はありません。よく使うような言葉から使いなれていくことが一番です。こちらのハンドブックには、読んですぐ使えるような表現が詰まっているのでです。

「参ります」と「伺います」の違い

「参ります」と「伺います」は意味が混合されやすいとされますが、意味は少し異なります。意味を表面的に見るとどちらも「行く」を表す言葉として使用することが可能ですが、意味合いの部分を見てみると使い方の違いが見えてきます。

これら2つの表現は、意味は似ていますが敬語としての機能が少し異なっています。それでは、「参ります」と「伺います」の違いをお伝えします。

「参ります」=「行く先」に敬意を示す

謙譲語は自分側を下にする表現なので、自分や自分側の人間が「行く」時に使用できます。謙譲語として「来る」の表現をすることは、相手の「来る」行動に敬意を示して謙遜する姿勢を表すことになります。

「参ります」は「行く・来る」を意味する謙譲語です。「参ります」における「行く」や「来る」はその言葉のとおりの意味であり、誰かが足を運んでいる様子を表しています。

「伺います」=「聞き手」に敬意を示す

「伺います」は、その時に話している相手に敬意を表す表現です。この点が「参ります」とは異なっています。「行く」という行動そのものや、行き先ではなく、主に話の相手を敬っています。

この違いはそれほど気にすることはないでしょう。聞き手と訪問先は一緒である場合が多いので、結果的には「参ります」と同じ対象に敬意を示すことになることが多いですが、厳密には上記のような違いがあります。

「参ります」の意味を理解して正しく使おう

「参ります」は、「行く」「来る」の謙譲語、そして「降参する」「困惑する」「肉体や精神が弱る」という意味を持つ、幅広い用法ができる言葉です。頻繁に用いられる言葉の1つでもあるので、正しい意味を理解して適切に使うように心がけましょう。

ビジネスシーンでは言葉遣いがしっかりしていることは、意外なほどその人のステータスに関わってきます。周りからの信用を得るためにも正しい用法をするようにしましょう。

謙譲語を使いこなそう

ビジネスシーンでは、相手の行動よりも「自分が何をしたか」「自分がこれから何をするか」ということを言い表すことの方が多いでしょう。したがって、謙譲語の使用は避けられません。

謙譲語をしっかりと使いこなせるようになると、どんな相手にも自信をもって対応することができるようになります。言葉遣いは聞き手の感情に影響します。お互いに気持ちの良いコミュニケーションをするために、謙譲語をマスターしておきましょう。

「する」の謙譲語と使用例

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「言う」の謙譲語・例文
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