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「まだ」を敬語表現にすると?
「まだ」という言葉の敬語はありません。「まだ~」という内容を敬語で伝えたい時は、「まだ」の代わりに他の言葉を使って表現するか、または「まだ」の後に続く言葉を敬語にします。
・まだできていないですか?→まだできていらっしゃいませんか?
でもいいですが、
・まだできていないですか?→現在はどういう状況ですか?
の方が感じがいいです。なるべく「まだ」を使わずに他の言葉を使った方が婉曲な言い方になり、相手に不快感を与えません。
相手に聞く場合ではなくて自分のことを言う場合は、
・まだできていません。→申し訳ありません、まだできておりません。
のように、「申し訳ありません」を添えた方がへりくだった印象を与えますので、相手に不快感を与えません。
「まだ」の敬語での使い方は?
敬語の種類
尊敬語
例
・する→なされる、なさる、される
・言う→おっしゃる
・知る→ご存じ
・食べる→召し上がる
・見る→ご覧になる
・行く→いらっしゃる
・来る→いらっしゃる、お越しになる、お見えになる
・会う→会われる、
などです。決まった敬語表現のない動詞の場合は、動詞の前後に「お(ご)~なる」を付けて尊敬語にします。
例
・聞く→お聞きになる
相手の身内のことを言う場合は、
・お母様、お父様、お子様、奥様、旦那様、ご主人(様は付けない)
などです。「ご主人様」は間違ってはいませんが、「ご」と「様」が二重なので、使わない方がスマートです。「お母さん」のように「お」が付いた状態で定着した言葉は「様」を付けます。
謙譲語
例
・する→いたす、させていただく
・言う→申す、申し上げる
・知る→存じる、存じ上げる
・食べる→いただく、頂戴する
・見る→拝見する
・行く→伺う、参る
・来る→伺う、参る
・会う→お目にかかる
・あげる、与える→差し上げる
などです。
自分の身内のことを言う時には、
・母、父、妻、夫、子供、息子、娘、
会社の場合、社内では上司に敬語を使いますが、社外では社長も上司も身内になります。身内には謙譲語を付けて言います。
・社長の○○がご連いたします。
・部長の○○が伺います。
などです。
丁寧語
例
・する→します
・言う→言います
・知る→知っています
・食べる→食べます
・見る→見ます
・行く→行きます
・来る→来ます
などです。
敬語の使い方
・「明日来る」を丁寧語にすると、「明日来ます」です。
・「明日来る」を尊敬語にすると、「明日いらっしゃいます」です。
・「明日行く」を謙譲語にすると、「明日伺います」です。
尊敬語や謙譲語の存在する動詞は語尾に「です・ます」を付けてそのまま使えばだいじょうぶです。敬語の特にない動詞の時には適度に「お」や「ご」を付けて(後述)、尊敬語の時には「なる・なされる・なさる・される」を語尾に付けて使います。同じように謙譲語でも「いたす・させていただく」を付けて言います。
例
・「利用する」を丁寧語にすると、「利用します」です。
・「利用する」を尊敬語にすると、「ご利用になる」です。
・「利用する」を謙譲語にすると、「利用させていただく」です。
「お」と「ご」の使い方
「話」は「はなし」と訓読みで読むと意味がわかります。「わ」と音読みで読むと1つだけでは意味がわかりません。「童話」など、熟語にして初めて意味を持ちます。
「お」や「ご」を付けた例を挙げます。
・お考え(訓読み)、ご意見(音読み)
・お名前(訓読み)、ご氏名(音読み)
などです。しかし例外も結構ありますので、こうと決めつけて使うことはできません。
・お化粧、お通夜、お正月、お菓子、お食事、など音読みでも「お」を付けるものがあります。音読みの言葉でも生活に密着した身近な言葉には「お」を付ける傾向があります。
・「ごゆっくり」は訓読みですが、「ご」を付けます。
「お」を付けない言葉は?
