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「イヤホンは高いほうがいいのではないの?」
「クリスタルイヤホンはどんな用途に向いているの?」
クリスタルイヤホンを検討している人の中には、このような疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、クリスタルイヤホンの特徴や種類、クリスタルイヤホンが向いている用途など、購入する際のポイントのほか、発音体やインピーダンスについて紹介しています。
この記事を読むことで、クリスタルイヤホンについて知れることはもちろん、知識をもとに自分に合ったオーディオ機器を選ぶ基準が得られるでしょう。また、人にイヤホンをおすすめする際に使える、ちょっと自慢できる雑学も得られます。
クリスタルイヤホンについて詳しく知りたい人は、ぜひこの記事をチェックしてください。
クリスタルイヤホンの特徴
初期の鉱石ラジオなどでは、入力インピーダンスが高いため、微弱な電力で音を発せられるクリスタルイヤホンが必須でした。しかし、潮解と呼ばれる、湿気でロッシェル塩の結晶構造が崩壊してしまう現象が起きると使用不可になる弱点があるため、耐久性に難ありとされています。
以前は学習教材用として生産されていましたが、現在では、ロッシェル塩を使用したイヤホンは生産が中止されています。そのため、クリスタルイヤホンと謳われていても、実際はセラミックイヤホンであることがほとんどでしょう。現存するクリスタルイヤホンは数少ないと言えます。
発音体とは何か
私たちが音として認識するためには、まず、発音体が振動することが必要です。その発音体の振動が周囲の空気へ伝わり、さらに耳の中の鼓膜へ伝わることによって、音として認識されるのです。なので、空気の無い、真空の状態では発音体の振動が伝わらず、音として認識することはできません。
一方、液体や固体は振動を伝えることができるため、発音体の振動を音として認識できるでしょう。ですが、物体が振動していれば必ずしも音が聞こえるとは言えません。人間の耳が音として認識できる発音体の振動数は20ヘルツ~2万ヘルツ程度であるとされ、音として認識するには激しい振動が必要だと言われています。
現在「クリスタルイヤホン」と呼ばれるものには2つのタイプがある
クリスタルイヤホンは現在、以下に挙げた通り、ロッシェル塩タイプとセラミックタイプの2つのタイプに分かれています。この2つのタイプの違いとして、発音体が違うことがまず挙げられますが、そのほかにはどのような特徴や性質の違いがあるのでしょうか。また、価格の違いや、入手方法など、発音体以外にどのような違いがあるのでしょう。
次の項目では、メリットやデメリットを挙げたうえで、ロッシェル塩タイプとセラミックタイプ、それぞれの特徴や性質の違いを比較してみましょう。
- ロッシェル塩
- セラミック
ロッシェル塩
前述の通り、クリスタルイヤホンは、潮解を起こす原因となる湿気が大敵です。日本のように高温多湿の地域で使用するには、保存する際の湿気対策が重要となります。逆を言えば、この潮解さえ起きなければ長期で使用可能と言えるでしょう。
また、クリスタルイヤホンはインピーダンスが高いため、セラミックイヤホンより低音特性がよいのが特徴とされています。ですが、潮解が起きると使用不可になってしまうため、現在は生産販売されていません。そのため、現存するクリスタルイヤホンの希少価値は、とても高いと言えるでしょう。
セラミック
セラミックタイプとロッシェル塩タイプのクリスタルイヤホンと価格を比較すると、セラミックタイプはロッシェル塩タイプよりはるかに安価で、300円台から手に入るとされています。また、ロッシェル塩タイプのように、湿気による潮解を起こすこともないため、取り扱いも易しいと言えるでしょう。
とは言え、安価で手に入りやすい分、使用する個体によって、音色や音質が異なることも多く、特性の個体差があるとされています。比較してみると明らかな差がみられることもありますので、購入する前にはぜひ個体差を確かめてみてください。
インピーダンスとは何か
インピーダンスとは、電気回路の交流回路における抵抗成分を指し、対象となる箇所の電流に対して、同じ対象となる箇所に加わる電圧の比を表した指標として、電流の流れにくさを表しています。
そのため、前述にあったインピーダンスが高い、というのは電流が流れにくいことを表しています。
効率を問題としないオーディオ機器などの接続では、機器の出力インピーダンスを極めて低く、入力インピーダンスは高めに設定する、いわゆるロー出しハイ受けにすることによって、電気信号を電力ではなく電圧で伝達させ、接続の利便性を優先することが多いとされています。
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オーディオ機器目線でみるインピーダンス
一方、インピーダンスが低いことにもメリットがあり、低ければ低いほど音量が大きくできます。
ですが、それだけ消費電力が大きくなるため注意が必要です。これらのことから、クリスタルイヤホンはインピーダンスが高いため、クリアに聞こえたうえで消費電力が少なく駆動できると言えるでしょう。
また、ロー出しハイ受けがオーディオ機器に重要とされているのは、ハイからローでは正しく信号を受け取れないためです。基本的に、出力側のインピーダンスが特定できない場合に備え、入力側のインピーダンスが高めに設定されていて、ロー出しハイ受けとして信号を受け取れるようになっています。
ですが、効率よく信号を伝達させるためには、インピーダンスの入出力が同じであることがベストと言えるでしょう。
クリスタルイヤホン・セラミックイヤホンはどんな用途に向いている?
