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淋し見舞いの封筒の書き方
「淋し見舞い」という言葉を知っていますか。「淋し見舞い」とは「お淋し見舞い」とも言って、愛知県西部や岐阜県の一部の習慣である風習です。そのため、「淋し見舞い」という言葉を聞いたことがない方は多いです。
「淋し見舞い」とはその文字が意味するとおり、「残された遺族が、故人をおもい長い夜を過ごす席で淋しいことがないように」という意味で差し上げるもので、香典が故人に対して差し上げるものであるのに対して、「淋し見舞い」は遺族宛に差し上げるということになります。
淋し見舞いとは何か
「淋し見舞い」とは前述しましたようにご遺族に対して差し上げるものですが、淋し見舞いとして遺族に差し上げるものは、お供えや現金になります。差し上げるものにはのしをつけますが、その際には薄墨で書くようにします。
淋し見舞いは通夜のときのみ差し上げることになっていますので、葬儀には持っていかないようにしましょう。また、誰に渡せば良いかですがお通夜のときは遺族はなにかと忙しい状態ですので、受付の方に渡しておくと良いです。
なぜ薄墨で書くのか
不祝儀や淋し見舞いは薄墨で表も裏も書きます。筆ペンにも薄墨タイプがあるのでそれで書き、灰色だからと言って万年筆やボールペンは使いません。真っ黒な墨で書くお祝儀とは違い、「悲しみの涙で墨が薄くなってしまいました」という意味で薄墨を使います。逆に、お祝儀に薄墨は使いません。
お祝儀も不祝儀や淋し見舞いのどちらも、ボールペンや万年筆は使いません。筆ペンやフェルトペンを使います。
淋し見舞いに最適な水引
淋し見舞いののしには、弔事と同じように「不幸が二度とないように」という意味でほどけない結びきりの水引を使います。色は白黒と双銀と白黄色などがあります。このうち双銀が格が高いとされています。水引が封筒に印刷されている簡易なものもありますが、これはごく少額をお包みするときに使います。
淋し見舞いの封筒の書き方;金額
淋し見舞いは専用の袋がありますが、もし手に入らなかった場合には仏事用の何も書かれていない封筒の通常は「御霊前」など書くところに「御淋見舞」と書き、その下にフルネームを書いて持参することができます。このとき、マジックペンやボールペンで書くのはマナー違反です。必ず薄墨で書くようにします。
このような袋にはだいたい中袋がつきますが住所や名前や金額を書く欄がありますので、きちんと住所や名前や包んだ金額も書くようにしましょう。夫婦で参列した場合は、表面で右に夫の名前を書き左に妻の名前を書きます。サークルや会社の課で合名で出す場合は「OO課一同」のように書きます。
淋し見舞いの封筒の書き方;裏
淋し見舞いの場合は現金を包むことがありますが、お札はお祝い事ではないことからできるだけボロボロのものを入れて、向きとしては裏になるように入れます。
金額に合わせた水引を使う
淋し見舞いもお香典も、お包みする金額に合わせた水引を選びます。印刷された水引なら3,000円から5,000円ほどが相場です。黒白の水引では5,000円から1万円、双銀の水引では1万円から5万円ほど、双銀でも大きな水引になると5万円から10万円ほど包むのが相場です。さらに双銀で特大の豪華な水引になると、包む金額は10万円を超えることになります。
淋し見舞いだからこの金額と決まっているわけではなく、遺族との関係性によって包む金額は変わります。またお祝儀袋と同じく水引の種類や大きさにより包む金額の相場があり、それぞれの水引に合った金額が購入した袋の裏面などに書かれていることがあります。その場合はその金額を参考にしてみましょう。
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お祝儀との違い
お祝いのポチ袋に「寿」と書いたシールを貼り、ショートメッセージをお祝儀袋に一緒に入れることがありますが、淋し見舞いやお香典ではそのようなことはしません。中身にしみこまないように糊で封を閉じます。内袋といってもセロテープやホチキスは使いません。
手紙を書く場合は白地の便箋に書きます。この場合も、セロテープやホチキス、両面テープは使わず、糊を使います。かわいいシールは使いません。
結びきりと花結びの違いは?
