[allpage_toc]
「便宜を図る」の意味
「便宜を図る」という言葉は、ビジネスシーンはもちろん、政治家の汚職や不正などをニュースで報道する場合にもよく使われます。プライベートの場でも使われることがあります。
「便宜」とは
「便宜」は「図る」とセットで使われることが多く、あまり他の言葉と結びつくことがありません。「便宜を得る」とも言いますが、耳にすることは少ないでしょう。
「便宜上〇〇する」もよく使われる表現です。「その時の都合に寄り」という意味で使われます。
「便宜」の読み方
なお、「便宜」を「びんぎ」と読むのは、古文の場合がほとんどで、現代の日常の中では使われていません。
「便宜を図る」にネガティブな意味はない
しかし、この言葉自体に悪い意味は含まれていません。「便宜を図る」の意味は、「相手にとって都合が良いことや特別なことを取り計らうこと」です。
「便宜を図ること」自体が悪いことや犯罪的なことではありません。
「便宜を図る」の使い方
なお、「便宜を図る」を使う際の注意事項も併せて確認し、間違ったり、失礼にあたったりする使い方はしないよう、心がけましょう。
「便宜を図る」の例文
例文と一緒に、言い回しを覚えこみ、自分の言葉として使いこなせるようにしておきましょう。
例文1「便宜を図ることを条件に」
【例文】
・学長に対する便宜を図ることを条件に、入学試験の内申点を加点してもらうことになった
・A社に対する便宜を図ることを条件に、A社からの仕入れが1割値引きされることになった
例文2「便宜を図る見返りとして」
【例文】
・学長に対して便宜を図る見返りとして、内申点への加点が約束されている
・A社に対して便宜を図る見返りとして、A社所有の保養所へ招待された
例文3「便宜を図るよう協力する」
他者が相手に対して便宜を図るよう、自分が協力するというときにも使えます。
【例文】
・第二次世界大戦中は、武器調達などの面で枢軸国に便宜を図るよう協力してきた
・協会が選手のために便宜を図るよう協力してきた
[no_toc]
例文4「何かと便宜を図ってきた」
1回便宜を図ったことがあるというのではなく、便宜を図るという行為を継続しているという意味があります。
【例文】
・彼のためには何かと便宜を図ってきた
・長い間、会社として党のために便宜を図ってきた成果だ
例文5「わざわざ便宜を図っていただき」
「いただき」という謙譲語の形態なので、「わざわざ便宜を図っていただき」は目上の人に対して使う言葉になります。
【例文】
・先日は、わざわざ便宜を図っていただき、ありがとうございました。
・あの件については、鈴木さんに便宜を図っていただいたので、上手く進めることができた。
例文6「便宜的な処置をとる」
「便宜的な処置をとる」は、「便宜を図って処置する」と言い換えることもできます。
【例文】
・今回の件については、熟慮の結果、便宜的な処置をとることに決定した。
・便宜的な処置をとるよう指示された。
例文7「便宜上」
【例文】
・便宜上、この条件に基づき二つに分けて考える。
・便宜上、消費税は考慮せずに検討してみよう。
目上の人に使う際の注意点
お礼などで「便宜を図っていただいて、有難うございます」と感謝を伝えようとしているにもかかわらず、相手の気持ちを害してしまう可能性もあります。
相手の人が言葉の意味を正しく理解しているという確証がない場合は、別の言葉に言い換えた方が無難です。
「便宜を図っていただいて有難うございます」
しかし、相手が「便宜を図る」に対してネガティブなイメージを抱いている場合は、自分が悪いことに加担したかのような罪悪感を抱くことがあります。
後ろめたいことをやってやったような違和感
「便宜を図る」を悪事だと誤解しているがゆえに、お礼を言われても、悪事に対してお礼を言われたような、妙な違和感を感じてしまいます。
「便宜を図る」の敬語表現
「便宜を図る」を敬語表現にするには、まず「便宜」に接頭語の「ご」をつけて「ご便宜」にします。「図る」については、尊敬語の「お取り計らう」という表現に言い換えます。
その結果、尊敬語への言い換えは、「ご便宜お取り計らいくださりますよう」という、時代がかった言い回しになります。
「ご便宜お取り計らいくださいますよう」
【例文】
・何卒、ご便宜お取り計らいくださいますようお願い申し上げます
自分の語彙力が心配な人におすすめ
「できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方」では、大人だったら使えるべき、状況に応じたモノの言い方が紹介されています。
敬語が苦手だったり、言い換えが苦手な人は、本書から始めてみてはいかがでしょうか。
[no_toc]
「便宜を図る」の類語・言い換え表現
・口利きする
・斡旋する
・仲介する
・特別な計らいをする
・特別扱いする
「口利きする」
「口利きする」には、「談判・相談などをまとめようと、あいだをとりもつこと」「仲介」「調停」「斡旋」といった意味があります。
【例文】
・請われれば口利きすることも可能だ
・叔母の口利きで就職先が決まった
「斡旋する」
「斡旋」には、「交渉や商売などで、間にはいって、両方の者がうまくゆくように取りはからうこ」「物事を紹介し世話すること」といった意味があります。
【例文】
・請われれば斡旋することも可能だ
・叔母の斡旋で就職先が決まった
「仲介する」
「仲介」には、「両者の間にはいって、とりついだり、まとめたりすること」「なかだち」「斡旋」といった意味があります。
【例文】
・請われれば仲介することも可能だ
・叔母の仲介で就職先が決まった
「特別な計らいをする」
【例文】
・主催者の特別な計らいで、最前列の席が取れた
・社長の特別な計らいによって、左遷を免れた
「特別扱いする」
ただし、「図る」「計らい」に比べ「扱う」という直接的な表現になるので、「特別扱いする」と言い換えてしまうと、少し稚拙な文章になります。
【例文】
・主催者に特別扱いをしてもらい、最前列の席が取れた
「便宜を図る」の意味を理解して、正しく使おう
「便宜を図る」のように、大人社会ではよく使われる言葉というのは、意味を聞くタイミングもなく、よく知らなくても放置してしまいがちです。
よく使われる言葉だからこそ、きちんと意味を理解し、適切な場面で使えるようにしておきましょう。
「取り計らう」の使い方を覚えよう
「取り計らう」もビジネスの場などでは、よく使われる言葉です。意味や使い方を理解できていない人は、以下のリンク記事を参考に「取り計らう」についても確認しておきましょう。
[no_toc]