答えとしては、防災向けの特殊なラジオと言えるでしょう。と言うのも、前述の通りクリスタルイヤホンは、インピーダンスが高いため消費電力が少なく駆動できます。
近年増えている災害時などでは、電力を確保することが難しいことも多いため、より少ない電力で現在の状況を把握する必要があるとされています。そのため、クリスタルイヤホンは消費電力が少なく済むうえ、音漏れなどによる迷惑を周囲にかけないようにできるため、防災向けの特殊なラジオに向いていると言えるでしょう。
クリスタルイヤホンは、安価で手に入り簡単に鳴るイヤホンなので、いざという時のための防災グッズとして、準備しておくことをおすすめします。
こだわりがなければ安価な発音体のイヤホンを検討する
100均で手に入れたイヤホンは壊れやすいのでは、という疑問もあるかもしれません。実際、日常使いをするには、断線などによって使用に影響がでる可能性があります。しかし、災害時のみに防災向けの特殊なラジオで使用するなどの場合は問題なく利用できるでしょう。また、安価であるにもかかわらず、好みのイヤホンを探せるのも100均のメリットと言えます。
100均で手に入れられるクリスタルイヤホンの代表として、マグネチックイヤホンとダイナミックイヤホンの2種類があります。これらはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。
- マグネチックイヤホン
- ダイナミックイヤホン
マグネチックイヤホン
電磁型は電圧型と比較すると、音圧や音質が優れているとされています。ですが、鉄片が磁石に吸着しないよう、振動系の支えを固くする必要があるので、原理上周波数帯域が狭くなる欠点があります。また、作りが簡便で音質も最低限のものであるため、ヘッドフォンと区別されることが多いでしょう。
基本的には、片耳のモノラルイヤホンで、外耳道に入れるイヤホンが主流のため耳から脱落しやすいとされています。ですが、耳栓部分がフィットするように設計されているものもあるので、自分に合ったイヤホンを探してみるのがよいでしょう。
ダイナミックイヤホン
安価で大量生産に向いている原理構造であり、ダイナミックスピーカーと同じ構造であることからダイナミック型イヤホンとも呼ばれています。また、安価な商品から高価な商品まで幅広く販売されているので、選択肢が多いメリットもあるでしょう。
一方、低音再生が得意な分中高音域を苦手としているデメリットがあり、それを補うために違う型の駆動方式を混合搭載した、ダイナミック型イヤホンより高価なイヤホンも販売されています。とは言え、強いこだわりがなければ、100均で手に入るダイナミックイヤホンで満足できるでしょう。
クリスタルイヤホンについて知ろう
ロッシェル塩を使用したクリスタルイヤホンは希少価値が高く、取り扱いも難しいため現在は主流ではなくなってしまいました。
しかし、クリスタルイヤホンの代替品としてセラミックイヤホンが安価で手に入るようになり、微弱な電気信号を音に変換できるため今ではゲルマラジオにセラミックイヤホンは欠かせないとされています。
また、一般向けに、防災向けの特殊なラジオの利用時のように、あまり電力を使用せずにラジオを利用したいときには、クリスタルイヤホンがおすすめされます。万が一に備え、イヤホンが使用できる防災向けの特殊なラジオと共に、自身の気に入った100均で手に入る安価なイヤホンを1本所持しておくのがよいでしょう。