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「昇華する」の意味と使い方・類語・昇華するものの例・温度

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「昇華する」の意味や使い方は?

「昇華する」という言葉は、化学的な意味や心理学的な意味など、多様な意味を持つ、非常に興味深い言葉です。今回は、この「昇華する」という言葉について掘り下げていきましょう。まずは、それぞれ使われる場面でどういった意味になるのか、詳しく見ていきましょう。

化学的な意味での「昇華する」は?

化学的な意味での「昇華する」は、固体が液体を経ずに、直接気体になることを表します。また、その逆の現象で、気体から固体に直接変化することも「昇華する」と呼ばれます。通常であれば、固体は液体を経て気体になりますが、一部の物質は一定の条件下において、直接気体になるものがあり、これを「昇華する」と表します。

心理学的な意味での「昇華する」は?

心理学の「昇華する」の意味は、自分の持つ欲望が社会的に認められないもののため、そのエネルギーをそれ以外の社会的にも認められる目標に向けて突き動かすことを表します。やり場のない不満を、運動や芸術活動に向ける場合などにこの表現が使われます。日常の会話ではあまり一般的とはいえない表現なので、「消化する」と間違えられることも多く見られます。

より高い状態へと高めること

ある状態のものを、より高い状態へと高めることを「昇華する」と言います。上記の中では一番シンプルで分かりやすい意味で、その他の意味の元になっているものだといえるでしょう。

「昇華する」という言葉の由来は?

「昇華」という言葉は、「昇る」と「華やか」を合わせた言葉だと考えられます。「昇る」はその字のとおりの「高く上がる」意味ですが、「華やか」は「花のように綺麗」などの意味を表す言葉です。物事をより高い状態へと高める様子がそのように表され、そこから固体が液体という段階を飛ばして気体になる様子や、不満を別の良いものに変える行動をそう呼ぶようになっていったと考えられます。

「昇華する」の類語や別の言い回しは?

「昇華する」という言葉には、数多くの類語や別の言い回しが存在します。以下に例を挙げていきます。さらなる理解に役立ててください。

化学的な意味での類語は?

化学的な意味での「昇華する」の類語は、液体が気体に変わることを表す「気化する」や「蒸発する」などです。その他には、固体や液体が気体に変わることを表す「気体化する」や、溶剤用のベンジンやテレビン油などに見られる、常温で液体が気体に変わることを表す「揮発する」などが挙げられます。

「より高度な状態へと高めること」の別の言い回しは

進歩する、躍進する、発展する、進化する、前進する、成長する、飛躍するなど、いずれも「より高度な状態へと高めること」を表します。これでもまだ一部の例なので、「昇華する」は、別の言い回しが非常に豊富な言葉だと言えるでしょう。

また、英語では「昇華する」を「sublimate」、「昇華」を「sublimation」と言い、「望ましい行いに転化する」を表すことからも上記の言い回しが通用することが分かります。

「昇華する」を使った文章ってどんなの?

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この項では「昇華する」という言葉を使った文章の例を、さまざまなキーワードを交えながら挙げていきましょう。

「魂」を使った例文

「迷いに打ち勝った魂は、より高い次元へと昇華される。」
「現世での良い行いが、魂を昇華する。」
「魂の昇華に必要なのは、人道を守ることです。」

「紋章」を使った例文

「家柄の識別のために生まれた紋章が、それ自体が権威を持つものに昇華していった。」
「これは、一族の思いが昇華された紋章です。」

「演技」を使った例文

「その俳優は、やり場のない不満を演技に昇華していった。」
「練習を重ね、演技を昇華する。」

「思い」を使った例文

「どうしようもない思いなら、別の行動に昇華すればいい。」
「思い続けることで、思いは信念へと昇華していった。」

「恋」を使った例文

「思いやりの気持ちを経て、恋が愛に昇華していった。」
「これは、叶わない恋心を昇華した作品です。」
「気付かないうちに、ささやかな好意は恋に昇華していた。」

同じ「昇華する」でも使い方はさまざま!

同じ「昇華する」でも、さまざまな使い方が見られます。また、文脈によっては意味が異なってくることもわかるでしょう。漢字や語感のイメージから、日常会話よりも小説などで多く使わる表現だといえます。

化学的に「昇華する」ものは?

ここでは化学的な視点から、昇華する代表的なものを挙げていきましょう。

ドライアイス

「ドライアイス」は、昇華して「二酸化炭素」になる物質です。昇華する際に周囲から熱を奪う性質から、食品の保存などに利用されます。その他にも、昇華して白い気体になることから、演劇や結婚式などの演出に使われる「スモーク」の用途としても利用されています。

ナフタレン

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液体を経ずに気体になる性質から、衣服に染みができる心配がないなどの理由で、防虫剤にも昇華する物質が使われていることが多く見られます。その中でも「ナフタレン」は、常温下でゆっくりと昇華する性質から、長期間に渡って防虫の機能を果たすのが特徴といわれています。

パラジクロロベンゼン

「パラジクロロベンゼン」は「ナフタレン」と同じく防虫剤として使用される他に、トイレやごみ箱の消臭剤としても利用されます。強い臭気を放ち、即効性があることが特徴です。直接吸い込むと、頭痛やめまいなど、人体にも害があるので注意が必要です。

