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敬語「言っていただく」の意味
尊敬語
尊敬語とは、相手の立場を高める敬語表現で、相手の動作やものを表す言葉のことを言います。「来る」の尊敬語「いらっしゃる」や「食べる」の尊敬語「召し上がる」などのように、相手が動作主である動詞の形が変わります。「お~になる」などの尊敬語もあります。
謙譲語
早速「いただく」が出てきましたが、「言っていただく」の「いただく」は、当然「食べる」の謙譲語ではありません。敬語の種類、意味が何になるのか、詳しく見ていきましょう。
「言っていただく」の使い方
敬語の種類
この「いただく」は、「もらう」「食べる・のむ」の謙譲語として使われますが、この場合は、動詞の連用形を受けて、その動作で自分が恩恵を受けるという意味を付加する補助動詞として使われています。
「もらう」にも似たような意味があり、「言ってもらう」と言い換えても内容は同じですが、謙譲語である「いただく」を使うことで、より相手に敬意を表した言い方になります。何かを言ってもらうことでこちらが恩恵を受けるのですから、ほとんどの場合で「言ってもらう」よりも「言っていただく」の方が適切な表現になるでしょう。
「言っていただく」の使い方
また、「いただく」は「もらう」の謙譲語の意味がありますので、「自分から依頼して」というニュアンスを含みます。「言っていただく」をより深く理解するために、「言ってくださる」との比較を説明する必要がありますので、後ほど「くれる」と「もらう」の違いを用いて詳しく説明します。
「言っていただく」使えるシチュエーション
この場合、名前を言うのは相手、そして言うことを依頼しているのが自分ですので、「言っていただく」を用いた適切な使い方と言えます。
ただ、この例の場合も、「お伝えいただく」などの表現の方がよく聞く表現ですので、「言っていただく」以外の言い回しが考えられることも多いです。
敬語「言っていただく」の例文
逆に、相手が先に述べた案件について後から説明を加える場合などに、「先ほど言っていただいた件ですが」のような例文を用いるのは不適切だと考えられます。相手が述べたことが、何かのオファーなどの、こちらに利益のある内容であれば別ですが、そうでもないかぎり、「先ほどおっしゃっていた件」で充分です。
「言っていただく」は限定された条件下でしかつかえないので、「言う」の敬語表現についても、後ほどまとめて説明します。
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「いただく」の間違った使い方
よく耳にするのは、「~させていただきました」のような表現です。これは、誰かに何かをさせてもらう=誰かから何かをする許可をもらう、という意味で使われることが多く、これ自体は使いどころを間違えなければ正しい敬語としてつかうことができます。
しかし、相手からの許可が要らない場合などに「させていただく」を用いると、「そちらの意向に関係なく~する」という意味で伝わってしまうことがあるので、「提出させていただきました」や「辞退させていただきます」といった用例は不適切です。
また、「拝見させていただきます」などのように、謙譲語+「させていただく」は、謙譲語を重複して使う、二重敬語の扱いになります。「させていただく」を謙譲語と一緒に使わないように注意しましょう。
「言っていただく」の別の敬語表現
おっしゃっていただく
二重敬語とは、一つの表現に、同じ種類の敬語が重複してつかわれることを言います。「おっしゃる」というのは「言う」の尊敬語で、「いただく」は謙譲語。敬語が同時に使われていますが、異なる種類の敬語であれば、二重敬語にはなりません。敬語の方向性が違うので、重複した意味にはならないということです。
「言っていただく」の「言う」の部分を尊敬語に変えただけの表現ですので、「言っていただく」よりも丁寧な表現になります。
二重敬語について浅い理解だと間違いを招きますし、「おっしゃっていただく」が正しい敬語だと認識していても、二重敬語自体を知らなかったとなると、他に誤用をまねくことになってしまいますので、注意が必要です。
「言っていただく」と「言ってくださる」
「いただく」というのが「もらう」の謙譲語であるのに対し、「くださる」という言葉は「もらう」の尊敬語です。「(わたしがあなたに)もらう」と、「(あなたがわたしに)くれる」の違いからも判断できるように、「言っていただく」と「言ってくださる」とでは動作主が違います。
さきほども述べたように、「いただく」は「こちら側が相手に依頼して」というニュアンスを含みますが、「くださる」は「相手が進んで行ったことでこちらが恩恵を受ける」という感じが強くなります。例えば、「書類を送ってくださりありがとうございます」よりも、「書類を送っていただきありがとうございます」のほうが自然だと言えます。
「言う」の敬語表現
しかし、「言っていただく」以外で「言う」の敬語を使いたい場面は他にもあり、それぞれ使い分けを知る必要があります。どのようなものがあるのか、簡単にご紹介します。
「言う」の尊敬語
単純に尊敬を表すときは、「先生が、今日の授業は自習だとおっしゃいました。」で結構です。これを「言っていただく」を用いて、「先生に、今日は自習だと言っていただきました。」と言ってしまうと、自習にしてくれとこちらが頼んだような言い草になります。
他にも、尊敬の助動詞「れる」「られる」を使った表現で、「言われる」という尊敬表現もありますが、「れる」「られる」は、尊敬以外にも可能や受け身といった意味で使われる表現です。
「先生が、今日の授業は自習だと言われました。」だと、文自体は誤りを含んでいませんが、先生が言ったのか、先生が誰かにそう言われたのか、判断がつきにくくなってしまいます。意味の取り違いを防ぐためにも、「おっしゃる」を使った方が良いでしょう。
「言う」の謙譲語
「言っていただく」を正しく使いこなそう!
ビジネスシーンでは、敬語の使い方を間違えることが命取りになることもあります。逆に正しく敬語を使うことで気持ちのよい商談をすることもできます。同僚や上司、ビジネスパートナーなどと円滑に仕事をしていくために、社会人としてしっかりみにつけておきたいマナーです。正しく使いこなせるようになりましょう。