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「考察」の意味と使い方・論文・レポートでの書き方・書き出し方

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「考察」の意味と使い方・論文・レポートでの書き方・書き出し方

日本語には同音異義語がたくさんあります。例えば「コウサツ」という音に対して、「考察」「高察」「高札」「絞殺」など意味が違うので別の漢字を当てる言葉がいくつもあります。漢字を見ればだいたいの意味がわかるようになっていますが、パソコンで文章を書くことが一般的になっている昨今、同音異義語には十分注意しなくてはなりません。

他方、「考察」と似たような意味の言葉、すなわち類義語がたくさんあります。漢字は表意文字ですから、「考察」は「考える」ことと「察する」ことを合わせた意味の言葉になることはすぐにわかりますが、その類義語とどのように意味が違うのか、またどのように使い分けたらいいのか、知っておくことが大事です。

「考察」の意味と使い方

「考察」の意味は、ただ考えるというのではなく、何かある物事を明らかにするためによく調べることも含まれています。「察」という文字が「警察」にも使われていることを思い出してみるとよくわかるでしょう。「考察」という言葉の意味としては、何かあることを明らかにするためによく調べること、そしてそれをもとに考えをめぐらすこと、となります。

ですから「考察」は、何かを明らかにするためにいろいろ調べて、それをもとによく考えることという意味になりますから、例えば「今後の労働環境の改善について考察する」というように使います。それでは、いくつかの場面での使い方、類義語との違いなどを考えてみることにしましょう。

「考察」の論文・レポートでの書き方

「考察」はその意味からすると、論文やレポートにふさわしい言葉です。論文で大切なことは、この論文で何を明らかにするのかという問題を最初にあげることです。この問題を解決するために、先行研究を調査し、そのほかにさまざまなことを調べて考えをめぐらせるのですから、論文こそ「考察」の意味にぴったりの文章構成と言えます。

レポートは論文ほどの分量も先行研究の調査も必要はありませんが、やはりあるテーマについてさまざまな調査をして、その結果からいろいろ考えをめぐらせる必要があります。レポートも「考察」が大切であることは論文と同じです。「考察」するための資料収集と「考察」した結果の報告がレポートです。

それでは、「考察」の意味がうまく使われている論文やレポートのタイトルの例をいくつか考えてみることにしましょう。何を明らかにするために、どのような調査を行い、それをもとにしてどのように考えて結論を出したかということ、つまりどのような「考察」がこの論文やレポートで行われたかということがよくわかるタイトルにすることが大切です。

「ドイツ企業の東欧進出の歴史と現在の役割について」
「明治維新における大商人と幕府との関係についての一考察」
「大土地所有者としての貴族に対する産業革命の果たした意味について」

書き出し

論文やレポートのタイトルに、この論文やレポートで取りあげるテーマについての「考察」が示されるようにしなくてはなりませんが、同時にまた、書き出しが大事です。書き出しがまずいと、そのあとこの論文やレポートを読んでもらえないことさえあります。書き出しはそれほど意味があります。その例を考えてみることにしましょう。

「本論文は、バブル崩壊後のわが国の経済がどのような危機に直面したのか、そしてその危機をどのようにして克服しようとしたのかについて、おもに○○社の取り組みを例にして明らかにしようとする。」

理科における「考察」の意味と使い方

理科で用いる「考察」の意味は、これまでに述べてきたのとは少し違います。何かを明らかにするためにいろいろ調べて考えるというのが、これまでにみてきた「考察」の意味ですが、理科では「何かを明らかにすること」を目的にすることはありません。理科では、実験によって得られたデータがあり、そこから何かを明らかにします。

何かを明らかにすることが目的ではなく結果であるというのが、理科での「考察」です。ですから、例えば「これまでに得られた実験データをもとに考察すると、以下のことが考えられます。」というような使い方ができます。

「考察」と「検討」の意味の違い

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「考察」と同じような意味の言葉がほかにもいくつかあります。まず、「検討」と比べてみて、それぞれどのような意味の違いがあるのか考えてみます。「検討」も「考察」も「よく調べて考える」という点では同じです。

「考察」が何かを明らかにするためによく調べて考えるという意味であるのに対して、「検討」は、よく調べたうえで、良いか悪いかを考えるという意味になります。

「検討」の例文

それでは「検討」の例文をいくつか考えてみます。「考察」が何かを明らかにするためによく調べて考えることであるのに対して、「検討」は調べて考えた結果、良いか悪いかの判断をするという意味になります。

「今回の失敗について、さまざまな角度から問題点を検討しなければなりません。」
「検討を重ねた結果、○○の提案を採用することにいたします。」

「考察」と「検証」の意味の違い

「検証」も「考察」と同じように、調べて考えるという点では同じです。ただし「証」が「証し」や「証拠」や「証明」に用いられる漢字であることから、「検証」はある仮説を実際に物事にあたって調べて証明するという意味になります。

「検証」はまた法律用語でもあり、裁判官や検察官や警察官などが、現場の状況などを観察して証拠を調べるという意味で用いられます。その点が「考察」とははっきりと意味の違うところです。

「検証」の例文

それでは「検証」を用いた例文をいくつか考えてみます。「考察」は何かを明らかにするために考えをめぐらせることであるのに対して、「検証」は調べた結果何かを明らかにするという意味です。

「○○についてこれまで考察してまいりましたが、その結果が正しいかどうかについてこれから検証することにいたします。」
「それが事実であるかどうかについては、実地検証する必要があります。」

「考察」と「所感」の意味の違い

「所感」を漢文式に読むと「感じるところ」ということになります。もともとは仏教用語で、ある行いをしたときそれが何かある結果をもたらしますが、「所感」とはそのことを表します。ふつうはいろいろなことに触れたときに心に感じることという意味です。

「所感」はどちらかというと「感想」に近い意味の言葉ですので、「考察」のようにいろいろ調べて考えをめぐらすことと比べると、論文やレポートにはあまり向いていません。

「所感」の例文

「所感」は「考察」とは異なり、あることから受けた感想ということです。あることを明らかにするためにいろいろ調べるのではなく、むしろ直感に近いものです。「所感」を用いた例文を考えてみましょう。

「年度の初めにあたりまして、皆様方に所感を述べてみたいと思います。」
「きわめて精緻な考察をお伺いして、率直にその所感を述べてみたいと思います。」

「考察」してみましょう

レポートは学生時代にいろいろな講義や演習で書いてきたことでしょう。論文はたいていの大学で、卒業論文という形で学生に課せられています。学生時代に単位を取るために一生懸命書いたレポートや論文ですが、それは社会に出てからも必要なスキルになります。学生時代のレポートや論文のテーマではなく、レポートや論文を書くためにした「考察」が大事であるということです。

論文やレポートでは、何かを明らかにするためにいろいろ調べて考えをめぐらせますが、それこそが「考察」するということです。考察することなしに論文もレポートも書くことはできません。より良い結論を導き出すために、しっかりと考察してみてください。

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