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「早とちり」の敬語表現
「早とちり」は、相手の言う事や書いてあることをきちんと最後まで確認しなかったために、勝手な思い違いをしてしまったことを意味する言葉です。敬語で使う場合は「早とちりしてしまいました」「早とちりしておりました」などの表現になります。
「早とちり」という言葉は、「うっかりしていた」に近いニュアンスの言葉です。反省しているという意味合いはありません。そのため、既に損害が発生してしまっているような事柄に対しては使うべきではありません。
「朝礼があると早とちりして早く来てしまったんですが、今日は無かったんですね」「田中さんも飲み会に参加するのかと早とちりしていました。田中さんが行かないなら私も参加しなかったのに」などの使い方をします。
「早とちり」はビジネスシーンで使っても良いか
「早とちり」は相手に損害が生じていたり、迷惑が掛かっていたりする場合は使うべきではありません。「早とちりしておりました」「早とちりいたしました」などの敬語は、ビジネスシーンで使ってはいけない言葉だという訳ではありませんが、特に誰にも迷惑が掛かっていないような場面でだけ使うようにすべきです。
「ご連絡が無かったので何かあったのかと早とちりいたしまして、何度か着信を入れてしまいました。失礼いたしました」「お急ぎなのかと早とちりいたしました。わたくしの方は急いでおりませんので、ご返答はゆっくりで問題ありません」などの使い方をします。
あまり問題が生じないような場合であればOK
「早とちり」という言葉は敬語にすると「早とちりいたしました」「早とちりしてしまいました」などになります。これらの敬語には「反省している」「申し訳なく思っている」というニュアンスはありません。
「現場から直帰だと早とちりして家に帰ってしまいました」「現場直行だと早とちりしていました。今もう現場にいます」など、相手の迷惑になっている可能性がある場面での使うと失礼になります。
問題が生じている場合は早とちりでは済まない
「まだ完成していない書類をもう完成しているものだと思って相手先に送ってしまった」「着払いで送っていいと思って元払いにすべき荷物を着払いで送ってしまった」などは状況としては「早とちり」ですが、「早とちりいたしました。送ってしまいました」というような敬語を使うと反省の色が伝わりません。
このような場面では「早とちりした」とは言わずに、「確認不足でした」と言うようにしましょう。
「早とちり」の敬語での使い方
「早とちり」は自分がするものですので、敬語にする場合は「早とちりいたしました」など、謙譲語の形で敬語にするか、あるいは「早とちりしてしまいました」など丁寧語の形で敬語にします。
相手が早とちりした、という場合は「早とちりされました」「早とちりなさったようで」など尊敬語の形で敬語にします。しかし、敬語を使うべき相手に対して、「早とちり」という言葉を使うのはできるかぎり避けるべきだと言えます。
敬語の種類
敬語には「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」があります。「早とちり」はどのタイプの敬語にすることも可能です。丁寧語の場合は「早とちりしました」「早とちりです」、尊敬語の形で敬語にする場合は「早とちりなさった」、謙譲語で敬語にする場合は「早とちりいたしました」になります。
使い方
丁寧語の場合は「失礼いたしました。私の早とちりでした」などの使い方をします。尊敬語で敬語にする場合は「××さんが早とちりなさるなんて珍しいですね」「ポケモンと妖怪ウォッチは別物です。早とちりなさったんですね」などの言い方になります。謙譲語の場合は「早とちりいたしました」などの使い方をします。
メールでの使い方
「早とちり」は取るに足らないような思い違いや、相手に迷惑が掛かっていないような事柄に対して使います。
「Aさんが私の指導係になってくださるのかと早とちりしておりました。栄転とはいえ転勤されてしまうのは私にとっては残念です」「会社集合かと早とちりしておりました。現地集合ですね。承知しました。ご指摘いただいて本当に助かりました」などの使い方をします。
ビジネスでの使い方
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「早とちり」は確認不足で思い違いをしていた、という場面で使います。ビジネスでは「確認不足で思い違いをした」という場合は「早とちりした」ではなく「確認不足だった」という言葉で状況を伝えた方が印象が良くなります。
ビジネスで「早とちりいたしました」などの言葉を使っても問題ないのは、取るに足らないような確認不足の場面や、むしろ相手の利益になるような場面だけです。
「直帰して良かったのですか。早とちりして会社に戻って来てしまいました。ついでなので何かできる仕事があれば手伝います」「お急ぎかと早とちりして、いつもより早く仕上げてしまいました」などの使い方であれば問題ありません。
早とちりの言い換え
「早とちり」は相手に何の問題も生じていないようなシーンや、その早とちりによってかえって相手が利益を得た様なシーンであれば使っても問題ありません。また、取るに足らないような思い違いの場合も「早とちり」という言葉を使っても問題ありません。しかし、相手に迷惑が掛かってしまっているような場面で使うと失礼にあたります。
「早とちりして間違ってしまいました。やり直します」のような言い方はビジネスシーンでは不適切です。「確認不足で間違ってしまいました。やり直させてください」などの言い方の方が印象が良いです。
確認不足でした
「早とちり」は、ちょっとした不注意があったり、きちんと確認しなかったりした結果間違えてしまった、という場面で使います。しかし、こちらの確認不足で迷惑をかけてしまった相手がいるような場合は「早とちりだった」では済まないです。
「早とちりしました」ではなく「確認不足でした。大変申し訳ありません」などの言葉で状況を伝えるようにしましょう。
行き違い
話し合いが進んでいく中で、お互いに状況を思い違いするような場面もあります。そのような場合は「早とちりしてしまった」とも言い表せますが、客観的に見ると「行き違いがあった」という状況とも言えます。
「相手の話を早とちりしてしまいました。もう一度話し合って来ます」は「先方との間に行き違いがありました。もう一度話し合って来ます」と言い換えることができます。
「早とちり」を敬語表現するときの例文
「早とちり」は敬語で言うと「早とちりいたしました」「早とちりしました」「早とちりなさいました」などになります。自分が早とちりした場合は「早とちりいたしました」というのが丁寧です。
「早とちり」と「勘違い」の違い
「早とちり」は「最後まできちんと確認しなかったから間違えた」「早合点してしまった」ということを意味しています。「勘違い」は確認不足だった、というよりは初めから思い違いをしていた結果間違えた、というようなニュアンスになります。
「早とちり」も「勘違い」も自分がそうしたことをしてしまった結果相手に迷惑をかけた、というシーンでは避けた方が良い表現です。
「早とちりいたしました」「勘違いしていました」というよりも「確認不足でした。申し訳ありません」「力不足でした。申し訳ないことをいたしました」と言った方が良い場面は多いです。
「早とちり」の意味を押さえておこう!
何か失敗した、うっかりしていた、という場面でふと「早とちりしてしまった」という言葉が口に出ることはあります。しかしビジネスシーンでは気を付けた方が良い表現です。「早とちり」という言葉には、反省しているというニュアンスは全くありません。
相手に何か迷惑がかかるような早とちりだった場合は「確認不足でした」などの言葉を使った方が良いと言えます。また、相手と自分がお互いに早とちりしていたようだ、というような場面では「お互いに早とちりしてしまって」ではなく「行き違いがありました」と言った方が状況が伝わりやすいです。
「早とちり」の意味を押さえて使いこなせるようになりましょう。