[allpage_toc]
「お伝えします」って正しい敬語?
とっさに話す場面も多く、なにげなく話してしまいがちですが、敬語には細かくルールがあります。今回は「お伝えします」という言葉を題材にして、敬語のルールを見ていきましょう。
「お伝えします」は謙譲語と丁寧語を合わせたもの
自分の動作に当たる「伝える」を謙譲語にすると「お伝えする」になり、そこに丁寧語を合わせたものが「お伝えします」になるということです。「お伝えします」は敬語として使えるものですが、正しいか間違っているかは「伝える」相手が誰なのかによって左右されてきます。
その「お伝えします」使い方合ってますか?
ビジネス
社外の人とのやり取りでの敬語の使い方は、会社のレベルを測るモノサシになり得ます。正しい敬語を身に着けておくのは、社会人の最低条件といえるでしょう。
ビジネスシーンの敬語のルールでは、社外の人とのやり取りをする際に、自社の人のことを身内と捉えて話すのが基本となります。お客様と話す際には、身内である自社の人に対しての敬語は、上司であっても使わないものとされています。「お伝えします」の使い方も、このルールを踏まえて考えます。
お客様からの伝言を自社の人に伝えることをいう場合
使い分けは相手との距離感
「伝えます」「伝えておきます」のような軽めの敬語表現は、目上ではあっても親しい間柄の人や、付き合いの長い相手などが適切でしょう。丁重な言い方の「申し伝えます」は、初対面の相手や、上下関係が明らかに上の人など、改まった対応が要される場合に適切と考えられます。どちらも間違いとは言いにくいので、相手の気持ちを考えて適切に使うのが正解といえます。
お客様自身に伝言を伝える場合
メール
[no_toc]
メールは直接話すことに比べ、声色や表情などがない分、感情が伝わりにくいです。文章だけが頼りになるので、言葉遣いには十分気を付けたいところです。
電話
社内で「お伝えします」は使えるもの?
繰り返しになりますが、敬語は話している相手のための言葉です。社内で上司に敬語を使うのは道理であり、もちろん「お伝えします」は使えるものだといえます。ただ、社外の人とのやり取りと違うところは、社内での上下関係が関わってくるところです。
例えば、課長と話している時に部長への伝言を頼まれたとします。この時の返答は、課長も部長も自分の上司に当たる場合は「部長にお伝えします」が正解です。上司から、自分の部下への伝言を頼まれた場合は「伝えます」が正しいといえます。また、自分の部下から、自分の上司への伝言を頼まれた場合「お伝えしておくよ」などでもいいでしょう。
「お伝えします」を使った例文
念のため
「社長の〇〇にも、念のため申し伝えます。」
「ご心配にはおよびませんが、念のため伝えておきます。」
必ず
「この件は自社に戻り次第、社長の〇〇に必ず申し伝えます。」
「気に掛けて頂いていたこと、〇〇に必ず伝えておきます。」
自分の身内に敬称を付けない
やってしまいがちな間違えは、身内を「〇〇さん」と呼んだり「社長に申し伝えます」と言ってしまうような場合が考えられます。「さん」を付けて呼ぶのはもちろん敬称に当たりますし、「社長」のような役職で呼ぶことも、敬称で呼んでいることになります。
「社長の〇〇」と名前を後に続けると、敬称ではなくただその人の役職を表していることになるので、正解といえます。
「お伝えします」と「お知らせします」は同じ意味?
「伝える」は一方から他方へ移すことを意味し、人から頼まれていることを教えることです。一方「知らせる」は知っていることを教えることを意味し、人から頼まれているわけではないといえます。このことから「お伝えします」と「お知らせします」の違いは、人から頼まれているか否かだといえるでしょう。
敬語は相手への思いやりから来るもの
[no_toc]
日本は島国であるが故に外国との接触は少なかったのですが、その分身内との人間関係が重要視されたことから、敬語が生まれたと考えられています。敬語は相手を思いやる気持ちを表す手段として生まれた、思いやりの文化です。日本には敬語という文化があるが故に、身分の低い人が身分の高い人と話す手段を持つことができ人間関係の潤滑油となりました。
目上の人と話す機会を得られることは、自分を高めることにおいて大きなきっかけといえます。また、今回何度か取り上げた「敬語は相手のための言葉」ということからも、敬語という文化の素晴らしさが伝わってきます。正しい敬語を身に着けて、さらなる成長を目指しましょう。