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ガラスの融点とは?低融点ガラスとその使用用途や特性を解説

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身の回りを見渡せば、あなたのすぐ目の見える範囲にある「ガラス」。飲み物を飲むグラス、食材を彩る食器、太陽の光を部屋に差し込む窓、ステンドグラス、花瓶、各種ガラス工芸品など、多くのもので使用されているのはご存じでしょう。

しかし、接着剤としても使われていると聞いたらどうでしょう? 想像つきますでしょうか? 実は意外な使われ方もされている「ガラス」ですが、この記事ではそんな「ガラス」についての特徴、また低融点ガラスなど種類別に簡単にわかりやすくまとめていきます。

記事を読むことで、「ガラス」にはどういった種類のものがあるか、またどのような特徴を持っているのかを詳しく知ることができるでしょう。

「ガラス」に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

ガラスのイメージ

ガラス、というと皆様はどのようなイメージを持っているでしょうか。「ガラスのハート」などと揶揄されるように繊細で壊れやすい、割れると破片が鋭利で怪我しやすい、透明に透き通っていて綺麗だ、など様々あることでしょう。

身近にある板ガラス・安全ガラス・耐熱ガラスなどはそれぞれ、よく使われている・割れても飛散しにくい・熱に強く割れにくいなどのイメージがあるでしょう。

ガラスにおける「融点」と「軟化点」の違い

ガラスは高温のある一定の温度になると液体のようになります。個体が液体へ変わるときの温度を「融点」といいますが、ガラスの場合は「軟化点」といいます。「軟化点」とは物質が複数混ざっていて、物質ごとの融点が異なるために明確な融点が存在しない場合に使います。

ガラスは全体的な融点を表すときは、単に融点と表記するより軟化点とした方がふさわしいかもしれませんね。

ガラスは液体でも固体でもない

ガラスは一般的には個体であるとされていますが、その分子構造からみると完全に個体であるとは言えないそうです。

近年、東京大学大学院総合文化研究科と中国上海交通大学の教授たちによって通常の個体とは異なる分子構造であると研究・発表がされました。通常個体は規則的な分子構造の配列をしおり、振動して動いています。「ガラス」はその分子構造が振動すると同時に再配列するという特殊な構造であることが分かったのです。

つまり、「ガラス」は固体と液体の分子配列両方を持っているのです。

アモルファス状態とは?

アモルファス状態とは、硬い物質なのに個体のような結晶構造ではなく液体のような非結晶状態であることを指します。

ガラスはグラスのように一見すると硬い物質に見えますが、先述の通り特殊な構造であり、融点が複数ある軟化点という特性を持つ、液体でもあり個体でもある状態です。ガラスはアモルファス状態であると呼べるのです。

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ガラスの種類と特徴

ガラスには石英から作成される石英ガラスや、珪砂、ソーダ、石灰石から作成されるリン酸塩ガラス、これらにホウ砂を加えて作成されるホウケイ酸ガラスなどの種類があります。

それでは、ガラスの各種類の融点、使用用途について一つずつ見ていきましょう。

石英ガラス

石英ガラスは石英から作成される、石英の純度が高いものを言います。石英や水晶を融点2,000℃以上で溶かし、冷却してガラス化することで作られます。

加工が難しく、高価ですが、耐食性、耐熱性に優れており、その特徴から高耐熱フラスコやビーカーなどに加工され、使用されています。熱したガラスを急激に冷やすと普通のガラスでは割れてしまいますが、石英ガラスでできたガラス製品は割れることがありません。

また、光ファイバーなどにも加工、使用されています。

その硬度と熱膨張のなさから表面に精密加工することができ、2010年代にはブルーレイディスク並みの記録密度でデジタルデータの記録・再生に成功しています。これは1,000℃の熱で2時間加熱したとしてもデータが劣化することがなく、数億年間での保存が可能です。

リン酸塩ガラス

燃料電池用隔膜、磁性ガラス、生体関連材料としての用途があります。

水に弱いという性質がありますので、石英や、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ナトリウムなどを適切に添加することによって耐水性を得ることができます。粘性の点でホウケイ酸ガラスよりも優れているため、加工しやすいのが特徴です。

ホウケイ酸ガラス

珪砂、ソーダ、石灰石に加えてホウ砂を用いて作成されます。

融点が高いため、溶接業で用いられるようなガスバーナーが必要となりますが、比較的加工がしやすく、石英ガラスに比べて安価なため、現代におけるほとんどの実験用ガラス器具に使用されています。その耐熱性から台所用品にも使われます。

また、基本は無色透明ですが、着色して工芸用に加工されたり、反射望遠鏡や光学レンズの材料として使われたりします。

低融点ガラスとは

低融点ガラスとは、その名の通り融点、つまり固体から液体へと変化する温度が低いガラスのことです。

メリットとしては、融点が低いため高温を使わなくてよいのでその分加工しやすく、様々な分野で応用が利くという点があります。

低融点ガラスの使用用途

低融点ガラスは「電気絶縁材料」「接着剤」「金属表面の保護」などに活用、使用されています。以下各項目で詳しく見ていきます。

電気絶縁材料

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抵抗体、コンデンサ、トランジスタなどのエレクトロニクス材料を、直接低融点ガラスで保護して使用されます。湿度やその他外界からの影響を防ぐために用いられています。

接着剤

現在は車載用の気密端子部品としての需要が拡大しており、電子材料、セラミックス、合金などの接着に低融点ガラス接着剤が用いられます。

金属表面の保護

低融点ガラスは、構成されている成分の中心が酸化物でできています。

この特徴を利用した低融点ガラスによる金属表面の酸化や、化学薬品に対する保護剤として使用されています。

ガラスはさまざまな用途に使われる

融点が複数存在し、軟化点と呼ばれる液体でも固体でもないアモルファス状態の物質「ガラス」。

ステンドグラスや各種工芸品などに着色されて加工されるだけでなく、身近にワイングラス、窓、花瓶、食器など様々に利用されていることがお分かり頂けたでしょう。

中でも加工しやすい低融点ガラスは、「接着剤」「電気絶縁の保護材料」「金属表面の保護材料」に加工、使用されるなど、意外な使い道があることもわかりました。見えないところでも姿や形を変えてガラスは日常の中で利用されています。

今後も研究や開発が進められて、低融点ガラスを中心にガラスはさらに活用されて行くことでしょう。

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