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「どういう意味があるの?」
「てふてふってそのまま読んでもいいの?」
このように「てふてふ」という言葉を見たり聞いたりしたことがあっても、意味や読み方がわからず、詳しく知りたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では「てふてふ」の意味や読み方のほか、使用例についても紹介していきます。また、古文の仮名遣い(歴史的仮名遣い)を現代文の仮名遣い(現代仮名遣い)に変換するための基本的なルールについても説明しています。
この記事を読むことで「てふてふ」の意味や読み方だけではなく、古典文法の基本的な知識も身につくでしょう。「てふてふ」を古語や古文に触れるきっかけとし、日本の文化に親しんでいきましょう。
古典文学にふれてみませんか
近代文学の対比として使われる場合、江戸時代までの文学作品のことを指して古典文学と呼ぶこともあります。
古典文学の代表作品は、日本最古の歌集として知られる「万葉集」や歴史書の「古事記」、平安時代に執筆された物語の「竹取物語」や鎌倉時代の随筆「徒然草」などです。読んだことはなくても、一度は聞いたことがあるような作品ばかりでしょう。
古典文学には、日本の伝統形成に貢献してきた素晴らしい作品が多く見られます。古典文学に触れることは、日本の文化や歴史に対する知識を深められるだけではなく、古人の知恵を学ぶことで、今ある問題を解決するための考察力を鍛えることにも役立つでしょう。
「てふてふ」の読み方と意味
仮名文字が誕生した当時は、そのまま「てふてふ」と発音されていました。しかし、時代が進むにつれて、表記は「てふてふ」のまま違う音で発音されるようになっていったのです。
ここからは「てふてふ」の読み方と意味について説明していきます。古語の1つである「てふてふ」を知り、古典に親しむきっかけにしてみてください。
読み方
「てふてふ」は歴史的仮名遣いで表記された言葉で、発音は「ちょうちょう」となります。「てふてふ」のほかにも「今日(きょう)」を意味する「けふ」や、「一帖(いちじょう)」を意味する「いちでふ」などが、同じく歴史的仮名遣いで表記された例として挙げられます。
意味1:蝶々
私たちが身の回りで目にする蝶々は、モンシロチョウやアゲハチョウなどがよく知られた種類になります。高山など人が行きにくいような場所では、珍しい種類の蝶々を目にすることもあるでしょう。
春の訪れとともに庭や野山をひらひらと舞う蝶々は、昔の日本人も目にしたことでしょう。実際蝶々は、春の季語として多くの俳句で詠まれ、親しまれています。
意味2:しきりにしゃべること
「喋々」を使った表現に「喋々しい」があり、これは口やかましく大仰であることを意味する形容詞です。「あの人はいつも喋々しいね」などと使ったりします。
また「喋々」を使った四字熟語に「喋々喃々(喋喋喃喃)」があります。読み方は「ちょうちょうなんなん」です。
これは小声で仲良さげに語り合う様子や、男女が睦まじくおしゃべりすることを意味し、「喋々」が口数の多いという意味で、「喃々」が小さい声で囁くことを意味しています。
古文の仮名遣いを現代文の仮名遣いに変えるには
歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに変えるためには、いくつかの基本的なルールを知っておく必要があるでしょう。ここからは、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに変換するためのルールを紹介するので、参考にしてみてください。
古文の仮名遣いの決まり事
1.語句の最初(語頭)以外で使用されている「は・ひ・ふ・へ・ほ」は「わ・い・う・え・お」と発音する。
2.わ行の「ゐ・ゑ・を」は、それぞれ「い・え・お」と発音する。
3.「くわ・ぐわ」と表記されているものは、それぞれ「か・が」の音になる。
4.「ぢ・づ」は「じ・ず」と読む。
5.助動詞として使われている「む」は「ん」の音になる。
以上のルールに基づくと、たとえば「こひ(恋)」は「こい」、「ゐなか」は「いなか」、「くわし(菓子)」は「かし」、「もみぢ(紅葉)」は「もみじ」、そして「思ふらむ」は「思うらん」になります。
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母音が連続すると長音に変化
「てふてふ」を「ちょうちょう」と読むために必要になるのが、母音は連続すると長音に変化するというルールです。母音とは「あ(a)・い(i)・う(u)・え(e)・お(o)」といった5つの音を指します。
母音が連続した場合、長音(伸ばす音)に変化させることで、「au」は「o(おー)」、「iu」は「yu(ゆー)」、「eu」は「yo(よー)」、「ou」は「o(おー)」と伸びる音になるのです。
前に説明した基本ルールと、今回紹介した連続する母音が長音になるルールを両方とも適用することで、「てふてふ」の読み方がどのように変化するのか見てみましょう。
まず「ふ」は「う」になるため、「てふてふ」は「てうてう(teuteu)」となります。「eu」と連続する母音は「yo」の音になることから、「てうてう(teuteu)」は「ちょーちょー(tyotyo)」すなわち「ちょうちょう」に変換されるのです。
「てふてふ」で使用されるのは古文の世界のみ?
ここからは、小説や歌、俳句の中で使われる「てふてふ」について紹介していきます。古文以外で「てふてふ」がどのように使用されているか知ることで、「てふてふ」をさらに身近に感じられるでしょう。
小説や歌の歌詞にも登場している
乾ルカ原作による小説に『てふてふ荘へようこそ』という作品があります。これは家賃13,000円の格安賃貸で、住民と幽霊が織りなすハートフルな物語です。
この小説は2012年にドラマ化され、BSプレミアムで放送されたので、知っている人も多いでしょう。ちなみに、この「てふてふ」は「ちょうちょう」ではなく、そのまま「てふてふ」と発音されます。
また、日本のロックバンドであるMERRYの歌『ひらひらとんでる。』の中でも「てふてふ」が登場します。歌詞は歴史的仮名遣いで「てふてふ」と表記されていますが、実際に歌うときは「ちょうちょ」と発音されています。興味がある人はぜひ聞いてみてください。
俳句でも使われている「てふてふ」
「蝶々」を題材にした俳句は、たとえば江戸時代の俳人である小林一茶の「蝶とぶや 此世(このよ)に望み ないやうに」や、昭和の俳人として知られる大野林火の「あをあをと 空を残して 蝶別れ」など、多くの作品が残されています。
また、明治から昭和にかけて活躍した、俳人の種田山頭火による「五七五」に捉われない自由律俳句には「てふてふ うらからおもてへ ひらひら」や「霽れて(はれて)てふてふ 二つとなり 三つとなり」というのもあり、俳句の表現の奥深さが伝わってくるでしょう。
「てふてふ」の意味を知り古典に親しんでみよう
「てふてふ」は古文だけで使われている訳ではなく、小説や歌、俳句の中にも見出される言葉です。古語の1つである「てふてふ」をきっかけに古典の良さを知り、たくさんの作品に触れることで日本文化に親しんでいきましょう。