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頂戴するの敬語や使い方・言い換え・いただくとの違い|謙譲語

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「頂戴する」は敬語?意味は?

「頂戴する」や「頂戴します」という言葉を聞いたことがない、と言う人は少ないでしょう。言葉としては何の違和感もありませんが、ビジネスシーンのように敬語表現が求められる状況で使うことは正しいことなのか疑問に思われることもあります。

「頂戴」だけを用いて「ちょうだい。ちょうだい。」と言うセリフもあることから、丁寧さに欠けるのではないかという意見も存在します。それでは「頂戴する」は、敬語として使えるのかについて、意味を踏まえた上でご紹介していきます。

「頂戴」の意味

「頂戴する」の主体となっている言葉「頂戴」の意味からお伝えしますが、この「頂戴」という言葉には3つの意味があります。

1つ目は「もらうこと・もらって飲食すること」のへりくだり表現としての意味で、ニュアンスとしては「もらう」の謙譲語「いただく(頂く)」と似ています。口頭で用いる時には「ちょうだい」の「だい」部分にアクセント(強調)を付けて使います。

2つ目は「与える・売る」の命令形である「与えて・売って」の意味です。命令系ではありますが、そこには親しみが込められており、主に子どもや女性が用いる言葉遣いになります。例えば「それを売って頂戴」というセリフでは、正に命令形の意味で用いられています。口頭で使う時には「ちょうだい」の「うだ」部分を強調します。

3つ目は「顔の上に捧げ持つこと」という意味です。「もらう」の謙譲語は「いただく」ですが、漢字で書く時には「頂く」の他に「戴く」と書くこともできます。すなわち「頂戴」は「いただく」の読みと意味を持つ2つの言葉で成り立っているため「顔の上に捧げ持つ」=「目上から何かをもらうこと」に対して、敬意を示した言葉としても使用できます。

「頂戴する」の成り立ち

上記の意味を持つ「頂戴」に、動作を示す「する」が付くことで「もらう気持ち・もらいたい気持ち」でなく「もらった・もらうこと」が表現されます。

「ちょうだい、ちょうだい」や「それを売って頂戴」という表現では「それが欲しい(もらいたい思い)」が表されていますが、動作を示す「する」を付けると「もらった」ということになり「もらいたい」ではなく「もらう」が現に起こっている状況を表すことができるようになります。

敬語?

では「頂戴する」は敬語なのか、という疑問について見ていきましょう。敬語としての扱いになるためには、言葉を成り立たせる単語の中に尊敬語や謙譲語が存在していることが求められます。

丁寧語も敬語ですが、尊敬語や謙譲語と違って誰にでも使用できるため、敬語なのかという疑問を持つ必要がありません。そのことから「これは敬語なのか」という疑問解決にあたっては、省かれることが多いです。

本題に戻りますが「頂戴する」を成り立たせる「頂戴」と「する」では「頂戴」が「もらう」の謙譲語としての意味を持っています。そのため「頂戴する」は「もらう」の謙譲語として使うことができる言葉ということになります。

「頂戴する」の敬語表現とは?

「頂戴する」は「もらう」の謙譲語に当てはまることが分かりましたが、尊敬語や丁寧語に関してはどうなっているのでしょうか。

尊敬語

「頂戴する」は謙譲語なので、尊敬語としては使いません。尊敬語で「もらう」ことを表す時には「お受け取りになる」や「お納めになる」を用います。

「もらう」の尊敬語では「目上の人がもらうこと」を表すため、「お受け取りになる」や「お納めになる」を敬語抜きで言うと「(目上の人が)受け取った」になります。自分が「もらう」ことではなく、目上の人が何かを「もらう」時に尊敬語で表します。

謙譲語

「もらう」の謙譲語は「自分がもらうこと」を表す時に使用します。基本的に、謙譲語は尊敬語と同じく、目上に対して使用します。ただし、尊敬語は目上の言動を表す時、謙譲語は自分の言動を表す時に用いることは忘れないようにしましょう。

「もらう」の謙譲語は「頂戴する」でも問題ありませんが、場合によっては「いただく」「賜わる」「拝受する」を用いた方が良いこともあります。これら「頂戴する」の言い換えについては、後ほどお伝えします。

丁寧語

丁寧語は丁寧な言葉遣いのことで、その言葉には尊敬語や謙譲語が含まれません。「頂戴する」を丁寧語にする時には「頂戴」を抜いて「もらう」を用い、そこに「ですます調」を付けて「もらいます」になります。

丁寧語は基本的に、同等や目下に対して使用します。しかしながら目上の人に対しても、二重敬語の問題などで使う時があります。「もらいます」のように短文で用いる言葉では、基本的に同等や目下に用います。

「頂戴する」の使い方

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「頂戴する」を実際に使用してみましょう、と言っても使い方がよく分からないこともあります。間違った使い方もありますが、その誤りが普通のように用いられていることもあるため注意が必要です。それでは「頂戴する」の間違った使い方を踏まえて、正しい使い方についてをご紹介します。

お名前を頂戴できますか

電話における対応などで名前を聞く時に「お名前を頂戴できますか」といった文が用いられることがあります。聞いた感じは違和感ないとも言えますが、敬語としては誤りになります。

「頂戴」は「(物質的に)もらう」ことなので、「お名前を頂戴できますか」は「あなたの名前を私にください」と言っていることと同じになります。そのため、名前を聞きたい時に「頂戴する」を用いることはNGです。

