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「そして」の敬語表現・そしての使い方と例文・別の敬語表現例

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「そして」を敬語として使うには

今回の記事では、主に敬語としての「そして」の使い方を解説していきます。

ときおり、勘違いする方もいますが、敬語とは文章の全てを綺麗な言葉や丁寧な言葉に変換するのではなく、可能な部分を丁寧に表現した言葉(文章)のことです。たとえば、「田中さん」のような固有名詞には丁寧な言葉になる「お」をつけて「お田中さん」にはしません。

「そして」が含まれる接続詞も、敬語(丁寧語、謙譲語、尊敬語)表現ができるとは限りません。その点に留意し、まずは大きく「丁寧語」「謙譲語」「尊敬語」に別れる三つの敬語と、その敬語表現の中で使われる「そして」を理解していきましょう。

そもそも「そして」の意味は

「そして」という言葉が、もともとは「そうして」という言葉で、それがつづまった(約した・縮まった)形です。

Aという状態が起きたとき、次にBという状態になった、というように順番を表わす接続詞です。「Aが起きた。そして、Bが起きた」のような形で用います。AとBは時系列的に直線で繋がっているので、改行はせずにそのまま「そして、Bが起きた」となるように文章を構成しましょう。

先ほどの例文を記号で表わすと「A→B」ですが、他に、「A+B」のように状況や状態の追加を表わすときにも用いられます。「さらに」や「あまつさえ」と同じ意味です。

ですが、元々は順序だって物事を表わすときに使う表現ですので、「A+B」の意味でそしてを使う場合は「さらに」のようなより相応しい言葉に換えましょう。

「そして」を分解してもっと深く意味を理解しよう

もう一歩踏み入った「そして」の意味として、「そして」を分解して解説していきます。

分解と聴くと、「佐藤くんは買い物に出掛けた」→「佐藤/くん/は/買い物/に/出掛け/た」のような文章を単語毎に区切るイメージを思い浮かべますが、そしては、単語の意味的には二つの言葉で別れています。その別け方が、「そ」と「して」です。

「そ」は、「それ」「その」「そう」など、物体や状況など、なにかを指すときに用いるものです。「して」は、「連続」といったような、次に繋ぐ表現です。

「そして」の単語は、厳密に言えば二つの意味の組み合わせでできた言葉なので、これをそれぞれ別のもとしてそれぞれ丁寧な表現にすることが可能です。つまり、どうしても「そして」を敬語で表現した場合、状況に沿った表現をすることも可能ではあります。

丁寧語

敬語として最も一般的で、かつ実践するのが非常に簡単で無意識のうちに使ってしまうのが「丁寧語」です。

聞き手に対して丁寧な言葉遣いで話す言葉で、特徴的なのは語尾に「です」「ます」をつける点です。「です・ます言葉」「です・ます口調」などと言うこともあります。今記事でも丁寧語を用いています。

丁寧語が簡単な理由としては、他の「謙譲語」や「尊敬語」と違って、単語そのものが変化することがないのが挙げられます。

例を上げて説明しますと、「言う」という単語をそれぞれの敬語で表現すると丁寧語は「言います」、謙譲語は「申し上げる」、尊敬語は「おっしゃる」となります。

丁寧語は簡単なルールに従って「ます」をくっつけただけですが、謙譲語と尊敬語はそもそもの単語が変わるケースが非常に多いです。これが、謙譲語や尊敬語が嫌厭されたり、使う人が少ない要因にもなっています。

丁寧語での「そして」

丁寧語はとても簡単に扱える敬語表現の性質上、敬語の度合いとしてはとても低いものです。

ですので、先ほど説明したように、無理に「そ」「して」に分解して敬語に改めるようなものではありません。もしも、より丁寧な表現をしたい場合は、そもそも丁寧語ではなく謙譲語や尊敬語に文章全体を改めてから「そして」もより丁寧に表現しましょう。

丁寧語では、「そして」はあまり気にすることなく通常どおりに使って構いません。

謙譲語

謙譲語と聴くと、先入観で「古臭い言葉遣い」であったり、「時代劇で使うような言葉」といった認識をする他人も多いのではないでしょうか。事実、武士階級では謙譲語のような言葉遣いを使う人も多くいました。