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例
・お考え、お荷物、お体、ご予定、お時間、
などです。自分の物事を指す時でもそれが相手に関係のある事柄の場合も「お」や「ご」を付けます。
例
・ご連絡、お知らせ、ご報告、
などです。「お」や「ご」を付けない言葉もあります。すでに「お」や「ご」が付いているものや、「お」や「ご」を付けると響きがおかしくなる言葉です。
例
・ごはん、おかず、おやつ、ご機嫌、おにぎり、→すでに「お」や「ご」が付いています。
・学校、病院、会場、会社、場所、区役所、→「お」や「ご」を付けると違和感があります。
などです。
二重敬語は使わない方がいい
例
・拝見させていただきます→拝見+させていただく(謙譲語が二重)
・伺わせていただきます→伺う+させていただく(同上)
・いらっしゃられますか?→いらっしゃる+られる(尊敬語が二重)
・おっしゃられる→おっしゃる+られる(同上)
間に接続詞の「て」を入れて2つの文をつなぐ形式にしたものは「敬語連結」と言って二重敬語とみなされませんので、使ってもだいじょうぶです。
例
・ご覧になっていらっしゃる→ご覧になる+いらっしゃる(2つの尊敬語を「て」でつないでいる)
・ご説明して差し上げる→ご説明する+差し上げる(2つの謙譲語を「て」でつないでいる)
メールでの「まだ」の使い方
①その時点で実現していない状態
②以前と変わらない、継続している状態
③わずかしか時間がたっていない状態
④満足ではないが、いくらかましな状態
⑤他にも、さらにの意味、
です。ここでは①の意味の「まだ」の時の敬語使用例を紹介します。
①の場合の例
・「まだ決まらないですか?」→「そろそろお決まりになりましたか?」
・「まだ終わらないですか?」→「いつ頃終わるご予定ですか?」
・「まだ送ってないですか?」→「いつ頃送って下さるお考えですか?」
など、「まだ」という言葉を使うのをなるべく避けた方が相手に不快感を与えないで済みます。どうしても「まだ」と言わなければならない時はその前後の文を丁寧な言葉で挟んで少しでも「まだ」がキツく響かないように工夫しましょう。
古語での使い方
源氏物語の中の「桐壷」の章に「まだ」を使った文があります。
「まだ大殿籠(おほとのごも)らせ給(たま)わざりけるを」
意味は、(帝がまだお休みになられなかったのを)です。
「まだ」を敬語で表現する例
「来ていない」と言う時
尊敬語で言う時
・「まだお着きになっていらっしゃいません」(敬語連結)
・「まだお越しになっていらっしゃいません」(同上)
・「まだいらっしゃってません」
謙譲語で言う時
・「申し訳ございません、まだ来ておりません」
「まだ」の別の敬語表現の例
「未(いま)だ」を使った敬語
・「まだ報告がありません」→「いまだに報告がございません」(謙譲語)
・「まだできていません」→「申し訳ございません、いまだできていません」(謙譲語)
「申し訳ありません」と「申し訳ございません」はどちらでもいいですが、相手に迷惑をかけてしまった時はより丁寧な「申し訳ございません」を使った方が誠意が伝わります。
これから
・「まだ報告がありません」→「これから報告が来る予定でございます」
・「まだできていません」→「遅れて申し訳ございません、これから早急に進める所存です」
「ございます」は丁寧語で、「所存」は謙譲語です。
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「まだ」の丁寧語の表現例
例
・「お待たせしてすいません、まだ来ていません」
・「まだ報告がありません」
・「遅れてすいません、まだできていません」
などです。
失礼のないように敬語を上手く使いましょう
丁寧に話そうとするあまりに、二重敬語を使ってしまって相手に違和感を感じさせてしまうよりは、少しさっぱりしているけれど敬語は最小限におさえてシンプルで爽やかなイメージを相手に与えた方が好印象です。
直接対面している場合は、笑顔と腰の低い物腰で感じの良さとへりくだった気持ちを表現しましょう。メールの場合は対面している時よりもいくぶん丁寧な言葉使いにしましょう。