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「勝手ながら」の敬語表現
「勝手ながら」は、自分のことをへりくだって伝える「謙譲語」です。しかし、その後には、尊敬語の文章でも丁寧語・謙譲語の文章でも続けることができます。使う相手に最大の敬意を払いたい場合は、「勝手ながら」の前に「誠に」をつけると、より丁寧な敬語表現となります。
「勝手ながら」の敬語での使い方
敬語の種類
ビジネスのなかでは、必ずと言っていいほど、敬語が使われます。その種類としては尊敬語・謙譲語・丁寧語がありますが、その際に、相手を気遣う心遣いが感じられる言葉を使うと、さらに好感が持たれます。このような言葉は「クッション言葉」と呼ばれており、ビジネスのなかでは多用されています。「勝手ながら」はクッション言葉として使える言い回しです。
クッション言葉
直接的な表現を避け、相手の気持ちを思いやる、丁寧な印象を相手に与える効果があります。言いにくい内容を伝える際の前置きとして、相手に「断りを入れる」効果もあります。「ゴミは持ち帰ってください」というよりも、「勝手ながら、ゴミはお持ち帰りください」と言ったほうが、丁寧な忠告だとの印象を受けます。敬語ではありませんが、合わせて使うと効果的です。
使い方
次のように、「ゴミは持ち帰ってください」に対し、「勝手ながら」をつける場合も、「ゴミは持ち帰ってください」は尊敬語・丁寧語・謙譲語、いずれの文章としても、文章が成り立ちます。
①勝手ながら、ゴミは持ち帰ってください
②勝手ながら、ゴミはお持ち帰りください
③勝手ながら、ゴミはお持ち帰りいただくよう、お願いいたします
④勝手ながら、ゴミは持ち帰らせていただきます。
①に対し、②の方が、②よりもさらに③の方が、丁寧さが増した使い方になります。④の場合は、自分の行動を伝えているので、謙譲表現になります。
メールでの使い方
メール相手に、締め切りを伝える場合や、依頼を行う場合など、自分の側から一方的に伝える印象がある内容については、「勝手ながら」を使うことで、「命令に近い依頼」と勘違いされないようにできます。
「勝手ながら」は多用しすぎないよう注意しましょう。メール文書の中では、本当に必要な1箇所で使うように心がけます。何かを依頼する場合ならば、依頼文の最初か最後の一文で「○○の件、勝手ながら、対応いただけますようお願いいたします」のように、文書の中でもっとも丁寧な一文として挿入します。
ビジネスでの使い方
ビジネス・メールでの使用例
【文例】
・誠に勝手ながら、本日は体調が優れないので欠勤させてください
・勝手ながら、当日の駐車場が十分にございません。公共の交通機関の利用をお願いいたします。
・勝手ながら、申し込み締め切りは○月○日とさせていただきます。
・誠に勝手ながら、弊社では1月1日から4日までを休業とさせていただいております。
「勝手ながら」を敬語表現するときの例文
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誠に勝手ながら
【文例】
・誠に勝手ながら、申し込みは締め切らせていただきました。
・誠に勝手ながら、その日の会議は欠席させていただきます。
・誠に勝手ながら、本日は臨時定休日とさせていただきます。
・誠に勝手ながら、先日のお申し出は辞退させていただくことになりました。
恐縮ですが
【文例】
・恐縮ではありますが、申し込みは締め切らせていただきました。
・恐縮ですが、その日の会議は欠席させていただきます。
・恐縮ですが、本日は臨時定休日とさせていただきます。
・恐縮ですが、先日のお申し出は辞退させていただくことになりました。
勝手とは存じますが
【文例】
・勝手とは存じますが、申し込みは締め切らせていただきました。
・勝手とは存じますが、その日の会議は欠席させていただきます。
・勝手とは存じますが、本日は臨時定休日とさせていただきます。
・勝手とは存じますが、先日のお申し出は辞退させていただくことになりました。
「勝手ながら」の別の敬語表現例
僭越ながら
「身分・地位を越える」という意味があることから、「僭越ながら」を使う状況は、「自分よりも役職の上の人などを差し置いて」「目上の人を相手に意見を述べる」「何らかの出過ぎた振る舞いについて」という限られた場になります。自分の立場をへりくだった表現なので、敬語の中の謙譲語として使われる言葉です。
【文例】
・僭越ながらその件について、私の意見を申し上げてもよろしいでしょうか
・僭越ながら本日の司会を務めさせていただきます
・ただいま、ご紹介に預かりました鈴木でございます。僭越ながら一言ご挨拶を述べさせていただきます
恐れながら
そのまま伝えてしまうと、目上の者に対して失礼にあったり、失礼な印象を与えてしまう恐れのあるときに、「恐れながら」を使います。「勝手ながら」を使っている場面でも、使えることがあります。
「恐れながら」は、以上の意味・使い方からも、友人などの同輩には使われない、敬語の中のみで使われる言葉であることがわかります。
【文例】
・恐れながら他の部門とも調整いただき、再度ご提案いただけますでしょうか
・恐れながら、至急ご対応いただけますよう、お願い申し上げます
・恐れながら、その件についてはこちらで再度検討させていただきます。
ご面倒をおかけしますが
【文例】
・ご面倒をおかけいたしますが、○○の件、何卒お願いいたします
「ご面倒おかけしますが」よりも少しカジュアルな言い回しになりますが、「お手数をおかけしますが」「お手数ですが」も同じ意味で使うことができます。いずれも「おかけする」という点から、敬語の謙譲語にあたります。