しかし、あくまでも「ような」言葉です。武士たちが使う言葉は敬語ではありません。もちろん、謙譲語でもありません。その理由は、謙譲語とはそもそも「自分の立場を下げて表現する言葉」だからです。

例を上げて説明をしましょう。謙譲語で「言う」は「申す」となりますが、謙譲語の基本のへりくだった言葉になるようにしますと、相手に発言を促す場合には「申し上げてください」となります。

しかし、時代劇などで殿様が家来に「申してみよ」などと言っていることがあります。これは、自分を大きく見せる表現なので、「申す」を使っていたとしても謙譲語にはなりません。

謙譲語とは、腰が低い姿勢を文面でも表わした言葉のことです。

謙譲語での「そして」

謙譲語も敬語の中では度合低いものですので、基本的には余り気にせずに「そして」を使っても大丈夫です。

それ以外に理由を上げれば、謙譲語は「僭越ながら意見を申し上げます」のような自分の行為や行動を表現することが多いものですので、自分が何かをする際に「そして」を使う場合はそのまま「そして」を使っても構いません。

なぜなら、そしてをいくら丁寧にしても、それが掛かってくるのは自分がする行為だからです。自分をへりくだる謙譲語としては、無理に丁寧にする必要はありません。

例外として、もしも相手の行為を言葉にするときに「そして」を使いたいとき、「そ」「して」と分解して、それぞれ丁寧な表現をするとよいでしょう。

例を上げれば「ご訪問いただきまして、まことにありがとう存じます。それに加えて、手土産までいただいて~」のような文章です。ここでは「そ」が「それ」に、「して」が「加えて」に変換されています。

尊敬語

尊敬語は、自分を下に置く謙譲語とは逆に、「相手の地位を上にする」敬語表現のことです。

どちらも「自分<相手」の表現でありますが、ストレートに言えば「相手をもてはやすような表現」で、極端に言ってしまえば「相手がまるで神様のように対応すること」です。

謙譲語では、「自分が下」ということを言葉で表現していましたが、尊敬語では相手の「凄さ」を自分が証明するように文章を構成します。つまり、どういうことかといえば、行為をする人を相手にして、その表現を(尊敬語としての)敬語にするということです。

謙譲語では、「恐れ多いながら、自分めがやります」といったニュアンスでしたが、尊敬語は「貴方様にやってもらえたこと、誠に光栄であります」といったニュアンスになります。

尊敬語での「そして」

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丁寧語や謙譲語と較べると、尊敬語は敬語の度合いとして高いものです。そして、相手の行為を主体的に表現するものなので、「そして」をより丁寧な形で表現することは相手にいい印象を与えることにもなるでしょう。

もしも、「そして」を使う場面があれば、「それ」「その」「そう」といった言葉に変えることが可能で、さらに「して」の意味を持つ言葉(「それ」に加えて、「それ」だけでなく、など)を付け加えられるのなら、使った方がよいでしょう。

ただし、それが自然な形でない場合は、無理に「それ」「その」「そう」と変えなくでも大丈夫です。「そして」は元々敬語表現をしなくていい言葉です。そこに留意し、可能であれば、といった気持ちで丁寧な表現をするようにしましょう。

「そして」の別の敬語表現例

「そして」が別の(敬語)表現ができるとはいっても、その代替えできる言葉を思いつかない人は多いでしょう。言葉はたくさんあるようで、同じ意味を持つ言葉はそうありません。

この項目では、「そして」を別の表現で言い表したいくつかの例文を紹介します。

「○○、そして□□」の形は、追加の意味であれば「○○、それに加えて□□」とできます。ここでは、「それ」と、追加の意味の「加えて」を組み合わせて「そして」を表現しています。

順序を表わすときは「○○、そのあとに□□」とできます。ここでは、「その」と、時間に関係する「後(あと)」を組み合わせて「そして」を表現しています。

他には、「貴方は○○をやり遂げ、そして□□となった」といった文章を「貴方は○○をやり遂げ、そうすることで□□となった」のようにできます。ここでは、「そう」と、「する」という行動で「そして」を表現しています。

