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「『承る』はどんな敬語なのかな?」
「『承る』の使い方が合ってるのか知りたい。」
ビジネスシーンや電話対応などで、「承ります」といった言葉を、耳にすることがあるでしょう。
「承る」が敬語であることは知っていても、それが謙譲語であることを理解している人や、「承る」に複数の意味があることを知っている人は少ないかもしれません。
本記事では、「承る」の複数の意味やビジネスシーンなどでの使い方を、詳しく解説します。
この記事を読むことで、「承る」の正しい使い方や言い換え表現が理解でき、適切に言葉を選んで使うことができるでしょう。
ビジネスシーンで目上の人やお客様と対応する機会が多い人は、この記事を参考にしてみましょう。
敬語「承る」の意味
「承る」は、「聞く」「受ける」「引き受ける」「伝え聞く」という4つの意味があります。いずれも自分を主体とし、相手を敬う謙譲語です。
- 「聞く」の謙譲語。–謹んで聞く。拝聴する。「ありがたい話を承りました」
- 「受ける」の謙譲語。–謹んで受ける。「大役を承る」
- 「引き受ける」の謙譲語。–謹んで、お引き受けする。「御用命を承りました」
- 「伝え聞く」の謙譲語。「承るところによりますと」
敬語「承る」の使い方・例文
以下では、利用シーンや意味に分けて、「承る」の使い方と例文を紹介します。
電話応対で用いる場合
「用件を承る」は、電話を受けたときに代わりに対応しますという意味で使われることが多いです。「予約を承る」は、注文や予約を引き受けるという意味で使われます。
電話対応で用いる場合の例文は以下の通りです。
- 「あいにく〇〇は席を外しております。私でよろしければご用件を承ります。」
- 「いつもありがとうございます。○月○日のご予約、確かに承りました。」
「聞く」の意味で用いる場合
「聞く」の意味で用いる場合の例文は以下の通りです。
- 「どんなご用件でも承ります。」
- 「〇〇様からの率直なご意見を承りました。」
「受ける」の意味で用いる場合
「受ける」の意味で用いる場合の例文は以下の通りです。
- 「〇〇様からお褒めの言葉を承りました」
- 「部長から大役を承りました」
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「引き受ける」の意味で用いる場合
「引き受ける」の意味で用いる場合の例文は以下の通りです。
- 「お客様からの御用命を承りました。」
- 「誠に申し訳ございませんが、ご要望を承ることはできかねます。」
「伝え聞く」の意味で用いる場合
「伝え聞く」の意味で用いる場合の例文は以下の通りです。
- 「〇〇様は病気になられたと承りましたが、その後お加減はいかがでしょうか。」
- 「本日ご予約の〇〇様のキャンセルを承りました。」
敬語「承る」の注意点
「承る」の使い方の注意点を紹介します。
目上の人にも使うことができる
例えば、社内の上層部の人や社長からの指示に対し、「ご用命は確かに承りました。」と使う場合があるでしょう。しかし、同僚や親しい間柄の上司に使うと、かしこまりすぎる表現に感じられます。目上の人に使う敬語ですが、相手との間柄もふまえて使うと良いでしょう。
基本的には社外の人に用いる
社外の人に用いる場合、用件や意見を「聞く」という意味や、指示や要望を「引き受ける」という意味で使用されます。
「対応する」の意味が含まれることを理解しておく
自分は「聞く」の意味で「承る」を使っていても、相手によっては、「引き受ける」の意味に取られる場合があります。紛らわしい場合には、他の言葉に言い換えるといいでしょう。
「承ります」と「受け賜ります」ではニュアンスが異なる
「承る」は「聞く」「受ける」「引き受ける」「伝え聞く」の4つの意味があり、すべて謙譲語です。主体となるのは自分で、相手を敬うときに使います。
それに対し、「受け賜る」は「もらう」と「与える」の意味がある敬語です。基本的に物の受授のときに使われ、謙譲語と尊敬語どちらにもなります。謙譲語で使う場合は、自分が主体となりますが、尊敬語として使うと、相手が主体です。
「受け賜る」は物の授受があるときに使われる言葉で、それに対し「承る」は動作を受けるときに使われます。つまり「承る」は要件や案件などのことのやり取りがあるときに使われます。
敬語「承る」の言い換え表現
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その場合「承る」と同じような意味の言葉に言い換えるといいでしょう。「承る」の言い換え表現として使える敬語を以下に紹介します。
「承諾する」
「承諾する」を「承る」と同じ謙譲語で使う場合は、「承諾いたす」や「承諾させていただく」となります。これは、目上の人に対して、意見を聞き入れる意思を示す表現です。
「拝聴する」
「拝聴する」という言葉を使う時には、注意点があります。「拝聴」という言葉がそもそも謙譲語であるため、「拝聴いたします」や「ご拝聴」は二重敬語になり、誤った使い方です。「承る」の言い換えとして使う場合は、二重敬語にならないよう注意しましょう。
「拝受する」
「拝聴する」と同じく、「拝受する」もこれだけで謙譲語です。「拝受いたしました」と使うと二重敬語になってしまいます。一般的に使われている表現ですが、二重敬語が気になる場合は、「拝受しました」と使いましょう。
「承知する」
ビジネスシーンでよく耳にする「承知しました」ですが、これは丁寧語です。より相手に敬意を払うためには、「承知いたしました。」という謙譲語にすると良いでしょう。
「頂戴する」
ビジネスや接客シーンでは間違った使い方をされる場合があります。よく耳にするのが、「お名前を頂戴します。」です。しかし名前は「もらう」ものではありません。本来「聞く」ものであるため、「お名前を承ります。」が正しい敬語の使い方です。
敬語「承る」の英語表現
「聞く」の意味の「承る」は、「hear」「listen to」「be told」などです。「引き受ける」は「receive」という英語表現になります。
「承る」をそのまま英語にすることはできないため、「承る」それぞれの意味から、適切な英語で表現することが必要です。
また、英語表現には日本語のような謙譲的な表現は含まれません。謙譲的な言い方にするためには、前後の文章からも丁寧な言いまわしにしましょう。
敬語「承る」の意味を理解して適切に使用しましょう
「承ります」と言っても、ただ用件を「聞く」だけでなく、「引き受ける」という意味にもなります。紛らわしい場面では、他の言葉に言い換えるのがいいでしょう。
「承る」の4つの意味の違いを理解し、適切な場面で上手に使い分けましょう。