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2018年01月24日

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

アカデミー賞で主要5部門を受賞したアメリカ映画「羊たちの沈黙」。主人公の口を塞ぐ蛾のポスターデザインで知っているという方も多いのではないでしょうか。この記事では、「羊たちの沈黙」のタイトルの意味や蛾、羊の示唆する意味について詳しく紹介します。ぜひご覧ください。

「羊たちの沈黙」の蛾の意味とは?

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

「羊たちの沈黙」といえば、有名なのは主役のクラリスを演じるジョディーフォスターの口元を塞ぐ蛾の成虫です。この有名なポスターデザインの中で、クラリスの口元を塞いでいるように見える蛾の正体は「メンガタスズメ」です。

成虫の背面の模様が人の顔に似ていることが名前の由来で、ヨーロッパでは現れると不吉なことが起こると考えられていることから別名ドクロ蛾とも呼ばれます。

「羊たちの沈黙」のポスターデザインのメンガタスズメの背面の模様をよく見ると本当のドクロのように見えますが、さらに接近して目を凝らしてみると、実はスペインの芸術家サルバドール・ダリの作品であることが分かります。サルバドール・ダリが女体で作ったドクロが蛾の背面にデザインされています。

「羊たちの沈黙」の蛾の意味とは、いったいどのようなことを示唆しているのでしょうか。
示唆していると考えられる二つの意味について紹介します。

不吉?

ポスターにデザインされているように、「羊たちの沈黙」の中で蛾は重要なキーポイントになります。

連続婦女殺害事件で、どの死体にも口の中に蛾のさなぎが押し込められているという共通点から、容疑者としてバッファロー・ビルが捜査線上に浮上してきます。この口の中に入れられていた蛾のさなぎが重要な手掛かりとなって、事件の解決に結びついていきます。

蛾の背面の模様の不気味さと、犯人の猟奇的な手口に蛾のさなぎが使われていることから、これから起こる全てのことを不吉に示唆しているといえます。

変身?

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

連続婦女殺害事件の容疑者として浮上したバッファロー・ビルは性同一性障害で、身体も女性になりたいという強い欲求があります。

バッファロー・ビルの自宅を家宅捜索すると、家の中にあるヒト型のトルソーに剥がれた被害者の皮が張り付けられているのを発見します。さなぎからやがて姿形を変え成虫なる蛾と同じように、性同一性障害であるバッファロー・ビルも姿形を変えて女性になりたいという強い変身願望を示唆しているといえます。

「羊たちの沈黙」の羊の意味って?

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

「羊たちの沈黙」の原題は「the silence of the lambs」です。邦題は「羊」と訳されていますが、原題の羊に相当する言葉は「lambs」になっています。

「lambs]の本来の意味は、大きく分けて2つの意味があります。1つ目は、小羊または子羊という意味。2つ目は、被害者または騙されやすい人という意味です。

「羊たちの沈黙」の中の「羊」の示唆するものは何なのか。それぞれの意味について紹介します。

子羊?

「羊たちの沈黙」の主人公であるクラリスは、過去にトラウマを抱えるFBI捜査官見習いです。

幼少のころに子羊が殺される場面を見てしまい、その子羊を助けてあげられなかった記憶が、トラウマとなりFBIを志すきっかけになっています。と同時に子羊は、殺された後は皮をはがされ、革製品の材料になることもあります。連続婦女殺害事件の犯人のバッファロー・ビルの手口も被害者の皮をはぎます。

「子羊」という意味での「羊」は、主人公のトラウマと殺人鬼の手口を暗喩したキーワードといえます。

被害者?

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

一方、「羊たちの沈黙」の主人公のクラリスが幼少のころに見た殺されたり皮をはがされたりする子羊や、バッファロー・ビルに捕らえられた女性たちは、lambsのもう1つの意味にあたる「被害者」そのものです。

「被害者」という意味での「羊」も、抵抗できない弱者を付け狙った凶悪さを暗喩したキーワードです。

「羊たちの沈黙」の沈黙の意味とは?

