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シャチの狩りについて知能が高いとされる理由とは?生態についても紹介

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「シャチ」が、イルカのような高い知能を持つ、白黒模様をした大型の海の生物であるということは、多くの人が知っていることでしょう。しかし、具体的な狩りの手法やコミュニケーションの方法などは、まだあまり知らないという方もいるのではないでしょうか。

この記事では、シャチの狩りにおいて高い知能が発揮される場面や、それを構成している要素は何か、シャチの生態とはどういったものかなどについて紹介します。

記事を読むことで、今まで知っていたようで知らなかったシャチの狩りや生態などについての詳細がわかり、そのたくみで堂々とした生きざまに感心するでしょう。

シャチが好きな方や、海で暮らす生物について興味があるという方は、ぜひ読んでみてください。

シャチとはどんな生物?

シャチは、英語名を「キラーホエール(クジラ殺し)」といい、その圧倒的強さにより「海の王者」として海の食物連鎖の頂点に立っています。

知能や社会性が高く、「ポッド」とよばれる群れを作り、強い結束力を発揮して狩りをしますが、群れのリーダーはほとんどがメスです。

ちなみにシャチは生態の異なる複数の種類が存在することがわかっており、すべてをひとくくりにはできません。

シャチに関する基本情報

シャチは、鯨偶蹄目マイルカ科に属する哺乳類で、野性での寿命はオスが約30年、メスが約50年です。

世界中の海に広く分布し、日本国内では、北海道や和歌山県などの近海で生息が確認されています。

シャチの背びれのつけ根あたりにある灰色の模様は「サドルパッチ」とよばれ、それぞれの個体で形や大きさが違うのが特徴です。サドルパッチの形は変化しないため、背びれの形状などとあわせて個体を識別するのに役立ちます。

シャチの名前の由来について

シャチの名前の由来には、いろいろな説があります。するどく尖った背びれの様子から「サカマタ(逆さの鉾の意)」とよばれるようになり、それが変化していって「シャチ」になったという説や、「タチオコ(立尾魚)」という名前がなまったという説などです。

また、虎のような頭と魚の体を持つ想像上の生物「シャチホコ」が由来になっているという説もあります。

シャチの獲物について

シャチが狩りをする生物は、アザラシ・アシカ・イルカ・クジラ・ラッコなどの海生哺乳類、ペンギンやカモメなどの海鳥、サメやサケなどの魚類、イカ、ウミガメなどさまざまです。

研究が進んでいる海域では、同じシャチでも「おもに魚類を食べる種類」「おもにイルカなどの海生哺乳類を食べる種類」「おもにサメを食べる種類」などに分類できることがわかっています。

シャチ同士の会話について

シャチは、「ホイッスル」や「コール」とよばれる音を発することができ、お互いに鳴きかわすことでコミュニケーションをとっていることがわかっています。

「ホイッスル」は近くにいる仲間とかわす、口笛のような音です。

「コール」は比較的遠い所にいる仲間とのやりとりをするのに役立つ音で、群れによって方言のように違う型が存在し、狩りを行う際の重要な要素となっています。

シャチの狩りについて知能が高いとされる理由

シャチの知能が高いことは広く知られていますが、なかでも狩りの場における知能を活かしたシャチの行動は、目を見張るものがあります。

仲間同士で密接にコミュニケーションをとりあい、人間顔負けの工夫をこらして、いかに効率的に獲物を手に入れるかを常に考えているのです。

狩りにおける知能の高さは、シャチが海の王者として君臨している大きな理由の1つでもあります。

獲物で戦術を使い分けている

シャチには、獲物の種類によってさまざまな狩りの方法があることが確認されています。

例えばニシンの大群を狙う場合、大群をコントロールしやすい規模に分断させるため、海面近くまで追い上げて威嚇しながら周囲を回り、群れを小さくして球状にまとめる方法などです。

世界中にはさまざまな生態を持つシャチが生息しており、それぞれが獲物にあわせた狩りの仕方を工夫しています。

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狩りをする時は隊列を組んでいる

シャチは、狩りをするときは群れで隊列を組むことで、狩りに必要なエネルギーを温存したり、速度を落とさないようにしたりしています。

先頭の集団と後方の集団が入れ替わりながら進むことで、全体の疲労を抑え持久力を保っているのです。

「ポッド」とよばれるシャチの群れは、どんな生物を獲物にしているかによって、さまざまな規模のものが存在します。

音波を使って位置情報を把握している

シャチは、「クリックス」という短い音波を出すことで、視界の悪い海の中でも周囲の状況を把握できます。

物にあたって跳ね返ってきた音波によって、その形や大きさなどを知ることができるのです。

この仕組みは暗闇の中で行動するコウモリなども活用しているもので、エコーロケーション(反響定位)といいます。効率的な狩りをするシャチにとって欠かせない能力の1つです。

