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「心配してくれてありがとう」って敬語でどう伝えるの?
自分や身近な人が怪我や病をしてしまった、あるいはトラブルに巻き込まれた、そのような時、「大丈夫ですか?」と心配してくれる人がいてくれることはありがたいことです。心配してくれてありがとうと、誰しも心配してくれた方に伝えたいと考えるでしょう。
しかし、いざ伝えようと思ったとき、その伝える相手が目上の方だったり、ビジネスの場で伝えるとなったりしたら、どんな敬語を使って「心配してくれてありがとう」と伝えたら失礼に当たらないか、不安になる方も多いのではないでしょうか。
今、「心配してくれてありがとう」と伝えたい方も、そのような時どう言うんだろうと疑問にお思いの方も、ぜひ参考にしてみてください。
丁寧語では「ご心配ありがとうございます」
職場の同僚に対してであったり、少しかしこまった場面であった場合など、単に丁寧な言葉で「心配してくれてありがとう」と伝えたい場合は、「ご心配ありがとうございます」と言いましょう。
「ご心配」の「ご」は、相手の方の「心配してくれた」という行為に対して尊敬する意味付けの接頭語です。それに加えて、「ありがとう」に「ございます」と丁寧語をつけることで、丁寧な言い回しになります。
「心配してくれてありがとう」の敬語での使い方
丁寧語での「心配してくれてありがとう」の言い方を知って、「これ以上の言い方はないのでは?」と思われると同時に、「そもそも丁寧語=敬語ではないのか?敬語とは?」と、困惑している方もいるでしょう。
この項では、そもそも敬語とは何かについて説明いたします。
敬語の種類
敬語は3種類に分類されます。
単に丁寧にものを言いたい時は「丁寧語」
一つ目は、先ほどご紹介した「丁寧語」です。
こちらは話し手が聞き手に対して敬意を表したり、改まった気持ちでものを言う時に使う言葉遣いです。口語の「です」「ます」「ございます」などが丁寧語に当たります。また、「お散歩」「お茶」「お菓子」の「お」も丁寧語に分類されます。敬語の中で一番多く日常に使われる敬語です。
相手に敬意を示したい時は「謙譲語」
二つ目は、「謙譲語」です。
こちらは話し手が聞き手や話中の人に対して敬意を示すために、自分や自分の側にあると思われるものや動作などを、あえてへりくだって言う言葉遣いです。
自分の立場を下に見せることで、相手を立てる言い回しとも説明できます。こうした性質から、謙遜(けんそん)語とも呼ばれます。「〜いたします」「うかがう」「存じ上げる」などが、謙譲語に分類される敬語です。
目上の方に使う時は「尊敬語」
三つ目が「尊敬語」です。
話題になっている人やその存在、行為や状態など、その人に関わるものに対して話し手が敬意を表す時に使う言葉遣いです。
この説明だけですと、先ほどご紹介した「謙譲語」にも似ています。しかし、「謙譲語」が自分がへりくだることで相手に敬意を示すのに対して、「尊敬語」は自分をどう見せるかは関係なく、相手を尊敬し立たせることができる言葉であることに違いがあります。
敬語の中でも特に自分より目上の方に使う言葉と言えるでしょう。
例えばどう使うの?
今回の「心配してくれてありがとう」というフレーズを例に考えてみましょう。まず、「丁寧語」で「心配してくれてありがとう」と言う場合には、前述のとおり「ご心配ありがとうございます。」と言います。
では謙譲語では?
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では、「謙譲語」ではどうなるでしょう。謙譲語は「自分」がへりくだることで、相手に敬意を伝える言葉遣いであると説明しました。「心配してくれてありがとう」という時、「してもらった」のは自分であり相手の行為でないので、「くれて」を謙譲語の「いただき」に変えて、「ご心配いただきありがとうございます。」ということになります。
尊敬語だったらどう変わる?
最後に、「尊敬語」ではどうなるでしょうか。「尊敬語」では相手を敬った言い方をするので、「もらう」の謙譲語である「いただく」は使えません。「目上の方が心配する心をくれた/受け取った」というような考え方で、「下さった」という言葉を使います。
ですので、「尊敬語」「心配してくれてありがとう」と言う時は、「ご心配くださりありがとうございます。」と伝えます。
メールでの使い方
「心配してくれてありがとう」とメールで伝える場合、基本的には「丁寧語」「謙譲語」「尊敬語」、どの言い回しを使っても間違いではないでしょう。
ただ、同僚に送るメールに「ご心配くださりありがとうございます」と書くのも、必要以上に堅苦しい印象を与えますし、逆に目上の方送るメールに「ご心配ありがとうございます」と書くのでは少し失礼です。相手が自分にとってどんな立場の人かによって、使い分ける必要があります。
ビジネスメールではどう変わる?
