[allpage_toc]
「賜ります」の読み方
謙譲語「賜ります」の意味と使い方
尊敬語「賜ります」の意味と使い方
「賜ります」の使い方
ビジネスシーンなどでは、特に恩恵を受けるという意味で使用されます。例えば、「ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」などの使い方がされます。日常シーンでも、目上の相手に対して使用することができます。例えば、「ご指導賜りますようお願い申し上げます」などの使い方がされます。
ただし、いづれにしても堅い印象の強いフォーマルな表現なので、相手や状況に合わせて使い分ける必要があります。
ご理解賜ります
謙譲語の場合、「ご理解賜ります」は「ご理解いただきます」と同様に使用できます。また、尊敬語の場合、「ご理解賜ります」は「ご理解くださいます」と同様に使用できます。どちらの場合にも、理解をくれる相手を敬い使用します。
具体的には、「ご理解賜りますよう、お願い申し上げます」という形で使用されます。つまり、目上の相手に理解してもらいたい(謙譲語)・目上の相手からの理解がほしい(尊敬語)、とお願いする状況でよく使われます。
ご注文賜ります
「承る」とは、目上の相手からの命令や依頼などを受けて賜る(受け賜る)、つまり、引き受けるという意味の謙譲語です。受け賜ると表記することもできますが、最近では「承る」という言葉を使用することの方が多くなっています。一方、「賜る」には、目上の相手から恩恵や物などの何かを「もらう」という意味が含まれています。
そのため、今回の「ご注文賜ります」という文章のように、仕事(注文)を引き受けるのであれば、「賜ります」よりも「承ります」を使用するのがベターだと言えます。
ご質問賜ります
この文章の原型は「(目上の相手から)質問をもらう」です。「質問をもらう」よりも目上の相手を立てた表現が「質問をいただく」、さらに相手を立てた表現が「質問を賜る」だとイメージされています。つまり、もらう・いただく・賜るの順で敬語の度合いが上がります。
そのため、大げさ・慇懃無礼な表現とならないよう、相手との関係性や状況に合わせて、いただく・賜るの2つを使い分ける必要があります。
注文・質問に「賜る」は適切でない説
ですが、謙譲語の「賜る」を使用することで、相手への敬意を表しているとも考えることもできます。「もらう」自分を謙譲語で下にすることで、「くれる」相手をより高めるという考え方です。この場合、「賜る」を使用するのは正しいと考えられます。
つまり、目上の相手への敬意を表す表現として使用している場合でも、受け手によっては違和感をもつ場合があります。そのことを認識して、相手との関係性や状況に合わせて、使い分けるようにしましょう。
「ご」の使い方
注文・質問などをしているのが自分であれば、基本的に「ご」は不要です。一方、注文・質問などをしているのが相手であれば、「ご」を付けるようにします。
ただし、例外もあります。それが、注文・質問などをしているのが自分であっても、「ご」という接頭語を謙譲語として使用している場合です。
例えば、「ご注文いたします」「ご質問いたします」などは、謙譲語として「ご」を使用しています。そのため、「ご」を付けて正しいということになります。反対に、「ご注文なさいます」「ご質問なさいます」などは、尊敬語として「ご」を使用しているため、自分が使う言葉としては誤っているということになります。
[no_toc]
賜りますよう
多くの場合、賜るは謙譲語として使用されているため、例えば「ご指導賜りますよう」というような文章も、一般的には謙譲語として受け止められます。つまり、「ご指導いただきますよう」という意味になります。
とはいえ、尊敬語としても使用できる言葉なので、「ご指導賜りますよう」という文章を、「ご指導くださいますよう」と解釈することもできます。
つまり、目上の相手にもらうのか(謙譲語)・目上の相手がくれるのか(尊敬語)によって、「賜りますよう」を使い分ける必要があります。主語が誰かによって謙譲語・尊敬語を使い分けると覚えておくと良いでしょう。
「賜ります」という敬語
例えば、自分よりも明らかに目上な相手からもらう・相手からもらうことによる恩恵が大きいなどの場合には、適した表現だと言えます。一方で、日常的なビジネスシーンにおいて、「賜る」を使用することはあまりおすすめしません。
「賜ります」という表現の代わりに、「承ります」などを使うと良いでしょう。
「賜ります」の類義語
動詞の場合、「ご指導賜ります」「ご指導いただきます」「ご指導くださいます」などの使い方ができます。一方、補助動詞の場合、「ご指導賜わりますよう、お願い申し上げます」「ご指導いただけますよう、お願い申し上げます」「ご指導くださいますよう、お願い申し上げます」などの使い方ができます。
また、「くださる(くれる)」は尊敬語、「いただく(もらう)」は謙譲語です。「賜る」は尊敬語・謙譲語それぞれの表現ができる言葉なので、主語が目上の相手なら尊敬語「くださる」を、主語が自分なら謙譲語「いただく」を代用します。
「賜ります」と「承ります」の差
例えば、恩恵や物などを受け取る場合には「賜ります」を使用します。ですが、意見や依頼などを受け取る場合には「賜ります」「承ります」のどちらも使用することができます。
ただし、意見や依頼などを受ける場合に「賜ります」を使用すると、そこには相手からの恩恵を受けるという気持ちが含まれていることになります。相手や状況によっては大げさだ・嫌味だと受け取られる可能性もあるので、基本的な意味によって使い分けるようにするのが無難です。