のし袋のコーナーに行くと、ちょうちょ結び(花結び)の物と結びきりの物が一緒に並んでいます。間違えやすいのは水引の形と意味です。花結びはすぐにほどいてまた使えることから「何度あってもうれしいお祝い」に使います。主に、入学祝や誕生祝や出産祝いなどです。これらは何度あってもうれしいことです。
結びきりは不祝儀など「二度とあってほしくない」時に使います。のし袋のコーナーに、不祝儀袋はありますが、その中に花結びがないのはその理由があるためです。また無地のポチ袋は慶弔どちらでも心づけに使うので水引はついていません。
自分で水引を作るときは?
最近は手芸店などで水引に使うキットが販売され、水引の本や教室もあるので、自分で水引を作れるという方も見受けられます。自分オリジナルの物をと考えやすいですが、オリジナルの水引を作っていいのはお祝いの場合のみです。淋し見舞いやお香典には、市販されているものと同じ形に作ります。
自分で作った場合でも、これは自分で作りましたなどと言わずに受付で渡しましょう。ご遺族の方が気づいてくださった場合のみ簡単に「故人を偲んで作らせていただきました。」と話せば良いでしょう。
内袋はどう書くか
淋し見舞いもお香典も同じく内袋がある場合はそこにも名前や住所やお包みした金額を書きます。内袋に書く欄がありますが、欄外にお香典なのか淋し見舞いなのかを書いておくと受付で混乱することなくスマートにすみます。多くの弔問客が集まった場合、受付は多忙になるからです。
内袋へのお金の入れ方
表には淋し見舞いと書きます。お祝儀袋では内袋の表にお包みした金額を旧字体で書きますが、淋し見舞いやお香典などの不祝儀では表には書きません。金額と住所・氏名は裏に書きます。お祝儀も不祝儀も金額を書く際に旧字体を使うのは、簡単に書き換えられないようにするためです。四と九はお包みする金額に不向きなのでどちらの場合でも避けましょう。
新札をお包みできるか
新札をお包みするのはお祝儀のときのみです。弔事や淋し見舞いでは、新札は使いません。もし、手元に新札しかない場合は、折り目を付けてから入れます。お札を裏にして、印刷されている人物の顔が上にくるように入れます。お祝儀と逆だと思えるといいでしょう。ポチ袋の場合は、印刷されている人物の顔を内側にして左から三つ折りにして入れます。
御霊前と御仏前の違い
淋し見舞いと一緒にお渡しするお香典ですが、表書きに悩んだことはありませんか。宗教や宗派によって変わってきますが、一般的な仏教では、お通夜・お葬式・告別式などの四十九日前のお悔やみには「御霊前」を使います。一周忌など、四十九日以降の法要には「御仏前」を使います。
関西地区では「御供」と書き、水引は黄色と白の物を四十九日以降の法要に使います。「御布施」と書いてあるものが売られていますが、葬儀やお盆やお彼岸の法要の際に戒名を授けていただいたお寺の方へのお礼としてお渡しする物なので、参列者は使いません。遺族が使う物です。
無地のポチ袋がありますが、葬儀や法要の際にお布施のほかにこころづけとっしてお渡しするときに使います。葬儀社のスタッフさんにお渡しするケースが多く見受けられます。
淋し見舞いの裏書
淋し見舞いののし袋の表には、名前を書きました。裏には、住所とお包みした金額を書きます。「一万円」は「一」ではなく「壱」と書きます。そして、香典と同じく「金〇〇円也」と書きます。
淋し見舞いの相場はいくらくらい?
基本的にお香典の相場と同じです。2千円~3千円くらいですが、5千円包まれる方もいます。故人との関係によっては、数万円お包みする場合もあるので、迷った場合は親戚に相談するのをお勧めします。
また、故人が会社での取引がある場合は上司に相談し、淋し見舞いの表書きも合名で出す場合もあります。淋し見舞いの金額に迷ったら、相談できる人に相談しましょう。
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淋し見舞いの渡し方って?
