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2018年01月26日

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

2011年7月16日に公開されたジブリ作品、「コクリコ坂から」は昭和の学園恋愛ドラマです。この映画には原作となる漫画がありました。漫画から少し変更された登場人物やポスターにも描かれている旗の意味、主題歌などを紹介します。

映画「コクリコ坂から」の意味を解説

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

子供から大人まで人気があるジブリ作品の一つである「コクリコ坂から」をご存知でしょうか。宮崎駿さんの息子である宮崎吾朗さんが監督した2作目の作品としても話題になりました。

東京オリンピック直前の日本が舞台で懐かしく感じるポイントがいくつもある作品ですが、聞きなれない言葉など、あれはどういう意味なんだろう?と疑問がある方も多いでしょう。ジブリの学園恋愛ドラマ、「コクリコ坂から」を紹介します。

舞台

1963年(昭和38年)の日本の横浜が舞台です。映画には山下公園や桜木町駅などが出てきます。原作漫画では東京都の文京区が舞台とされており、タイトルのコクリコ坂のモデルとなったと言われている坂が実際にあります。

主な登場人物

松崎 海

松崎海(まつざきうみ)は港の見える丘に建つコクリコ荘を切り盛りしており、弟と妹がいる港南学園高等部2年生の主人公です。周囲から海を意味する「メル」というあだ名で呼ばれています。毎朝おじいちゃんが建ててくれた旗竿に旗を揚げています。原作の漫画では松崎ではなく小松崎という苗字です。

声優は女優の長澤まさみさんです。

松崎 花

松崎花(まつざきはな)は海の母方の祖母です。コクリコ荘は花の夫(海達の祖父)が病院として使っていた建物です。物語の中で花が口にする「お母さんの分」というご飯は「陰膳」と呼ばれ、旅などに出た人の無事を祈る意味があります。

声優は女優の竹下景子さんです。ジブリ作品では、借りぐらしのアリエッティの貞子(翔の祖母の妹)、風立ちぬの二郎の母の役を務めています。

松崎 空

松崎空(まつざきそら)は海の妹で陸の姉で高校1年生です。髪がまとまらないという理由で朝食の時間に遅刻し海に注意されるシーンがあります。後に水沼といい雰囲気になります。

声優は女優・声優の白石晴香さんです。ジブリ作品では思い出のマーニーのみよ子役を務めています。

松崎 陸

松崎陸(まつざきりく)は海と空の弟で中学2年生です。靴下にすぐ穴が開いたり、お弁当の量が足りないなど、成長期の男の子らしい描写があります。兄弟3人の海・空・陸の意味は、陸海空三軍の名称からとっています。

声優は元子役タレントの小林翼さんです。

松崎 良子

松崎良子は海、空、陸の母で大学の助教授です。海たちの父親と駆け落ちした過去があり、映画の前半ではアメリカに留学していて不在です。

声優は女優の風吹ジュンさんです。ジブリ作品ではゲド戦記のテナー役を務めています。

風間 俊

風間俊(かざましゅん)は海と同じ高校に通う3年生で、「週刊カルチェラタン」の編集長をしています。タグボートと呼ばれる船で通学し、海上から海の揚げる旗を見て返答の旗を揚げています。

声優はV6の岡田准一さんです。ジブリ作品では同じ宮崎吾朗監督のゲド戦記のアレン役も務めています。

風間 明雄

風間明雄は俊の養父です。俊が通学で乗っているタグボートの船長です。
声優は俳優の大森南朋さんです。

北斗 美樹

北斗美樹はコクリコ荘の下宿人です。大学医学部を卒業後インターンをしていましたが、就職が決まり引っ越すことになりました。送別パーティーには俊や水沼も参加します。

声優は女優の石田ゆり子さんです。ジブリ作品では平成狸合戦ぽんぽこのおキヨ役、もののけ姫のサンとカヤ役も務めています。

広小路 幸子

広小路幸子(ひろこうじさちこ)はコクリコ荘の下宿人で21歳の美大生です。これは映画のオリジナルキャラクターで、海が揚げる旗に返答の旗が揚がっていることを海に教えます。

