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「罹る」の読み方は?
なんだか難しそうな漢字に見えるかも知れません。それもそのはずです。この「罹」の漢字が漢字検定1級で出題される漢字だからです。漢字検定1級とは、合格率が約1割ほどしかない難しい検定なので、この漢字を今までに見たことがないという人も中にはいるでしょう。それぐらい難しい漢字なので、読めなくても恥ずかしがらなくて大丈夫です。
これを機に、「罹る」の読み方だけでなく、意味や使い方などを覚えましょう。
音読みは?
この「罹」の字が入った熟語の例を挙げると、「罹災(りさい)」「罹病(りびょう)」「罹患率(りかんりつ)」などが挙げられます。意味については詳しくは後述します。
「罹る」の意味は?
そもそも「罹」の漢字には、「ひっかかる」「かかる」「でくわす」といった意味がありますが、「罹る」という動詞になると、「病気にかかる」「災害にかかる」という意味で使われます。
「罹る」の使い方は?
「病気に罹る」に関しては、ウイルスなどの外部からのものに対して使われるため、自分の症状には使いません。「腹痛に罹る」「頭痛に罹る」「高血圧に罹る」など、これらはおかしな表現になるので注意しましょう。正しい使い方の例として、「ウイルス性胃腸炎に罹る」「風疹に罹る」「インフルエンザに罹る」などが挙げられます。
「災害」に関しては、そのまま使ってOKなので、「災害に罹る」と表現しましょう。
「罹る」の例文!
「(病気に)罹る」と表現する場合は、ウイルスなどが外部から侵入した場合で使われます。前述しましたが、「熱」や「腹痛」などの症状自体に「罹る」は使いません。
インフルエンザなどの外部のウイルスに対して使う!
「申し訳ありませんが、インフルエンザに罹ってしまったので、しばらくお休みを頂きます」
「息子がおたふく風邪に罹ってしまいました。本日、病院に連れて行きます」
「妊娠中に風しんや麻しんに罹りたくないので、今のうちに予防接種に行ってくる」
「クラスで水ぼうそうが流行ってる。自分もいつ罹るか不安で仕方がない」
「うちの娘は生後7ヶ月で突発性発疹に罹りましたよ」
「罹る」の類語は?
その他にも、「病床に伏せる」「(病に)冒される」「倒れる」「(健康が)むしばまれる」なども「(病気に)罹る」と同じような意味を持ちます。
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「罹る」「病む」「患う」の使い分けは?
「罹る」に関しては「病気にかかる」の形で使われることがほとんどですが、「病む」は「気に病む」の形で使うこともあり、「(ある事柄に対して)すごく気にかける」という意でも使われます。一方、「患う」は「恋に患う」「思い患う」という使われ方で、「悩む・心配する」という意味にもなります。
したがって、「罹る」は主語がなくても「病気(もしくは災害)にかかる」ということが明白ですが、「病む」は主語がないと、病気的なことなのか、それとも心配事なのかがいまいち分かりません。「患う」も同様です。
小さな違いではありますが、ぜひこれらの違いを把握しておいてください。
「罹る」の敬語は?
先に結論を述べると、尊敬語だと「罹られる」、謙譲語だと「ご病気に罹ります」、丁寧語は「罹ります」です。
これらの詳しい説明の前に、まずは敬語の種類について簡単にご説明します。
敬語の種類は?
「尊敬語」は目上の人に対して使う敬った言い方で、「謙譲語」は自分を下に下げることによって間接的に相手を上げる(敬う)表現です。「丁寧語」は文末に「です」や「ます」「ございます」を用いた丁寧な表現になります。
尊敬語と謙譲語の違いは?