お見舞いというくらいですから、直接ご遺族に手渡したいと考えてしまいます。ですが、お通夜の場ではご遺族は忙しく動いています。挨拶をするのが精いっぱいなのがほとんどです。
その場合、受付をしている方がいるのでその方に淋し見舞いとお香典を渡します。帳簿を付けてあるので、葬儀までが終わって落ち着いた後にどなたがお通夜に来てくれたかをご遺族が確認できます。受付は、ご遺族の親族や近所の方や葬儀社のスタッフなどが担当していることが多いです。
淋し見舞いの渡し方;のし
お香典と同じく不祝儀は何度もあっては困りますので、のし袋の水引はお香典と同じ「白と黒」もしくは「白と黄色」のものを用意します。白と黄色は主に関西で使われています。印刷されたのし袋がありますが、きちんと水引のついたものを選びましょう。
淋し見舞いを渡す方法
淋し見舞いはご遺族へ、お香典は故人へとお渡しするものですので、お通夜には両方持っていきます。一緒に持っていくからと言って、同じのし袋にまとめて持っていくことはしません。渡す相手が違うので別の袋に分けて入れます。
淋し見舞いを現金で持っていく場合はふくさに包んで持参するようにします。弔事用のふくさは、紫・紺・灰色が一般的です。仏具店や和装小物店で買えるのでその時に色の相談もします。紫だと慶弔両方に使えるので、一枚あれば便利です。受付に差し出すときは、淋し見舞いもふくさから出して受付の方に正面を向けてお渡しします。
淋し見舞いにお菓子
淋しいお通夜へのお見舞いですので、お菓子を持参することもあります。何を持って行ったらいいかは親戚や地元の菓子屋に相談すると教えてもらえます。
お菓子ばかりで飲み物もないのではと缶コーヒーや缶ジュースなどを淋し見舞いに持っていく場合もあります。お年寄りが多いなど、好みがあるので飲み物を持っていく場合は何がよいかご遺族に確認します。大きな缶より、小さな缶が入ったものが喜ばれます。小さなお子様やお年寄りだと、飲みきれない場合があるからです。
淋し見舞いにお菓子;饅頭
高齢者にもすっと受け入れてくれるお菓子で淋し見舞いになのはお饅頭です。大きくなく、一口で食べられるような大きさであればなおさら淋し見舞いにお勧めします。
小さなお子様でも食べることができ、あまり大きなお饅頭だと胸やけを起こしやすい高齢者には一口大のお饅頭が喜ばれます。一個ずつ個装になっているものを選びます。葬儀まで終わった際に、残っていたらそれぞれの鞄に入れて持って帰りやすいからです。
淋し見舞いにお菓子を持参する方法
お菓子屋さんで買った場合、そのお店の紙袋に入れてくれますが、淋し見舞いは風呂敷に包みなおしてから持っていきます。
その場合の風呂敷には柄のない無地のものを選びます。また、淋し見舞いとして現金を包んだ場合はお菓子などを持っていくことはありません。お菓子などを持参した場合も受付でお渡しします。渡し方はお香典などと同じく、相手の正面に名前が見えるように渡します。
淋し見舞いのお返しの仕方
お香典と別に淋し見舞いをいただいた場合、その分多めにお返しをします。淋し見舞いには故人や遺族が淋しくならないよう元気づけるという意味合いがあります。お菓子などの食べ物であれば持ってきた人と共に皆でいただき、余ったら関係者で分け合います。
淋し見舞いのお返し;香典
お香典は故人へ差し上げるもので、淋し見舞いはご遺族へ差し上げるものとなります。淋し見舞いとお香典の両方いただいた場合には、お香典返しと淋し見舞いのお返しと別にしてお渡しします。
淋し見舞いに品物
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淋し見舞いに果物を持って行かれる方もいます。一般的な果物カゴですが、これも小分けにできるものを選びます。缶ジュースや缶コーヒーやお酒などを持っていくケースもあります。淋し見舞いは遺族の方たちが長い夜を過ごすお通夜の席で淋しくないように、という意味で差し上げるため、故人のことを語りながら飲むお酒もお勧めです。
どのような品物を淋し見舞いに持っていくとしても、お香典と混同しないようにのしにはきちんと淋し見舞いと薄墨で書くようにしましょう。
淋し見舞いに品物;お線香
淋し見舞いの品として、お線香を持って行かれる方も多いです。お線香だと余って困ることもありませんし、良い香りのする少し高級なお線香を持って行くと喜ばれることが多いです。四十九日や一周忌まで弔問客が途絶えないようなお家では、お線香はいくらあっても困ることはありません。
