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「お互い様」の意味と使い方
普段の会話の中で「お互い様」という言葉を耳にすることがあります。「お互い様」と言う言葉は、色々なシーンで使われる言葉で、友人同士の会話や、ビジネスシーンなど、幅広く使われます。この「お互い様」とは、どういった意味の言葉なのでしょうか。「お互い様」という言葉の意味と使い方についてご紹介します。
「お互い様」の意味は?
色々なシーンでよく使われる「お互い様」という言葉ですが、「お互い様」という言葉の意味はいったい何でしょうか。「お互い様」の言葉には2つの意味があります。それぞれの意味と使い方についてご紹介します。どうぞご覧ください。
おあいこ・引き分け
1つ目はおあいこという意味です。日常会話の中でも、おあいこという意味で使われることが多いです。自分と相手のどちらも同じ立場だということを表しています。「大変なのはお互い様です」「苦しいのはお互い様ですから頑張りましょう」というような使い方をします。
子供同士の喧嘩の場合も、どちらか一方を悪者にするわけにはいかないので、引き分けという意味で「お互い様だから仲直りしようね」というような使い方をすることもあります。
助け合う・協力
2つ目は助け合うという意味です。助け合う、協力するという意味で使われる場合は、困っている相手に対して手助けする際に、相手に気を遣わせないように使われることが多いです。例えば、「困ったときはお互い様ですから気にしないでください」という使われ方をします。
この場合は困っている相手を手助けする場合の気遣いの言葉として使うので、自分が助けてもらう立場のときには「お互い様だからお願いします」とは使いません。自分が助けてもらう立場で「お互い様」を使ってしまうと、相手に不快な思いをさせてしまう場合があるので気をつけましょう。
「お互い様」の類語は?
「お互い様」にはどのような類語があるのでしょうか。「お互い様」の類語について、いくつかご紹介します。
持ちつ持たれず
「お互い様」の類義語に「持ちつ持たれず」という言葉があります。「持ちつ持たれず」とは、お互いに助けたり助け合ったりして、お互いの地位や立場などが続いている様子を表す言葉です。「お互い様」も助け合いの意味も含まれているので、類義語といえます。例えば、「あの2人は持ちつ持たれずのいい関係だ」というように使います。
おあいこで
「お互い様」の意味でもある「おあいこで」という言葉も類義語です。どちらも同じような状況、立場を表す言葉です。「今回はおあいこということで」というような使い方をします。「お互い様」と同じような意味を持つ言葉なので、「お互い様」を「おあいこで」に置き換えることもできます。「おあいこ」は、じゃんけんなどで使う「あいこ」の丁寧な表現です。
ギブアンドテイク
「ギブアンドテイク」は英語ですが、日本でも普通に使われる言葉です。「ギブ」が与える、「テイク」が得るという意味なので、お互いに譲り合う、持ちつ持たれずの関係といった意味で使われます。
「ギブアンドテイク」に似た表現で、「ウィンウィン」という言葉があります。「ウィンウィン」は「ギブアンドテイク」とは少し違う意味で、取引をするときお互いに利益があるという意味で使われる言葉です。ビジネスシーンで使う機会がある言葉なので、意味を覚えておくと便利です。
どっちもどっち
「どっちもどっち」という言葉もよく使われる言葉ですが、この言葉はあまりいい意味では使われない言葉です。この言葉の意味は、どちらもあまりよくない様子を表しています。例えば、自分と相手が何かに対して、どちらの方が優れているか言い合っていたとしても、第三者からしたら、どちらもそんなに変わりなく、どっちもどっちという風に感じます。
「どんぐりの背比べ」と似た意味と思われがちですが、「どんぐりの背比べ」は、どれもこれも似たり寄ったりしていて、特に抜き出た者がいないようすを表す言葉です。「どっちもどっち」とは少し意味が違いますが、どちらの言葉もあまりいい意味では使われていません。
「お互い様」のことわざ
「お互い様」を使ったことわざで「困ったときはお互い様」という言葉があります。困った相手を助けるときに、相手に気を遣わせないために使う言葉ですが、たまに、自分が困っているから助けてほしいという意味で使う人がいます。
せっかく相手を思いやる良い言葉なのに、間違えた使い方をしてしまうと、言われた方も不快に感じてしまいます。意味を正しく理解して、困っている人への気遣いの言葉として使うようにしましょう。
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「お互い様」の語源は?
