「キマシタワー」の元ネタと語源｜ストロベリーパニック/百合

「キマシタワー」とは百合作品や百合要素のあるイラストや画像など、女性同士の恋愛を連想させるもの全般を指すネット用語です。百合好きの人々が自らの作品を投稿するときに「キマシタワー」のタグをつけて投稿します。「キマシタワー」で検索すると百合要素のある画像や百合を連想させるものが出てきます。

元ネタとはその言葉が生まれたきっかけとなった作品や、その作品に出てきたセリフ、登場人物のことです。

「キマシタワー」の元ネタとなったセリフはストロベリー・パニックという百合アニメのキャラクター、涼水玉青の「来ましたわ」というセリフです。しかし、実際に玉青が「キマシタワー」と叫んだわけではなく、その後に録音した渚砂が怖がっている声を聞きながら「たまりませんわー」と萌えていたことから、この言葉は2つのセリフを混ぜて作られた造語だと考えられます。

百合（ゆり）とは女性同士の恋愛を描いた、または女性同士の恋愛を連想させる漫画やアニメ、イラストや小説のことです。女性同士の同性のカップルを「レズビアン」というため、百合はしばしば「レズ」と混同されていますが、「レズ」には差別的な意味合いが含まれているとの批判の声があるため、「百合」という表現の方が好まれています。

また、百合は女の子同士の「淡い恋」または「恋に近い友情」を、レズは女の子同士の「激しい恋」を表しているという見方もあります。キスまでの描写を「百合」とし、それ以上の関係を「レズ」としていることもあります。

「キマシタワー」は「女の子同士のスキンシップシーンがキター」という意味で使われます。百合っぽいシチュエーションや、百合作品を見て感動した人が興奮して使いはじめたことから徐々に広まっていきました。

例えば、女の子同士が良い雰囲気になって、もう少しでキスしそうであるというシチュエーションや、百合を連想させる作品や画像を見たときに「キマシタワー」を使います。「キター」と言いたいところをあえてお嬢様風に「キマシタワー」と表現することに意味があるとしている人もいます。「キマシタワー」は女の子同士の恋愛を連想させるもの全般を指すネット用語です。

「ストロベリー・パニック」は2006年にキッズステーションで放送された女の子同士の恋愛を描いたTVアニメです。主人公、蒼井渚砂が「聖ミアトル女学院」という名門女子校に転校し、そこで夢の女子校ライフを送るという物語です。

転校初日の渚砂がキレイな女子生徒、花園静馬に見とれていると、静馬は渚砂に近づいていき、渚の額にキスをします。静馬にキスをされた渚砂はそのまま倒れて気を失い、保健室で涼水玉青に介抱されます。このお話は華やかな「いちご舎」での学園生活と、お嬢様たちが織り成す恋模様を描いた百合アニメです。

涼水玉青はストロベリーパニックに出てくる青い髪のシニオンの女子生徒です。語尾に「ですわ」をつけるなど、おっとりしたお嬢様風の話し方をしています。

玉青は渚砂とルームメイトということもあり、転校初日の渚砂に校内を案内したり、学園のシステムを紹介したりと親切な友人です。渚砂の近くにぴったりと寄り添い、渚砂に「いたずら」を仕掛けてはその反応を見て「怒った顔もステキですわ～」と悶えています。

渚砂に慕い、渚砂をサポートする健気な友人という設定ですが、渚砂との相合傘で浮かれる乙女チックな一面と、ときどき渚砂の身体を触ってからかったり、その反応を楽しんだりする変態的な面とを持ち合わせています。

「キマシ」とは、「キマシタワー」の略語、または男のキャラクターが女体化してヒロインと恋をするさまのことを表します。完全に「百合」の場合は「キマシタワー」を使い、「元は男だったけど女体化して百合になった」という場合は「キマシ」と使い分けをします。

キマシ塔とは「キマシタワー」のタワーを日本語訳して塔と表記した言葉です。キマシ塔はキマシタワーと同じ意味で使われます。

「キマシタワー」が多すぎて困っちゃうというニュアンスで使われるフレーズです。百合好きの人々が「百合要素が多すぎて幸せ」なときに「ここにキマシタワーを建てよう」という風に使います。

百合作品が多すぎて「キマシタワー」を建てきれないときには「キマシタワー」が逃げてしまうという考え方もあります。

「キマシタワー」と同じ意味で使われる言葉です。女の子たちがスキンシップしている場面を見て百合好きの人々が上げる喜びの声を表しています。「あら＾～」は「キマシタワー」のタグの代わりに用います。百合を想起させる画像やイラストを見て、「あら＾～こんなイケナイことしちゃって」とちょっぴりドキドキしつつ、コメントをするという心境が上手く表現されています。