ビジネスメールにおいても、各種類の敬語の言い回しに変化はありません。しかし、場合によっては「心配してくれてありがとう」という旨を伝えるだけでは不十分であったり、おかしなこともあります。
例えばこんな時
例えば、何か自分がミスをして、相手の方のお仕事にも支障をきたすような場合にも、相手の方から「大丈夫ですか?」と声がかかることがあるでしょう。こうした時には、単に「心配してくれてありがとう」という気持ちを伝えるだけでは不十分です。
心配していただいたことに感謝することよりも先に、ミスに対する謝罪が必要だからです。ですので、この場合は「ご心配おかけして申し訳ありません」と返すのがベターです。
また、「お世話になっております」や「お忙しいところ」などのフレーズに、「ご心配いただき〜」と伝えるのは少しおかしな感じになります。こうした時は「お気遣いありがとうございます」と伝える方が自然でしょう。
このように、場面によっては言い回しを変える必要があることにも注意しましょう。
「心配してくれてありがとう」を敬語表現するときの例文
それでは、「心配してくれてありがとう」を敬語で伝えるときには、具体的にどのような言い回しがあるのでしょうか。いくつか例文を見てみましょう。
「心配してくれてありがとう」の敬語の例文
「心配してくれてありがとう」を敬語で伝える場合には、このような言い回しがあります。
ご心配いただき誠にありがとうございました。
「心配をしてもらっていたけれど、もう大丈夫になった」という時に使える一言です。「誠に」という言葉が入っていることで、より感謝している気持ちが強いことが感じられます。
ご心配いただきありがとうございます。
シンプルに「心配してくれてありがとう」と敬語で伝える時の一言です。このフレーズは、まだ「心配してもらっていることの最中(病気やトラブルが解消されていないとき)」にいても使えるフレーズです。
ご心配くださりましたこと感謝いたします。
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こちらもまだトラブルが片付いていなくても使える一言です。「ご心配くださりましたこと」ということで、「あなたが心配してくれること自体が嬉しい」ということが伝わる一言と言えるでしょう。
ご心配くださり誠に感謝しております。
「ありがとうございます」を「感謝しております」に言い換えた表現です。どちらも丁寧に感謝の気持ちを伝えているフレーズですが、「感謝しております」の方がニュアンスとしてより丁寧に聞こえます。
ご心配くださりありがとうございます。
「ご心配いただきありがとうございます」の「いただき」を「くださり」に言い換えた表現です。「いただく」が謙譲語なのに対して「くださる」は尊敬語なので、「ご心配くださりありがとうございます」は、目上の方やより敬意を払いたい方に使うのが良いフレーズと言えます。
一言添えるだけで印象が変わる!
このように、「心配してくれてありがとう」という言葉の間に「誠に」とつけたり、「ありがとう」を「感謝」と表すことによって、自分の持っている気持ちの度合いやよりかしこまった雰囲気を伝えることができます。
「心配してくれてありがとうございます」ではダメ?
一見しておかしくないような言い回しですが、敬語としては誤りです。「ありがとうございます」と丁寧語を使っているのに、「心配してくれて」の部分は「平語」、相手を敬っていない言葉になっています。
気の知れた相手との日常会話の中で、サラッと出てしまう分には問題はないですが、敬語で話すのがベターな場面では、「心配してくれてありがとうございます」ではなく、「ご心配ありがとうございます」と正しい敬語を使った方が良いでしょう。
「心配してくれてありがとう」の別の敬語表現例
「心配してくれてありがとう」の別の敬語表現には、どのようなものがあるのでしょうか。他の表現も知って言葉の表現の幅を広げましょう。
お心遣いありがとうございます
「心配してくれてありがとう」という言葉から一歩踏み込んで、「心配する」=「自分のことを色々と考えてくれた、思ってくれた」ことへ感謝します、という言い回しです。
「心遣い」という言葉は、相手のことを思い巡らし、心をはたらかし気を使うことを意味します。「気遣い」よりも、より相手のことをおもっているという印象です。ですので、心配をかけてしまった、心配してくれてありがたい、という場合にも適した言葉であると言えるでしょう。
ご心配していただき恐縮です/恐縮に存じます
「心配してくれてもありがとう」と伝えたい時は、もちろん「心配してくれてありがたい」という気持ちがある時であるのも確かですが、「心配をかけてしまって申し訳ない」というような気持ちもある時ではないでしょうか。
そのような「申し訳ない気持ち」を前面に出せるのが、「恐縮」という言葉です。恐縮という言葉には、相手に感謝するという意味合いと、申し訳なく思うという意味合いの両方が含まれています。「心配してくれてありがとう」と思う以上に心配かけてしまって申し訳ないな、という時に使ってみましょう。
「心配してくれてありがとう」は心を込めて伝える
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いかがでしたでしょうか。「心配してくれてありがとう」と一言気持ちを伝えるのにも、このように色々な言い回しがある上、敬語で伝える時には敬語の種類によっても言葉遣いが変わります。「心配してくれてありがとう」と伝える時にはそうしたことも留意して、相手の方が心配してくれた分の恩返しができるように、誠意をもって伝えましょう。