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「提示」の意味と使い方
今回は、この「提示」という単語に焦点を当てて、意味や使い方、ニュアンスが似ている単語を取り上げて、その違いを解説いたします。
「提示」の意味
「提示」自体の意味は、GOO国語辞典では、差し出して見せること。例)「必要書類を提示する」「契約内容を提示する」となっています。Weblio辞書では、差し出して見せること。例)「必要書類を提示する」「契約内容を提示する」となっています。
要するに、「提示」を使うときは特定の相手がいることと、その相手に見せる資料や物質的な物があるということが条件になります。相手がいて、その相手に「理解・納得してもらうため」に、実際に資料などの実物を差し出して見せるということです。
つまり、差し出す側は「理解・納得して頂きたいので、これを差し出します。見てください」という意思があり、差し出される側は、「理解・納得したいので、資料や現物を見せてください」という意思があることを意味します。
「提示」の使い方
【使い方例】
・運転免許証もしくは保険証などの身分が証明できるものをご提示ください。
・この場合、様式的な資料の提示が必要です。
・あなたの会社の予算の概要をご提示ください。
・失敗した理由の根拠を提示すればご納得いただけますか?
・こちらの資料を提示いたしますので、みなさまにご確認いただけますでしょうか?
携わっている仕事や部署によって使用頻度は変わりますが、使い方を間違えないように注意しましょう。
「提示」の類語
「提示」と「掲示」の意味の違い
1つ目は、「提示」は、資料などの見せる現物があることと、相手が決まっているということに対して、「掲示」は見せる現物があるということは同じですが、この人に、あるいはこの窓口にという、特定の対象者が決まっておらず、不特定多数に対して示すということです。
2つ目は、「提示」は、差し出して示すという意味がありますので、「掲げる」必要はありませんが、「掲示」の場合は、掲示板などに掲げて示す必要があるということです。
「提示」と「呈示」の意味の違い
①ここにあらわにして示してください(私に目の前で確認させてくださいという意味合い)
②運転免許証を呈示してください(何か身分のわかるものをではなく、「運転免許証」と限定したものを見せてくださいという意味合い)
このように、「提示」と「呈示」では、少し意味合いが違います。役所や警察、官庁関係の仕事などでは、この「提示」と「呈示」をきちんと使い分けていますが、一般の会社や窓口などでは、最近ではあまり区別せずに使っていることもあります。
「提示」と「提出」の意味の違い
このことからも、「提出」は、「提出しておいてください」と言えますが、「提示しておいてください」とは言いません。「提示」には、差し出すだけでいいという意味合いはありません。
「提示」と「表示」の意味の違い
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したがって、「表示」は「提示」のように、だれか特定の人、機関、窓口に差し出すという意味合いはありません。
次に「提示」と「明示」について解説いたしますが、この「表示」は、「明示」よりも柔らかい表現と言えます。
「提示」と「明示」の意味の違い
例えば、「賞味期限を提示しなければならない」といった場合、賞味期限の数字が書いてある(掲載されている)ものを差し出しなさいという意味になりますが、「賞味期限を明示しなければならない」といった場合、その賞味期限の日付が確認できる(見ることができる)ようにしなければならないという意味になります。
つまり、「明示」には、そこに数字や文章そのものが確認できる(見ることができる)ようにしなければならないという意味合いがあります。
「提示」と「標示」の意味の違い
これに対して「標示」は、何かを示すことにかわりはありませんが、それは資料などではなく、「目印や目標物となるものを明らかにする」という意味です。
前述の「表示」「明示」とも似ていますが、「標示」は目印や目的物を示さなければならないということを覚えておきましょう。
「提示」と「提供」の違い
したがって、「提示」は、差し出しますので見て(確認して)ください、見たい(確認したい)ので、差し出してくださいという意味ですが、「提供」は、差し出しますので役に立ててください、役立てたい(活用したい)ので、何かいただけませんか、という意味合いになります。
提示を英語にするときは注意が必要
いくつか例を挙げておきます。事案などを提示する場合は「advance」、証拠を提示する場合は「bring」、物や型を提示する場合は「produce」、考えや書類を整理して提出する場合は「set out」、学説や仮説を提示する場合は「set up」などです。
他にもいくつかありますので、翻訳するときなどはきちんと調べましょう。
それぞれの意味を理解して使い分けましょう
また、単語の中に「示す」という言葉が入っているものもあり、同じ示すでも対象が違ったり、示す内容が違ったりしますから、文章や案内物、あるいはアナウンスをする時は、意味合いを理解して作るようにしましょう。