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【大学別】日本での大学の飛び級制度の例・メリット・デメリット

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日本での大学の飛び級制度

日本では飛び級制度はどのように採り入れられているのでしょうか。主に大学の飛び級制度についてご紹介します。

飛び級とは?

成績の優秀な人物が、本来の学年よりも上の学年に進級したり、上の教育課程に進学することを「飛び級」といいます。日本では、生徒は平等に扱わなければならないという考えから、高校以下の教育課程では認められていません。

日本の学校で飛び級を採用しているのは、大学や大学院に限られます。しかし一般的ではなく、非常に限定的です。日本では、大学への飛び級による進学は1997年に法改正により数学と物理の分野に限り解禁され、その後2001年度よりすべての分野において解禁されました。

飛び入学

飛び級制度による進級は、日本の日本の大学で飛び級制度を採り入れている大学は、主に入学試験で飛び級制度を実施しています。飛び級制度の中でも、飛び級して本来の学年よりも上の学校に進学する場合、たとえば高校を卒業していない人が大学に進学することは「飛び入学」と呼ぶこともあります。

大学・大学院へ飛び級するための条件

文部科学省の規定により、飛び級して入学するためには次の条件を満たしている必要があります。
大学・大学院へ飛び級するための条件
大学に3年以上在学した者(またはそれに準ずる者)で、大学院が定める単位を優秀な成績で修得した者。(大学院への飛び入学の場合)
高等学校に2年以上在学した者(またはそれに準ずる者)で、大学が定める特に優れた資質を有する者。(大学への飛び入学の場合)

大学が飛び級制度を実施するための条件

また入学試験において飛び級制度を実施する大学や大学院も、必要な条件を満たしている必要があります。

まず大学が入学試験で飛び級制度を実施する場合の条件は次のとおりです。

大学が飛び級制度を実施するための条件
特に優れた資質の認定に当たって、高等学校の校長の推薦を求めるなど、制度の適切な運用を工夫していること。
自己点検・評価の実施及びその結果の公表を行うこと。
大学院が置かれ、かつ、教育研究上の実績及び指導体制を有すること。

大学院が飛び級制度を実施するための条件

大学院が入学試験において飛び級制度を実施する場合の条件は、次のとおりです。
大学院が飛び級制度を実施するための条件
自己点検・評価の実施及びその結果の公表を行うこと。
優秀な成績で修得すべき大学院が定める単位をあらかじめ公表するなど、制度の適切な運用について配慮していること。

日本ではあまり普及していない

一時は日本全国へ拡大されるかと思われていた飛び級制度ですが、実際に導入している大学はごくわずかです。その原因の一つは、日本では横並び意識が強いことにあります。

日本の教育方針では、一部の優秀な学生だけを先に進学させることによって他の学生との間に格差が生じてしまうことに抵抗感があり、そのため学校側が導入に慎重になっているのです。

また、学生側にも「人より早く進学するよりも、同年代の人たちと同じペースで学び、少しでも偏差値や知名度の高い大学へ進学したい」という意識があり、そのため応募者が少なくなっています。

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日本での飛び級制度のメリット・デメリット

日本の学校で飛び級する場合、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。飛び級した場合のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

飛び級した場合のメリットとして考えられるのは次のとおりです。

授業料や生活費が節約できて生涯年収も増える

飛び級することの一番のメリットは、飛び級した分の授業料や生活費が節約できるということです。たとえば通常よりも1学年上に飛び級した場合、1年早く卒業できます。そのため本来かかるはずであった1年分の学費や生活費を節約することができます。

また、本来の学年よりも1年早く卒業するため、1年分長く働くことができ、1年分多く収入を得ることもできます。そのため生涯年収も増加するというメリットもあります。

高度な学問にいち早く触れることができる

飛び級することによって、高校まででは学ぶことのできない高度な学問にいち早く触れることができるようになります。

周囲から優秀な人材として扱われやすい

飛び級することによって、周囲からは、飛び級するほど優れた人材として見られやすくなります。たとえば就職活動において、履歴書に「飛び級」の文字を見つけた面接官からは優秀な人材とみなされるでしょう。

デメリット

飛び級した場合のデメリットとして考えられるのは次のとおりです。

中退扱いになってしまう

たとえば高校2年修了後に大学に飛び級して入学する場合、高校卒業資格を取得せずに大学へ進学することになります。つまり高校を中退したことになり、履歴書には「高校中退」と書かなければならないです。飛び級しても無事に大学を卒業できればよいのですが、やむを得ずに中退しまった場合は最終学歴が中卒になってしまうおそれがあります。

大学院への飛び入学の場合も、一部の大学では早期卒業制度といって、大学を3年間で卒業することができる制度を実施していますが、この制度がない大学の場合は大学中退となります。

同学年の友人と過ごせる時間が短くなる

たとえば1年飛び級して大学へ進学した場合、同学年の人たちよりも早く進学することになるので、同学年の友人たちと過ごせる時間が1年短くなってしまいます。

周囲と年齢差がある

飛び入学した場合、周囲の人たちは年上ばかりになります。そのため、年上の人たちと付き合っていくのが苦手な人にとっては、つらく感じることもあるでしょう。

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大学別日本での大学の飛び級制度の例

平成30年度の入試において、日本の大学で飛び級制度を採り入れているのはわずか7校です。飛び級制度を採り入れている大学をご紹介します。
平成30年度入試における飛び入学実施大学:文部科学省