あぁー！じゃなくて「あら＾～」と女の子っぽく言うことで「百合」であることが一目でわかります。

「レズレズじゃのう」は「キマシタワー」の前に発生したスラングです。アニメ「魔乳秘剣帖」の中で使われた言葉で、女性同士の同性愛行為を指して発言されました。どちらかというと、「女性同士の過激な性行為」またはそれを連想させる漫画や小説、アニメのシーンの実況によく用いられます。

しかし、「レズレズ」は差別的だとして「キマシタワー」よりも流行らず、現在では「キマシタワー」や「あら＾～」のほうが頻繁に使われています。

「キマシタワー」の対義語は「アッー！」です。「キマシタワー」が女の子同士の恋愛を連想させる言葉であることに対し、対義語の「アッー！」は男の子同士の恋愛を連想させる言葉です。「アッー！」はBL（ボーイズラブ）要素のある漫画やアニメ、イラストや画像のことを指します。

男同士の恋愛を描いた作品をBL（ボーイズラブ）といい、BLを好む女性のことを腐女子といいますが、腐女子たちがBLだと判断したものに「アッー！」のタグがつきます。そのため「アッー！」で検索すると男同士の恋愛を連想させる画像やイラストがでてきます。

見た目はギャルなのに、まだ恋をしたことがない高校生「藍原柚子（あいはらゆず）」は母親が再婚したことを機に、女子校に転校することになりました。金髪でメイクもばっちり、校則なんて一度も守ったことがない柚子は転校初日に生徒会長「芽衣」に服装を注意され、罰としてスマートフォンを没収されてしまいます。

「なんだ、あのエラそうな態度は」と芽衣に対して怒っていた柚子ですが、その時一人のイケメン教師が目の前に現れます。

「絶対、彼氏をゲットしてやる」と豪語していた柚子はイケメン教師、雨宮先生に一目ぼれをし、「先生のメルアド教えてもらっちゃお」と雨宮先生を追いかけていきます。しかし、校舎裏で柚子が目にした光景は信じられないものでした。雨宮先生が、あの生徒会長「芽衣」を校舎裏の壁に押し付け、ディープキスをしていました。

先生と生徒会長がキスをしているというとんでもない光景を目にしてパニックになった柚子は、逃げるようにしてその場から走り去りました。そして家へ帰るともっと信じられないことが起こりました。「今日から、あなたたち、姉妹なのよ」と母に言われて振り向くと、あの生徒会長「芽衣」が立っていました。

母の再婚によって生徒会長と「姉妹」になってしまったことで柚子はまたもやショックを受けます。しかし、部屋に戻った柚子はこのあと、さらに「ショックな」体験をしてしまいます。

この物語は純情ギャルと黒髪生徒会長が織りなす女の子同士の学園ラブコメディーです。このアニメは2018年1月より放送を開始し、現在もTOKYO MX、AT-X、サンテレビ、BSフジで放送中です。

中学からの親友である優ちゃん（園田優）と同じ高校へ通うことになった春香（高山春香）は優に向かって「優ちゃんとは特別な友達でいたい」といいました。すると優は「だったら他の子たちとは絶対にしないことをしようよ」と提案しました。「他の子とは絶対にしない特別なこと」と聞いて春香がひらめいたのは「キスすること」でした。

最初は「キスだなんて」と動揺し、あわてる優でしたが、いざキスをしてみるとその気になってしまい、そのうち春香と優はキスをするのがやめられなくなっていきます。

春香は優が他の友達と仲良さそうに話をしていたり、スキンシップとっていたりすると嫉妬をしてしまうやきもちやきの性格で、優は春香ほど積極的ではありませんが、「結婚式」と聞いただけで勝手に「自分と春香の結婚式だ」と早とちりしてしまうほど春香のことを意識している乙女な性格です。

このアニメは2014年の1月から3月に放送されました。

百合にはまる人は現実世界に飽き飽きして「男の汚らわしさ」のない女の子だけの世界に行きたいと願っていることが多いです。反対にBLにはまる人は「女同士のネチネチ」から解放されたいと願っている傾向にあります。男女ともに異性への憧れと、空想の世界への逃避から同性愛もののアニメや漫画にはまる傾向があります。

百合で検索するよりも「キマシタワー」で検索したほうがより「百合」っぽい作品に出会えることがあります。公式のアニメや漫画だけでなく、pixivのような作品投稿サイトを訪ねてみると、「キマシタワー」のタグのついたイラストや漫画、小説などを楽しむことができます。百合が好きな人はぜひ「キマシタワー」で検索してみることをします。