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「「様」の正しい行書体って?」
「「様」の書き方のポイントが知りたい」
上記のように思ったことありませんか?
この記事では、「様」の書き順や正しい行書体、書き方のポイント、旧字体について紹介しています。
この記事を読めば、あなたの書き順が合っているのかどうか、間違っているのか、書き順が変わったのか、人によって書き順が異なる理由など理解することができます。
この機会に大切なお手紙や文書などに使う「様」についてじっくり触れる時間にしましょう。
「様」の書き順は変わったのか?
という噂は本当なのでしょうか。
現時点で、「様」という漢字は小学校3年生で習う14画の漢字で部首(左側)は「きへん」とされています。
つくり(右側)は「羊」という字の下に突き出た部分をはねて、その後、「求」の漢字のように、左側は中心に向かって ちょんちょんと書き、つくりの最後の一筆ははらう、そういった書き順で教えられています。
この書き順と異なる書き方としては、15画で書く方法があります。
14画との違いは、つくりを「羊」のように突き出さず止めて、その下に水のような字を書く場合です。これですと、15画となります。
よく似た字ですが、よくよく見ると、作りの上下が分かれているか、否かで違和感を覚えることもあります。
2種類の書き順があるということは、元々は15画で書かれていたが、書き順が変わったことで、現在は14画で教えられているのでしょうか?
その秘密を解明していきましょう。
書き順は変わるもの
幼少期、特に小学生のころに、新しく習う漢字は、まずは書き順を覚えることから始めました。間違った書き順は親や先生に直された記憶がある方もいらっしゃるでしょう。
そもそも、なぜ書き順が大切なのでしょうか。見た目が大体同じであれば、書く順番が異なっても何ら問題ないのではないでしょうか。
実は、書き順は書くことを研究していた人たちが、早くきれいに文字を書くために少しずつ改良して作った順番なのです。
書き順を守って書くことで、文字が書きやすくなり、きれいになります。
流れるような自然な書き方は、たくさん書いても疲れにくい効果もあります。
書き順を定めた書籍に文部省図書として出版された「筆順指導の手びき」という書物があります。
今から60年以上前に出版した古い書物でそれまで特に決まっていなかった書き順について、定められています。
それまで決まっていなかった書き順の指導方法が一つになったのです。
言葉を変えると、このタイミングで書き順は変わったのではなく、教育上統一されたと表すことができます。
驚くことに、1958年の出版から60年間以上経った今も改定はありません。
つまり、教育上の書き順は1958年以降は変わっていないのです。
一点注意すべき点は、この書物の中でも複数の書き順の存在に触れている点です。
地域や時代に影響され、複数の書き順がどちらも広く使われる場合、複数の書き順を認める必要があったと考えられます。
また、冒頭にこの手びきはあくまで学習指導上の混乱をきたさないために定められたものであり、他の書き順を誤りとするものではないとはっきり明記されています。
また、この書物に掲載されていない漢字については、具体的な基準がないため地域や時代によって、そのまま複数の書き順が広まっていることも予想されます。
つまり、書き順は学校教育上は変わっていないが、時代や地域によって変化する。と言えるでしょう。
「様」の正しい行書体
行書体は通常使う楷書体で書くよりも素早く書くことができる書体です。
楷書体の「様」は14画ですが、行書体になると8画で書くことができます。
形で見ると、左側の「きへん」が大きく省略されたイメージで右側は楷書体と見た目は変わっていません。
しかし、流れるように連続して書くため、8画とされています。
「様」の書き方のポイント
つまり、つくり(右側)がポイントとなってきます。つくりを上下に分けず、一体的に書くことが重要です。
「羊」と同じ?
上にカタカナの「ソ」のように ちょんちょん と書きます。
続いて、漢字の「三」の字を書きます。
そして最後に、縦に棒をおろしはねます。
「羊」の文字とは最後がはねて終わる部分が大きくことなりますね。
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書き順は「水」と同じ?
しかし、「水」とは少し異なるので注意が必要です。
書き順は「羊」のような字を挟んで左側は「水」のように、左側をカタカナの「フ」のように一筆で書くのではなく、「求」の漢字のように、左側は中心に向かって書くことが分かります。
一方、「羊」のような字を挟んで右側は「水」と「求める」とほぼ同様で2画で書きます。
形はまるで「水」ですが、「求」の漢字のように書くという点に気を付ける必要があります。
「様」の旧字体
そもそも旧字体とは、日本において、当用漢字以前に使用された漢字の字体を指します。
台湾、香港、韓国などで使用される繁体字という書体とほぼ同じものと言われています。
現在でも比較的よく見かける「様」の旧字体に「樣」があります。
よく見てください。つくりは上下に分かれています。
つくりの下は「永」と書かれおり「様」と区別するため「えいざま」と呼びます。
手紙やはがきなどで見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
受領した封書に、「樣」と書かれた文字を見て違和感を覚えた経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この旧字体の「えいざま」とはどんな漢字なのでしょうか。
旧字の「様」の使い道とは
実際、現代でも使用されていることがあります。
宛名の下に「樣」をつけることは、もっとも相手を尊敬したとされます。
実は、ほかにも「様」には様々な旧字体があります。
「えいざま」次に敬意を示す場合に使用する「びざま」はつくりに「美」の字を書きます。
「びざま」の次「ひらざま」は、つくりの下の部分に「平」という字を書きます。
そして「檨」(つぎざま)は、右下の部分に「次」という字を書きます。
他にも様々な種類があるようです。つまり、「様」の字は、宛名とともに相手と自分の関係を表す漢字として使われていたことが分かります。
旧字の「様」の書き順
「樣」(えいざま)の書き順は15画です。部首は「様」と同様に「きへん」ですが、つくりは少し異なります。
カタカナの「ソ」のように ちょんちょんと書き漢字の「王」のような書き順で、横線、縦線、漢字の「二」そして最後に漢字の「永」を書くのです。
「樣」(えいざま)の「永」の部分を「平」や「次」に変えれば「ひらざま」「えいざま」となります。
「びざま」はつくりに「美」の漢字を書けば完成です。
つくりの右下を「水」と書く「様」
年賀状には、右下にはっきり「水」と書かれたものが実在します。
その年賀状は、手書きではなく、印刷によるものなのです。そこで、Microsoft Wordで書体を変えて、右下が「水」という漢字であることが確認できました。
つくりを上下に分けた「様」
しかし、旧字体の「えいざま」のように、上下に分けて書く場合もあり、実際にMicrosoft Wordでも上下を分ける書体もあります。
つくりを上下に分けた「様」は実際に存在しています。
その様な書き順をする方もたくさんいます。
旧字体の書き順を考えると、上下に分けて書くことも自然なことと言えます。
よって、つくりを上下に分けて書くことを否定する必要はないのです。
漢字の書き順は変わることもある
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現在、書き順は教育上定められたものがありますが、定められる前は特に決まっておりませんでした。よって、書き順は複数存在することもはっきりしました。
きっとこれからも、時代とともに書き順は複数出現し、文字自体が変化する可能性も大いにあります。
定められていない書き順は、誤りであるという姿勢ではなく、漢字も書き順も社会とともに歴史を重ねている、変化し生きているのだと理解することが大切ですね。