名城大学

愛知県名古屋市に所在する私立大学・名城大学では、「総合数理プログラム入学試験」という名称で理工学部数学科において飛び級制度を採り入れています。高校2年生修了者(17歳)を対象とした飛び入学制度です。

数学の分野で飛び級制度を採り入れたのは全国で初めてで、卓越した能力や柔軟な思考力を持った優秀な高校生を受け入れて、早い段階で高等教育を提供することを目的として創設されました。2017年度の入学試験では、募集人員若干名のところ2名が出願・受験しましたが、残念ながら合格者は出ませんでした。

飛び入学試験(総合数理プログラム)|名城大学 受験生のための入試情報サイト meijo navi

日本体育大学

東京都世田谷区に所在する私立大学・日本体育大学では、体育の分野で優れた資質を持つ人物を対象とした飛び入学を実施しています。優秀なアスリートを早期に受け入れることでさらに能力を伸ばすことが目的です。

この入試を受験するには、オリンピックやこれに準じる国際大会での入賞経験が必要であり、かなり高いハードルが設けられています。2018年の平昌オリンピックに出場し銅メダルを獲得した、女子スキージャンプの高梨沙羅選手がこの制度で入学し、話題になりました。

日本体育大学 体育学部 飛び入学入試

会津大学

福島県会津若松市に所在し、日本で最初のコンピュータ理工学専門の大学として知られる公立大学・会津大学でも「早期入学」と称する飛び入学制度を採り入れています。コンピュータ理工学やその関連分野において、それぞれの個性や能力に応じた大学教育を早期から行うことで、独創的な研究を担うことのできる個性的な人材を育成することを目的に導入されました。
会津大学

エリザベト音楽大学

広島県広島市中区に所在する私立大学・エリザベト音楽大学では「アーティスト21特別入学試験」と称した飛び入学制度を実施しています。音楽の分野において優れた資質を持ち、声楽や鍵盤楽器(ピアノ、パイプオルガン、チェンバロ)、管弦打楽器を専攻する人が対象です。

入学試験の結果、特別な才能があると認められると1年間の学費(入学金を除く)が免除され、この成績に次ぐ優秀な人物に対しては、授業料と施設維持費が半額になります。試験の結果によっては、奨学金は与えられないものの入学が許可されることがあります。

学習サポート – フレキシブルな教育プログラム –

京都大学

京都府京都市左京区に所在する国立大学・京都大学では、医学部医学科で飛び入学試験を実施しています。これは、基礎学力に加え、学ぶ意欲や高い志を持った個性的な学生を受け入れることを目的として行われている「特色入試」の一環です。

国際科学オリンピック(数学、物理、化学、生物)の日本代表として世界大会に出場した経験があることが受験資格のひとつなので、とても難易度の高い試験です。

放送大学

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放送大学は、放送による通信制大学です。好きな科目だけを履修する選科履修生・科目履修生は、入学年度の初め(4月1日)に満15歳以上であれば誰でも入学することができます。

ただし、選科履修生・科目履修生は大学卒業資格を取得することができません。必要な単位を16単位以上取得すれば、満18歳以上になったとき、大学卒業資格を取得することのできる全科履修生になることができますが、この制度はあくまで高校卒業資格を持たない人が放送大学に進学するために特別に設けられたものなので、他大学への入学資格にはなりません。

非常に限定的であり、一般的な飛び級制度とは異なるものと考えた方が良いでしょう。

日本と海外での大学の飛び級制度の違い

日本以外の国々での飛び級制度の実情は、どのようなものなのでしょうか。海外の例をご紹介します。

アメリカ

アメリカでは、日本と異なり大学入学における年齢制限がありません。通常は高校卒業を大学入学のための条件としているため18歳での入学が一般的ですが、飛び級や英才児向けのプログラムが実施されているため、早期の入学が可能です。飛び級による進級についても、学校長の判断により積極的に行われています。

能力に応じた適正な学年に配置するという考えに基づいて飛び級制度が実施されており、年齢にとらわれない進級・進学制度を生み出しています。

イギリス

イギリスでは飛び級に関する規定がありませんが、17歳または18歳を入学最低年齢としている大学がほとんどです。しかし極めて優秀な学生であれば、それ以下の年齢で入学を認める大学もあります。

ただし、大学生活を送る上で、学力だけでなく人格的・社会的に成熟していることも重視されるため、学力だけに限定して優秀な年少者を受け入れることには慎重なのが一般的です。飛び級による進級もまれです。

年齢にとらわれない柔軟さを持とう!

日本の教育現場では横並び主義が強く、学生を同じ年齢というだけでひとくくりにして、同じ教育を受けさせています。そのため学生の能力が均質化され、個性的で優秀な学生が育ちにくくなっています。

しかし実際には、同じ年齢でも能力には差があるものです。学生の能力を伸ばし、優れた人材を育成するためにも、積極的に飛び級制度を採り入れることが必要なのではないでしょうか。

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