声優は女優の柊瑠美さんです。ジブリ作品では千と千尋の神隠しの千尋役、崖の上のポニョの婦人役も務めています。

小野寺 善雄

小野寺善雄は海が好きだという父親の写真に一緒に写っている人で、航洋丸という外国航路船の船長です。写真の3人の中では唯一の生存者で、物語のカギとなる人物です。

声優は俳優の内藤剛志さんです。ジブリ作品では千と千尋の神隠しの千尋の父親、ゲド戦記のハジア売り役も務めています。

水沼 史郎

水沼史郎(みずぬましろう)は港南学園の生徒会長で俊の親友の高校3年生です。史郎のお姉さんが北斗と同級生で秀才、現在は宇宙物理を研究しています。

声優は俳優の風間俊介さんです。

徳丸理事長

徳丸理事長(とくまるりじちょう)は海達が通う港南学園の理事長で徳丸財団の実業家です。モデルは初代徳間書店社長の徳丸康快氏です。

声優は俳優で歌舞伎役者の香川照之さんです。ジブリ作品ではゲド戦記のウサギ役も務めています。

「コクリコ」の意味の語源

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

タイトルになっている「コクリコ」という言葉は聞きなれず、意味をご存じない方がほとんどでしょう。映画では海からコクリコ荘に続く坂道という設定ですが、この「コクリコ」はどのような意味なのでしょうか。

スタジオジブリの「コクリコ坂から」は佐山哲郎原作・高橋千鶴作画の漫画を原作として作られており、この漫画と映画の中にコクリコ坂が出てきます。宮崎吾朗監督は特定のモデルはないと語っていますが、原作となった漫画では文京区にある「音羽の坂」という坂がコクリコ坂のモデルになっているそうです。

その音羽の坂にあったレストランの名前が「コクリコ」といい、タイトルの由来となっています。漫画連載中には実際にこのレストランで打ち合わせをよく行っていたそうです。

「コクリコ」はフランス語

「コクリコ」はフランス語でヒナゲシという意味の言葉です。Coquelicotと書きます。ヒナゲシとはヨーロッパ原産のケシ科の植物でシャーレイポピーなどとも呼ばれ、ケシ類の植物を総称してポピーと呼ぶので、ポピーの一種といえます。花言葉は思いやり、恋の予感などです。

メルの意味

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

主人公の海(うみ)は周りの人から「メル」と呼ばれています。ジブリ映画「コクリコ坂から」の中では由来の説明は出てこないので、「メル」の意味に疑問を抱く方が多いポイントです。では「メル」はどのような意味で、どこから来たのでしょうか。

名づけたのは北斗さん?

「メル」の意味と由来には原作の漫画に答えがあります。海が切り盛りするコクリコ荘に下宿していた北斗が「海をフランス語に訳すと、ラ・メール(la mer)になる」と教えると、メールがつまってメルとなり、北斗や友人から「メル」と呼ばれるようになりました。

漫画では北斗は北見北斗(きたみほくと)という男性で獣医の卵として登場します。海は北斗を慕っていましたが、後に恋ではなく兄を慕うような気持ちだと自覚するというストーリーがあります。映画と違い、帯広の牧場に就職することでコクリコ荘を離れます。

信号旗の意味

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

「コクリコ坂から」の中で度々出てくる旗は国際信号旗といわれるもので、海上で船舶同士の通信に利用される世界共通で同じ意味を持つ旗です。この国際信号旗を使った信号を旗旈信号(きりゅうしんごう)と呼びます。

国際信号旗は40枚で構成されていて、アルファベットを意味する文字旗が26枚、数字を意味する数字旗が10枚、代表旗3枚、回答旗1枚あります。旗1つや複数の組合せで特定の意味が決められており、言語が異なっても意思疎通ができるようになっています。

例えばUの旗1枚では「あなたは危険に向かっている。」Oの旗1枚では「人が海中に落ちた。」という意味ですが、UOと旗を並べると「貴船は入港してはならない。」という意味になります。

