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「会いに行く」の敬語表現
敬語で会いに行くことを表現する場合、会いに行く人が誰なのかに着目して使い分けることがポイントです。自分より上位の人が会いに行くことを表すときは「お会いしに行かれる」「ご訪問される」などの尊敬語を、自分が会いに行くことを表すときは「お伺いする」「参る」「お訪ねする」などの謙譲語を使います。
次の項目から、具体的な使い方を紹介していきましょう。
「会いに行く」の敬語での使い方
相手が「会いに行く」と申し出てくれたときは、謙譲語でその旨を伝えてくるでしょう。そのとき、復唱することで相手の意向を確認することがビジネスにおいての基本です。その場合は、謙譲語で述べられたことをそのまま復唱するのではなく、相手を上げた尊敬語を使って表現しましょう。
敬語の種類
相手が自分のほうへ会いに行くことを申し出てきた場合は、相手が「行く」行動をしています。自分の視点で表現すると、相手が「来る」ということになるので、「来る」を尊敬語で表現した言い方をしましょう。
場面別の「会いに行く」の使い方
ビジネスの場面で取引先が相手の場合
・お会いしに伺います
・お目にかかりたいので、ご訪問します
・お目通りいただきたいので、こちらから参ります
・お目文字いただきたく、お訪ねします
「お目通り」は、主に文書で会いに行くことを伝えるときに使われる表現です。「お目文字」は、女性が会いに行くことを伝えるときに使われる表現です。
謙譲語で注意する点は、「お(ご)~いたします」「お(ご)~いただきます」という表現をすると二重敬語になってしまうことです。例えば、「お伺いいたします」は二重敬語となり間違った敬語の使い方になるので注意しましょう。
ビジネスの場面で、先方が「会いに行く」と述べた場合
・A社のB様が11時にご来訪くださるとのことでした
・F駅の南改札口までいらしてくださるとのことです
・明後日に弊社へお越しくださるとの伝言を承りました
・近くへおいでの際にこちらへもお立ち寄りくださるとのことです
「会う」とは、顔を向き合わせて対面するという意味です。「来訪」「いらっしゃる(「来る」の尊敬語)」「お越しくださる」という言葉の中には、「顔を合わせて対面する」という意味も含まれているので、このような表現になります。
プライベートな場面での「会いに行く」の使い方
高める相手が自分に会いに行くと言っている場合は、ビジネスの場面の項目で紹介した表現のほか、「お見えになる」「いらっしゃる」「ご足労いただく」などの尊敬語が適切でしょう。
自分が相手や第三者に会いに行く場合は、謙譲語で表現します。ビジネスの場面の項目で紹介した表現と同様になります。
メールでの使い方
自分が会いに行く場合は、「訪問いたします」「ご訪問します」「参ります」「お訪ねします」「お会いしに伺います」などの謙譲語になります。一般的には「伺います」と表現されることが多いとのことです。
相手が会いに来る場合は、「いらっしゃる」「おいでになる」「ご訪問される」「お越しになる」「お越しくださる」などの尊敬語で表現しましょう。
実際のビジネスメールで「お伺いいたします」「お伺いします」という敬語の文章を見掛けるのですが、場面別の「会いに行く」の敬語の使い方の項目で述べたとおり、二重敬語となり、誤った敬語の使い方になります。相手がその点を知っている可能性も考え、正しい敬語で記述するほうが無難でしょう。
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「会いに行く」を敬語表現するときの例文
顔を見に行く
退院おめでとうございます。社内で倒れられたときには、部署の者一同、とても心配しておりました。病院へのお見舞いはご迷惑かと思い自重しておりましたが、ご迷惑でなければ皆で部長のお元気になられた姿を拝見したく、ご自宅をお訪ねさせていただきたく存じます。部長のご都合やお加減はいかがでしょうか。
訪問するのは自分なので、「ご」はつけません。また、相手の許可を得た上で自分が行動するので、「させていただく」という謙譲語で表現します。
改まった挨拶をしに行く
先日は私たちの結婚披露宴にご列席いただきありがとうございました。当日は何かと慌ただしく、御礼やご挨拶ができなかったので、改めて伯父様と伯母様がお揃いのときにお伺いしたいと思いますが、お時間をいただけますでしょうか。
日ごろ気さくに話せる相手でも、改まったことであり、この例文では会いに行く相手が目上の人なので、「お伺いしたい」という謙譲語で相手の都合を尋ねる文章になっています。
初顔合わせの人に会いに行く
このたび、健康上の理由から休職しました××の後任で御社を担当させていただくことになりました○○と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。つきましては、先般ご要望のありました資料のお届け方々、ご挨拶に上がりたいと存じますが、お時間を頂戴できますでしょうか。
近頃ではあまり使われていないそうですが、「上がる」も「行く」の謙譲語です。「挨拶に上がる」という表現で、会いに行く意向が相手に伝わる言い方の1つになります。
「会いに行く」の別の敬語表現例
お会いしに伺う
主に口頭で会いに行くことを述べるときに使われる表現です。ビジネスでもプライベートで目上の人に述べるときでも使える敬語表現なので、文章として見る機会や耳にする機会が多いでしょう。謙譲語でありながらも堅苦し過ぎない表現として、多くの人に使われている敬語の表現です。
参る
上の例文では、最も立ち位置の「御社」に対してへりくだる謙譲語「参る」を使っています。「部長」は「私」より上位の人ですが、「御社」よりへりくだるべき立場のため、自社の人間として「部長」も含めて自分を一段下げた敬語表現の形を取るのが正しい敬語の使い方となります。
訪問いたす/訪問される
この例文は、自分が相手の元へ会いに行く場合の敬語表現です。「いたす」が謙譲語に当たります。自分が会いに行くので、別の言い方である「訪問」に「ご」はつけません。
例文2:先方には部長がご訪問なさいました。
この例文は、自分の上司に当たる部長が会いに行ったので、「なさる」という尊敬語を用いた敬語表現になっています。
訪ねる時間をいただく
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この例文は、会う時間をもらった、という言い回しで、会いに行くことに許可をくれたことへの謝辞を述べている文章になります。相手を高めた形の敬語で、会う時間と会いに行くことに許可を出してくれたのが相手なので、尊敬語で述べています。
お会いしに行かれる
この例文では、社内での報告場面を想定しました。話者にとって上位の人が会いに行くので、「行く」ことを「行かれる」という尊敬語で表現し、「会う」の前に丁寧語の表現である「お」を付けています。
ご足労いただく/ご足労をお掛けする
上の例文は、相手が会いに行く行動を起こしてくれたときに用いる尊敬語の敬語表現になります。「足労」の大本の意味は、足を働かせるというもので、そこから「わざわざ足を運んでくれる」という相手への感謝を含めた言葉へと意味が広がって使われている言葉です。感謝の言葉とセットで使われます。
例文2:ご足労をお掛けしますが、よろしくお願い申し上げます。
上の例文は、まだ相手が会いに行く行動を起こしておらず、こちらから会いに来てほしいことを伝えるときの敬語表現となります。お願いする段階で「ご足労いただく」と表現するのは、相手がこちらへ会いに来ることを強要することになるので、「いただく」のか「お掛けする」のかを使うタイミングに気を付けましょう。