「尊敬語」は目上の方の動作を表現する際に用いられ、たとえば「社長がお越しになる」「お客様が来店される」などのように、立てるべき相手の人の行動について述べているのが尊敬語です。
一方「謙譲語」は、自分や身内の動作を目上の人に向かって述べる際に使われます。「部長の家まで参ります」「明日、お客様に伺う予定です」などとなります。
謙譲語はこの他にも、部長の行動を社長に述べたい時などのように、「行動する人」と「話をしている人」を比べて「話をしている人」を一番に立てたい場合にも謙譲語が用いられます。この場合には「社長、部長からいお聞きした内容なのですが~」のように、社長を一番に立てるために、目上である部長の行動は謙譲語の「お聞きする」で表現します。
これらの尊敬語と謙譲語の違いを理解して、正しい敬語表現を心がけましょう。
それぞれの敬語表現!
尊敬語
以下で例文をご紹介します。
「お客様がインフルエンザに罹られたようで、訪問日時の変更を希望されてます」
「課長が病気に罹られて休暇を取るとのことで、その間、私が代理で引き継ぎます」
「社長が病気に罹られて入院していると聞きました。お見舞いに伺うことは可能でしょうか」
謙譲語
実は「罹る」という単語そのものには、謙譲語に該当する言葉はありません。ですので、「病気にかかる」「病気になる」などの同じ意味を持つ言葉を使って謙譲語表現へと変換する必要があります。
したがって、「罹る」の部分が謙譲語に変換できないため「病気」の頭に「ご」をつけて丁重語として表現しましょう。謙譲語で「罹る」を表現したいなら「ご病気に罹る」「ご病気になる」などと表現しましょう。
以下、例文です。
「先輩がご病気にかかったみたいです」
「○○部長、今朝、課長がご病気になったため入院するという連絡がありました」
丁寧語
したがって、目下の人のことを述べる際だけでなく、該当する謙譲語がない時なども丁寧語を用いて表現しましょう。「罹る」の場合、丁寧語は文末に「です」「ます」を付け加えるだけなので「罹ります」、過去形にしたいなら「罹りました」です。
以下、例文です。
「○○くんがインフルエンザに罹りました」
「○○先輩が水ぼうそうに罹ったみたいです。大人の水ぼうそうは酷くなるってお聞きしましたが、先輩は大丈夫でしょうか」
「罹る」は常用漢字なのか?
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「常用漢字」とは?
日本には、何万もの漢字が存在しており、それら全てを駆使して文章を書くと、読める人、読めない人が当然出てきます。しかし、新聞や公文書などをそのような漢字ばかりを用いて書いてしまうと、大事な内容が書かれてあるのに多くの人が読めない、理解できないという事態になりかねません。
したがって、これらの新聞や公文書などに使って良いとされる漢字の目安が「常用漢字」になります。この常用漢字である2136種類の漢字は小学校と中学校の9年間で習うものなので、特段難しいものではありません。
「罹る」の熟語は?
「罹病」や「罹患」は病気にかかることで、「罹患率」はその病気の発症確率を表すものです。一方、「罹災」「罹災証明書」は、それぞれ「災害に罹る」「災害に遭ったことを証明するもの」の意味になります。
これらの熟語は、動詞「罹る」と同じような意味を持ち、「病気にかかる」「災害にかかる」の意として熟語に使われていることが分かります。
「病気に罹る」と「病気になる」の違いは?
「病気に罹る」とは、これまで説明してきたとおり、ウイルスなどの敵が外部から侵入して発症する病気に使われる言葉です。インフルエンザや水ぼうそうなどのウイルスがこれに当たります。
一方の「病気になる」は、自分の体の中から起きたものの病気に使われる言葉です。悪性腫瘍や脳卒中、動脈硬化などがこれに当たります。極端な言い方になりますが、(不摂生などが原因となり)なるべくしてなった病気とも解釈できます。
このように、どちらも同じような意味ではありますが、「罹る」は外部からの侵入が原因で発症する時に使う言葉、「病気になる」は自分の体の中のものが病変する時に使う言葉として、この両者は少しだけ性質が違います。
病気や災害に遭った場合に「罹る」!
ですが、それに甘んじているのではなく、まだまだあなたの知らない漢字は世の中に溢れていることでしょう。新しい漢字、単語、熟語など、さまざまな知識に触れてみてください。その新しい知識は、いつかきっとどこかで役立つ時が来るでしょう。