樟脳

「樟脳」は、クスノキの葉に0.03%含まれるにおい成分で、日本で古くから使われている防虫剤です。自然な芳ばしい芳香が特徴で、和服や人形の保管には最適だといわれています。天然の樟脳はかなり貴重になっていることから、松などの針葉樹を蒸留して採れる、精油を原料とした合成樟脳が主流になっています。

これらの防虫剤は、有効成分が昇華することで充満し、タンスなどの中に潜んでいる虫に作用することを狙って使われています。

ヨウ素

主に消毒薬に使われる「ヨウ素」も昇華する物質です。赤紫色の印象的な気体に昇華することから、中学校や高校などで理科の実験で使われたりもします。昇華した気体は有害なので、注意が必要だといえるでしょう。

昇華するものには共通点がある?

前述の昇華する物質には共通点があります。それは「ファンデルワールス結合」をしている点です。ファンデルワールス結合とは、電荷を持たない中性の原子や分子が「ファンデルワールス力」という引力で結合している状態を表します。

ファンデルワールス結合は、化学結合の中では非常に弱く、小さな熱を与えられただけでも結合が切れてしまいます。結合が切れて、分子や原子が空気中に飛散していく、その様子を昇華と言います。

このように昇華する物質の共通点を見ていくことでも、昇華という現象に合点がいくことでしょう。

氷も昇華するの?

一般的に氷は水を経て水蒸気に変わるものですが、氷も条件下においては昇華する物質です。冷凍庫で作った氷が日を追うごとに小さくなっていることや、長期間冷凍庫に放置した食べ物が干からびていることがあります。この現象は昇華による物です。

氷は常温では水を経て水蒸気になりますが、氷点以下では水が存在できないため、徐々に昇華していきます。

また、窓ガラスに水蒸気が飛んで行った時に、窓ガラスがあまりにも冷たい場合、水滴にならずに直接霜になることがありますが、これは逆の変化で、気体から固体への昇華です。その他にも、水蒸気が上昇気流に乗って上空に上がる際、急激に冷やされて直接氷になることがあります。この時できた氷や水滴が、大気中に浮いているものが雲です。

このような例から、通常は昇華しない物質も温度などの条件によっては昇華する物質になり得ることが分かります。

昇華法ってなに?

昇華する物質と、昇華しない物質の混合固体を分離させる方法に「昇華法」というものがあります。これは、混合固体を加熱することで、昇華する物質のみが気化することを利用し、それを冷やして固体に戻すことで別々のものに分離させる方法です。

昇華する温度は?

前項でも触れましたが、氷は氷点以下、つまり0℃以下で昇華する物質です。その他に挙げた、「ドライアイス」は-78.5℃以上から昇華します。また、「ナフタレン」「パラジクロロベンゼン」「樟脳」「ヨウ素」は、いずれも常温で昇華する物質といえます。

昇華を利用したTシャツプリントがある!

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最近では、Tシャツなどの染色にも昇華が利用されています。これを「昇華プリント」または、「昇華転写プリント」といい、原理としては、専用のインクで転写紙に印刷したものを、高温の転写機に生地と一緒に通すことで、インクを瞬時に昇華させ、生地を染色する染色方法です。

従来の転写プリントは素材の上に熱で貼り付ける方法でプリントされていましたが、この「昇華プリント」は素材自体を染めるため、剥がれない、重くなりにくい、ごわつきにくいなどの特徴が挙げられます。

また、従来の染色方法に比べて色鮮やかな点や、染色の際に発生するガスが少ないため、自然環境にも優しいとされ、「昇華プリント」は転写プリントの歴史を大きく動かしたといわれています。

「昇華する」の対義語は?

「昇華する」の対義語は、化学的な意味と心理学的な意味とでは全く異なります。それぞれの場面における対義語を紹介していきましょう。

化学的な視点では?

化学的な視点での「昇華する」という言葉は、固体から直接気体に変化すること、その逆に気体から固体に直接変化することの両方を表します。このことから、「昇華する」の対義語は「昇華する」になるという、興味深い結果になります。また、中国語では「昇華」の対義語は「凝華」と表され、逆の現象として分かりやすい表現になっているといえるでしょう。

「より高い状態へと高める」の逆は?

「より高い状態へと高める」を意味する「昇華する」の対義語は、「身を持ち崩すこと、低劣になること」を意味する「堕落する」や、その類語の「転落する」「腐敗する」「退廃する」などが挙げられます。「昇華する」という言葉もそうですが、その逆を表す言葉も豊富な言い回しがあるといえます。

意味の理解で広がる表現の幅

いかがでしたか。今回掘り下げた「昇華する」という言葉は、化学的な意味と、心理学的な意味の違いだけでなく、使う場面や文脈によっても意味が変わってきます。この言葉のように、多様な意味を持つ言葉は、場面ごとの意味を理解していることで表現の幅が大きく広がることでしょう。

言葉一つ一つの意味を掘り下げていくことは、まさしく、知識を「昇華する」ことにあたるといえます。普段あまり意味を考えないような言葉も、深く掘り下げてみることで新しい知識の世界が広がっていくことでしょう。

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