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「支払う」の敬語表現
普段の買い物やガス、電気などの公共料金など日々の暮らしで私たちは色々なことにお金を支払っています。しかし「支払う」の敬語は何であるか理解していますか。またビジネスシーンやメールなどでの使い方については知らないかたも多いでしょう。今回は「支払う」についてご紹介いたします。では早速見ていきましょう。
「お支払う」とは言わない
「支払う」の敬語はと言われると「お支払い」だと思ったかたもいるのではないでしょうか。でもそれは間違いです。「お支払いは」動詞ではないので「支払う」の敬語とは言えません。かといって「お支払う」なんて言う人もいません。では敬語で使う場合はなんと言ったらいいのでしょうか。
実は大きく分けて2種類の表現方法があります。1つ目が「くださる」などの「補助動詞」を使う場合、もう一つが「する動詞」として使う場合です。それぞれ見ていきましょう。
補助動詞を使う場合
補助動詞とは
補助動詞は簡単にいうと、動詞に意味を添えるものです。例えば「食べてしまう」の「しまう」や「読んでもらう」の「もらう」がそうです。敬語で使う補助動詞としては「くださる」や「いただく」など相手への敬意を表すものを使います。
ちなみに補助動詞としてこれらを使う場合は平仮名を使います。漢字で書いた場合は本動詞の意味になりますので注意してください。「下さる」は「くれる」の尊敬語、「頂く」は「もらう」の謙譲語を表します。
補助動詞を使った敬語表現
補助動詞を使う場合の多くは「お〜補助動詞」の場合が多いです。例えば「お掛けください」や「お待ちいただく」などです。
尊敬語の代表的なものは「お支払いください」など、「くださる」を使った使い方です。謙譲語の場合は「お支払いいただく」など「いただく」を使います。後にも記述していますが「支払う」は請求のときなどに使用することが多いので敬語表現をよく使います。
する動詞を使う場合
「支払う」と同じ意味で「支払いする」という言葉があります。このように名詞の後に「する」という言葉が付くことによって動詞の働きをするものを「する動詞」と言います。他には「休憩する」や「勉強する」などがあります。「支払う」の場合はもちろん、「支払いする」です。
では「支払いする」の敬語表現はいったいどうなるのでしょうか。実は「支払いする」についての敬語表現は「する」の敬語表現が理解できていればほぼ大丈夫です。「する」の敬語表現が曖昧なかたに向けて簡単にご説明します。
尊敬語
「する」の尊敬語は「なさる」、「される」です。レストランなどのお金を支払うときに「カードでお支払いされますか。」と聞かれます。これも「支払いする」の敬語表現を使ったものです。
謙譲語
「する」の謙譲語は「いたす」です。相手にお金を支払うとき「お支払いいたします」と言うのは謙譲語を使ってへりくだって言っていることになります。
丁寧語
「する」の丁寧語は「します」です。この表現が一番使うことが多いのではないでしょうか。「お支払いします」の方が「お支払いいたします」より硬くなくて言いやすいです。ただ、時と場合によっては「お支払いいたします」を使った方がいいので、使い分けてください。
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れる・られるを使う場合
敬語表現をする際に助動詞の「れる」、「られる」を使うことができます。例としては「話される」や「来られる」が挙げられ、今回だと「支払われる」と言うことができます。ただ、この表現はあまり使いません。そもそも「れる」、「られる」には4つの意味があり、それぞれ「受け身」、「可能」、「自発」そして「尊敬」です。
この中の「可能」と「尊敬」は区別がつきにくく間違った印象を与えかねません。特にお願いするときには注意が必要です。「支払われますようお願いします」と言ったとき、「支払うことができるよう」という「可能」の意味と「お支払いくださる」のような「尊敬」の意味の両方として捉えることができます。
もちろん言われた方も尊敬の意味だとほとんどの場合理解してくれます。しかし請求や催促の際は誤解を招かないためにも「れる」、「られる」はあまり使わない方がいいでしょう。
「支払う」の敬語での使い方
敬語の種類
相手との会話やメールで「支払う」を使う場合は敬語表現を用いることが多いです。お金を支払うということは相手に何かしてもらう(もらった)時なので相手に対して敬意を示すことが多いからです。
例えば会社間の取引などで商品などを仕入れた場合、提供してくれた相手に敬意を示すのは当然と言えます。間違っても「じゃあ、その料金支払うよ」なんて相手に伝える人はいないでしょう。よっぽど親しい間柄なら別ですが、ビジネスシーンなどの場合多くは敬語を使います。
使い方
「支払う」を使うシュチュエーションは色々あります。ここでは代表的な「請求するとき」と「催促するとき」を例に挙げ、使い方をご紹介いたします。
請求する場合
「支払う」を使う場合で多いのが、商品などの料金を相手へ請求する場合です。振り込み依頼の文章には「こちらの口座へお支払いください」と書いてあるのをよく目にします。それは料金を支払ってくださいという請求を表しています。
催促する場合
