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作成と作製はどう違うのか
日本語には、たくさんの同音異義語があり、漢字表記も加わって、さらに複雑になっているのが、日本語の特徴です。
「さくせい」もその1つで、漢字で書けば、「作成」と「作製」の二つがあります。また似た表現に、幹事の順番を逆にして、「製作」があります。「製作」には、「制作」という同音異義語があります。
どれもこれも大変似ています。根本的な意味は、「つくる」ということですが、それぞれ意味には違いがあります。
これから、「作成」と「作製」の意味の違いを解説して、それぞれの言葉が、具体的にはどのような状況で使われるのかを紹介していきます。これで、どっちだったかと迷うことがなくなりますので、ぜひこの記事をご参照ください。
作成と作製の意味の違いは?
「作成」とは、計画を立てること。または、文書や文章を作ることです。具体的には、「計画案を作成する」や「予算案を作成する」、「報告書を作成する」などのように使います。
一方、「作製」とは、機械や道具を使って物を作ること、または芸術作品を作る場合に用いられます。使用例は、「家具を作製する」や、「次の商品の試作品を作製する」、または「ダンボールを使って、夏休みの研究課題を作製する」となります。
「作成」と「作製」の意味の違いは、「セイ」にある
「作成」の「成」の字には、「物事を成し遂げる」や「仕上げる」という意味があります。このことから、「作成」としたときには、「形あるものを何もないところから作り上げる」という意味が出てきます。
とりわけ「作成」は、目で読むものに対して使われることが多く、計画書や議事録、日記などが書かれる、もしくは作られる場合に「作成」という字があてられます。
「作製」は物品を作ることの意味
したがって、工業製品などで作られる物づくりには、「作製」が使われます。
図面は、目で読むものでありますが、物品と同じように扱われます。図面を作成したものを「製図」とも書くように、「作製」が使われます。
「制作」は、作品を作るという意味
芸術作品を作り出す行為に対しても、「制作」が使われます。実際に作品を作り出す実作業をする会社を、「制作会社」といいます。アニメ番組で、実際にアニメーションの動画を作っている会社を「制作会社」と呼び、アニメーション番組が「制作」されている、というように使われます。
「製作」は、「作製」と同義
芸術作品でも、「製作」が使われることも?!
また作品を作るための出資、資金集めをするプロデュース会社、または宣伝や興行一般を運営する会社を「製作会社」といって、「制作会社」と使い分けます。ディズニー映画なら、映画作品を作るための実作業をするのは、ピクサー社なので、「制作:ピクサー」のように表示されます。一方、作品のプロデュースや配給をするのがディズニー社は、「製作:ディズニー」のように使い分けられています。
この違いは、作品を芸術作品とみなすが、物品とみなすかの違いから出てきていると言えます。
作成と作製の使い分け方法
ちなみに復習として、「作成」は、書類や文書、計画などを作り上げる意味で、「作製」は「製作」とほぼ同意義で、物品や機械、図面を作ることの意味でした。まったく異なるジャンルから、「作成」と「作製」の使用例を参照していきます。
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料理
料理全般、サンドイッチやごはん、お菓子まで、食材を使って、料理という物を作り出す行為なので「製作」が用いられます。自分で作ったご飯を、「お手製」のような言い方があります。決して、「お手成」とは書かないように、「作製」の「製」の字が使われます。
料理を作る人からすれば、作った料理は「物」というよりは、「芸術作品」と思われていでしょう。しかし残念ながら、言葉上では料理は物として考えられて、「作製」のほうの字を当てられます。
食べ物
ただ食べ物でも作製が使われない場合があります。農作物は、作製ではなくて「生産」ですし、水産加工食品ならば「製造」が使われるのが通常です。ただし、食品のサンプルならば、「作製する」が使われます。
科学
免疫染色やナノ粒子、なにかの組織や標本に至るまで、それらが作り出される場合は、「作製」が使われます。
しかし、そうしたモノが作り出されるための企画書や計画案などを作る場合は、「作成」です。こちらは文書ですから、「作成」が正しいです。もしもその作り出す過程において、図による説明がされる場合、その「図」は「作製」されます。ややこしいですが、整理して考えておけば、それほど難しくないでしょう。
モデル
模型、展示用の見本の意味の「モデル」なら、「作製」です。建築模型や住宅建築の模型は、物品とみなされて「作製」が用いられます。
それでは「計量経済モデル」のようなデータは、どちらの「さくせい」でしょうか。つまりある事柄に関して、それに関わる要素を集めて相互の関係を定型化してグラフにしたものですが、この場合は、「作成」です。目で読むものを、ゼロから作り出す行為のため、「作成」が使われます。図面ではないので、「作製」は使われません。
溶液
ただし溶液を作製するという言い方は、あまりされません。正しくは、「溶液を調製する」です。溶液とは、薬品を混ぜ合わせて作り出されます。薬品があり、それに加熱などをして作り出すのではなくて、異なる薬品のバランスを見ながら混ぜていく行為なので、「調整」が使われます。
「調整」は、「いろいろな意見を調整して一本化する」のように、異なるもの同士のバランスを取って、つりあいのとれた状態にすることです。溶液を作ることもそれと同じことと考えられます。
作成の意味を掘り下げてみよう!
「作成」と「作製」との大きな違いは、「作成」は、何もないところから作り上げようとする状態に、重点が置かれているところです。ですから、具体的にモノとして手に取ることができないようなものでも構いません。その作られたモノの中身、内容が重要だということです。
本でも、本というモノを作るだけでは、「作製」です。「製本」のような使われ方もします。しかし、その本に書かれている内容に携わる場合は、「作成」が使われます。話を「作成」するわけです。
サービス内容を作成する
「作成」が使われるとき大切なのは、その内容、中身だと覚えておくのがいいでしょう。
保険業界で使われる「作成」
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保険業界において「作成」というと、生保の営業職員が、保険料を自分で立て替えて、顧客の名前を使って契約を結ぶときに、「作成」を使います。
保険業界にとって不名誉な話題ですが、他とは違う意味で「作成」が使われているので、ご紹介しました。
「作成」と「作製」これでもう迷いません!
「作成」には、計画や文書、文書を作るという意味があり、「作製」には、機械や道具を使って、物を作り出すという意味がありました。
どちらも作るという意味では変わりません。でもその対象が違います。作られるモノの内容を重視されるのが「作成」であり、「作製」のほうが、作られるモノそのものの物量に重点が置かれているといえば、その違いを覚えやすいでしょう。
最初は迷うこともあるでしょう。しかし習慣化してしまえば、すんなりとこの場合は「作成」、こっちの場合は「作製」と使い分けができるようになるはずです。
あとは使い慣れることが大事です。迷ったら、言葉の意味の戻って確認しているうちに、自然と使えるようになるでしょう。「作成」と「作製」のそれぞれの意味を理解して、使い分けるようにしてみましょう。