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「フォルム」の意味と使い方
カタログやポスターなどで、「フォルム」という言葉を目にしたことがある人は多いでしょう。「フォルム」という言葉にはどのようなイメージがあるでしょうか。例えば、綺麗なものを表現するとき、または、完成したものを表す時に使われていることが多いのではないでしょうか。
今回は普段何気なく目にしたり口にしたりしている、「フォルム」という言葉の由来や、どのように使われているかを、複数の例をもとに紹介します。
意味
「フォルム」は「事物の形式・形態」のこと、言い換えると「ものごとが存在している時の、外側に現れているかたち」のことを表わす言葉です。
「この車は魅力的なフォルムをしている」や「最新のスマートフォンのスタイリッシュなフォルム」、ポケットモンスターの「フォルムチェンジ」のように使われます。全て「形」で言い換えることが可能ですが、あえて「フォルム」を使うことで、形だけでははない、質感をも表したり、特別なこと、大切なこととして表現していると言えるでしょう。
使い方
「フォルム」はものごとの姿かたちを表す言葉として使います。「靴のフォルム」は「靴の形」、「ヘアスタイルのフォルム」は「ヘアスタイルの質感を伴った形状」、「体を鍛えてフォルムを整える」は「体を鍛えて立体感や厚みを調製する」、「ペットの尻尾のフォルムが好き」は「ペットの尻尾の形や雰囲気が好き」という意味になります。
「フォルム」の意味の由来
語源
「フォルム」の語源をたどると、古代ローマ都市の「公共広場」を意味するラテン語の「Form」までさかのぼります。「フォルム」は町の中心にあり、人々が集まり商売を行う場所でした。大きな都市の「フォルム」は商売だけではなく、政治的、宗教的集会が行われる重要な場所でもありました。
フランス語
「フォルム」はフランス語で「forme」と書きます。意味は「形や形状」を表します。「平面的な形や形状」ではなく、「立体的な形や形状」を意味する言葉として使われます。ファッションの分野で「フォルム」という言葉が多く使われるのは、ファッションが盛んで影響力の大きいフランス語が語源という事が考えられます。
ドイツ語
「フォルム」はドイツ語でも「forme」と書きます。意味はフランス語と同じように「形や形状」を表します。駅のホームを表す「プラットフォーム」という言葉は、ドイツ語では「プラットフォルム」のように発音します。
英語
「フォルム」は英語で「form」と書きます。フランス語やドイツ語から小文字のeがなくなった状態です。意味は同じように「形や形状」を表しますが、発音は「フォルム」ではなく「フォーム」です。日本語でも「フォーム」という言葉は名詞として使われていますが、最近では「フォルム」とは別の意味で使われています。
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フォルムに近い言葉
フォルムとフォームの違い
フランス語・ドイツ語の「forme」も、英語の「form」も同じ意味を表す言葉です。しかし現在日本では「フォルム」は「形」を表すもの、「フォーム」は「ゴルフのスイングのフォーム」のように「動いているときの姿かたち」を表すものとなり、違う意味を表す言葉として使い分けられています。
フォルムとシルエットの違い
「フォルム」は質感や立体感もあわせた「形」を意味しますが、「シルエット」は「輪郭」を意味します。「影絵」を「シルエット」とすると、影を映し出している白い幕を取り払い、「そのものの姿の表面が見えている状態」が「フォルム」となりますので、意味が異なります。
車での「フォルム」の意味と使い方
「フォルム」は見た目の形や姿を意味する言葉ですので、車の特徴を現す言葉としてよく使われます。「都会的なフォルム」であれば、シンプルで直線的な、という意味が読み取れますし、「官能的なフォルム」であれば曲線を効果的に使用した艶のある、といった意味が読み取れます。
全体を現す言葉ですので、「青いフォルム」や「大型のフォルム」のようには使いません。
車の形状を表し、好みが繁栄される「フォルム」という言葉は、自動車販売店や自動車修理店、自動車整備工場の店の名前としても使われます。
建築での「フォルム」の意味と使い方
「フォルム」は形や外観を表す言葉、空間に何かが配置してある姿のことを意味する言葉ですので、建物の形状を表現する言葉として使われます。
「シャープなフォルム」であれば、直線を生かした無駄の無い外観をした建物、というような意味が読み取れますし、「あたたかみのあるフォルム」であれば自然素材を使用した、曲線を含めた外観の建物、といった意味が読み取れます。
フォルムはあくまでも外側の印象を表す言葉ですので、「内装のフォルム」のように内側については使いません。
建物の形状を意味し、印象を左右する「フォルム」という言葉は、建築事務所やデザイン事務所、またマンションなどの集合住宅の名前にもよく使われています。
ファッションでの「フォルム」の意味と使い方
服
「フォルム」は外見や形状を意味する言葉です。特にファッションにおいては「シルエット」と似た意味で使われることが多いですが、「フォルム」は輪郭だけでなく、素材の質感や服の立体感を含めた意味で使われます。
「すっきりとしたフォルム」であればあまり体型を拾わず、シンプルな質感の服との意味が読み取れますし、「彫刻的フォルム」であればしっかりとした素材で陰影を生かした装飾的なデザインの服と読み取れます。
バッグ
「ころんとしたフォルム」のバッグと言われて、どのようなバッグを想像するでしょう。張りのある素材で作られた、丸みのあるかわいらしい自立するバッグを想像するのではないでしょうか。
「くたっとしたフォルム」であれば、柔らかい素材でできている、自立するのが難しい形のバッグが想像できますし、「このフォルムのバッグはシチュエーションを問わずに使える」であれば、一定の基準をクリアした普遍的な色や形、素材のバッグが想像できます。
布や皮を素材に用いて立体的に形を作るバッグは、その特徴を一言で言うために「フォルム」という表現が使われやすいと言えます。
靴
「スマートなフォルムの靴」はどのような靴を想像しますか。足の甲からつま先まですっとしたデザインの、艶のある良い皮で作られた、シンプルな靴ではないでしょうか。
「個性的なフォルムのスニーカー」であれば、色や形、素材がさまざまで、凹凸や厚みのあるスニーカーが想像できますし、「綺麗な形のハイヒール」であれば、まっすぐなヒールと曲線を生かしたシンプルなデザイン、形を表現するために上質な素材を使ったハイヒールが想像されます。
つま先やヒールの形、素材によって表情が変わる靴は、特徴を「フォルム」を使って表しやすいアイテムと言えるでしょう。
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ヘアスタイル
「スタイル」や「シルエット」など、ヘアスタイルを表す言葉は「フォルム」以外にもたくさんあります。「シルエット」と「フォルム」は、ヘアスタイルの世界でも同じように使われることがありますが、全体的な印象や形を表す言葉としては「フォルム」が使われます。
「重めのフォルムのミディアムヘア」であれば、髪の毛はそれほど漉かれておらず、頭の形がはっきりわかるものではないことが想像できますし、「フォルムを丸くしたショートヘア」であれば、程よいボリュームが入り、髪の先を軽くしたショートヘアが想像できます。
ヘアカットが上手であれば「フォルム」が美しくなるためでしょうか、美容室にも店名に「フォルム」が入った店が多くあります。
「フォルム」は完成しているもの
「フォルム」という言葉は「形」を表しますが、悪い意味で使われることがほとんどありません。「フォルムが悪い」や「フォルムが崩れている」と言った表現は見当たりません。むしろ「崩れたフォルムを生かすデザイン」と言ったような良い意味での表現は見受けられます。従って、「フォルム」は、「完成された形」を表す言葉として使われていると言えます。