カモメをおびき寄せる戦術を使う

シャチは、カモメを捕食するために、カモメのエサである魚をおとりにして罠にかけるという狩りの戦術をとることがあります。

口から魚を吐き出して待ち構え、カモメが寄ってきたところを一撃で捕らえるのです。

カモメが本来の魚の群れを見つけ、魚を捕えるために海に飛び込む一瞬を見極めて狙うよりも、効率のいい狩りの方法であることをシャチは知っているのでしょう。

クジラは溺死させて狩る

シャチがクジラの狩りを行う場合は、肺呼吸が必要な哺乳類であるクジラを海面に浮上させないようにすることで、呼吸のタイミングを奪い、溺死させるという手法をとります。

群れで連携してクジラをとり囲み、上方をふさいだり、挟みこんだりして、徹底的に海面への浮上を阻止するのです。

結束力の高いシャチの群れの、優れたチームワークによってなせるわざの1つといえるでしょう。

子どものシャチは群れでガードする

シャチは、群れに子どもがいる場合、群れ全体で協力して子どもを守ります。

シャチの群れであるポッドは、祖母にあたるメスを中心とした血縁関係のある個体で形成されることが多く、その中で子どもは大切に守られながら育つのです。

母親が狩りのため子どもから離れるときは、他のメスが面倒を見てあげるなど体制は万全で、外敵はなかなかシャチの子どもを狙えません。

シャチの生態とは

海に暮らす生物たちの頂点に立つシャチは、社会性に富み、知能が高いことに加えて、大きく頑丈な体と俊敏さをあわせ持っています。

仲間を大事にしながら、高い知能や身体能力などを存分に活かした狩りをして生きるシャチは、まさに無敵の海の王者といえるでしょう。

シャチについてはまだわかっていないことも多いものの、その生態は少しずつ明らかになってきています。

高い知能を持っている

水族館にいるシャチは、イルカと同じように複雑な芸を覚えることができ、イルカより早く芸を習得することも可能です。

また野性のシャチは、仲間が襲われた際の報復行為や、仲間が死んだときの悲しみの表現、弱った仲間や別のグループからはぐれた個体をお世話するなどの行動が確認されています。

狩りでのコミュニケーションやテクニックの他にも、その知能の高さをうかがわせる要素はたくさんあるのです。

大きくて動きが速い

シャチは、オスの体長が6~9メートル、メスの体長が7~8メートルと巨大な生物でありながら、時速60~70キロメートルという、海生哺乳類の中ではもっとも速い速度で泳ぐことができます。

イルカにも勝るこのスピード感は、当然狩りにも活きてくるわけです。

また、海面から高くジャンプすることも得意で、シャチの身体能力の高さがうかがえます。

サメも食べてしまう

シャチにとっては、獰猛で危険なサメでさえも、狩りの対象です。

2017年に南アフリカの海岸に打ち上げられた3体のホホジロザメの死体は、臓器が食い尽くされた状態で発見され、これはシャチの狩りによる結果であると推測されています。

シャチは、サメが仰向けになると一時的に擬死状態になり動かなくなることを知っていて、その特性を利用して狩りを行っているのでしょう。

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天敵はほとんど存在しない

シャチは知能が高く、大きくて強い体と高い身体能力を持ち、海の食物連鎖においてトップの座にいる海の王者なので、天敵になるような生物はほとんどいません。

生命力が落ちてしまった個体や小さい子どもなどは、まれに他のシャチやサメなどに狙われることもありますが、めったにないことだといえるでしょう。

またシャチの肉は固くて食用にむかないため、人間の漁の対象にもならないのです。

人間との関係について

シャチは、基本的には意図して人間を襲うことはありません。知能が高く人にもなつくことから、水族館で飼育され、ショーを行っているシャチたちもいます。

ただ、飼育員にけがをさせてしまったり、死亡させてしまった事例があるのも事実です。人工の環境下では、どうしても大きなストレスがかかってしまうため、シャチを水族館で飼育することへの反対意見は徐々に高まりつつあります。

シャチの狩りや生態について知ろう!

シャチは、知能や身体能力が高く、海の食物連鎖の頂点に立つ海生哺乳類です。

社会性が強く、仲間同士でしっかりとコミュニケーションをとりながら、その知能を活かしたさまざまな工夫をこらして、それぞれの獲物にあった狩りを行います。

広範囲を移動しているシャチの群れは観察が難しく、まだ解明されていないなぞも多いので、今後さらに調査が進むことを期待して、楽しみに待ちましょう。

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