「そして」を柔軟に変換する

上で説明した方法は「そして」を直訳的に表現すること、つまり別の言葉で直接表現しようとする手法です。しかし、他にも「そして」を表現する方法があります。それが、「時系列の入れ替え」です。

「そして」の使い方は、記号で説明したとおりに「A+B」や「A→B」のような意味です。ですから、その順番立ったものを逆にすれば、同じ意味でも文章は大きく変わります。

先ほど上の項目で例文として出した「貴方は○○をやり遂げ、そして□□となった」でこの手法を試してみましょう。

「そして」を使う場合の順序とは逆にする、つまり「結果から入る」ので、「貴方が□□になれたのは、昔に○○をやり遂げた経験があってのものだ」とできます。「そして」を使わずに印象も大分違うものになりますが、言っていることは同じです。

言い換えることが必ずしも敬語表現とは限らない

上記の例文などを見て、「そして」の言い換えの一端を知った読者のなかには「あれ、これって敬語表現なの」とお気づきの方もいるでしょうが、「そして」を言い換えて必ずしも敬語(らしい表現)になる訳ではありません。

「言う」のように、敬語にすると敬語専用ともいえる言葉があるような単語と違って、「そして」のような接続詞には敬語としての言葉がないものも多くあります。ですから、無理に丁寧な言葉を使おうとしたり、見栄えを気にしたりして、かえって敬語らしい表現にはならないときもあります。

敬語を使いたかったのに敬語表現になっていない、そういった事態を引き起こさないためには無理に言葉を言い換えずに「そして」を使うとよいでしょう。「そして」を使ったあと、そのあとに「今はより丁寧な表現があった」と振り返り、次の機会で言い換えるだけで十分です。

「そして」と似た意味の言葉

「そして」の接続詞には、似た意味をもつ言葉がそれなりにあります。

さらに

「さらに」は、「そして」の意味のなかでも「A+B」の意味を抜き取った言葉の印象が非常に強いです。ですので、行為や物体を積み重ねて表現したいときは、「そして」ではなく「さらに」を使います。

気を付ける点は、あくまでも似た意味の言葉であって、「そして」と「さらに」に互換性がある訳ではありません。「そして」の抜本的な意味は「Aの次にBをした」という意味です。さらにはより広範的な意味ですので、言い換えることはできません。

もちろん、「そして」の敬語表現が「さらに」ではないので丁寧な言葉として使うのは間違いです。

それから

もう一つ、「それから」も「そして」と似たような意味を持ちますが、「それから」はむしろ「さらに」のほうが近い意味となっています。

「それから」を使う場面は、例えば「みかん、りんご、それからぶどう」といったように物(や行為)を列挙していく場合に使います。

一応、例文の物を買い物カゴに入れていく様子を描写したときは、登場した順にカゴの中にいれていることになりますが、必ずしもそうとは限らないので厳密に順序を定める「そして」では代用できません。

それで

こちらは、「A→B」のような意味ですが、厳密に言えば「Aが原因でBになった」という意味です。つまり、淡々と時系列を紹介する「そして」とは別に、注目するべきところは「何かしらの原因があった」ときに用います。

例文で見ていくと「田中は佐藤と喧嘩した。だから腹が立っているようだ」という風になります。こちらも順序の関係する接続詞ですが、特に物事の原因が何であるかを説明したいとき、「だから」を使い、その前にある原因をハッキリとさせます

正しく意味で正しい言葉を使いましょう

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敬語は日本独自の文化です。ほかの国では、別の言い回しがあっても敬語(丁寧語、謙譲語、尊敬語)であったり、多くの表現方法がある訳ではありません。

また、敬語は人間関係を円滑に保つために敬語を使う場面は多くあります。むしろ、敬語を使わないで生きてきた人間はほとんどいないことでしょう。それほど、敬語とは生活の中に溶け込んでいるものです。

今回は、「そして」の意味と敬語での使用例や「そして」と同じ意味でより丁寧な表現になる方法を例文を上げて紹介していきました。しかし、これで敬語をマスターできる訳ではありません。

敬語を覚えるには、他にもさまざまな言葉の正しい意味を知っておく必要があります。特に敬語を使うときには、相応しい言葉とそうではない言葉があるので、気を付けて使いましょう。そして、この日本の文化と日本の言葉を大切にしていきましょう。

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