料金を滞納している人へ催促するときにも「支払う」はよく使われます。「◯月□日までお支払いいただきますようお願いいたします」など、催促する時は請求する時より丁寧に表現することが多いです。
相性のいい表現
クッション言葉
相手に何かお願いするときなどはクッション言葉を使うと表現が柔らかくなり便利です。クッション言葉とは「恐れ入りますが」や「差し支えなければ」など前置きとして使われるものです。
例えば「お支払いください」だけだと人によっては命令されていると受け取られることもあります。しかし「お手数ですがお支払いください」と言うと表現が柔らかくなりお願いされているニュアンスが伝わります。お金に関することなので請求などのときは、これらのクッション言葉を一緒に使うのが良いでしょう。
メールでの使い方
それでは料金を催促するメールを例に見ていきましょう。
〇〇様
お世話になっております。
〜略〜
◯月□日現在、お支払いの確認が取れておりません。
何かの手違いかと存じます。
恐れ入りますがご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
また、すでにお支払いいただいている場合は、お手数ですがご連絡いただけると幸いです。
ポイント
相手に料金を催促する場合は、「こちらが間違っていたら申し訳ありませんが」というニュアンスを相手に伝える必要があります。相手が未払いだと決めつけてメールを書いて、もし相手が支払っていた場合は大変なことになります。ですので細心の注意を払ってください。
また先ほど紹介したクッション言葉を使うことによって、柔らかい表現をしていることもポイントです。支払いの確認が取れていないといえど、こちらはお願いする立場です。クッション言葉を使い、相手に不快な思いをさせないようにしましょう。
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「支払う」の別の敬語表現例
清算する
債権債務など、お金の貸し借りを終わらせる(支払う)ときに使います。勘のいいかたならお気づきのはずです。そうです、これは「する動詞」です。よって「清算いたします」のように「する」の部分を敬語表現に変えて使えば大丈夫です。
補償する
こちらも「する動詞」ですので敬語表現は上記と同じです。意味は損害賠償などで金銭によって償うことです。ただ、そのような場合でも「支払う」を使うことが多いので「補償いたします」よりも「お支払いいたします」の方がしっくりくるのではないでしょうか。
振り込む
銀行口座などへお金を送るときに使います。「支払う」と同じで、「する動詞」と「補助動詞」の両方の使い方があります。前者は「振り込みいたします」、後者は「お振り込みいただく」が敬語表現です。
納める
こちらは補助動詞を使います。「納める」は主に税金に関わるときに使いますが、「会費を納める」など「支払う」と同じ意味で使うこともあります。「納める」と「支払う」の違いには諸説ありますので気になったかたは調べてみるのもいいでしょう。
「支払う」を敬語表現するときの例文
現在メールで請求する場合の多くは銀行振込をお願いすることが多いです。この際「支払う」だけでなく、「振り込む」も使用することができます。ですので例文の「支払う」の部分を「振り込む」に変えても大丈夫です。
請求する場合
◯◯株式会社
山田様
平素お世話になっております。
この度は弊社商品「〜〜〜」をお申込みいただき、誠にありがとうございます。
メール添付にて請求書をお送りいたしました。
ご確認の上、請求書に記載いたしました銀行口座へお支払いくださいますよう、よろしくお願いいたします。
株式会社□□
佐藤
催促メールに対する返信
株式会社〇〇
田中様
いつも大変お世話になっております。
この度お問い合わせいただきました「▲▲」の支払いについてですが、未納となっておりました。
ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。
先ほどご指定の口座へお支払いいたしました。
恐れ入りますがご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
株式会社□□
鈴木
気をつけよう!間違った使い方
二重敬語
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二重敬語とは同じ種類の敬語を一緒に使うことです。「ご覧になられる」(尊敬語+尊敬語)や「拝見させていただく」(謙譲+謙譲)などが挙げられます。ただ「お伺いする」や「ご案内いたします」などの(謙譲+謙譲)は現在では許容されています。
間違った例文
・「現金でお支払いになられますか。」
こう言われて何も感じないかたもいますが、れっきとした間違いです。補助動詞「になる」と助動詞「られる」は両方とも尊敬を表しています。これは二重敬語なので注意してください。
正しくは「現金でお支払いになりますか」もしくは「現金で支払われますか」です。
支払い上手になろう!
いかがでしたか。今回は「支払う」についてご紹介しました。今回は敬語の表現が多いのでちょっと大変ですが、しっかり理解して使いこなせるようにしましょう。
「支払う」お金に関する言葉です。日々の暮らしで料金を決められた日にちまでに支払うこともありますが、相手に催促することもときにはあります。そんなときは「メールでの使い方」でご紹介したやり方をぜひ使ってください。文章でも支払い上手になりましょう。