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敬語での「けれども」の使い方
・○○という情報がありますけれども、結果的には△△という情報が採用されました。
・彼の論文は評価が高いけれども、○○雑誌によれば酷評されています。
・夏は暑いけれども、部屋でクーラーをつければ快適です。
このように、「けれども」の前述までの内容とそれ以降の後述の内容とが、まったく逆接の形で述べられる場合がほとんどです。
「けれども」の転換用法
それまで述べてきた内容を前提として、「けれども」という接続詞を踏まえてその後に述べる内容が本意である旨を伝える表現として認められ、前述の内容はその本意を効果的に伝えるための修飾的な意味合い・用法を持ち合わせます。
「けれども」の例文
・明日は遠足の予定だけれども、今日の予報を見ていると明日は雨の確率が高いです。
・わたしは数学が得意だけれども、今回の受験はあえて文系科目を試験科目にしています。
・その場所は遠いけれども、新幹線で行けばすぐに着きます。
・髪が伸びたけれども、あえてこのまま伸ばしていきます。
・感謝祭には来なかったけれども、後日の記念会には来られました。
・インターネットはとても便利だけれども、個別情報が流出するのが怖いです。
・その壁は白いけれども、日光を当てると茶色く映ります。
話し言葉での「けれども」の使い方
・このようになりますが、見方を変えれば(けれども)このようにも想定できます。
・理科の実験はとても役立つ勉学です。しかし(けれども)実験環境が整っていなければとても危険な作業と言えます。
・文系科目は一般的に就職口が狭いと言われます。とは言っても(けれども)現代では多くの文系用の就職口が用意され始めました。
このように、「けれども」という言葉に代用できる表現をもって伝えられる言葉が多くあり、特にビジネス上のやり取りでは「けれども」という表現は極力避けられます。
「けれども」の意味と使い方
しかし、その「けれども」を挟んだ前述の内容を承ける形で、後述ではその前述の内容を別の角度から見た場合の見解が述べられる場合もあり、この場合の「けれども」の用法は「受動態のけれども」という活用・イメージになります。
・彼はこのように言っていましたけれども、大丈夫でしょうか。
・その手紙は彼女からの物らしいけれども、筆跡はどうもあやふやです。
・受験勉強を頑張ってきたけれども、どうもまだ自信がありません。
このように、逆接的な活用をする「けれども」とは違い、その後述では前述の内容を否定しない表現が取られます。
「けれども」の類義語
・しかし
・とは言っても
・それでも
・それでもなお
・だけど
・結局は
・ところが
・どっこい
・だが
・それなのに
・にも関わらず
・さりとて
・かと言って
これらの言葉が一般的によく使われますが、どの言葉も「前述の内容から見て逆接的な内容を後述で伝える表現」として認められ、これらの用語はビジネス用語でも日常用語でも多くの場面で使われています。
ビジネスでの「けれども」の使い方
しかし文面書類などでは「けれども」という表記も散見される場合があり、現代ではビジネス用語にしても「わかりやすさ」を重視する形で「やわらかい表現」がメインになりつつあります。
・先述にお渡しました企画内容は非常によかったです。しかし、Bプランにつきましては、別の企画をご用意してください。
・○○案件につきましてはよかったのですが、△△案件につきましてはまだ検討の余地があるかと考えます。
・設備投資は十分に潤いましたが、今後のプランを見直しますと、さらなる経済促進が必要とされます。
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「けれども」と「けれど」の違い
「けれども」、「けれど」、「けど」の順番で丁寧さの違いが認められ、この中では「けれども」が一番丁寧な表現として認められます。「だけど」という表現もありますが、この場合でも、「だけれども」、「だけれど」、「だけど」の順番で丁寧さが変わり、また「ですけれども」、「ですけれど」、「ですけど」の順番でも表現の丁寧さは降順で違ってきます。
作文での「けれども」の使い方
・わたしはこのように考えました。しかし、別の見方をすると
・○○という解釈が得られます。しかしそれだけはありません。
・このように解釈されているのですが、別の解釈も認められます。
特に文語表現では、少々お堅い表現が主流となるため、どんな場合でもきちんとした作文を書く場合は「けれども」という表現を「しかし」という言葉に直して表記しておくとベターでしょう。
「けれども」と「しかし」の違い
「しかし」という表現は一般的に「公式の場面でもプライベート(日常生活)の場面でも、どちらでも逆接の表現をする場合に用いられる言葉」として認められ、多少「お堅いニュアンス」はありますが、表現としては真摯な形に認められます。しかし主に会話表現では、プライベート(日常生活)の場合は「しかし」よりも「けれども」の方がより用いられ、少しでもやわらかい表現が好まれます。
「けれども」と「やはり」の用法
この「前述の内容を改めてもう一度指し示す」という点において、「けれども」の逆接の用法がそのまま使われる場合があります。これは前述の内容・想定を際に相手に伝えておき、後述の結果を改めてもう一度指摘することを本意とした表現になります。
・試験結果が出ましたけれども、やはり前に言っていたように不合格でした。