相手の名前を聞きたい時には「お名前をお聞きできますか」「お名前をお伺いできますか」「お名前をお願いします」などの言葉を使うことが適しています。「言ってもらいたい」ではなく「聞きたい」という意味を意識して、使用する言葉を間違えないようにしましょう。

頂戴することは可能でしょうか

「頂戴することは可能でしょうか」は、敬語抜きにすると「もらうことはできる」ということになります。問題ないかのようにも思えますが、敬語としては「可能でしょうか」が問題点として挙げられます。

「可能でしょうか」は「もらうことはできる」と聞いている立場であるのに、すでに可能なことを暫定しているかのうな口調になるため、相手に不快な気持ちを抱かせてしまうことがあります。

そのため「頂戴することは可能でしょうか」ではなく「いただいてもよろしいでしょうか」に言い換えましょう。「もらっても良いのか」を聞く側としては、低姿勢さを表すことが敬意および丁寧な印象につながります。

意見を頂戴しても

「意見を頂戴してもよろしいでしょうか」などの文でよく用いられますが、これは「お名前を頂戴しても〜」と同じように「あなたの意見を私にください」という意味になるため、言葉遣いとしての間違いがあります。

「意見をもらいたい」のではなく「意見を聞きたい」ことを伝えたい状況ですので「ご意見をお伺いしてもよろしいでしょうか」などの使い方が適します。「もらう」の謙譲語「頂戴する」ではなくて「聞く」の謙譲語を使用しましょう。

「頂戴する」の類語や言い換えはある?

「頂戴する」は「もらう」の謙譲語ですが、「もらう」は「聞きたい」の意味と混合されがちです。敬語表現を要する状況では「もらう」と「聞きたい」の使い方をハッキリ区別する必要があるため、「聞きたい」の意味で「頂戴したい」などと用いないように気を付けましょう。

では、誤って「頂戴したいのですが」などと用いてしまう状況においての正しい言い方はどんな言い方でしょうか。それは「頂戴する」の類語や言い換えを見ることでわかる多め、以下で「頂戴する」の類語・言い換えをお伝えしていきます。

類語:賜わる

「賜わる(たまわる)」は「もらう」の謙譲語であり、主に「目上の人から物などをもらう」時に使用されます。「もらう」の意味に関しては「頂戴する」と同じですが、「賜わる」には尊敬語としての役割もあります。

尊敬語では「与える」の意味になり、「目上の人が物などをくれた」ことを伝える時に使用します。「与える」は自分の物を他者に渡して、その人の物とすることです。「もらう」は他者から受け取ることなので、表現したい伝え方に合わせて言い方を変えると良いでしょう。

類語:いただく

「いただく」は「頂戴する」と同じく「もらう」の謙譲語としても使えますが、「食べる・飲む」の謙譲語でもあります。「頂戴する」や「賜わる」よりも用途が広い言葉です。また「賜わる」に関しては、尊敬語の意味もありますが「いただく」や「頂戴する」は謙譲語として使うことしかしません。

「いただく」は、謙譲語なので自分がいただく時に用いますが、最近は「冷めないうちにいただいて」などの誤用が増えているとされます。この使い方では、尊敬語の扱いになってしまうため、謙譲語を使う表現としては間違いです。正しくは「いただきます」や「いただいてもよろしいでしょうか」など、自分の動作を示す時に使います。

類語:拝受する

「拝受」は「受け取る」の謙譲語です。「受け取る」は「もらう」と同義になるため、ニュアンスは少し違いますが「拝受する」は「頂戴する」の類語に当てはまります。

ニュアンスの違いから、主に使用する状況も異なります。「頂戴する」は「もらう」の謙譲語としてさまさまな物に関した「もらう」で用いることが可能ですが、「拝受する」はメールや手紙を「受け取った」の意味で用いられることが多いとされます。

言い換え:伺う

「お名前を頂戴したいのですが」で触れましたが、この言い方は間違いになるため「お名前をお伺いできますか」などに言い換えましょう。「伺う」は「訪問する」の謙譲語としても使用されますが、この文では「聞く」の謙譲語として扱っています。

言い換え:お聞きする

お名前を聞く時には「伺う」ではなく「お聞きする」を用いることもできます。「伺う」の方が丁寧な言い方になりますが、「お名前をお聞きできますか」でも問題ありません。

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言い換え:預かる

「頂戴する」は「物を預かる」の意味で用いられることがありますが、これは間違いです。「頂戴する」は「もらう」ことなので「お荷物を頂戴します」と言ってしまうと「あなたの荷物を私の物とします」という意味合いになります。

物を預かることを表す時には「お預かりいたします」で良いでしょう。「頂戴する」を用いると危険な意味合いになるため、預かることを丁寧な言い方にした「お預かり」に「する」を示す「いたす」を付けた「お荷物をお預かりいたします」を使います。

「頂戴する」を正しく使おう!

「頂戴する」は「もらう」の謙譲語ですが、間違った使われ方がされていることも少なくありません。「頂戴」という謙譲語に「いたす」などの謙譲語を組み合わせると、二重敬語になるためNGで「お名前を頂戴できますか」など何かを「聞く」時に使用することも誤りとなります。

使用に適した状況および伝えたい内容に合わせて「頂戴する」を使用したり、別の言葉には言い換えたりしましょう。

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