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「常套句」とは
読めない人が多くいるわりに、使われることが多い、不思議な単語です。読みづらいにも関わらず、よく見かけるために、常套句の読み方はよくネットで検索されています。
「常套句」の読み方
「外套」は「がいとう」と読み、コートのことを指す言葉です。戦前の日本では、コートとは呼ばず「外套」と呼んでいました。
「套」の字には、「かぶせる」と「古くさい/いつもの」という意味があり、「外套」は前者の、「常套句」は後者の意味になります。
「常套句」の意味
「常套句」の由来
・一文字目の「常」:「いつも変わらない」や「いつも同じ状態が続くこと」
・二文字目の「套」:「ありきたり」
・三文字目の「句」:「言葉や表現の一区切り」
これら3つの意味が合わさり、「常套句」は「いつもの決まり文句」という意味で使われるようになったと考えられます。
「常套句」の使い方
ビジネスシーンにおいての常套句には、「お世話になっております」というあいさつがあります。「お世話になっております」は、まぎれもなくビジネスにおける常套句といえるでしょう。
飲み会で、最初の飲み物を注文をする際には、「とりあえずビール」とオーダーします。これも常套句のひとつです。ここからは、状況別の常套句をご紹介します。
例1.ビジネスシーンでの常套句
これらの常套句を知っているだけで、ビジネスシーンで使える語彙が増えるので、ぜひとも覚えておきましょう。
「お世話になっております」
実際のところ、あまりお世話になっていない人に対しても、深く考えることなく「お世話になっております」は使われます。
訪問先では「お世話になっております。〇〇です」と、あいさつ代わりの一声として使えます。電話口でも、「いつもお世話になっております。〇〇と申します」と名乗れます。
どのようなシーンでも使える便利な常套句です。
「お疲れさまです」
外から帰ってきた人や、何か作業をしている人に対するねぎらいの言葉として「お疲れさまです」を使います。
あまり疲れた様相ではない人、がんばっていない人に対しても、「お疲れさまです」と声をかけますが、なかには「別に疲れていませんが」と返す人もいます。
「恐縮です」
「恐縮です」は、「すみません」や「ありがとうございます」のビジネス語だと理解しておけば使いやすいでしょう。
「すみません」を使うような状況の中でも「ありがとうございます」という意味を持たせたいときに「恐縮です」を使います。
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「恐れ入りますが」
「恐れ入りますが、〇〇様はご在席でしょうか」のような使われ方をします。
「恐れ入りますが、〇〇の件についてご教示いただけますか」など、ビジネスシーンでなければ、「すみません」という言葉で言い換えられると理解しておけば良いでしょう。
例2.飲み屋で飲み物を注文をする際の常套句
常套句は、その句がどういう意味で構成されているか、特別考えることもなく、「この場合は、この言葉を使っておけば間違いない」「こういうときは、こういうものでしょう」と一種のノリで使われます。
「とりあえずビール」
「とりあえずビール」と聞けば、お手拭きで汗をふきながら席に座り込むサラリーマンの姿が浮かぶのではないでしょうか。
「とりあえずビール」は、捉えようによっては、少し失礼な言い回しです。「とりあえず」には、「急いで」という意味もありますが、「間に合わせの処置として」という意味もあります。
例3.誉め言葉の常套句
ここでは、誉め言葉としてつかえる常套句をご紹介します。
常套句だと意識することもなく、「人を褒めるなら、第一声としてこう言っておけばいい」と、人々の中に浸透している言葉だと言えるでしょう。
「すごい」
「恐ろしくなるほど優れている」の「優れている」の意味か、「程度がはなはだしい」の意味が派生したものか、「すごい=素晴らしい」の意味で使われるようになっています。
「さすが」
誉め言葉そのものという意味はありませんが、「期待どおりだと、改めて感心する気持ち」から派生した誉め言葉だと考えられます。
「さすが」だけで終わることもありますが、「さすが〇〇さん」や、「さすが(普通の人とは)違うね」のように、誉め言葉の意味として使われます。
例4.政治家の常套句
ここでは、政治家の常套句としてもっとも有名な「記憶にございません」という言葉の使われ方をご紹介します。
「記憶にございません」
自分が行ったことを素直に証言すれば罪に問われ、嘘の証言をすれば偽証罪としての罪に問われ、逃げ場のなくなった人の苦肉の策が、「記憶にございません」です。
類似の常套句として、最近では「刑事訴追の可能性があるので証言を拒否します」があるようです。
例5.披露宴の挨拶の常套句
スピーチに慣れていない一般の人たちは、スピーチに際して、ノウハウ本を購入してスピーチを組み立てます。その結果として、上手いフレーズは皆、常套句と化しています。
その中でも、長い間常套句として定着しているものに「本日はお日柄もよく」という句があります。若いうちにはあまり使わない句ともいえます。
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「本日はお日柄もよく」
せっかく挨拶文を作っても、当日雨が降ってしまったら「本日はお日柄も良く」の部分を、別の言葉に差替えなければならないと考える人も多いでしょう。
「お日柄」とは「お天気」ではなく、「暦」のことを意味しています。六曜というその日の吉凶を示す暦が「良い日」を示していれば、「お日柄は良い」と言えます。
いろいろな常套句を知りたい・覚えたい人におすすめ
もっと自分が使えそうな常套句を知りたい、という人には、「言えないと恥ずかしい『決まり文句』勉強帖」をおすすめします。
「お役に立てず」「痛み入ります」「これに懲りず」など、大人になると使う機会の増える常套句を学ぶことができます。
本書に掲載されているものは、よく使われる常套句なので、「知らない」ということがないようにしましょう。
「常套句」がタイトルに使われた楽曲
「常套句」はMr.Childrenの楽曲のなかでも、胸にしみいる素晴らしい曲のひとつです。ここでは、少しMr.Childrenの「常套句」についても触れてみます。
Mr.Children「常套句」
この曲は、生田斗真主演のフジテレビ系ドラマ「遅咲きのヒマワリ ~ボクの人生、リニューアル~」の主題歌でした。
歌詞に込められた意味
「君に会いたい」というどこでも聞くような「常套句」を多用している歌詞は、常套句を連呼せずにはいられない、男の切なく寂しい気持ちを歌い上げています。
「常套句」の意味を理解して、正しく使おう
文言のテンプレートと理解しておけば、会話の中に「常套句」という言葉を交えることも、全く問題なくできるはずです。せっかく覚えた語彙なので、積極的に使っていきましょう。
難しい読み方の言葉を覚えよう
自分の語彙力を強化するためにも、読めない漢字や単語は積極的に調べ、自分の語彙として蓄積しましょう。