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「十分です」の敬語表現は?
まず始めに、「十分です」には2つの意味があります。1つは「もう満足だからこれ以上は必要ない」の意味、もう1つは「不足がない(適している)から問題ない」の意味です。これら2つの意味は表していることが異なるために、「十分です」の敬語表現となる言葉は、意味によって違ってきます。
すなわち、「満足だからこれ以上は不要」の意味には、その意味に合った敬語表現があり、「不足がないので問題ない」の意味には、その意味に合った敬語表現があるということです。「十分です」だけでも敬語表現になるため、「十分です」も含めて、敬語表現についてをお伝えしていきます。
十分です
「十分です」は、丁寧語に属する「ですます調」が付いているため、丁寧語の扱いになります。丁寧語は「目上・同輩・目下といったいずれの立場の相手にも使える敬語表現」とされているため、相手と自分の関係性を問わず、使うことができます。
「十分です」の意味は、先ほどお伝えしましたとおり「満足だからこれ以上は要らない」と「不足ないので問題ない」の2つです。前者の意味では単純に「要りません」と言えば済む話ですが、「十分です」が示す「要らない」には「満足しているから」の要素が含まれています。つまり、「過多になるからもう要らない」ことを表す時に、前者の意味で「十分です」を使います。
後者の意味では、「これで良い」といった表現でも表すことができます。しかしながら「十分です」には、単に「良い」ではなく「不足がない(から良い)」の意味が含まれています。簡単に言えば、「問題(抜けてる点)はない」ということです。
十分でございます
「ございます」は、「ある」の丁寧語になります。「あります」も「ある」の丁寧語になりますが、「ございます」の方がより丁寧な表現とされています。「十分です」と組み合わさって「十分でございます」となった時には、「十分です」と同じように「満足だからもう要らない」と「不足ないから問題はない」の2つの意味で使うことができます。
しかしながら、一般的には「不足ないから問題はない」の意味で使用されることが多いです。それでも、「満足だからもう要らない」の意味で使用されることもあります。
「十分でございます」は、状況的に「どちらの意味が込められているのか分かりにくい」時もあるため、自分が「満足だからもう要らない」の意味で使う時には「もう十分です」といったように「もう」を付けたり、「不足ないから問題はない」の意味で使う時には「問題ありません」などの表現に言い換えることで、伝わりやすくなります。
十分だと存じます
「存じます」は「存じ(存ず)」といった「思う」の謙譲語なので、それが組み合わさった「十分だと存じます」は謙譲語の分類になります。謙譲語は「目上の相手」に「自分のことを示す」時に使う敬語で、「自分を低めることで相手を立てる」目的があります。
「十分です」を敬語にした時の使い方!
「十分です」も敬語表現になりますが、他にも「十分でございます」や「十分だと存じます」といった敬語表現がありました。では、これらを実際に使う時には、どのような使い方をすることが正しいのでしょうか。「十分です」の敬語表現を知っていても使い方を間違えると元も子もないので、使い方も確認しておきましょう。
敬語の種類
「十分です」を含め、敬語表現は「十分でございます」や「十分だと存じます」などがあります。「十分です」と「十分でございます」は丁寧語、「十分だと存じます」は謙譲語になり、尊敬語になる表現はありません。
丁寧語にあたる敬語表現の中では、「十分でございます」の方が込められている敬意が強く、「十分です」の方が当たり障りなくシンプルで使いやすい敬語表現になります。
使い方
謙譲語にあたる「十分だと存じます」は、「目上の相手にのみ」使用することができます。謙譲語は「自分を低めて相手を立てる」敬語なので、「相手が自分よりも立場が上の人・立てるべき相手」に対して「自分のことを示す」時に使います。
丁寧語にあたる「十分です」と「十分でございます」は、相手の立場を問わず使用することができます。「十分でございます」は丁寧語ながらも敬意が強く込められている敬語表現になるため、多くは「目上の相手・立てるべき相手」に使用されますが、丁寧語の中でもより丁寧な敬語として使う人もいます。
「十分です」は敬語ながらも重さがない無難な印象のある表現なので、一般的によく用いられます。
メールでの使い方
「十分です」の敬語表現をメールで使う時には、「十分でございます」や「十分だと存じます」はあまり使用されません。一般的には「十分です」がよく用いられ、場合によっては「十分だと思います」などの形も使用されることがあります。
「十分です」を敬語表現にする時の例文!
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「十分です」を敬語表現にした時、どのように使用するのか例文を通して確認しておきましょう。
もう十分です
「もう十分です」には、「満足だからこれ以上は必要ない」の意味が込められています。この意味で使う「十分です」の敬語表現の中では、最も一般的な使い方と言えます。丁寧語なので、ビジネスシーンでもプライベートの中でどこかに出かけた時などにも、使用することができます。
それで十分です
「それで十分です」は「それ」に対して「十分です」ということを伝えている例文になるため、込められている意味は「不足がないので問題ない」です。場合によっては、「これで」にしても良いでしょう。
もう十分でございます
「もう十分です」と同義になりますが、こちらの方が丁寧さは強くなります。
それで十分でございます
「それで十分です」と同義ですが、「もう十分でございます」と同様に、こちらの例文の方が丁寧さは強くなります。丁寧さが強いからといって使い慣れていない表現を無理に使うことはなく、一般的には「十分です」でも問題はありません。
これで十分だと存じます
「これで十分だと存じます」は、謙譲語になります。「これで」の部分は「それで」でも良いのですが、「十分です」のように「もう」とはつなげることは少ないとされます。つまり、「十分だと存じます」の形は「不足なく問題ない」の意味で使用されることが多いということです。
「十分です」を別の表現で敬語にした場合の例!
「十分です」は、別の表現を使って、敬語にすることもできます。
良いと思います(良いと存じます)
「良いと思います」だと丁寧語ですが、「思います」の部分を「存じます」にすれば謙譲語になります。「~で良いと思います(存じます)」といったように、前に「それで・これで・そのままで・〇〇で」などの言葉を付けることも可能です。「十分です」を「不足なく問題ない」の意味で使用した時と同義になります。
満足です
「満足」は「満たされている」=「不足がない」の意味ですので、「不足なく問題ない」の意味における「十分です」と同義になります。
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他には何も要りません
「十分です」を、「満足だからこれ以上は要らない」の意味で使用した時と同じ意味になります。何かを提示・提供された際に、そのもの以外にも欲しい物があるか聞かれた時・提示(提供)側が他にも用意しようとしている時に「他には何も要りません」といった表現を使うことができます。
問題はありません
「十分です」が持つ「不足なく問題ない」の「問題ない」の部分を、丁寧語にしたものです。
差し支えありません
「差し支え」というのは、簡単に言えば「問題」のことです。それが「ない(ありません)」ということなので、「不足なく問題ない」と同じ意味を表していることになります。
支障ありません
「支障」も「問題」と同義ですので、「差し支えございません」と同じことを表しています。
事足りる
「事足りる」の意味「十分・用が足りる・間に合う」で、すなわち「必要なものが足りていること」を表しています。そのため、「十分です」の「不足なく問題ない」と同じ意味で使うことができます。
「十分です」の敬語表現を正しく使おう!
「十分です」自体も丁寧語という敬語になりますが、丁寧語としてもより丁寧な表現にしたい時には「十分でございます」、謙譲語にする時は「十分だとご存じます」といった表現にするなど、「十分です」にはいくつかの敬語表現が存在しています。
基本的には立場を問わず「十分です」で問題ありませんが、「ございます」や「存じます」といった表現も状況に応じて取り入れてみると良いでしょう。