お線香を淋し見舞いとして差し上げる場合も、お香典と混ざらないようにのしには淋し見舞いと薄墨で書くようにしましょう。
愛知県のお葬式のしきたり
淋し見舞いは愛知や岐阜の風習ですが、愛知県には淋し見舞い以外にも数多くのしきたりがあります。
愛知県での火葬の順番は、中心部で「前火葬」と「後火葬」が混在します。山間部や海沿いの地域では「前火葬」が多く、南知多町では骨葬で通夜や告別式を行うことが多いです。お通夜に故人のお顔をと考えてもお骨になっている場合があるので、最後にもう一度お顔をと考えた場合は、すぐご遺族に連絡をとり確認しておくと良いでしょう。
南知多町のしきたり
自宅に遺体を安置しても線香や灯明はあげません。僧侶が枕経をあげるまでは生きているように扱う風習があり、僧侶が帰ってから遺族は始めてお線香をあげます。また、自宅から出棺の際には「もう帰ってはこない」という意味を込めてわらを燃やすこともあります。
西三河のしきたり
大小2つの白木の位牌(いはい)を準備し、大きい方を遺体の胸元に入れて一緒に火葬します。
法要は小さい位牌で行い、これは忌み明けまで使われます。
そのほかのしきたり
精進落しの会食で、「出立ちの膳」といって近親者が簡素な精進料理を食べます。この料理に「涙汁(なみだじる)」というとても辛い胡椒汁や唐辛子汁が出されるケースがあります。辛い汁を出すということについては「大変な辛さから涙を流す」「辛さによってお葬式の疲れをとる」という、2つの意味があるといわれています。
苦手と考えても、遠慮することはせずいただきましょう。辛い物がだめなお子様や病気などで禁止されている以外は故人を偲ぶ意味でいただきます。
また、柩の下にござを敷き、出棺の際ござを竹と木の棒でたたくというものもあります。そのわらを外に敷き、霊柩車はその上をとおり火葬場へ行きます。
このほかにも柩にお菓子を入れるという風習もあり、これには冥土の途中で邪魔をする餓鬼にお菓子をあげて道をゆずってもらうという意味があるそうです。
お通夜にいけない場合の対処法
遠距離や仕事の都合上どうしてもお通夜には行けないというケースは珍しくはありません。その場合にはお葬式のみ参列となるでしょうが、お葬式では淋し見舞いは不要で、お香典のみ持っていきます。
淋し見舞いは「長いお通夜のおともにどうぞ」という意味でお渡しするので、お通夜が終わった後のお葬式ではお渡ししません。また、お通夜にしか参列できない場合もあるでしょう。本来はお通夜には淋し見舞いを、お葬式にはお香典を持っていきますが、お通夜にしか参列できない場合は両方持っていきます。
参列するときのマナー
愛知県では、通夜の前に火葬をして、その後通夜、葬儀を行う「前火葬」と、通夜、葬儀が終わった後に火葬を行う「後火葬」の地域が混在しています。故人のお顔を見るため参列してもお目にかかれない場合があるので、事前に確認することをします。
また、知多半島の半田市から南では、通夜・葬儀の席に着くのは遺族・親族のみの場合が多いです。碧南市や高浜市では、通夜・葬儀ともに焼香鉢に100円玉をお供えする風習があります。知多半島の半田市以南では、通夜・葬儀の席に着くのは遺族・親族のみです。一般の参列者は開式の少し前から集まり、読経中に焼香を行ってすぐに帰ります。
淋し見舞いについておぼえましょう
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愛知県や岐阜県に引っ越して、その地域でのご不幸に参列するときに「淋し見舞い」を知る方は多いでしょう。しかし、遺族の方向けに通夜のときにのみ送る品だとわかれば、すぐに納得していただけるでしょう。気を付けなければならないのは、淋し見舞いとお香典は違うという点です。
通夜には淋し見舞いを、葬儀ではお香典を差し上げるのが一般的で、通夜以外は淋し見舞いは不要です。また淋し見舞いには、現金を包む場合とお菓子やお酒などを持参する場合があるので、ご遺族かご遺族に近い方へ相談してみるのをお勧めします。
お菓子を持っていく場合は、葬儀社の近くのお菓子屋さんで相談できます。お菓子屋さんも「淋し見舞いで」と言えばお勧めの物を教えてくれてのしも選んでくれます。愛知県や岐阜県でその地域に淋し見舞いの風習がある場合には、親しい間柄でも失礼の無いように淋し見舞いを持参して通夜に参列するようにしましょう。