・科学実験は上手く行きましたけれども、やはりこれまでと同じく予算が間に合いません。
・早く家を出ましたけれども、やはり早く着き過ぎました。
「けれども」と「そうは言っても」の違い
・そうは言っても(けれども)、わが社は多くの売り上げを出しているじゃありませんか。
・そうは言っても(けれども)、科学の力ではここまでが限界です。
・そうは言っても(けれども)、文系と理系とでは勉強する内容がまったく違います。
・そうは言っても(けれども)、資金が足りません。
・そうは言っても(けれども)、負担の方が大きくなります。
この場合、「そうは言っても」と「けれども」は同じ用法で使われ、前述では後述の逆の内容が伝えられています。
「けれども」と「場合によると」の違い
・現在A国は安定していますが、場合によるとB国の侵略が開始されることが想定されます。
・受験する予定ですが、場合によるとしないことも考えられます。
・この事業プランで現在は大丈夫ですが、場合によると変更される可能性もあります。
このように、前述の内容と後述の内容では逆接の内容が伝えられ、この点では「けれども」とほぼ同じ用法になります。しかし「けれども」の場合は完全に前述とは反対のことを後述で伝えるため、「場合によると」という言い方に比べてさらに否定の度合いが強くなります。
「けれども」と「見方を変えれば」の違い
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・現在のA国の治安は安定していますが、見方を変えれば、B国にねらわれる可能性が高まるということです。
・物件が安いということはとても嬉しいことですが、見方を変えれば、外国からの爆買いが増えるということです。
・しんどい経験をしないというのは一見よく見えますが、見方を変えれば、それは成長しないということです。
このように「見方を変えれば」という表現は、「確かにこう言えるが、一方ではこんな考え方ができる」というとても論理的な見解を示す表現で、この場合は前述の内容を否定することはなく、むしろ前述の内容をさらに展開した解釈に結びつきます。
「けれども」と「それでも」の違い
・彼はとてもしんどい経験をしましたが、それでも彼女と一緒になることを望みます。
・科学力には確かに限界があるけれども、それでも科学力は進歩し続けます。
・お金がないけれども、それでも車を買いました。
・早稲田大学を受験するレベルに達していないと言われたけれども、それでも受験します。
このように、前述の内容を承ける上で「それでもなお○○する」といった順接の内容が伝えられることが多く、この点では「けれども」の用法とは逆の活用になります。
「けれども」の英語表記と意味
「けれども」の英語表現と意味(1)
・Although he was absent from his office, he spent the day very comfortably.
「彼は会社を休んだけれども、その一日をとても快適に過ごしました。」
・Although I have no money, she bought a car.
「お金はないけれども、彼女は車を買いました。」
・Despite the fact that the state is not stable, the president has domesticated.
「国家は安定していないけれども、大統領は鎖国しました。」
「けれども」の英語表現と意味(2)
・Though it can not be elucidated by the power of science, someday that unknown matter will be human knowledge.
「科学の力では解明し尽せないけれども、いつの日かその未開の事柄は人類の知識となるでしょう。」
・Though their culture is still in the process of development, they will be recognized by the countries in five years.
「彼らの文化はまだ発展途上にあるけれども、5年後には各国に認められるでしょう。」
「けれども」の英語表現と意味(3)
・He was depressed by her. However, she will not turn back to him anyway.
「彼は彼女に心酔していました。けれども、どうしても彼女は彼に振り向きません。」
・Although I failed Doshisha University, I passed the Ritsumeikan University.
「同志社大学に不合格だったけれども、立命館大学には合格しました。」
・He is still a child, but he can solve higher mathematics.
「彼はまだ子供だけれども、数学の難問を解くことができます。」
「けれども」の正確な用法をマスターしましょう
「けれども」という言葉はビジネス用語としてもプライベート(日常生活)でも頻繁に使われる言葉として認められますが、特にビジネス上のやり取りなどの公式な場面での用法においては、やはりきちんとした敬語表現を使う必要があります。
言葉というのは、日頃から実践的に覚えることによって初めて「自分の言葉・表現」として会得できるもので、日常生活でも実践的に新しい言葉の活用を心がけていきましょう。