「お互い様」という言葉は大和言葉です。大和言葉とは日本でできた日本古来の言葉のことです。大和言葉は和歌などで使われていた言葉が多いです。「お互い様」という言葉も古くから使われていた言葉です。
本来は相手を気遣う言葉ですが、近年は誤った使い方をしている場面がしばしば見られます。例えば、ご近所の車を持っていない方が、「困ったときはお互い様だから、スーパーまで乗せてちょうだい」と、自分の都合のいいように「お互い様」と使うことがあります。この場合は同等の立場ではありませんし、相手への気遣いもありません。
「お互い様」という言葉は日本古来の美しい言葉なのに、こんな使われ方をされては台無しです。正しい言葉遣いを心がけることが大切です。
「お互い様」の四字熟語
「お互い様」という言葉は古来の日本からある素敵な言葉ということが分かりました。「お互い様」という意味の四字熟語はどのようなものがあるのでしょうか。「お互い様」の意味の四字熟語についてご紹介します。
相互扶助
「相互扶助」はお互いに助け合うという意味で使われます。「相互扶助」で思い浮かぶのは保険の仕組みではないでしょうか。保険は、保険に加入している人が保険料を支払いますが、その中の誰かがケガや病気などになってしまった場合に、集まったお金から契約内容の保険金が支払われます。
保険に加入している側からしたら、何かあったときのための備えとして加入しているという方が多いですが、実は保険は加入者同士の助け合いで成り立っています。まさに、困ったときはお互い様という精神です。
二人三脚
「二人三脚」は2人が横に並んで、それぞれ内側の足首を紐などで固定し、2人で3本の足で走る競技のことです。2人が協力しなければ転んでしまったり、うまく走れなくて、他のペアに負けてしまうことから、お互いに歩調を合わせて協力して、何かを成し遂げようとすることを表しています。
「二人三脚」も、お互いに協力し、助け合うという意味があります。「お互い様」とは少し違う使われ方をしますが、似た意味を持つ四字熟語です。
「お互い様」の精神の例
「お互い様」の精神とはどのようなものがあるのでしょうか。「お互い様」の精神の例をご紹介します。
生協
生協は、生協の組合員が出資金を出し合って、その出資金を元に活動を行っています。生協での買い物は出資をしている組合員しか利用できません。組合員がお互いに出し合った出資金で生協の運営をしているので、お互い様の精神で成り立っています。
出資金を出して組合員になることには、メリットがたくさんあります。出資金は脱会するときには基本返却されます。しかし、組織自体が運営が成り立たなくなってしまい、倒産という状況になってしまうと、出資金は返却されないというリスクもあります。気軽に始められる生協ですが、生協の仕組みをよく理解してから利用するようにしましょう。
保険
「相互扶助」の説明でも出てきましたが、保険は加入者から集めた保険料で保険金を支払うため、保険加入者がいなければ万が一のときに保険金を支払うことができません。「お互い様」の精神で成り立っています。
世の中には色々な保険があります。保険加入の際は約款などしっかり確認しておく必要があります。いくつも同じような保険に加入してしまっていることもあるので、注意が必要です。「お互い様」の精神でも、必要のない保険には安易に加入しないように気をつけましょう。
「お互い様」の敬語
敬語は相手に敬意を表す表現なので、慎重に使いたいものです。「お互い様」を敬語を使うシーンで使いたいときにはどのように使えばいいのでしょうか。ただ単に「お互い様ですから」と伝えてしまっても問題ありませんが、相手を気遣いたい場合は「お互い様ですから、どうかお気になさらないでください。」と付け加えるとより丁寧な印象になります。
「お互い様」とは一方的にならないのか
「お互い様」という言葉は、どちらも同じ立場という意味や、相手を気遣うときに使われる言葉です。しかし、使い方によっては一方的に感じられることもあります。
相手と同じ立場、状況ではないとき
相手と同じ立場、状況ではないときに「お互い様」と使われると、相手からは全然お互い様ではないと感じられてしまいます。例えば、こちらが一方的に頼み事をしたときに「お互い様だからいいでしょ」という風に使ってしまうと、相手からしたら、「こちらはあなたから何もしてもらってないけど」と一方的に捉えられてしまいます。
「お互い様」とは、本来は同じ立場だったり、助け合いという意味で使われる言葉です。こちらの都合ばかりを押し付けるのではなく、相手のことも思いやって使うことが大切です。
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「お互い様」の押し付け
毎回自分の要求を通したいときに「お互い様」という言葉を使うずうずうしい人もいます。これはただ単に「お互い様」の押し付けです。こういう人からは友人や知人も離れていきます。いくら自分の要求を通したくても、自分が同じことをされたらどう感じるのか、一旦冷静になって考える必要があります。「お互い様」の押し付けはしないように気をつけましょう。
「お互い様」の正しい使い方をしよう
「お互い様」という言葉は、本来の意味は、助け合いや協力、おあいこなど、日本古来からある、人を気遣うためのとても美しい言葉です。しかし、間違えた使い方をすることによって、押し付けがましく感じたり、一方的に捉えられてしまうことがあります。せっかくの言葉が台無しになってしまいます。
「お互い様」という言葉を正しく使うことで、相手に安心を与えたり、思いやることができます。正しい使い方をすれば、人に不快な思いをさせることもありません。「お互い様」を正しい使い方で会話の中に取り入れていきましょう。