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

「羊たちの沈黙」の「沈黙」とは、どのような意味があるのでしょうか。

原題の「沈黙」に相当する言葉は「silence」で、意味は沈黙または静寂です。「羊たちの沈黙」のなかで、「沈黙」の示唆するものはいったい何なのでしょうか。考えられる2つの意味について紹介します。

良い意味?

まず、「羊たちの沈黙」の「沈黙」の意味で考えられるのは、良い意味での「沈黙」です。

FBI捜査官見習いのクラリスは、幼少のころに見た子羊が何頭も殺される場面を見てしまったというトラウマを抱えています。子羊たちを助けてあげられなかったというトラウマも同時に抱えるクラリスは、FBI捜査官になって、子羊のように従順で抵抗できない被害者を助けることで、トラウマを乗り越えようとします。

「羊たちの沈黙」の「沈黙」とは、クラリスが被害者を助けた後に訪れる「沈黙」、つまり良い意味での静寂と言い換えることもできます。

悪い意味?

「羊たちの沈黙」の「沈黙」の表すもう1つの意味とは、どんな意味を示唆するのでしょうか。

「沈黙」とはまさに読んで字のごとく、黙っていることを表します。黙っているとは、心の中や今起きている現状をうかがい知ることができない、ということです。この意味から、「羊たちの沈黙」の「沈黙」が示唆するものは、いろんな意味を含んでいることが分かります。

「沈黙」するのは被害者や子羊の悲鳴のことを指すのか、はたまた「羊たちの沈黙」の中で重要なカギを握る自らが狂気性を持つ精神科医レクター博士なのでしょうか。「沈黙」がレクター博士を指しているとすると、この後起こる不吉な出来事を示唆する悪い意味での「沈黙」になります。

「羊たちの沈黙」のタイトルの意味は?

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

「羊たちの沈黙」は1991年公開のアメリカ映画で、原作はトマス・ハリスの同名小説です。

「羊たちの沈黙」は直訳すると「子羊たちの沈黙」です。「子羊」は「the Lamb of God」のように、聖書では神の子羊と呼ばれ、人間に喩えられる表現で使われています。

子羊たちは、普段牧場でメエメエと鳴き声を発します。その子羊たちが沈黙するという異常性がこのタイトルには込められています。子羊=人間とした場合も、同じような特異な異常性が感じられます。

このタイトルには「子羊」と「沈黙」という相反する言葉が使われているところが、大きな特徴になります。

「羊たちの沈黙」のラストの意味とは?

「羊たちの沈黙」のタイトル・蛾・子羊の意味|ラスト/解釈

「羊たちの沈黙」の結末では、クラリスが犯人のバッファロー・ビルの自宅に踏み込み、自身も殺されかけながら間一髪で犯人を射殺します。7人目の被害者となるはずだった女性を無事保護し、クラリスはFBIの卒業式をむかえ晴れてFBI捜査官になります。

FBI捜査官になったクラリスのもとに、刑務所を脱獄したレクター博士から電話が入ります。レクター博士はクラリスに「子羊たちは鳴き止んだかい?」と問いかけます。「子羊たち」とは連続婦女殺人事件の「被害者」のことを指すと同時に、クラリスのトラウマだった子羊たちの悲鳴のことを指しています。

最後にレクター博士は、「もっと話したいが、これから古い友人を夕食に招かなければならない」と言って電話を切ります。古い友人とは、レクター博士が最も軽蔑し殺意を持っている精神病院のチルトン院長である、ということを匂わせながら。

「羊たちの沈黙」を観賞しよう!

今回はアメリカ映画「羊たちの沈黙」について、タイトル、ポスターデザインの蛾の意味や羊の意味、ラストシーンの解釈についてくわしく紹介しました。タイトルに使われている言葉全てが、単純に1つの意味を表すのではなく、2つの意味、相反する意味を示唆していて、いろんな心理を表現する深い映画だな、と感じた方も多いのではないでしょうか。

今回の「羊たちの沈黙」のタイトルのように、一つの言葉の意味が、あるものを象徴している言葉だったり、2つの微妙に違った意味を持っていたり、何を表しているんだろう、と考えながら見る映画は、希少価値のある映画ではないでしょうか。

見たことがない方はぜひ、見たことのある方はもう一度、「羊たちの沈黙」を鑑賞するのをおすすめします。

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