「コクリコ坂から」の旗の意味

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

では実際に「コクリコ坂から」の劇中に出てくる旗にはどのような意味があるのでしょうか。メルの旗、俊の旗などそれぞれ解説します。

メルが毎日揚げる旗

庭におじいちゃんが建ててくれた旗竿に毎日メルが揚げる旗はUとWの旗で「航海の安全を祈る」という意味があります。メルは船乗りで朝鮮戦争で亡くなった自分の父親に向けて毎日信号旗を揚げていました。

俊が乗るタグボートが揚げる旗

メルの揚げる旗に対して俊が揚げる旗は回答旗、U、Wの旗です。回答旗とは受信した側が信号を解読したら揚げる旗で、「わかった」といった意味があります。送信側が使うときには小数点として使われます。

回答旗、U、Wを直接解読すると、「わかった、航海の安全を祈る」ですが、ここでは「安全を祈ってくれてありがとう」といったニュアンスの意味になります。

北斗さんの送別会で揚げた旗

これは映画の中で俊が解読していましたが、H、O、K、U、Tの旗で「HOKUT」ホクトを意味します。

主題歌「さよならの夏」

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

コクリコ坂からの主題歌は手嶌葵さんが歌う「さよならの夏~コクリコ坂から~」です。ゲド戦記のテルーの唄で有名になった手嶌葵さんの美しい声と、「光る海に かすむ船は…」という歌の出だしに聞き覚えのある方も多いでしょう。実はこの「さよならの夏」という歌は1976年に発表された楽曲だということをご存知でしょうか。

ルフランとは

「さよならの夏」は森山良子さんが1976年に発表した楽曲で、1990年に発売したCD「あなたにふれたいばかりに」にも収録されていました。1976年の日本テレビ系連続ドラマ「さよならの夏」の中で倍賞千恵子さんが歌っています。

この歌の3番の歌詞に「あしたの愛 それはルフラン」という言葉が出てくるのですが、「ルフラン」はフランス語で繰り返しといった意味です。宮崎駿さんはこの歌を「繰り返し繰り返し、人は人を愛する。その初々しい気持ちが大切だと思う。」と話し、「人を恋する歌」と表現しています。

さよならの夏
作詞:万里村ゆき子
作曲:坂田晃一

コクリコ坂からの「カルチェラタン」の意味

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

コクリコ坂からに出てくる「カルチェラタン」とは男子文化部施設のことです。哲学研究部や無線部、風間俊や水沼史郎が所属する「週刊カルチェラタン」の編集部などたくさんの部が集っています。このカルチェラタンが取り壊されることとなり、それを防ぐために海の提案により「お掃除」することになります。原作にはカルチェラタンは登場せず、映画オリジナルです。

カルチェラタンとはフランス語で「ラテン地区」という意味で、パリにある「Quartier latin」(カルチエ・ラタン)が由来です。ここは学生運動の引き金ともなったエリアです。いろいろな国が集まる多民族地区でラテン語を共通語とした人が集まったエリアを「カルチェラタン」と呼んでいます。

コクリコ坂から 上を向いて歩こう

映画「コクリコ坂」の意味の解説・語源|メル/ルフラン

映画「コクリコ坂から」の解説はいかがでしたか。いろいろな名前の意味を知って観てみると、「コクリコ」の意味であるヒナゲシがコクリコ荘に咲いていたり、信号旗のやりとりに感動したり、より物語に引き込まれるでしょう。

映画は巨大な中華街があり、港には外国航路船も泊まる横浜での物語です。「メル」というあだ名、学生の集う「カルチェラタン」、そして主題歌の歌詞「ルフラン」といった多くのフランス語は外国が日常に馴染んでいる街を象徴する意味があるよう感じます。

東京オリンピックの前年の1963年(昭和38年)という設定は、朝鮮戦争で亡くなった父やその友人、戦後の混乱の中で子育てをした親たち、育った子供たちなど、登場人物にこの時代ならではの背景を持たせています。2020年に再び開催される東京オリンピックを前に、映画「コクリコ坂から」を観ると時代の移り変わりを感じることができるでしょう。

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